最新(?)映画レビュー

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トロピック・サンダー 「史上最低の作戦」と銘打っているだけに、お話はまことに脳天気。だけど、とにかく金はかけてるなあと実感もする作品です。主役3人の掛け合いもまことにおもしろい。とくに、黒人に変身した白人の役を、ロバート・ダウニーjrがやってますが、この前に「アイアンマン」を見ているだけに、その変身ぶりに感心してしまいましたね。なにしろ役者という感じ。ただ、アメリカ人はきわどいギャグが好きですね。日本だと、すぐ差別発言だとか人権無視だとか言いますが、日本の社会が幼い証拠かな。さてさて、こうした主役級の3人をよそに、圧倒的な存在感を見せるのが、ハリウッドで絶大な(?)人気を誇るあの俳優。はげでちびででぶで毛深い。むさ苦しいおっさんの要素をすべて詰め込んだ、その役作りは、 びっくり仰天。やはり、この人は最近おかしいのかなと思わせるくらいです。

ブラインドネス 日本から伊勢谷友介、木村佳乃が参加した作品。しかも、この二人が、重要な役回りを演じており、多少の英語のまずさは、もはやそれほど問題ではないのではないか。さて、お話はいきなり失明する人が続出する、どこかの国の大都市。最初に失明した人々もなにが原因かわからない中、どんどん患者が増えていく。しかも伝染性らしいということになって、とうとう政府が隔離政策に乗り出し、市内のこわれかけた病院跡に閉じこめられることになる。これまでのパニックものだと、こうした感染を爆弾ででも吹き飛ばすとか、派手な展開になるのですが、この作品では閉じこめられた空間で、目の見えなくなった人間たちがいかに醜く争うかということに焦点があてられていきます。息が詰まるほどの絶望感と空気感。人間の欲望と、そして尊厳といろんなものが入り交じっていきます。ただ、なぜ失明したのかという原因は最後までわからずじまい。そして、失明した順番に、回復していくことが暗示されるラスト。ひとりだけ目が見えていた主人公の女性の謎。おそらく、それらは、無視することで、主張を特徴づけたのでしょうね。




ハッピーフライト 予告を見たときから、これはまるごとANAの宣伝映画かなと思っていました。たしかにそうなんですが、それでもおもしろい。さらに、綾瀬はるかが全面的に中心なのかと思っていたら、これはちょっと違ってました。前半はたしかに、彼女の新米CA失敗談になっているのですが、後半はいわゆる飛行機パニック物の王道をいく締まった内容。かつて「大空港」や「エアポート75」などで、こうした映画の好きな僕としても、十分納得できるものになっています。配役としては、むしろ地上勤務の面々のほうがいい感じ。管制塔の岸部一徳、グランドスタッフの田畑智子と平岩紙、その上司の田山涼成など。コミカルながら、きちんと自分たちの役割をこなしていく様子が楽しいですね。それほど上映時間は長くないのですが、こうした多数の人々をうまく絡み合わせて、終盤まで引っ張っていきます。もちろんエンデイングもハッピーなのですが、後に、希望を持たせておわるところもいいですよ。ちなみに、エンドロールは必ず見てくださいね。矢口監督作品でおなじみの人物が、せりふもなしで一瞬登場します。

イーグル・アイ もうすっかりハリウッドの若手スター、シャイア・ラブーフ主演。もうとにかく最初から突っ走りまくりのアクションの連続。わけもわからず、電話の指示どおりに動かされる若者と、子連れの女。FBIに狙われ、自動支払機からは大金がざくざく、部屋には最新兵器が宅配便で(!!)送られてくる。いったい、どうなってるんだ??。最初に出てくるテロリスト攻撃の場面から、いかにもテロリストによる陰謀かと思わせるのですが、後半、だんだん秘密が解き明かされていきます。いったい電話で指示を出している「女」は誰なのか。なんのために二人に行動させるのか。さきほどもいった、一番最初のシーンが非常に重要な伏線となっています。最近ありがちな、サイバーテロものに近いですが、これはおもしろいです。ラブーフはアクションが板についてきましたね。「インディー=ジョーンズ」に出たときには、まだお子様扱いでしたが、今回はすっかり一人前。ただ、童顔なのでスパイそのものには向かないかな。

アイアンマン 「インクレディブル・ハルク」のラストで、このアイアンマンを演じるロバート・ダウニー・jrが登場しましたから、ちょっとしたつながりがあるのかと思ったら、単なる前宣伝だったのでしょうか。内容は、わかりやすくて、兵器産業の若き社長が、自らの武器でテロリストに捕まえられてあやうく殺されそうになる。辛くも脱出に成功し、改心して平和のために力を尽くすことになる。この改心の早さがものすごくて笑っちゃいますが、まあ漫画ですから許してもいいのではないかと思います。さて、その脱出するときに作ったのがアイアンマンの原型になるのですが、テロリストたちも監視カメラまで用意しながら、なぜこの武器を作っているのがわからなかったんだろう。それにしても、社長秘書を演じるグイネス・パルトローがいいですね。社長にかなり言い寄られるのですが、きちんと一線を守り、でも彼のことを誰よりも心配している、その目線がとても温かい。また、びっくりしたのが、「エンドロールの後にもお楽しみがあります」と親切にでたにもかかわらず、お客さんがけっこう帰ってしまったこと。最後まで見ればいいのになあ。

容疑者Xの献身 原作は一切読んでいません。が、推理物ということで、テレビではコナン好きな息子が中心で見ていました。ちなみに、息子の将来の夢は数学者ということで、親としてはちょっと複雑。さらに余談ですが、うちの子供が通った中学校が「湯川中学」、そう「中」を除けば「湯川 学」ということで、よけいに親近感がある作品になりました。内容は、別れた夫が、妻の家を無断で訪問、口論の末、妻が娘と一緒にこの夫を殺してしまう。かねてから、この妻に思いを寄せる人物が、この親子を助けるため人肌ぬぐことになり、ひょんなことから主人公湯川と対決する。まあ、犯人は最初からわかってしまうので、どのような攻防が犯人と湯川の間で行われるかが楽しみになります。残念なのは、テレビでは、お約束の黒板にいきなり書き始めるひらめきのシーンがなかったところ。映画では、あまり笑いをとりたくなかったのかもしれませんが、全体が切ない作品なので少しゆるいところがあってもよかったと思います。

ハンコック アメリカンコミックがもとになっていない、新たなヒーローの登場ということだし、ウィル・スミス主演ということですから、まずまずおもしろいかなと見に行きました。彼の前作「アイアムレジェンド」が、ホラーぽくてちょっとテンションが下がっていたのですが、こちらはまずまずかな。前半がなかなかいいですよ。ありあまる超能力を、生かし切れずに、人助けがかえって大迷惑をかけてしまうなど、ものすごいCGを使いながら進行して行きます。とくに、おもしろいのが、ハンコックにやたら「くそ野郎」とののしる子供をぶっ飛ばすシーン。僕なんかは、これ当然だと思うけど、今は「子供をいじめて!」なんていわれるかも。くそガキは(失礼)やっつけるべきです。
さて、問題は後半。美しいシャーリーズ・セロンと絡んでくるところから、話が一気に混乱の世界へ。やはり、きちんとした原作があったほうがヒーロー物は安心できるような気がします。何百年も生き残っているなんて、吸血鬼かバンパイヤの世界。もし、次回作をつくるなら、歴史的にさかのぼってつじつまあわせしたほうがいいかも。

ダーク・ナイト 前作の「バットマン・ビギンズ」を見たとき、これは今までのバットマンとは根本的に違うなと感じました。下の方にいくと、前作のレビューがありますが、そのときは続編はないかもと思いました。しかし考えてみれば、「ビギンズ」なのだから、当然次があるわけですよね。この、ダーク・ナイトは、まさに大人向けのバットマンです。子供が見たら、とてもじゃないけど難しいのではないでしょうか。徹底的に悪いジョーカー。その生い立ちは、多分に創作くさくて何が本当かわからない。しかも、殺し方がまことに残虐。R−15にしても、いいんじゃないでしょうか。ジョーカーに言わせれば、バットマンとて決して善ではない。正義の味方かどうかもわからない。悪があるから善が光る。善が強ければ、悪も強くなる。この、逆説的でいて、何かしら納得させられる論法。唯一救われるのは、一般市民の正義感。これこそが平凡だけれど、人間の「善」の本当の姿かもしれません。「闇の騎士」として生きることを決意するバットマン。当然、続きがありそうです。

ハムナプトラ3 珍しく続編がとてもおもしろかったこのシリーズ。女房も、この映画の雰囲気が好きで、この作品も一緒に見に行きました。それにしても、いきなり舞台を中国に変えてしまう強引さは、いかがなものか。まして、奥さん役からレイチェル・ワイズが降りてしまい、ファンである僕としては、とても残念です。まず、舞台を中国にしたのは、古代の遺跡とか古代の皇帝を扱うという意味で、そう間違いはありませんが、それでも無理があるようです。とくに、兵馬俑は、もともと土人形であってミイラではないわけで、歴史の解釈として(フィクションとはいえ)、都合がよすぎるかな。ジェット・リーの皇帝も、ちょっと強すぎという感じがします。もちろん始皇帝をモデルにしているのでしょうし、不老長寿の薬を探させたことも有名ですが、きちんと死んでますからね。まあ、これだけ文句をいうのも、この映画の基本コンセプトは大好きなので、もうちょっと我慢してエジプトを取り上げ続けてほしかったですね。それと、できればレイチェル・ワイズに復帰してほしいですね。しつこいか。

インクレディブル・ハルク 1作めの「ハルク」のラストで、どこか南米の奥地に住み着いたハルク。どう見ても続編があるなあと思っていました。ビデオレビューのだいぶ下のほうにそのことが書いてありますので、読んでいただければと思います。さて、こちらですが、ハルク役がエドワード=ノートンに変わっていてびっくり。一見やさ男にみえる彼が、この役をやるというのもなかなかおもしろいですね。お話は、このハルクが、なんとか自分の変身能力を治療で治してしまおうとがんばっているわけですが、なかなかうまく行かない。そうこうするうちに、彼を兵器として利用しようとする米軍が、かれを見つけ出し、確保しようと乗り出してくる。そして、その中心にイギリス軍の精鋭を協力させるのですが、この男をティム=ロスがやってて、これもびっくり。どちらかといえば知性派の役柄が多いふたりが、怪物になるというのも皮肉です。結局、両者が変身して街中で大乱闘を演じ、いちおうの決着がつきますが、どうも、さらに続編が登場しそうな雰囲気でした。

クライマーズ・ハイ あの日を憶えています。1985年8月12日、お盆の帰省ラッシュの真っ最中でした。夕方のテレビに速報で「旅客機がレーダーから消えた」との一報が入ったのです。現在40歳以上の人なら、70年代から80年代、日本や世界で、航空機がけっこう毎年墜落していたのを憶えているのではないでしょうか。ニュース速報で、すぐにこれは大変だと思ったものです。この作品は、この事故をマスコミがどう扱っていったのか、地元の新聞社を舞台として描いています。当然のことながら、大事故に張り切る記者たち。不幸が記事になるのは人間社会の基本。遺族の心に土足で入っていく記者。新聞社同士のあさましいスクープ合戦。堤真一も堺雅人も熱演です。出演者のほとんどが男という汗くさい構成。ただ、僕も一時は新聞記者を目指したこともあり、こうした記者たちの行動が、報道の本来の目的につながっているのかが疑問です。新聞社も結局は営業です。儲からなければ、出すことができない。僕は長らく新聞配達もしてきました。配達所の朝も戦争です。この映画では、配達・印刷の人たちがあまり好くは描かれていませんが、新聞は記者たちだけでは成り立たないのです。そんな疑問を抱きながらも、最後まで一生懸命見てしまいました。

インディー=ジョーンズ これまた前作から何年経ったのでしょうか。僕がまだ大学生の時に、1作目が公開された記憶があります。もう30年近い年月が流れました。ハリソン=フォードも、歳をとりましたね。わざとやっているのかもしれませんが、やはり足取りに年齢が感じられます。したがってアクションもそこそこですが、そこは長年の貫禄で、楽しく物語を見せてくれます。背景が1957年ごろということで、原子爆弾の実験が行われていたり、スターリンの影がちらついたりと、お話としてもおもしろい。ただ、このシリーズの特徴である、グロい場面は今回少なかったかな。ちなみに、とうとうインディー=ジョーンズの息子が登場。この役を、「トランスフォーマー」でブレイクしたシャイア=ラブーフ。こうなると次の作品では、彼が後を継ぐのかなと邪推してしまいますが、どうなんでしょうか。

