この本を買って読んだのは、もう何年も前ですが、買うに到るまでには、更に数年経っていたのでした。どうしてかというと、私はいつもあとがきとかあらすじとかを読んで本を買うタイプなんですが、そのあらすじがなんだかとても荒唐無稽に思われたからです。
イルカが操縦する宇宙船・・・その発想が、わたしにはついていけない感じがしたのです。しかも人間も一緒に乗ってるという・・・水中で生きるイルカと陸上で生きる人間が果たして宇宙では同じ場所で生活できるのか? そんなことを考えつつ、いつもあらすじだけ読んで本屋の棚に押し戻す日々が数年続いたのです。
今考えると笑っちゃうんですが。
ある時、わたしは持病の活字中毒の発作に襲われ、この本をやけくそで買いました。他にめぼしい読み物がなかったためです。
そうしていきおいこんで読んだわけですが、あの逡巡の日々はなんだったのかと思うくらいハマりました。
おもしろすぎる・・・!
イルカは思えば昔から人間の神秘的な友達だったじゃないか! と悟ったのです。
なーんて。前置きが長くなってしまいました。
本書は、「知性化」シリーズの一作目です。内容は、その昔宇宙に[始祖]と呼ばれる銀河文明を樹立した宇宙航行種族がいて、その種族は知性の高そうな準知的生物の知性化を行い、育てられた生物はその親たる主族に類族として奉仕をしたあと、一人前となり、新たな生物を自分たちで育てる権利を得ます。
そうして築かれた銀河系共同社会は、[始祖]がつくった「ライブラリー」という情報バンクでつながっています。その社会へ、地球人は親たる主族のいない生物、宇宙の孤児として加わります。その人類が主族として認められたのは、イルカとチンパンジーを独自に知性化していたためです。
さあ、孤児としてみんなに馬鹿にされている人類が宇宙社会にいろいろと波紋を投げかける、というお話。
根底にあるのは、環境保護の思想。ユニークな宇宙の主族たち。がんばる地球人。おもしろいです。もう、他の主族からも、自分の類族たちからもからかわれていますからねー。
軽い文体と日本文化に傾倒している作者のおかげで、楽しめます。途中で俳句が出てきたりね。
先日は、この作者の他の作品、「ポストマン」が映画化されたりしてたから、御存知の方も多い(?)とは思いますけど。
ああっ、室生は、もうこの人にベタ惚れなので、ついつい長くなっちゃったよー。
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