鏡の国のアリス
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ルイス・キャロル著、芦生一訳、偕成社

 今年はルイス・キャロル生誕100なのだそうです。新聞でそれを知って、何気なく読み返してみました。
 でも、「不思議の国のアリス」を御存知の方は多いだろうと思いますが、「鏡の国のアリスは」知名度がないようです。 あの有名なハンプティ・ダンプティのたまごや、ジャバウォッキー、トウィードル・ダムとディーの兄弟が出てくるのは、鏡の国なのにと意外です。
 「鏡の国のアリス」は、文字通り、アリスが鏡の中に入っていって、そこでチェスゲームに参加します。アリスは白のポーン役です。そうして、チェスでは、敵陣の一列目(といういい方が正しいのかわからないのですが)にはいると、ポーンは女王になるというルールから、最後にアリスは女王になり、赤の女王をとってゲームに勝ちます。
 そこまでのゲームの動きが物語になっているわけです。
 鏡の国では、全てのことが反対に働きます。行きたいと思う場所への近道は、正反対へ行くことですし、どこかにケガをしたら、まず薬を塗り包帯をしてから最後にケガをするとかね。 犯罪を働くのも、罪を償ってからです。へんてこな世界ですよね。
 最後に「アリスよさらば」という言葉の隠された詩もいいです。アリスの物語にはたくさんの詩が出てきます。意味がよくわからなくても、なんだかおもしろい詩でした。
 ルイス・キャロルは、ロリコン(以前キャロルの撮った美少女写真の数々を見ましたが、なかなかのものでした)だったし、大学の授業(オックスフォードの数学の教授でした)はおもしろくなかったかもしれませんが、優れた作家だったと思います。
 挿し絵のジョン・テニエルも、その時代を代表するカリカチュアの画家で、不格好なアリスの絵は、アリスの大人っぽさを表している気がします。