ランボー 最後の戦場 20年待った、続編の登場。前作のラストから、いったいランボーはどこに行ってしまったのか。この作品の原題は「ジョン・ランボー」。そういえば、「ロッキー・ザ・ファイナル」も原題は「ロッキー・バルボア」でした。スタローンは、そろそろ自分に対するけじめをつけはじめたのでしょうか。それぞれの作品の主人公の名前を題名にするということは、そういうことなのでしょうか。ちなみに、劇場に見に来ている人たちも、ほとんどが僕と同年代(に見えました)。僕たちも、まさに、ひとつの区切りをつけるために、この作品を見に来たように思います。さて、作品の舞台は今、大きな関心をもたれているミャンマー。とてもきつい描写や、ミャンマーの軍に対する反感など、時代の反映としてもおもしろく感じます。ただ、恐ろしいのは、映画はあくまでも作り物ですから、現実はもっとすごいのではとも考えられるところです。NGOの人たちの善意については懐疑的な態度をとるランボー。そこには、正義と悪とその混沌と、人間の汚さときれいさ、すべてがないまぜになっている彼の感情が表されているのでしょうか。ラストについては、評価がわかれるでしょうね。僕は、あれでよかったなあとほっとしましたが、大量に人を殺した人間が、それなりの報いを受けないのはおかしいと考える人がいても仕方がないような気がします。

相棒 人気のテレビシリーズ。ということですが、実際僕は見てません。水谷豊といえば、リアルタイムで「傷だらけの天使」を見ていた僕らの世代。その後「熱中時代」などにも夢中になっていたわけで、彼のコミカルで軽い演技が印象に残っています。したがって、この映画でも、沈着冷静だが、どこか軽い演技が見られると思っていたのですが、寺脇康文に負けず劣らずのアクションでがんばってましたね。映画そのものも、もう少し明るいのかと思ったら、とても硬派。あのイラクで人質になり、その後無惨にも殺されてしまった若者の事件が下敷きになっているのですが、当時の国民の無責任な「自己責任論」と、事件後に「なかった」ことにしてしまう態度など、ある意味強烈な批判が盛り込まれています。テレビ同様、明るい路線のフジテレビの某映画に比べて、大きな違いがあります。大ヒットしているものの、多くの人に違和感を与えているかもしれません。また、水谷豊主演で刑事物といえば、「幸福」があります。後日、お話しましょう。

光州5・18 1980年5月に起こった、光州事件。僕は教員になってまだ1ヶ月。毎日の生活に明け暮れて、隣国のことでありながら、よくある国内暴動の一種かとしか認識していませんでした。しかし、その後、状況がわかってくるにつれて、軍事政権の本質が見事に現れたものだということがわかってきました。現在は俳優として有名な白竜さんが、この事件を背景に「光州シティー」という曲を出したものの発売禁止になったというようなニュースも当時ありました。この作品が光州事件を、史実どおりに描いているかどうかはわかりませんが、一般市民役の一人一人に光をあてて、群像劇としてもおもしろい作品になっているのではないかと思います。主人公の恋人の父親役に「シルミド」で隊長役を演じたアン・ソンギがあたり、渋い演技を見せてくれています。

L Chage the World 人気だった「デスノート」のスピンオフ作品とでもいうのでしょうか。あのとき、「L」は残り23日の命ということになって映画が終わったので、その23日間をそのうちつくるのだろうと思っていましたが、その通りになりました。松山ケンイチがいいですね。テレビドラマでもよく見るようになったのですが、素顔がお笑いの藤井隆に似ている(ファンの方、ごめん)ので、あまりかっこいいという感じではなかったんですよ。やはりLがはまり役かな。ストーリー自体は、ちょっと無理矢理という感じでしたが、ラストを見ると、なんかさわやかさが残るのでよかったと思います。しかし南原清隆のFBI捜査官は無理がありすぎです。せっかくのサスペンスがこける感じ。それに比べて平泉成さんがよかった。

ジャンパー とうとう50歳になったので、「夫婦50割引」が使えるようになりました。(6月末までらしい)ということで夫婦で見に行きました。いや、思っていたよりずっとおもしろい。話につじつまがあわないところがところどころあるのですが、空間をぶっ飛んで行くすごさで、全部吹っ飛びます。スパイダーマンを皮肉るせりふも出てくるなど、超能力を持つと、それなりの責任を負うことになるという宿命を表現しています。しかし、このジャンパーの能力をもつ息子を、ジャンパーをやっつけるのが仕事の母親がなぜ生んだのか、疑問は深まるばかり。また、今回は、超能力を人類のためには使っていないので、ジャンパーを殺そうとするサミュエル・L・ジャクソンたちが、あまり悪役に見えません。あきらかに「2」がありそうな予感。

ナショナルトレジャー2 前作がおもしろかったし、ディズニーの作品ですから、あまりきわどいことにはならないだろうなと安心して見に行きました。いつも言うように、2作目が1作目よりもおもしろいということは少ないのですが、この作品も、あまりすごいということにはなりませんね。もちろん1作目を見ている人は、いろんな意味で、笑いをとる場面があるので十分楽しめますが、これだけを見ると、なんのことかよくわからないということになりそうです。場面によっては「ハムナプトラ」そっくりのところもあり、パクったのかなあという感じ。リンカーン暗殺の謎については、日本人としては、へーそうなんだ、というようなこともあり、お話としておもしろいかも。すごかったのは主人公のお母さん役が、最近エリザベス女王をやったヘレン・ミレン。こりゃ、ジョン・ボイトも形無しと思わせる名演技でした。

アイアムレジェンド 宣伝も派手にやってるし、ウィル・スミスの作品だということもあって、見に行ったのですが、「えっ!」という感じで、ものすごくおもしろいというところまで行きませんでした。まず、彼は「ニューヨークでは」最後の一人ですが、ほかの地域や国にも当然生き残りがいるということがわかってきます。予告からすると、これは一種の誇張ですよね。まあ、人間の治療をするはずだったウィルスが、実は人間を滅ぼすものになってしまった。というのはよくある設定なのですが、感染した人間はゾンビ化するわけで、これでは「バイオハザード」とうり二つ。サスペンスというより、ホラーに近い感じがしますね。もちろん、自分が伝説になるなんて思う人間ほどくだらないわけで、実際は、人々を救うために伝説になっていくわけですが。

オールウェイズ 続三丁目の夕日 前作は、結局映画館では見なくて、のちにテレビ放映で見たのですが、よかったですね。ビデオレビューのコーナーで紹介してますので、くわしくはそちらを。さて、今回は続編ということで、前作を見ていないと、ちょっとわかりにくいところがあります。とにかく町内の面々がお人好しでお調子者、人情に厚く義理堅いわけで、これはどこかで何か詐欺にでもあうなと思っているともうわかりやすすぎの展開で、事態が急展開。堤真一、吉岡秀隆のかけあいがいいですね。お互い、まるで違う性格なのに、なんとなくうまがあうというか、波長があうというか、友達ってこんなもんですよね。かわいそうだったのが須賀健太くん。すっかり背が伸びて、大人びているし、ちょうど声変わりの時期なのでしょう、台詞がかすれて聞き取りにくいのですよ。ハリー・ポッターでもそうですが、子役はどんどん大きくなるだけに芸達者な人ほど、老けていくのが早いという感じをうけます。まあ、3作目はないでしょうから、あまり心配していませんが、それでも興行成績しだいでは、むりやり作ったりして。

ボーン・アルティメイタム 待ちに待ったボーンシリーズの最終章。とにかく1作目を見たときから、これは新たなスパイ物の始まりだ、と感じさせた作品です。下のほうに1作目からのレビューがありますので、見ていただければと思いますが、今回も舞台になる都市の特徴をよくつかんだ演出が冴えています。ベルリン・タンジール・ニューヨーク、とにかく最初から約40分はアクションの連続で、一瞬たりとも目が離せない展開。2作目で恋人を殺され、記憶も徐々に戻りつつあるボーンが、自分を取り戻し、恋人の復讐を誓って壮絶な戦いを繰り広げる。マット・デイモンが、シリーズを通じて、どんどんたくましくなっていくのがわかりますね。CIAも決して一枚岩ではなく、ボーンに共感を覚える人たちもいて、過去2作に比べると、敵としての怖さはいくらか弱いものの迫力は十分です。それと、1作目から出ている女性エージェントが、重要な役で登場。この人だけはしぶとく生き残っていくのですよ。なにしろ一気に見てしまったので、ぜひDVDを購入して、ゆっくり場面を味わってみたいものです。

バイオハザード3 おすすめというにはちょっとという気もしますが、2作目まで見てしまったので、やっぱり見ないとね、上のボーンシリーズと比べると、熱の入れ方がだいぶ違ってしまうのですいません。ただ、ミラ・ジョボビッチはひたすらきれいです。彼女のクローンが無数にある場面などは、このうち一人を僕のものにできたらなどと妄想をいだいてしまいます。さて、前作に続く場面から始まりますが、地球全体がウィルス感染で死滅状態。かろうじて生き残った人間が、荒涼たる砂漠を移動する。まるで「マッド・マックス2」を思い出すような、救いのない場面です。しかし、そんな中でもアンブレラ社は、超人製作の野望をもったまま。アリス作戦を遂行する学者が、化け物になってしまうのは、ご愛敬で。最後に出てくる本部が、なんと日本の東京の地下。変な日本語があちこちに。でも、どう考えても終わりではなさそう。「4」があるのでしょうか。

大統領暗殺 2007年10月、アメリカ大統領ブッシュが暗殺された。という衝撃の設定をとった映画。アメリカではいくつかの州で上映禁止になったというので、これは見に行ってみようと思いました。それはもう過激なシーンがあって・・・・。などと思ったのですが、暗殺のシーンは、かろうじてそうかとわかる程度。もっともあんまりリアルでも引いてしまいますが、これで上映禁止になったのかと思うほど拍子抜けです。あとは、ドキュメンタリー風にFBIの捜査官やシークレットサービス、大統領の側近(もちろんフィクションですが)が状況を証言するというもの。ただ、後半、イスラム過激派と目される容疑者が、偏見によって有罪とされる中で、イラク戦争で米兵である息子を亡くした、元アメリカ軍兵士が真犯人だとする証言が出現。しかし、マスコミをはじめ、多くの国民がこれを黙殺する。一度、揺れた振り子は元に戻らないのかと暗然たる気持ちになります。

キングダム 見えざる敵 上の大統領暗殺に続いて見た映画。やはりテロリストとの戦いが軸になるもの。ジェイミー・フォックス主演ということで、軽快なアクション作と思いきや、アメリカ映画としては珍しく、ラストもハッピーにならない重苦しい作品。サウジアラビアの油田地帯、アメリカの石油会社が支配する地域でアメリカ人技師とその家族が襲われ、大量の死者を出す。真相究明のため捜査に乗り出したのがジェイミー・フォックスたちFBI捜査官。国務省の妨害を受けながらもなんとか現地に潜入。地元の警察官と協力して捜査を開始するものの、まわりはテロリストの集団がうよゆよする地域。有力者の力でようやく真相に近づくものの、最後は自分たちが襲われて危機一髪。しかし、事件が解決しても、互いの子供たちの目には殺された親たちの復讐を誓う思いが宿ってしまう。暴力に対して暴力で向かうことは、結局終わりのない殺し合いにつながって行くのではないか。ジェニファー・ガーナーが、地味な捜査官役で、好演。

HERO まあ、ものすごい宣伝ですから、おもしろいだろうとも思ったし、ちょうどテレビ版の特番を見ていたので、映画がそこから派生したものだということもあって、映画館に足を運びました。やはりテレビで見ていてよかったと思います。中井貴一や綾瀬はるかが、なぜ出てくるのかはドラマを見ていないとわからないし、タモリさんが代議士としてからんでくるのもよくわからないからです。そういう意味ではテレビと見事にコラボしているとは思いますが、逆に言うと、単独の映画としては不足があるような気がします。これからもこういうパターンが増えるのでしょうね。「踊る大捜査線」も、似たようなものですが、少なくとも中身は独立しているわけですけども。内容は、なかなかおもしろかったですよ。釜山の街の風景も、かつて行ったことがあるので、懐かしかったですし、木村拓哉演じる型破りな検事も、とてもはまっていていいです。ラストは・・・。と伸ばすほどでもないか。

ファンタスティック4 これまた2作めということで、話の展開がどうなるのか楽しみでした。いや、なかなかいいですよ。主役2人の結婚までのどたばたの中で、地球が宇宙生命体によって滅亡の危機に。その手先となるのが、シルバーサーファーって、なんでサーファーなのという感じ。最初、徹底的に悪人かと思ったらそうでもなくて、1作めでやっつけられたはずの悪人のほうが、よほど悪くて、おまえが地球を征服するのかとつっこみたくなります。最後は、なんとか地球の危機が救われるのですが、悪いやつも死んだわけではなさそうなので、まだまだ対決が続きそう。僕として残念なのは、1作めに比べると、ジェシカ・アルバの露出度合いが減ったこと、次はまた期待してます。

