CIAのやり手スパイ、ミセス・ポリファックスの13冊目のスパイ小説。すらすらと読めてしまいます。
どこから見ても、完璧な観光客に見える彼女にまわりは騙されますが、彼女は、優秀なスパイです。ある日、退屈な人生を嘆いて、CIAに自分を雇って欲しいと押し掛け、スパイになりました。
今回は、元情報部員のファレルとともに彼の尊敬するイラクの反体制作家ディブ・アッセンの遺稿を受け取るため、ヨルダンへ旅立ちます。
殺伐としたスパイ小説が多い中、本作は、人間の優しさや思いやりにあふれていて、心がなごみます。
登場人物の悪漢たちの行為の不正性や残酷性、残忍性が書かれていないというのではありません。ミセス・ポリファックスは手ひどい拷問にもあったことがあるし、殺されかかったことも何度もあります。けれども、彼女の善意、人間を信じる心に救われるものがあるのです。
ところで、いつもミセス・ポリファックスのような人が、空手の有段者で敵に空手チョップを喰らわせたり、様々なところへ旅に出かけるのは体力的現実的に無理があるのではないかと思っていましたが、作者の年齢(70代後半!)を知って、その思いに終止符を打ちました。
大丈夫です、ミセス・ポリファックスはそれだけ動けるのです。
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