これは、印象としてはサリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」って感じだと思いました。不可思議で透き通るように美しくて残酷、煌めく純真さといった時期から、足を洗う瞬間についての物語……。
ゾマーさんが、たえず歩いてるんです。雨の日も雪の日も、風の吹く夜も、陽射しの強い日でも。一年中。ゾマーさんは移りゆく季節とともにあって、しかもかわらぬ存在です。はたして、何者なのか? 何者かは、読めばわかります。しかし、なにをゾマーさんはあらわしているのか。それを考えると、室生はまたもや哀しくなってくるんですよ。ははははは。
全体的には、サリンジャーが長ったらしくて、文が気に入らなかった人は、こっちを読んどくべきかも。短くて、とてもストレートに響いてくるよ。室生もサリンジャーは最初の方を読んで、最後の方を読んで、真ん中はざっと流しただけでした。比較的最後の方を力を入れて読んだ記憶があります。でも、正直、退屈だった……。
この本は、少し思い出にひたりたい時におすすめ。これを読んで、現実復帰しましょう。
人生は、あっという間だよ。多分。けれども、時として、とても長い。すごーく長い。その時に、自分がどうするか、それが生きるつらさだよね。月並みだけど、そう思いませんか?
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