ラッシュアワー3 シリーズ2作まで見ているので、とりあえず見に行ってきました。真田広之が悪役だということで、興味を持って見たのですが、なにしろストーリーが支離滅裂。ジャッキー・チェンとクリス・タッカーの掛け合いがおもしろいのですが、全体のお話の流れが今一歩で、何となく残念な印象です。アクションはもちろんすごいのですから、お話もすっきりいい感じならとてもよい作品になったのではないでしょうか。しかも、今回はパリが主な舞台と言うこともあって、景色などはとてもよいので。ひとつおもしろかったのは、日本の女優、工藤夕貴がジャッキー・チェンを殺そうとする役を演じますが、これは第1作で、チャン・ツイイーがやった役どころですから、もしかしたら大ブレークするきっかけになるかも。

夕凪の街 桜の国 佐々部監督の作品。各種の映画評論でも評価の高い作品です。実は8月7日に下関で「1000人の上映会」が行われたのですが、出張からの帰りが間に合わず、チケットを買っていたにもかかわらずあきらめてしまいました。小倉でも31日までということでしたので、なんとか滑り込みで見てきました。従来、原爆をテーマにしたものというと、その悲惨さや被害の大きさが強調されがちですが、そうではなくて被爆2世や3世の世の中から見た、ワンクッション置いた、冷静な視点での映画だと思います。麻生久美子さんがいいですね。原爆症で亡くなるわけですが、原爆投下直後に死んだ人たちを見過ぎていて、なんで自分だけ生き残ったのかに苦悩するところ。また、原爆が「落ちた」のではなく「落とされた」のだとはっきり言うところは、なんとなくひ弱な感じの女優さんだと思っていた僕には、とても芯の強さが実感できた瞬間でした。

トランスフォーマー 派手な宣伝と、予告編でとりあえず見に行かないと、ということで盆休みの映画館に突撃。この合金合体ものが好きならとにかく楽しめるかな。一応ストーリーもあるし、にやりとさせるところもあり、なかなかおもしろいのですが、結局、日本の「ガンダム」シリーズにヒントだけもらって、エイリアンものにしているところが、発想としてはやや貧困か。ちなみに、勉強不足で申し訳ないのですが、国防長官役のジョン・ボイドくらいしか名前を知っている役者さんがいなくて、CGにお金使いすぎなのかなとも思ってしまいます。映画館も、吹き替え版のほうが座席数が多いというところからしても、子供向けの映画と捉えているのかな。ただ、迫力はすごいですよ。大スクリーンで見る価値は当然あります。

パイレーツオブカリビアン ワールドエンド ちょっと前に見た、スパイダーマン3がやや期待はずれだったうえに、上映時間が3時間弱というので、ためらってましたが、まあ見ておこうということで見ました。いやあおもしろかったですね。2が、いろいろな謎を残して終わっていたので、それをどうつないで行くのかが見物でしたが、うまくつないでありますよ。死んだはずのスパローがいつ現れるのか、主人公が30分近く出てこないのですが、それでもついつい物語に引き込まれてしまいます。途中、スパローの父親ということで、ローリングストーンズのキース・リチャーズが出てくるのですが、その圧倒的な存在感がすごいですね。さて、エンドロールが終わるまで席を立つなとパンフレットに書いてあったので、ちゃんと見ましたよ。見ずに帰った人もたくさんいたので、予告編などでちゃんと宣伝した方がよかったかも。4を作るつもりなのかな。

ダイハード4.0 いかにも現代、ちゃんと時代背景を押さえてます。題名も「4」ではなくて「4.0」、あきらかにweb2.0なんていうのを意識した最近の表現ですね。僕は、このシリーズでは2が一番好きで、さらにいうと前作の3があまりおもしろいとは思えなかったので、今回もどうかなあとある意味、期待せず見に行ったわけです。しかし、今回はよかったですね。サイバーテロで、国中の交通機関が混乱するなんていう設定はありきたりですが、それに立ち向かうブルース・ウィリスが、徹底したアナログ親父というところが笑わせます。やられてもやられても立ち向かう。彼に護衛される若いハッカーが、どんどんアナログっぽくなっていくところもおもしろいですよ。もちろん敵役も、きれいなおねいちゃんがやたら強かったりと、アクション映画の王道ですね。とにかく、下手なストーリーものより、派手にドンパチやるのがアメリカ映画らしくていいです。

スパイダーマン3 待ってました第3作、ということで勇んで見に行きました。このシリーズは必ず夫婦で見に行くことにしているので、今回も二人で見に行きました。さて内容はというと、・・・・。CGもすごいし、おもしろくないわけではないのですが、何か詰め込みすぎという感じ。第1作からのいろいろな流れを最後にどーっとなだれ込んでいくということなのですが、ちょっと敵がおおすぎかなという気がしました。だから、どことなく消化不良な感じや、意外と悲しい結末など底抜けの明るさを期待していくと、ちょっと裏切られるかな。もっと、ピーターの心の葛藤を中心にするとか、MJとの恋物語を高らかに歌い上げるとか方法はあると思うのですが。でも、DVDは必ず買ってしまうでしょうね。

ナイトミュージアム 予告編がとにかくおもしろくて、「ジュマンジ」を彷彿とさせる内容かなと思い、久しぶりに女房も乗り気だったので二人で見に行きました。いやー、よかったですね。単純にパニックが起こるというのでなく、主人公である父親と、離婚した母親の元にいる息子のふれ合いが泣かせます。アメリカでは離婚そのものが日常茶飯事で、こどももある意味それを普通のこととして乗り越えていかなければならないという切なさがよく出ています。さて、容は博物館に展示されている人間や動物が、夜になると生命を与えられて自由に動き出す。それを夜警が何とか、朝まで閉じこめておく、その中でおこるてんやわんやです。終わりも、家族向けの映画らしく、さわやかなので安心して見られます。ただ、時間の関係で吹き替え版を見てしまったので、多くのギャグがわからずじまい。あとでまた借りて字幕版を見ようと思います。

ゴーストライダー マーベルの漫画が原作となれば、これはもう超人か悪魔かということになります。ニコラス=ケイジがいいですね。本当に楽しんで、ダークヒーローを演じています。父親の病気を治すために悪魔に魂を売る主人公。しかし、治った直後に父親は事故死。悪魔の計略にはまったと感じて放浪の旅に出てしまいます。この若いときの主人公を演じる俳優さんが、なかなかいい。これが年をとるとニコラス=ケイジになるというのはちょっと無理がありますが、話全体がけっこう無理があるので、まあいいかという感じ。さて、地上に出てきた別の悪魔の一団が、地球を支配しようと動き始め、主人公がそれを阻止するために立ち上がる。あれ、どっちも悪魔なのではと思ってしまうんですよ。まあ、理屈をあまり考えずにとりあえず見てしまったということで、続編が出たら、また見てみよう。

バブルへGO タイムマシンはドラム式 プロダクションがホイチョイなだけに、脳天気な映画と思いましたが、疲れたときには、おばか映画もいいなと思って見に行きました。予想どおり、おばかな映画でしたが、意外にもおもしろい。タイムマシンが出てくるので、当然タイムパラドックスが起こってしまうのですが、変な理屈をつけてないだけ納得できます。バブル時代の風俗の描き方は、まあこんなもんかとも思いますが、当時まさにそのまっただ中で生きてきた者にとっては、笑い事ではすまされないので、本当にいやな時代でした。しかし、元気があったのも確かで、矛盾をかかえつつ生きてきましたね。薬師丸ひろこがいいですね。若作りのシーンは、よくないけど母親として出てくる現在の年齢のほうがずっときれいです。

トゥモローワールド 予告編を見た感じでは、CGばりばりで、奇跡的に生まれる赤ん坊を助ける超ヒーロー物。と思ったんですが、大間違い。近未来なのですが、なにやら病気がはやったり、世界的な紛争でもあったのか、まさに崩壊しそうなイギリス。イギリスが舞台になると、やや暗い内容になることが多いですが、そうなってしまいました。「子供が生まれなくなった」社会なのですが、そこに奇跡的に子供を身ごもった若い女。しかし、地下組織が自分たちの政治的要求のために、彼女を道具にしようとする。たまたま、巻き込まれた男が彼女を助けて、別の平和組織のところへ連れて行こうとする。ただ、全体として救いがないのですよ。どんどん人が殺されていく、生まれないどころか、減っていく。ラストも、未来があるのかどうかわからない。なんとも重いですね。

ワールドトレードセンター 見ようかどうしようか、迷いました。当日のニュースも見ているし、遠く離れた日本人でも、身近に被害にあった人がいたり、とにかく客観的に見られるかどうか自信がなかったのです。もうひとつ、乗客の奮闘で墜落した飛行機の映画もありましたが、あまりにもリアルなようだったので、こちらくらいは見ようと映画館に足を運びました。
結論的には、よかったですね。ニコラス・ケイジが出演していることで、一応、フィクションも多少はあってもいいなという気もしますし、閉じこめられた空間と、家族たちの動きがきちんと分けて描かれていたのも、わかりやすくてよかったですね。最後に出てくるのですが、助かったのはわずかに20名ほど、しかも助かった人も、大けがで、もう職場復帰はできなかったそうです。今日まで、影響が強く残る現実に、僕たちは大きな想像力を働かさないといけないのではないでしょうか。

出口のない海 太平洋戦争の末期を描く映画は今までにもたくさんありました。勇ましく散っていく男たちをテーマにしたもの。背後の国民生活を静かに描いたものなどいろいろです。そんな中で、この映画は、本当の意味の戦闘シーンはほとんどなく、静かに時間が流れていくものですね。海老蔵をはじめとする特攻隊委員も、とてもいい演技なのですが、監督には申し訳ないけど、僕は香川照之さんや田中実さんたち(潜水艦の乗組員)がとても印象に残りました。自分たちが運んでいく回天と若者たち。帰ることのない彼らをどう励まし、どう見送るのか。 実際、当時の大学生たちは、さすがに子供とは違って本気で「天皇陛下万歳」とは思っていなかったでしょうが、それでも家族や恋人のために国を守ると無理矢理考えて出撃したのではないでしょうか。最後の回天の事故は、本当に事故だったのか。いろいろと考えさせるラストです。

Xメン ファイナルデシジョン 今まで、1・2と見てきて、単なるコミック映画の枠を越えて、おもしろいなあと感じていたので、どういう完結編になるのかなと期待半分、不安半分で見に行きました。2で死んだはずのジーンが生き返るのは、なるほどなと思いました。1・2と見ていて、プロフェッサーのもっとも近い存在で、その能力を受け継いでいろのだろうなあとは想像がついたので、あのまま死ぬことはないですよね。もっとも、そのためにスコットがあっさり殺されるのはいただけませんね。あれだけの能力が、惚れた弱みでやられちゃうので。でも、とにかく完結編としては、なかなかよかったと思います。今、未来に対する希望が失われてきているときに、ミュータントと人間の共生を可能にしていきたいという願いが強く思えたからでした。

日本沈没 いやはや、一生の内に同じ内容の映画のリメークを見るとは思いませんでした。30数年前、小松左京の原作を読み、わくわくしながら映画館に足を運んだことを憶えています。当時は、主人公の小野寺を藤岡弘がやっていたことも憶えています。旧作では、政治家の暗闘や黒幕の存在、最新の潜水技術などが、かなり詳細に描かれていたことを憶えています。そのことが、作品全体をちょっとおおげさなものにしていたように思います。さて、今回は主人公が草g剛ということで、優しさが前面に出てきているし、相手役が柴崎コウで、役どころが男勝りという点で、やはり女性の地位向上がはっきりわかるかな。ただ、人間ドラマを中心に据えているからか、国際社会の中での日本という視点が、前作よりは弱いかなという感じがします。

M・I・V 前に2を見たときも、ここで書いたと思うのですが、やっぱり最初の作品がスパイ物としては優れていると思うのです。2にしても、この作品にしても、アクションはすごいし、CGもすごいのですが、緊迫感とか切迫感がいまひとつ感じられないのです。その点「ボーン・アイデンティティー」などのほうが、サスペンスやアクションがすばらしく、やや暗い全体像が、緊張感を高めていると思います。せっかく世界を股にかけるなら、各地の風景も上手に取り入れているともっとおもしろいかも。もし、4が作られるなら、日本を舞台にしてくれないかな。

ウルトラヴァイオレット こりゃまた劇画チックな作品。ミラ・ジョボビッチの抜群のスタイルを意識した場面がほとんど。ある意味、バイオ・ハザードの続編のような感覚ですね。「イーオン・フラックス」のところでも言ったのですが、やはり女優さんたちの間に、アクションがブームなんでしょうか。CGの発達もあって、それほど過酷な訓練をしなくてもよくなったのか、ダイエットにちょうどいいのか、わかりませんけどね。さて、内容は近未来の超能力をもつ人々とそうでない普通の人間との確執ということなんですが、まあ、漫画なのであまり深く考えずにアクションを楽しめばいいかな。

ダビンチ・コード あまりにも有名な同名小説の映画化。僕も、だいぶ前に原作は読んでいたので、すぐに映画になるだろうなと思ったし、誰が主役で、どんな表現になるのだろうかと楽しみにしていました。主演が、トム・ハンクスというのには多少びっくりしました。大学教授の設定ですから、アクション俳優ではないなあと思いますが、もう少しシャープな感じのほうがよかったかな。相手役のオドレイ・トトウは、なかなかイメージどおりでよかったですよ。ただ、込み入った作品だけに、全体に説明不足が目立つような気がします。原作を読んでいれば、自分で補足できますが、そうでないとあれっというつながりがわかりにくい場面があるのですよ。予告編に出てくる場面がカットされたりもしています。でも、全部完璧にやろうとしたら、3時間半くらいになりそうですね。

イーオン・フラックス シャーリーズ・セロンが張り切ってアクションに挑戦した、近未来を舞台とした作品。最近は、アカデミー主演女優賞を取ったような人でも、元気にアクションに取り組むことが多くなりましたね。演技派であっても、やっぱり気持ちいいのかな。さて、ストーリーはどこか「マトリックス」や「アイランド」を思い起こさせるものです。伝染病で、ほとんどの人類が死滅し、かろうじて開発された治療薬で助かった一握りの人々。隔離された世界で、治療薬の発明者の一族が支配する。しかし、人々の目には不安の色が・・・。と、語ったものの、あまりストーリーにこだわらず、ぼーっとして見てても何とか終わりまで見れそうです。ただ、結末は・・・、あまりすごいどんでん返しはありません。ケイト・ベッキンゼールの「アンダーワールド」のほうが不気味なぶん、おもしろいかな。



サウンド・オブ・サンダー 作品の出だしから、「タイムライン」と同じような、時間旅行ものと思ったのですが、こちらはもう時間旅行についてはとくに説明もなく、古代にお客を連れて行って恐竜狩りをやらせて金儲けするというのが前半です。どっちみち、金儲けをたくらむ社長が死ぬことになるようなあと見ていたのですが、後半は、お客の不注意から過去の物を現代に持って帰ってしまって地球全体が大パニックになるというもの。ここからは、とにかくご都合主義のオンパレード。「それはないよ」を連発したくなるのですが、なにしろアメリカ映画、力業で観客を納得(?)させて、結末までもっていきます。「タイムマシン」など時間旅行を忠実に考えた作品とは一線を画したほうがいいかも。けなしていますが、けっこう迫力はあっておもしろいですよ。

フライトプラン ジョディー=フォスター主演のパニックサスペンス物とでもいうのでしょうか。彼女は「パニックルーム」のときも、子供を守る強い母として活躍しましたが今回も、まさに母こそ強しを思わせる奮闘ぶりです。娘と一緒に飛行機に乗ったのに、途中で娘は行方不明に。さんざん探し回るが、みつからず乗員からは精神病あつかい。あげくに犯罪者扱いされて、踏んだり蹴ったり。しかし、娘が飛行機の窓に書いた絵を支えに反撃に出る。途中で犯人はわかるのですが、かなり怪しいと思った機長は、実はただの実直な人だったというのはある意味びっくり。しかし、子役の時から見ているジョディですが、本当に美しいお母さんですね。



県庁の星 「踊る・・・・」の延長で、織田裕二がでるフジテレビがらみの作品は、ついつい見に行ってしまいます。今回はさすがに刑事ではないので、大きな事件が起こったり、犯人が出たりするわけではない。でも、スーパーの日常がわりと丁寧に描かれていて好感がもてます。ただ、県庁のエリートの描き方がいかにもという感じで、僕ら公務員をよく知っている(教員は多少特殊ですが)者としては、ちょっとどうかなという感じもします。柴崎コウのパート従業員は、もうなんでもありということで。家の女性軍からは、「あんな美人のパートはいない!」とか、「パートが経営方針を考えるか!」など、ブーイングでしたが、まあ娯楽作品ですから、いいと思います。一番以外だったのは、女性知事役の酒井和歌子さん。相変わらずの美しさですが、けっこう知事役もはまっています(悪賢さもなかなかいい)。

博士の愛した数式 僕にとっては久しぶりの日本映画。邦画も見てみたいと思うものはいくつかあるのですが、どうしてもスクリーンで見ないと、と思わせる作品が少なくて何となく避けてしまっているのですが、今回ばかりは見に行きました。なぜかというと、僕は文系の大学に行ったものの、数学は大好きで、クラス通信でも、ときどきネタとして取り上げるほどなんです。とくに素数は好きで、そのなんとも割り切れないところがいいのです。この映画の原作は読んでいないので、予備知識なしに見たのですが、おもしろかったですね。交通事故の後遺症で、80分しか記憶が持たない数学者が主人公で、どういう風に表現するのかと思ったら、なかなか巧みです。寺尾聡もいいですし、深津絵理さんのなんとかわいいお母さんぶり。そして何より、浅丘ルリ子さんの存在感がすごい。ホラーかと思うくらいです。

ファンタスティック4 アメコミが原作の作品は、僕ももうたくさん見てきましたが、今回は最初から雰囲気がちょっと違う。もともと普通の人間が強烈な宇宙線を浴びて突然変異するという内容。しかも、それがすべて科学者とくれば、自分たちを実験材料にするのは目に見えているようなものです。難しいことは、カットしてとにかくジェシカ=アルバがきれいです。テレビシリーズ「ダーク=エンジェル」もすべて見て、すっかり彼女のファンの僕ですが、ずいぶん洗練されたなあという印象です。しかも、ちょっとヌードに近いシーンもあって、喜んじゃいました。この作品も続編が作られると思うので、期待して待ちたいと思います。

ステルス 予告編を見た段階では、「おおいつものパイロットものか」と思って、アメリカ映画お得意の、楽天的な映画かと思ってました。ところがどっこい、結構深い作品でした。人工知能で飛ぶ、無人ステルス戦闘機に、振り回されるエリートパイロットたち。しかも、この兵器開発に政治が絡んで儲け話の臭いもする。そして突如おこる緊急指令、人工知能は思わぬ行動をとって・・・・・。「アイ・ロボット」にも通じる、人工知能の人間化。つまり感情を持つようになるということなんですが、けっこう泣かせます。「なるほどこういう終わり方か」と思っていると、エンドクレジットの後に、意味深な映像が。必ず、最後まで見てください。

カーテンコール  待ってましたこの作品。なんと映画上映の前に、メイキングDVDが発売されるというおもしろいことも。メイキングも、とてもおもしろくて、佐々部監督がこの作品で、日本映画の黄金時代を懐かしむとともに、映画という物の人生に与える影響を伝えてくれているようです。  
さて、本編の内容ですが、現在のタウン誌編集者の女性が、ある投書から、かつて映画の幕間に芸を見せていた芸人について書こうと決意し、下関に向かうというもの。これから見る方もいらっしゃると思うので、あとは見ていただきたいと思います。
 ここでは、「チルソクの夏」に関わった話題を紹介しましょう。実は、この映画にはたくさんのエキストラが参加しているのですが、画面のあちこちに「チルソクの夏」に関わった人たちが参加しています。とくに映画館の観客として、主演の藤井隆くんのすぐ横に居る人。夏八木勲さんのすぐそばに居る人。映画館の前で浴衣姿の人、そして、僕は映画のフイルムが故障したときに、罵声を浴びせる観客として出ています。僕たちをご存じの方、是非画面を目を凝らしてご覧ください。

亡国のイージス 予告編を見ただけでは誰が主演かわからなかったのですが、真田広之でした。もう大きな子供がいる役なんですよ。最初テロリストと思われた青年が自分の部下なわけですが、その若者たちを指導する立場なんだからベテランの役ですけど。昔から見ている役者がどんどん年をとってくると、当たり前なのですが、自分も年をとっているのですね。さて、最初は誰が正義で誰が悪かよくわからないのですが、途中からのどんでん返しでようやく流れがわかります。ぼくは原作を読んでいないので、ところどころよくわからないのですが、今度読んでみようと思います。それにしても自衛隊はよっぽど協力したのでしょうね。大いに宣伝になることでしょう。ちょっと「沈黙の戦艦」に似てるかも。

宇宙戦争 トム=クルーズの主演、スピルバーグ監督となれば、これはもう売れるしかない映画ともいえるわけですが、とにかく怖い。子供向けにも作ってあるとは思いますが、半分はホラーといっても差し支えないと思います。ネタばれではありますが、ひたすら逃げまくるトム=クルーズ、かっこよくないのがリアルでおもしろい。息子がトムよりずっと背が高いのも当たり前。そして宇宙人ももちろん怖いが、人間も十分怖い。自分の娘を守るためなら他人を殺す。本当に怖いのは誰かという争いをしているようです。ただ、宇宙人が最後にあっけなく死んでいくので、あれっと思うことにもなります。なんか、人間がしっかり戦って勝ったという実感がないのが、少し不満かな。

サハラ ぼくの大好きなクライブ=カッスラーの「ダーク=ピット」シリーズを取り上げた作品。ぼくは、本でこのシリーズをほとんど読破しているので、どんな形で映画化されるかとても楽しみでした。このシリーズは基本的に海が舞台で、この作品はそんな中では数少なくアフリカの奥地が出てくるので(でも古代には海だったということ)、珍しい作品です。ピットに扮するマシュー=マコノヒーがいいですね。お坊ちゃん育ちだけど、気合いも十分、色気も十分で原作の味を出しています。相手役のペネロペ=クルスが、あんまり頭のいい役が似合わないのがたまにきずかな。原作を知っていなくても、十分楽しめますよ。悪役の一人に、「マトリックス=リローデッド」に出てくるフランス人役の人が出ています。

バットマン・ビギンズ これまでも何人もの俳優が演じたバットマン。僕自身は子供の頃テレビシリーズで見ていたので、どちらかというとユーモアあふれる番組でした。しかし映画版は、どれもけっこう暗くて、大人のテイストが充満しています。今回は、どうしてバットマンが誕生したかという物語。大富豪の息子が、その両親をささいな強盗事件の中で失い、自責の念にかられて成長するというもの。成長し、悪を滅ぼすためにバットマンに身をやつす彼が、けっこう弱かったりして、単純なヒーローものではありません。ただ、せっかく渡辺謙の出番を期待したのですが、わりとあっけなく死んでしまうので、もっと徹底的に主人公をいじめてくれるとよかったなあと思いました。

四日間の奇蹟 とうとう始まりました。我らが佐々部監督の期待の新作。昨年から「世界の中心で愛をさけぶ」や「いま会いに行きます」など、純愛物が続きましたが、これは決して二番煎じ、三番煎じではなく、まさに佐々部ワールド全開といった作品になっています。原作がベストセラーなだけに、映画がかなり内容が変わっていることに違和感をもたれる方もいるようです。また、主演の吉岡秀隆さんのファンの方からは、扱いが軽すぎるといった苦情も監督のホームページに寄せられているようです。  しかし、本来小説と映画は別物です。原作者が異を唱えれば別ですが、了承を得た上で別の脚色をするのはとくに問題はないと思います。なにしろ一種のファンタジーなのですから、細かい違いに拘泥するべきではないと思います。僕などは、人の心と体が入れ替わるという設定が出てきたときには思わず「転校生」(大林宣彦監督)を思い浮かべてしまいましたが、佐々部監督は、CGなどではなく直球勝負で表現をされていました。吉岡さんの抑えた演技は相変わらずすばらしいし、なにより石田ゆりこさんが、芯が強く同時にかわいい女性を演じていたのが印象に残ります。佐々部ファンならずとも是非見ていただきたい作品です。決してお世辞ではないですよ、佐々部監督(笑)。

交渉人 真下正義 「踊る大捜査線」のメンバーが悪のりして作ったのかなと、あまり期待せずに見に行ったのですが、おもしろかったですよ。ユースケ=サンタマリアが意外にも、しっかりした演技であまりくどくもなく、主役を張っていました。もちろん、お金も相当かかっているし、スタッフがいいからだとは思いますが、踊る・・の本編を見ていない人でも十分楽しめると思います。ただ、タイミングの問題で、地下鉄が大事故を起こしそうになるのですが、尼崎の事故と同じような光景が映画の中に出てきます。ちょっとぎょっとする瞬間でした。

ザ=インタープリター ニコール=キッドマンとショーン=ペンの共演となると、これは贅沢。どんな派手な展開になるかと思いきや、渋くて地味な内容。国連本部のシーンは実際に国連の許可をうけて撮影したそうで、大変な臨場感です。いつもはニュースで見るくらいで、とても広いのかと思っていましたが、実際はそうでもないようだし、ほんとにニューヨークの端っこに立っているのですね。さて、話はあるアフリカの独裁者が国連で自分の主張を話して自己弁護をしようとし、それをテロリストが襲うとの予告が。しかし、その秘密を聞いてしまった国連通訳の女性が巻き込まれて・・・。けっこう先が読めない展開ですが、あまり派手なアクションがあるわけではないので、サスペンス物と考えるのがいいかも。

コンスタンティン マトリックスで頂点を極めた感のあるキアヌ=リーブス。新たな境地を切り開くための作品でしょうね。内容は、キアヌ扮する悪魔払いが、実は病気で余命いくばくもない。しかも死ぬと地獄行き(なぜかは見てください)。そこでなんとか天国へ行けるように努力することになるのですが。正直、キリスト教の素養がないとあまりおもしろくありません。地獄の描き方も、原爆を落とされた広島などのほうがよっぽどひどいのにという感じです。もちろん、アクションはすごいし、見所もたくさんあるので見て損はないと思いますよ。レイチェル=ワイズがもう少し活躍するといいな。

ナショナル・トレジャー 「パイレーツオブ・カリビアン」に続いてディズニーが贈る作品。ということで、比較的お行儀のいい冒険者と思ったら、まさにその通り。ニコラス・ケイジが主演するので、きわどいシーンも期待しましたが、それも無理な話でした。ただ、お話そのものはよく出来ていて、テンプル騎士団・フリーメイソンと来ると、今はやりの「ダビンチ・コード」などにも通じるところが。やはり欧米人にはフリーメイソンの影は、気になるのでしょうね。問題点は、悪役があまり憎たらしくないところ。「パイレーツオブ・カリビアン」では、悪霊が出てくるので救われますが、現代劇では難しかったでしょうか。でも、子供と一緒に見るのはおすすめです。

ボーン・スプレマシー 第1作がけっこうおもしろかったし、最後にどうしても気になったことがあったので、続編を心待ちにしていました。続編としてもおもしろいし、これ単独で見ても、けっこうおもしろいですよ。マット=デイモンのエージェント役もだんだん凄みが出てくるし、なにより、ヨーロッパ諸都市の風景が美しくて、それだけでも見応えがあります。さて、気になったことですが、第1作で、頭が痛くなるとしきりに言っているのに、その原因がわからなかったわけで、今回その謎が解けてすっきりしました。さて、ボーンの本名がわかったことで、第3作の予告をしているようなものですね。

ターミナル いやはや、うまいですねトム=ハンクス。アカデミー2度受賞の名優ですから、当たり前といえば当たり前ですが、出だしのさえない東欧諸国人からばりっとかっこいい紳士に変身するところなど、感心して見ていました。歩き方から、そういった違いを表そうとしているのがよくわかります。また、最初英語がほとんどわからない設定で、少しづつ英語がうまくなっていくのも、無理なく見せてくれます。予告編を見ていると、キャサリン=ゼタ=ジョーンズと最後はうまくいくのかなと思っていたら、ちょっとはずされたりと、内容もおもしろい。久しぶりで、人が死なないほっとする、そしておもしろい映画を見せてもらいました。

コラテラル 大スター、トム・クルーズが珍しく悪役に挑んだ作品。徹底的に冷たい殺人犯を演じています。美人検事をたまたま乗せたタクシー運転手。この検事役が「マトリックス」のナイオビ船長役の女優さん。もうここから伏線ありまくりですが、サスペンスなのでこのくらいに。ストーリーはそれほど難しいわけではないのでいいのですが、なにより僕が心に響いたのは、殺し屋のクルーズが、善良だが自分の夢に踏み出せない運転手に言う言葉。「おまえは本当に夢を実現する気はあるのか、何か少しでもスタートさせようとしたのか」。僕自身も、果たしてほんとうに教員になりたかったのかどうか、根元的な疑問をもっているだけに胸が痛みます。殺し屋のせりふに頭を抱える僕は変でしょうか。

オールドボーイ シュリの犯人役チェ・ミンスク主演。前々から予告編を見ていましたので、楽しみに見てみました。ただ、不安だったのはR−15指定だったこと。韓国映画なのであまり過激なことはないだろうなとは思いました。見た感想ですが、これは人によって賛否両論、いろんな意見が出るだろうなということ。原作が日本の劇画だとは全然知りませんでしたが、内容はたしかに劇画調です。暴力につぐ暴力、セックス(ただしあっさり)。謎解きに至る過程の筋の粗さ。途中で結末は大体想像できてしまうのですが、でもたたみかけてくる迫力もすごくて、やっぱりおもしろい。僕がとくに印象に残った点がふたつ。一つは、監禁前のチェ・ミンスク。最初誰だかわからないくらいです。もうひとつは監禁を指示した犯人の言葉。「なぜ監禁したかを考えるより、なぜ解放したかを考えて見ろ。」

アイ・ロボット ウィル=スミス主演ということで、おちゃめな刑事の笑いあふれる作品かと思ったらさにあらず。彼がひたすらまじめなんですよ。ある事件が原因でロボット社会になじめない刑事、ところがひょんなことで殺人を犯したとされるロボットを調査することになり、大きな陰謀に巻き込まれていく。しかも、そのロボットは頭がいいだけでなく、感情も持ち合わせ始めたのだからこれは大変。さらに、ロボットを使って世界征服をねらう社長の思惑がからんで、展開は余談を許さない。いやおもしろい。予想をはるかに上回るおもしろさ。そして、見事な伏線があるんですが、これがまた「やられた」っていう感じでよかったです。ある人間の「しぐさ」なんですけどね。DVDが出たら、さっそく買ってゆっくり見直してみたいですね。

ヘル・ボーイ またまたアメリカンコミックからの登場。というわけではありませんが、いきなりナチスドイツの戦争末期が出てくるのにびっくり。ラスプーチンが出てくるのにまたびっくり。本来悪魔であるはずのヘル・ボーイが、正義の人として育てられていくというのがなんとも皮肉です。だからこそ、最後に悪魔をおびきよせるための道具にされそうになるのですが、そこは劇画ですから、なんとか地球の崩壊をくい止めることになります。それにしてもFBIは、忙しいですね。何から何までかかえて、たいへんな様子。ほかにも、ヘル・ボーイの恋人役が周りを燃やしてしまう能力を持っていたり、彼につきそうFBIの若手捜査官の優しさなど、なかなか細かく描かれていました。続編もありそう。

リディック ビン=ディーゼル主演の近未来歴史活劇。そう、スターウォーズにある意味似た映画です。ディーゼルは、例の「トリプルX」でのブレークで、いわゆるアクションスターの道を邁進していると思っていたのですが、ある意味はずされた感じの作品になっています。惑星間の戦争、大いなる信仰の拡大で勢力を握る王者など、スペースオペラの要素をすべてそろえています。僕はよく知らないのですが、どうやら前作があるらしく、監督も歴史シリーズとして作りたい意向のようで、終わり方が中途半端な感じがするのも、そのせいでしょうか。いずれにしても、ディーゼルの強さが押し出されて、悪役がかすんでしまっているのはご愛敬でしょうか。ただ、大型宇宙船や帝国の描写は映画館の大画面が似合います。

スパイダーマン2 1のほうも、女房と二人で見に行きましたので、これも引き続き二人で見に行きました。何しろ、アクション映画というより、青春恋愛映画というほうがふさわしい内容ですから。マトリックスなどにはほとんど関心を示さない女房が、何となく気になると言うことで見に行った結果ですので、その眼力に脱帽です。さて、2の内容ですが、これはもうあきらかにつなぎのような気がします。悪役になる学者が、けっして悪になりきれないし、あくまでも、本来の敵役となる主人公の友人が成長するまでのつなぎなのでしょう。もっとも、主人公の二人の恋の行方も心配でしたが、アメリカ的ハッピーエンドでほっとしました。おそらく彼女は、戦う女として成長していくのでしょう。3を今から待ちたいですね。

ブラザーフッド 朝鮮戦争を題材に、引き裂かれる親子兄弟の悲劇を描いた作品。僕たち40代の人間でも、朝鮮戦争自体が過去のものとなりつつあるなか、朝鮮の人たちにとって、まさに現在も続く苦難であるということが実感できます。ただ、朝鮮戦争の流れをいくらか事前に学習していないと、どういう展開なのか理解するのは日本人には難しいと思います。できれば、日本版では今の場所がどこなのかの地図が出たりすると親切かなと思います。いずれにしても、一般庶民が本当にひどい目にあったことが容易に想像できますし、戦争でいかに人間が変わっていくかということもわからせてくれます。

母に捧げるバラード 海援隊の大ヒット曲をモチーフに、武田鉄矢の自伝的な劇です。脇を固める松本じゅんさんとチルソクつながりで、お友達にしていただき、今回の博多座の公演に誘ってもらったのです。とにかく笑わせますね。武田鉄矢の半生は、いくつかの本でよく読んで知っているので、話としては目新しいわけではないのですが、昭和30年代の博多という懐かしさが、胸をしめつけます。あのころ、貧乏でも将来に不安を感じることなく、いつか上昇してやるという気持ちを多くの若者が持っていたように思います。テレビでは放送禁止になるような言葉もポンポン飛び出して、久しぶりですかっとする日でした。

デイアフタートゥモロー 迫り来る恐怖の嵐。台風の目の中にはいると、急速に温度が下がって、ついに人類の半分が凍り付いた。と、コマーシャルに出てくるフレーズですが、確かに迫力有る描写と役者の熱演で、なかなかの仕上がりになっていると思います。ただ、「ディープインパクト」や「アルマゲドン」などの終末ものに比べると、人間のお話の部分がちょっと弱いかなという気もします。おもしろかったのは、まず日本の描写。相変わらず国籍不明の日本人が登場します。どう見ても片言の日本語。携帯電話から流れてくる日本語はきれいなんですけど。ちゃんと日本人の役者を使えばいいのにと思ってしまいます。それと、大型ショッピングセンターの屋根がまるで、氷河の下の部分のように見えるところ。いかに危険な場所かがわかります。

シルミド 「ブラザーフッド」がやたら宣伝されていますが、地味ながらこちらのほうがしっかりした内容ではないかと思えるくらいの中身でした。60年代末の暗い時代、北朝鮮の特攻部隊が韓国大統領を暗殺しようとソウルに突入。危機感を抱いた韓国政府上層部が、死刑囚を中心とした特殊部隊を編成し金日成暗殺を計画する。 実話の映画化ということで、どちらかというとドキュメンタリータッチのものかと思ったのですが、なかなか人間ドラマとしてもよくできていると思います。南北対立の中で、翻弄される人々という構図は、ここのところ韓国映画の主流ですがなにしろ現在も、その状況が背景にあるだけに迫力有る描写になっていて納得させられるできです。

マトリックス・レボリューションズ すいません。もうかなり前の話題になってしまいますが、何かもうひとつ自分でも納得がいかない終わり方なので、そこを消化した段階でと思い、今回のレビューにしました。ネタばれですから、あまり詳しくは書きませんが、やはりキリスト教のバックボーンがない多くの日本人からすると、善悪2元論は難しいですね。しかも、大元ではこの二つがつながっている、つまりここでは東洋的な思想も入り込んでいる。また、パソコン用語がわからないと、何を言っているのか今一歩わからない。など、単純にCGやアクションを楽しむだけなら、素晴らしい作品なのですが。劇画に徹した1作目からすると、何かあまりにも壮大な世界観を追い求めているのではないかという気がして疲れます。「おもしろい!」とすかっと言えるといいのですが。でも、たぶんDVDは買ってしまうだろうなあ。

半落ち ベストセラーの映画化ということで、原作との比較や映画としてのできなど、あちこちのページでいろいろな意見が飛び交っています。ただ、僕は基本的に原作と映画は別物と思っているので、あくまで映画のおもしろさをお話しします。最初から犯人がわかっていて、その動機や背後にある謎に迫ることになるのですが、まず主演の寺尾聡がいいですね。せりふが極めて少ないのですが、その抑えた演技から、悲しみが痛烈に響いてきます。そして柴田恭平の抑えた演技。これがまたうまい。僕が初めて見るパターンですね。
介護と生活、夫婦とはなどいろいろな問題をつきつけてくる映画ですが、見た人それぞれが違った感慨をもってもいい映画なのだと思います。佐々部監督はまさに「人間を描く」のが信条なのだろうと思っています。

フォーンブース 80分ほどの短い作品。しかし、緊張感あふれる秀作です。売り出し中のコリン=ファレルがちょっとかっこつけたあんちゃんに扮して街を闊歩しています。ところが、翌日撤去されてしまう「電話ボックス(フォーンブース)」で鳴っている電話をとってみたところから大変な物語がはじまる。ネタばれではいけないので、ストーリーははぶきますが、これは手に汗握ります。冒頭で、アメリカ人の携帯電話の普及率などがナレーションで流れるのですが、実は日本ほど普及していないのです。案外、今でも電話ボックスが重要な役割を果たしているのがアメリカなのだと感心してしまいました。それにしても、場所がほとんど動かない映像なのに、とてもシャープな感じがするのがおもしろいですね。

ラストサムライ 外国人が描く日本のサムライ。今までも、「レッドサン」(古い!!)や「将軍」などを見ると、とても見るに耐えない作品が多かったので心配でした。しかし、これはとてもいい作品だと思います。もちろん、ところどころ変なところもありますが、それは僕らが年をとっているからわかることで、むしろ今の日本人のほうが変な理解をしてしまうかもしれません。そう思うほど「武士道」や「侍魂」が随所にあらわれます。日本人が忘れかけているものを思い出させてくれるようです。ニュージーランドでロケをしたようですが、日本の農村の風景もよくわかっています。映画のストーリーそのものにも泣けましたが、なにより悔しいのは、日本の監督さんでいくらでもこういういい作品がとれる人がいるはずなのに、お金がないばかりに充実した時代劇がとれないところです。テレビの時代劇もいいけれど、せっかく「たそがれ清兵衛」のような作品も出てきているので、誰か金を出してくれ。 それにしても、トム=クルーズは和服が似合います。

SSU 韓国映画で戦争がらみとなると、血なまぐさい描写がちょっとと思って見に行ったのですが、これが大違い。いわば、アメリカ映画の潜水部隊もの(たとえば「ザ・ダイバー」)と、「愛と青春の旅立ち」をミックスしたような内容です。幼なじみの男二人が、同じ海軍救難部隊に所属する。訓練中に出会った女性隊員に二人ともが恋をしてしまう。先輩格の男が引っ込み思案なのに対して、弟分の後輩は積極的にアタックする。その後、女性は昇進し、なんと二人の部隊の指揮官に就任。厳しい訓練の中、事故を起こした潜水艦を救出することに。救出には成功するものの、二人の男性隊員の空気チューブがからまり、どちらかが死ぬことに。意外なラストですが、そのときのセリフがなかなか憎い。おもしろい作品です。

トゥームレイダー2 1に続いて見て参りました。ご都合主義は相変わらずですが、設定がより広がって、元恋人との確執など人間を描く点ではいくらか深みのあるものになったようです。それにしても新兵器の多彩さと言ったら、007にも負けません。ぼくもいくつかほしいな。もっとも、その道具がかえって自らの身を危うくするとは。ゲームをさんざんやったぼくですが、映画もおもしろいですよ。アンジェリーナ・ジョリーも半端じゃなく体を鍛えているようだし。ただ、最近の映画の傾向として、中国を敵役にすることが多く、アメリカ人の中国に対する恐れのようなものを感じてしまいますね。

SWAT これも、「チャーリーズ・エンジェル」などと同じく、テレビシリーズがあって以前、放送されていました。ぼくの好きなシリーズのひとつで、テーマ曲が有名なのですが、実は映画の中で、SWATの隊員が口ずさんで笑うところが出てきます。アメリカ人も好きなんでしょうね。さて、主役はコリン・ファレル。同じ隊員の親友とけんか別れをしてしまう設定ですが、影の部分をもった若者として描かれます。ちょっと前に「デアデビル」で極悪人を演じていたので、あまりに対照的ですね。テレビ・シリーズと比べると、組織そのものよりも隊員の葛藤に中心がおかれているようですね。

踊る大捜査線2 あの大捜査線の2。さんざん予告を放送してますから、いやでも目立ちます。もともとのテレビシリーズも、全部ではないけれどけっこう面白く見ていましたし、前作もなかなか面白かったので、ほどほどの期待をして見ました。昨年家族旅行で東京に行き、ミーハー旅行でお台場にも行ったので、見慣れた風景がたくさん出てくるだけでもおもしろい。内容も、おふざけもありますが、警察内部の厳然とした差別や汚さを、軽やかに見せていきます。小6の息子と一緒に見ましたが、深津絵里が撃たれるところや、いかりや長助さんのせりふにこの息子が泣いていました。子どももほろりとさせる部分があるわけで、派手さばかりにとらわれなければけっこういい作品かも。

ターミネーター3 2まで見たからには、これも見るしかないでしょう。ということであれこれ考えずに、映画館へ。アクションも相変わらずすごい。年をとったシュワちゃんも体を鍛えて違和感のないようにしています。とにかく女ターミネーターの強いこと。考えてみれば、2の時のT1000も強かったわけで、さらに強くなるのは当たり前ですが、さすがに女という設定だけに、「女の武器」もちょっと使ってます。ただ、話の展開にやや無理があるかなという気がして、あれ、これで終わりなのという感じがぬぐえません。サラ=コナーは死んでしまったことになっているし。リンダ=ハミルトン懐かしいな。

2重スパイ 「シュリ」のハン=ソッキュ主演、今回は1980年代の韓国にさかのぼって、冷戦がいまだ大きな影を落としている時代をモチーフにしています。冒頭から、ソッキュ扮する北朝鮮の工作員がベルリンで亡命をはかるところが、とても緊迫感をもって見ました。冷戦のまさに最前線の東西ベルリン。街の中に国境線がある悲劇は、まさに朝鮮半島も共有する苦悩です。そして亡命後の、ほんとうに亡命者かどうかを試される拷問シーンの凄絶さは、おそらく当時、普通に行われていたに違いないぶん、本当に恐ろしさを感じました。ストーリーそのものは、日本人にとっては今ひとつわかりにくいところもありましたが、007などのスパイ物にくらべて、地味な情報部の日常などがリアルさを感じさせてくれた作品です。ただ、映画館には僕ともう一人だけ、映画以上に不気味な光景です。

マトリックス・リローデッド 小学校6年生の息子と二人で見に行きました。さすがに字幕版ではきついので、吹き替え版のほうでしたが、1作めと同じ声の人のようで、息子もあまり違和感なく楽しめたようです。さて、内容は相変わらずのばりばりCGで、作り物とはわかっていますが、その迫力にまいります。とくに高速道路でのカーチェイスがみどころ。今まで多くのアクション映画を見ていますが、やはり群を抜いていると思います。ただ、さすがに1作めほどのインパクトはないので、結局最後の3作目を見ないと全体像が見えて来ないようです。ちなみに、難解なやりとりが所々あり、小学生には難しかったかなという気がしています。

チルソクの夏 満を持して、この作品の紹介です。僕自身も何回か参加したことのある(それも女子監督)下関・釜山親善陸上競技大会。この大会を舞台に、日本人女子高生と韓国人男子高校生の淡い恋物語。時代は、1977年ごろ。その当時の高校生ということは、現在40歳くらいの人たちのお話です。監督の佐々部さんは地元の豊浦高校の出身で、妹さんが長府高校の陸上部だったことが、物語の下敷きになったとのこと。 2年前、ふらりと長府高校のグランドに来られた監督さん(当時はまだ助監督さん)に映画の構想を聞かせてもらって1時間くらい映画の話をさせてもらったことが懐かしく思い出されます。 さて、この二人の高校生の恋の行方を中心に、まわりを取り巻く友達や先生、そして主人公郁子の家族関係(なんと父親役は演歌の大御所山本譲二)など、さまざまなドラマが展開します。流れる音楽は70年代、ピンクレディーや山口百恵。懐かしすぎます。長府高校の実際のグランド・部室・中庭・教室・図書館が使われています。ロケ地めぐりにどうぞお越しください。エンドロールでは、最後のほうの協力者として、僕の名前も出てきます。ぜひ目を皿にしてください。

ボーン・アイデンティティー 知性派マット・デイモンが、はじめて見せる本格アクションもの。撃たれて海に流された男。漁船に助けられるが、記憶がまるでない。体に埋め込まれていたチップを手がかりに自分探しを始めるが、いつしか命をつけねらわれるようになり・・・・。話としてはありがちなスパイものなんです。記憶がないのに、何カ国語も話せたり、格闘の達人だったりと、「んなわけねえだろ」と突っ込みたくなる場面がいくつもあります。しかし、ヨーロッパの美しい風景や、共演の女優さんが、だんだん美人になってくるところなど、見所もあります。ただ、しょっちゅう頭痛がするといっていた原因が、結局わからずじまいで、やや不満が残ります。

K−19 ぼくの好きな潜水艦ものということで、テレビCMにもつられて見に行きました。第二次大戦後、1960年代はじめの、まさに冷戦まっただ中の世界。ソ連が、アメリカに負けじと作った原子力潜水艦が舞台です。なにしろ、初めて作った潜水艦ということで、軍部のお偉方が自分たちの見栄のために未完成のままで、任務に出発させるというところから、すでに事故の予感をさせます。新艦長のハリソン・フォードと旧艦長のリーアム・ニーソンの対立は見ていて、クリムゾンタイドのデンゼル・ワシントンとジーン・ハックマンの対立を思い起こさせます。最後に、老人となった二人が出てくるのですが、なるほどと思えるくらいメーキャップがうまいです。

マイノリティーリポート 「少数派の意見」ですが、見れば意味はすぐわかります。今から50年先、すべての個人情報が政府に握られている時代、3名の予知能力者によって、犯罪が未然に防がれるようになる。ところが、その犯罪予防局の主任が次の殺人事件を犯すと予知されて、無実を証明するため逃げ回る。文字にするとこういうことですが、じっくり見ないと意味がわからない部分もたくさん出てきます。途中で、ある程度悪いやつがわかるのですが・・・。もちろんタイムトラベル物にありがちな、「なんでこうなるの」という部分もありますが、まあそこは映画ということで目をつぶっていただきたい。主演の予防捜査官にトム=クルーズ、義理の父にマックス=フォン=シドー、監督はスピルバーグです。おもしろいけど、ちょっと重いかも。

トリプルX さんざん宣伝してましたから、とにかく見てみようと思っていきましたが、なにしろもう上映されはじめてかなり経つので、ちょっと古い話題ですみません。内容はなかなかいいですね。アクションはとにかく派手だし、主演のヴィン=ディーゼルの太く低い声も迫力があります。ただ、面白いのは、この手の映画としてはいわゆるきわどいシーンが少ないことです。相手役のスパイの女性が相当セクシーなわりに健康的な関係に終わっています。どうやら続編を意識したり、子供への配慮もあるのかなと感じました。ラストはどう見ても、「次回に続く」という感じです。なお、ちょっと前のヴィン=ディーゼルの作品をケーブルテレビでやっていましたが、かなり太っていました。この作品のために、相当体を絞ったんだろうな。

リターナー 金城武と鈴木杏の共演で、さてどんなアクション映画になるのかと思って見に行きました。金城武は、相変わらず日本語のセリフが今一歩ですが、マトリックスのキアヌ=リーブスよろしく、かっこよさで見せます。なにより、鈴木杏がいいですね。今までどのくらいの位置の女優さんなのかわかりませんでしたが、きびきびして十分アクション女優が(?)やれそうです。時空を越えるときのパラドックスは当然ありますが、そこは目をつぶって、これだけCGを使いながら、うそっぽいストーリーを押し切ったのはたいしたものだと思います。

トータルフィアーズ 原題は「すべての恐怖の総和」ということで、日本人の言語感覚とややずれます。ここのところ、出過ぎかなというベン=アフレックとモーガン=フリーマンの顔合わせ。ナチスの再興を夢見る残党が、米ロを核戦争で対決させて漁夫の利を得ようと言う内容です。ただ、核爆発の威力の描写が甘いのが、アメリカ映画の限界かなと感じさせます。核戦争の恐怖を語るなら、日本人がいるわけで、かつての日本映画「太陽を盗んだ男」(なんと沢田研二が主演)なんかは、映画としてはちゃちですが、核兵器の重大さを感じさせます。

マジェスティック ジム=キャリー主演のヒューマンドラマ。最近、すっかり演技派に転向したかに見えるジム=キャリーですが、この作品も、彼本来(?)の誠実な人柄が伝わります。第二次大戦後のいわゆる「赤狩り」の時代を描くのは、映画界では大変な勇気のいることだと思います。やはり時が流れたのだなあと実感しますね。なにしろあのチャップリンでさえ、ヨーロッパに追放されるくらい、狂気が吹き荒れたアメリカだったのです。いずれにしても、彼がとても映画が好きなんだということが、最初と最後のシーンでよくわかります。主人公の父親役のマーチン=ランドーも、悪役が多い人ですが、とても味わいある役柄でした。

スパイダーマン アメリカンコミックをおもしろおかしく取り上げた、はでなCG中心の映画かと思ったらさにあらず。これはもう、純愛映画の王道ですね。自分の愛する幼なじみの女の子に、気持ちを伝えられないさえない男の子が、実はスパイダーマンだった。なんて、ありがちすぎてどうしようもないですが、よく考えたらこれは漫画の映画化なのですからあたりまえですね。けなしているのではなく、本当におもしろかったです。おもしろいといえば、主人公の恋人役の女の子があまり美人に見えないこと。スタイルはグラマーで、いけいけギャルなのですが。とにかく、続編がすぐにもできるだろうなと思いました。

コラテラル・ダメージ 翻訳すると、「しょうがない犠牲」ということのようですが、この言葉がシュワちゃんを怒らせて復讐の道へのめり込ませるのですね。中南米のテロ組織とアメリカCIAとの対決という、よくある設定ですし、たしかシュワちゃんは「トゥルーライズ」でもおなじようなシチュエーションがあったような気がします。ただ、内容はそのときより暗いのと、テロリストにも一定の理解を示しているような場面もあり、昨年のニューヨークのテロ事件の直後では上映しにくかったのだろうとも思いました。

名探偵コナン 前にも言ったように、このシリーズは大人の鑑賞に十分堪えると思うのですが、今回はとくにその印象が強いのです。なにしろ、「日本をリセットする」というせりふの意味するところが、今の日本の二世が幅をきかす風潮に対する痛烈な皮肉になっているからです。見た目は平等な社会なのに、実際は厳然とした階層の差別があるということを、はしなくも提示しているわけです。子どもはこんな難しいことはわからない、と考えるのは大人の浅はかさでむしろ、本能的に嗅ぎ取っていると思うのは、僕だけでしょうか。

ソウル ここしばらく自分の中では韓国映画がブームになっているわけですが、そのついでというか、勢いでこの作品も見に行きました。ジャニーズ系のタレント長瀬智也の主演ですから、もっぱら彼がヒーローとして描かれるのはわかっていましたが、作品としては地道なものになっています。ただ、言葉の違いを強調するあまり、映画のテンポが少しのろくて、「シュリ」などを見ている者からすると、不満足な点があります。しかし、長瀬以外はほとんど韓国人俳優であるということを考えれば、それなりの評価ができるのではないかと思います。

ハリー・ポッターと賢者の石 子供と一緒に吹き替え版を見に行きました。中学生の娘は、原作を読んでいるので、比較するとあまりおもしろくないといっていましたが、僕は先入観がないので、とてもおもしろかったですね。主役の男の子が、すぐに大きくなってしまいそうなので、続編が早くも作られるのもうなづけますね。魔法も学校でしっかり勉強しないとうまくならないというのも笑えますが、悪役が死んではいないので、今後も次々と続編が出るのでしょうか。

ソードフィッシュ 「マトリックスを越えた映像。」という予告編の宣伝文句に誘われて見てみましたが、問題のシーンは冒頭の1カ所だけ。すごいのは確かですが、マトリックスを越えることはありません。ストーリーはよく練られていておもしろいのですが、それよりもヒュー・ジャックマンとジョン・トラボルタの掛け合いがとにかくおもしろく楽しめました。かなりきわどいシーンもあるので家族で楽しむことにはなりませんが、またビデオででも見て、謎解きを納得しながらゆっくり鑑賞してみたい作品です。

トゥームレイダー この作品については、なんといってもゲームのことを話さなければなりません。なにしろ僕は、ゲームの第一作から第5作まで、全部プレーしたことのある、フリークなのです。主役のララにアンジェリーナ=ジョリーというのは、見る前は不安でしたが、いやなにしろすごいアクションで、これなら大丈夫という感じでした。話の内容は、いわゆる考古学系のアドベンチャー物で、「ハムナプトラ」などにも通じるものだといえます。映画を見てから、一度ゲームをやることもお勧めします。コンビニで売っているやつでも十分です。

A.I ロボット物といえば、先日の「アンドリュー・・・」がありますが、今回も、人間になろうとするロボットのお話ということになります。あいかわらず、オスメント君の演技は絶品ですが、セックスロボット役のジュード=ロウもなかなか、哀しいロボットの運命をかかえて、見せます。途中で出てくる、風俗都市は、入り口のトンネルからして、大変卑猥で、子供と一緒に見に行ったのですが、けっこう汗が出ました。これはあきらかにスピルバーグのいたずらだし、また、人間らしくあるには実はセックスが重要な役割を果たしているというメッセージなのかもしれません。ただ、映画の最後の方は蛇足かな。

JSA 韓国で「シュリ」よりもヒットしたというので、見に行ってみました。「シュリ」で、主人公の友人の情報部員だったソン・ガンホが、北朝鮮の国境警備隊員として、重要な役割を果たします。内容はもちろん重く、そしておもしろいのですが南北両国のおかれた状況をかなり正確に把握していないと、難しいかも知れません。銃撃事件の捜査のために派遣される女性監視官の役割が、ちょっとわかりにくいかな。板門店には、今年の正月、行くことができなかったので残念ですね。

ハムナプトラ2 待ってましたとばかりに、映画館に飛んでいきました。前作を、あまり期待せずに見に行ってたいへんおもしろかったので、続編もそこそこの期待をもって見に行きました。期待に違わず、今回もおもしろい。何しろ時代はいちおう1930年代ということで、飛行機ではなく飛行船が主役というのが笑わせますが、インディージョーンズとはまた違った面白さがあって納得です。もっとも悪役の強さが今一歩なので、その点での迫力は前回より落ちますが。

スターリングラード かつてのソ連映画「スターリングラード攻防戦」を期待しながら見たのですが、全然違っていました。アメリカ映画ですから、ソ連を美化するわけはないのですが、逆に真に迫っているような気もします。とにかく、スターリンもヒトラーと同じように国民の命など羽よりも軽いと思っていた人物ですから、当然といえば当然の内容です。ただ、主演女優があの{ハムナプトラ}のレイチェル=ワイズというだけでも楽しいですね。おまけに、彼女のまっしろなお尻も拝むことができます。最高ですね。

アンブレイカブル 「シックスセンス」のシャマラン監督とブルース=ウィリスが組んだ映画ということで、これまた大どんでん返しがあるのかなと期待して見に行きました。入場券売り場では、「終わるまで見ないでください」と大げさにパンフレットを渡されました。なかなか期待通りというわけにはいかず、重苦しい雰囲気が漂いました。もちろんおもしろいけれど、やはり「シックスセンス」が良すぎましたね。むしろ、サミュエル=L=ジャクソンの怪演が目立ちました。また、監督がワンシーン出てます。

アートオブウォー 題名の「アートオブウォー」は、どうも中国の「孫子の兵法」のことのようで、映画のあちこちにその格言が出てきます。ゲームの三国志などをやっている人なら、「あるある」という感じになると思います。さて、ウェズリー=スナイプスですが、ここのところヒーローとしての活躍が多いのですが、僕としては、「デモリションマン」のときの極悪人のほうが楽しく見られたような気がして、彼の悪役をまた見てみたいものです。また、相手役の中国人女性ですが、名前がよく覚えることができませんでしたが、それほど美人とは思えないのですが(中国の女優さんはすごみのある美人が多い)、何か雰囲気をもっている人でした。ほかの映画にも出ているのかな。

バーティカル=リミット 予告編で見た迫力通りの映像で、とにかく規模に圧倒される映画です。ただ、ベースキャンプの様子などが、いかにも現代風大型登山隊の実状を皮肉っているようです。とかくアメリカ人は、世界のどこでも快適な生活を追い求めますが、世界最高峰に登るときでも、贅沢な装備、圧倒的な物量でぶつかっていくのでしょうね。日本も似たようなもんですが。ただ、どうころんでも、自然には勝てないよと、実感もします。

6デイ 久しぶりにシュワちゃんの本格アクションを見ました。クローン人間という、ほんとに近未来にありそうな設定です。しかし、題材が重いせいかよく考えてみると暗い内容であったと思います。クローンのほうが本物のことを考えて、犠牲になろうとするところなど、単純に長生きしたり生まれ変わればいいのかという疑問を突きつけてくるような内容だろうと思います。前に見た「アンドリューNDR114」なんかと比較すると、これからの高齢社会に向けた人間の生き方もほの見えてくるような気がします。

チャーリーズエンジェル いやとにかく練習したんだろうなあ。思わずアクションシーンでうなってしまいました。もちろんCGを使っているわけですが、マトリックスでも役者が相当な訓練を積んでいたわけで、今回の女性軍も気合い十分という感じでした。僕自身は、かつてのテレビシリーズもずっと見ていたので、それと比べると、高級感にやや欠けるかなという気がしないでもないです。が、それもやはり、いわゆるお姉さまだったテレビに比べて、より元気あふれる現代っ子というのがあるからでしょうね。それにしても、あの日本観はどうでしょう。おもしろいといえばおもしろいですが、ちょっと悪のりしすぎかも。でも、本当のところ、ドリュー=バリモアの元気さに驚きます。

インビジブル 小さい頃「透明人間」のTVシリーズをやっていて、毎週楽しみにみていたものですが、そののんびりした雰囲気とはまったく違う作品。透明になっていく過程のグロテスクなこと。いかにも、残酷好みのバーホーベン監督らしい。人間、透明になると何がしたいか、という欲望をそのまま表しているのもおもしろいですね。ようするにエッチということですが、全編に残酷さが充満している中ではほっとします。エリザベス=シューのがんばりがすごいですね。

Xメン アメリカの劇画コミックの映画化ということで、バットマンあたりと同じ雰囲気が漂うのかと思いましたが、意外と暗い内容。普通の人間と違う能力を持つミュータント。しかし、このような能力は人間社会からは疎まれて迫害をうけることになる。この人間の身勝手さにたいして、人間と戦うのか、理解を深めて共存するのか。ぼくは、むしろかつての日本のアニメ「妖怪人間ベム」を思い出します。人間になりたくて、人間を助け、常に人間のがわに立つ彼らを気味悪がって遠ざけようとする人々。子供心にもかわいそうなアニメでした。さて、このXメン、当然2や3が作られそうです。そこからが本格的におもしろくなりそうです。

ホワイトアウト 上映前からテレビでCMも流れていたので、知っている人も多いと思います。とにかく、雪山の白さ、壮絶さに圧倒されます。主演の織田裕次は相変わらずの名演技(?)ですが、体を張ってやっているという緊張感が伝わってきます。松嶋菜々子は、今回はちょっと存在感が薄くて、損をしている感じですね。  それにしても、ダムもすごい。じつは、登場するのは黒部第4ダムですが、僕はこのダムに3回も行っているので、とても懐かしかったし、あの大きさを実感しているので、感激しましたね。

パーフェクト=ストーム 度肝を抜くCG。実話に基づく、悲劇。数週間前にテレビの「世界丸見え」で、特集を組んでいたハリケーンの話なので、筋はよくわかっていましたので、とにかくおもしろく見ました。ただ感激したのは、後半の嵐との戦いよりも、漁師たちの日常の生活ぶりのほうでした。細かいところまで丁寧に観察したのだろうなという場面が随所にありましたし、またジョージ=クルーニーが言っていた、「まだ犠牲者の遺族のことを考える段階」という言葉が胸に迫りました。

ミッションインポシブル2 気合いを入れて、封切り当日朝一番に行きました。以前、アルマゲドンを見ようとして、入り口の行列の多さに行くのをやめたことがありましたが、今回は前日に席を予約して万全の態勢でした。さて、映画そのものはもちろんいいできで、いかにもジョン=ウー監督という感じがしました。ただ、1の続編と思うとまったく違う映画だと考えた方がよく、ともかくトム=クルーズのかっこよさを前面に打ち出した作品でした。ただ、できれば仲間との連携という場面がもっと多いと、スパイ物の感じがよく出たと思いますけどね。

アンドリューNDR114 子供と一緒に見に行くつもりが日程が合わずに一人で行きましたが、この映画は子供向けではないですね。相変わらずのロビン・ウィリアムスの演技で笑わせるものの、人間の生と死や人生の流れ、生き様、哲学的なことを柔らかくわからせてくれる、大人のための童話のような作品でした。原題が「200年生きた男」。そこには、年老いて死ぬことこそ人間の幸せであるという思いを強くしました。

名探偵コナン 小学生の子供を連れて見に行きました。朝9時に始まるというので、8時30分ごろ行くともう映画館の前に行列ですごい。内容のほうも、アニメなので多少の無理はあるもののとてもおもしろい。「need not to know」なんていう言葉を小学生が覚えてしまうので、とにかくかっこいいですね。ぼくも今は毎週月曜日のテレビをついついこどもと一緒に見るようになってしまいました。(笑)

ワールド・イズ・ノット・イナフ そろそろ疲れてきたか007。と思えるように、やや作品にきれがないかなと思わせます。予告では悪役の男が「すごそう」と思えるのですが、これが全然たいしたことなし。これにたいしてソフィー=マルソーの貫禄あること。「ブレイブ=ハート」でも重厚な演技を見せましたが、今回もすごみのある悪役ぶりで、これから作品に恵まれるだろうなと感じさせられます。子役時代から見てますから感慨もひとしおです。

シュリ アクション映画としては、そこらへんのこけおどしのハリウッド作品よりはるかに質の高い作品。なにより「おもしろい」もちろん、南北朝鮮の複雑な政治的背景を描いているが、それをくどくど説明するのでなく、緊張感のある映像と、比較的な寡黙な俳優の演技で見せてくれます。ラブロマンスについては、ちょっと見てる方が照れるかな。でも、この映画を日本の若者が多く見てくれることで、なにかしらの前進はあると思います。

シックス・センス ちょっと反則と思わせるラスト。最初に、「この映画の秘密は他人に話さないでください」と出てくるのだけれど、雑誌のあらすじなどを読んでいる者としては、「だまされた」というのが正直な感想です。もっとも作品そのものは、とってもおもしろいですよ。リピーターが結構いるというのもうかがえます。子役が大人を食うのはいつものことですが、今回もいいですね。あまりかわいくない(?)ところも真に迫っていいですね。それにしても、途中であちこちに伏線があるのだなあと感心しました。

ディープ=ブルー 「ジョーズ」以来のさめ映画の傑作。といううたい文句にひかれて、見に行ってきました。しかし、監督がレニー=ハーリンだけに、かなり血が吹き出るだろうなあと予想はしていたものの、なかなかハードな内容でした。アルツハイマー病を直すのに、鮫の脳を使うという設定にはやや無理がありますが、とりあえず鮫の動きそのものはジョーズに比べてずいぶんリアルになっていると思いました。とにかくサミュエル=L=ジャクソン以外の俳優さんはあまりよく知らない人が多くて、自分の研究不足ですね。ラストは結構意外です。

マトリックス 役者はA級、SFXもA級、しかし話はB級大作という感じです。けなしているのではありません。おもしろい!!アメリカではリピーターが後を絶たないというのもうなずけます。途中、予言・救世主とキリスト教世界特有の色合いも見えますが、あとできちんと(?)つじつまを合わせてあるので、まあいいことにしましょう。それにしても、やはりキアヌ=リーブスはアクションが似合いますね。若いんだから、演技派に転向なんてことをしないで目一杯やってほしい。

スターウォーズ・エピソード1 待ちに待ったというほどではありませんが、やはりこの夏は、これを見逃すわけにはいかないぞということで、ただし、子供づれなので、吹き替え版を見にいきました。子供に聞くと、転換が早くてよくストーリーがわからないという感想をもらしていました。たしかに、以前のシリーズを見ているのでないと、さかのぼってストーリーを考えるのは難しいでしょうね。アナキン=スカイウォーカーのこれからに想いをはせるしかないな。

ハムナプトラ スターウォーズと同じCG集団が、SFXを担当した作品です。問題は題名。原題はそのまま直訳すると「ミイラ」 これでは、ホラー映画と思われると考えたのでしょう、邦題は、死者の都「ハムナプトラ」からとって、いかにも古代エジプトの考古学物という趣向。まあ「ミイラ」では、お客が入らないでしょうね。さて、内容ですが、とにかくおもしろい。2時間10分の長さを感じさせません。主人公をやっているブレンダン=フレイザーは、お笑いの堀部に似ていますが、人気が爆発するでしょう。

ソルジャー しゃべりません。カート=ラッセルが。1時間30分くらいの上映時間の中で、せりふが両手の指で数えられるくらいです。それにしても、B級映画の傑作でしょう。生まれたときから兵士として育てられた、人間兵器の主人公が、やがて新しく作られた人間兵器にとってかわられる。あの「T2」の旧式ターミネーターと新式の対決を思い出させる展開ですが、こちらの場合は旧式が強すぎです。「スターゲイト」のなごりもあるような。「沈黙の戦艦」に副長役で出ていた、ゲイリー=シニーズが、いい役か悪い役かわからない役どころです。

ペイ・バック 「金返せ!」、日本語に訳しても傑作な題名ですが、内容もその通り、とにかく単純に自分の分け前を返せという悪党の論理が貫かれています。メル=ギブソンが、楽しそうに悪党を演じてさわやか(?)です。予告で見た派手な場面はまさに、あれだけで、実際地味なハードボイルドに徹した作品でした。それにしても、幹部役のジェームス=コバーン、クリス=クリストファーソンは、ちょっと格落ちのような感じですね。

プラクティカル・マジック 久しぶりに女房とふたりで見に行った作品。いつもは、僕の好みのアクション物やパニック物で、あまり積極的についてこないのですが、サンドラ=ブロックとニコール=キッドマンが共演するので是非見たいということで、僕のほうが、お供をしました。内容は、男に死をもたらす定めを負った魔女というのが二人の設定で、これに実際に男が絡んで、トラブル発生ということです。ただ、どうも日本人からすると、「魔女」という存在が、まじめにはとれないところがあって、キリスト教圏の映画だなあというの感想ですね。

エネミー=オブ=アメリカ 最近すっかり、アメリカ政府の裏側に関係するようになったウィル=スミス主演。彼の、弁護士役も案外似合っていて、悪徳弁護士をじっくりやらせてみてもいいかなというできばえです。ただ、今はちょうどコソボ紛争に対する、NATO軍の誤爆が続いていて、この映画のように本当に正確に衛星から地上が把握できるのかどうか疑問が残ります。よく言われるように、事実のほうがフィクションよりおもしろいと、フィクションはちょっとつらいかなという感じですね。

スネークアイズ またまた昭和館です。大きな映画館ではありませんが、音響を良くしていますので、まずまずくつろいで見ることができます。さて、映画のほうは、宣伝文句どおり、最初の13分間、フィルムを回しっぱなしで、緊張感にあふれています。あとから、それぞれの場面がフラッシュバックするわけですが、よくつじつまがあっています。さて最後の最後、ロールが終わったところで、柱が大写しになるのですが、そこに埋まっているものがなにかよくわかりません。ここに、何か大きな秘密があるようで、どなたかわかったかた、教えていただけませんか。

ラッシュアワー久しぶりの昭和館です。それにしても、このごろ映画人口が増えているのを実感するような気がします。この映画を土曜日の1回目に見ましたが、2回目を待つお客さんが結構多いのです。作品は、さすがにハリウッドものということで豪華ですが、ジャッキー=チェンのアクションが抑え気味で、ちょっと残念でした。ただ、クリス=タッカーとのコンビはまずまずで、できれば続編を作ってほしいですね。

アルマゲドン やっと25日に見てきました。平日に何とか時間を作って見に行ったわけですが、それでも結構人が多かったですね。さて、内容は基本的にはディープインパクトにそっくり。ただ、主演がブルース=ウィリスですから派手さはずいぶん上ですね。ディープインパクトがおしゃれなポップスだとすると、アルマゲドンは演歌の世界ですね。泣かせどころがうまい。

ロストインスペース 13日の日曜日に見に行って来ました。実は、アルマゲドンを見ようと思ったのですが、映画館の前で大行列ができていて、これはいかんということで、方針変更しました。60年代のテレビドラマ「宇宙家族ロビンソン」が下敷きの作品ということですが、ぼくは、実際にその番組を見ていたので、なんか家族というところだけが一緒で、まったくの別物という気がします。テレビではフライデーとよんでいたロボットも「フレンディー」となっていますが、字幕にそうでてくるだけで英語を聞いていると「何とかロボット」と言っているだけです。勝手に日本で名前をつけてもいいのかなと心配しています。

プライベートライアン これはもう見に行かれた方も多いと思います。最近になく、重い戦争映画です。連合軍のノルマンディー上陸作戦を描いた映画としてはなんといっても「史上最大の作戦」がありますが、このときは、オールスターキャストの明るいものだったことを憶えています。今回の作品は、その作戦の裏といいますか、その最中のエピソードということになるのでしょう。ストーリーはとくに申しませんが、戦争という大きな流れのなかにある人間がその戦争とどう向き合おうとしているのかを考えさせられる映画です。冒頭の戦闘シーンはとにかく息をのむしかありません。

ディープ・インパクトとても悲しい思いをしたパニック映画でした。通常こういう映画を見ると、必ずアメリカが舞台でアメリカ人が被害にあうとか、くだらないことを考えるのですが、今回は親になった者として考えるところがずいぶんありました。つまり、隕石がとんできて、多くの人が助からないとき、ぼくも映画の中の親と同じように、子供を救って代わりに自分が犠牲になるなどと考えてしまったのです。実は、自己犠牲の精神はもはや日本人は失って、アメリカ人に教えられることになってしまったのでしょうか。

リーサルウェポン4 またもや忙しくて、ようやく2ヶ月ぶりに映画館に行きました。まだまだ地方の映画館でもタイタニックは盛況で、席は予約でいっぱいです。さて、「4」ですが、「身代金」でも共演した、メル=ギブソンとレネ=ルッソが「3」に続いて恋人同士ということで、なんかすっかりコンビが板についた感じ。「3」で最後に引退を撤回したダニー=グローバーも健在ですっかり漫才を見せられているようです。ともかく理屈抜きにおもしろく、そして、そろそろこのシリーズも終わりかなとあちこちで思わせぶりなシーンがあります。でも、40すぎてあのアクションはつらいかな。(今年40の筆者)。

スターシップ=トゥルーパーズ 転勤があったため4月・5月は忙しくて、ようやく2ヶ月ぶりに映画館に行きました。まだまだタイタニックは盛況ですが、ここはひとつSF物でもと、シネシティ有楽へ行きました。いあや見ました、バーボーベン監督といえば、「トータル=リコール」でも、かなりどぎつい描写をしてくれましたが、今回もすごい。この映画を見ながら何か食べると吐きそうになるくらい、血はとび首はとび、脳味噌は吸われと、やりたいほうだい。基本的に若者が自立していく「愛と青春の旅立ち」のような内容なのですが、自立する過程がすさまじいということでしょうか。人間の残虐性についても、皮肉っている感じがしますね。笑うのは、「放送禁止」の文字が出る場面。見に行って確かめて見てください。

フェイス=オフ 見に行ったのが、3月25日。前日にアカデミー賞の発表があったのと、北九州市の映画館が女性1000円の日だったため、珍しくどこの映画館も大入りでした。ほんとうは、「グッドウィル・ハンティング」を見ようと思っていたのですがロビン=ウィリアムズが助演男優賞をとったためか、映画館に入れず、急いでこちらにしました。

それにしても序盤からアクションの連続で、香港映画ののりはさすがウー監督です。ニコラス=ケイジとジョン=トラボルタを入れ替えるという無茶も、まあいいかと思わせるスリリングな内容でした。ケイジは「コン=エアー」・「ロック」と、すっかりアクション俳優路線ですね。

コップランド「男くさい映画」です。スタローンにデ=ニーロと、意外な組み合わせながら、ふたりとも抑えた演技で見せてくれます。とくに、スタローンは風采のあがらない、田舎保安官を好演。これまで、アクション物以外ではなかなかこれといいたいい作品がなかったのですが、今回はほんとうに渋いです。作品そのものも地味ですが、拾い物の作品ではないでしょうか。なお、TV「シカゴ=ホープ」に出ている若い医者の俳優(名前がわからない)が、けっこう重要な役割で出ています。悪役のひとりは、あの「ターミネーター2」の敵役の人ではないでしょうか。

セブンイヤーズ・イン・チベットここのところ、「12モンキーズ」や「セブン」で切れた役や、汚れ役をやって演技派になってきたブラッド=ピットが、久しぶりにさわやかな表情を見せてくれました。もちろんこの映画でも、さわやかさだけでなく、人間の悲哀を感じさせる厚い演技をみせてくれます。東京国際映画祭の時に、この映画が中国政府を刺激したと問題になっていましたが、実際にみて、なるほどなとうなずけるところがあります。中国が、チベットを武力支配したのは周知の事実で、いまさらという感じもしますが、中国政府はこの問題に触れられるのがよほどいやなんだろうな。

ただ、うらやましいのは、アメリカ映画が、こういうかなり高度に政治的な内容を、説教臭くならず、おもしろくみせてくれるところです。日本映画でも、いい作品はありますが、どうしても政治家のそっくりさんがやってるだけになりがちなんですね。

MIB遅ればせながら、見に行ってきました。久しぶりにSY文化です。ここも座席をなんとかすれば、もっと人がはいるのになあ。前置きが長いのは、作品がほどほどの証拠です。トミー=リー=ジョーンズとウィル=スミスを使いながら、ちょっと期待はずれかなという感じです。今度、ビデオで細部を詰めていけば、おもしろいところがあるかな。

ピースメーカードリームワークスが満を持して放つ第一弾。とおおげさに構えなくてもいいけど、とにかくおもしろい。ジョージ・クルーニーは、どうしてもテレビドラマ「ER」の医者のイメージが抜けないが、なんとか軍人の味を出しています。しかし、驚いたのは、ニコール・キッドマン。どうしても、トム・クルーズの女房としての見方しかできなくて、女優としてはどうかなと思っていましたが、なんとも迫力ある演技でした。旦那と組んで、「ミッション・インポッシブル2」なんていうのもいいんじゃないでしょうか。





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