重症筋無力症の症状

神戸難病団体連絡協議会=ヘルスノート=より引用

眼筋型(眼症状)
最初の症状は“眼”に現れることが多く「瞼が下がって開かない(眼瞼下垂)」「物が二重に見える(複視)」「左右の目の焦点が合わない(斜視)」などが現れたりします。重症筋無力症には、このような眼の症状のみにとどまるタイプがあり、これを眼筋型と言います。
 「目つきが悪い」と言われたり、「疲れかなぁ」とか「気のせい?」と過ごしているうちに症状がはっきり出てきます。

球麻痺型(球症状)
眼の症状が現れたあと「しゃべりにくい・鼻声になる(構音障害)」「かたい食べ物が噛めない。味噌汁が飲み込みにくい(嚥下障害)」などの球麻痺症状が現れる場合があります。これを球麻痺型(球症状)と言います。
 (球は延髄球のことで、脳の最下部にあり、脊髄の上に続く部分。太く膨れているので球ともいう。口や舌などの運動を司どる神経が集まっている)
 球麻痺症状のために、せっかくの御馳走が食べられなくて、つらい思いをした人は少なくありません。

全身型
眼の症状と球麻痺症状が現れ、さらに症状が全身に広がってくると、手足の筋肉の力が弱くなって「持ったものを落とす」「字が書けなくなる」「洗濯物が干せない」「顔を洗えない」「立てない」「歩けない」など、日常生活が困難になります。これらの症状を全身型と言います。
 全身型では、発病初期の頃は急激に症状が悪化し、呼吸筋の麻痺を起こし呼吸困難になることがあります。これをクリーゼ(急性増悪)と呼んでいます。クリーゼが起こる前に、できるだけ早く医師にかかる必要があります。
 日内変動があり、日により時間により症状の変動が現われます。そのために、時には「なまけ病」と誤解されることもあります。

症状には個人差が・・・
重症筋無力症では、弱くなる筋肉の場所は目の回り、口の回り、肩の回り、腕、腰、足など、人によって大きく異なるという特徴があります。
 また、症状の程度も人によって違いがあります。「眼球を動かす筋肉の力が弱くて物が二重に見えている」「斜視が残っている」「瞼が開かなくなっている」「顎の力が弱くてしゃべりにくい」「舌が動きにくい」「手足の力が弱い」など後遺症として長い間障害が残って苦労されている方もいます。後遺症も人によって様々です。

わが国の統計
MGの有病率は人口10万人に対し 2.5〜5人で、男女比は2対3である。発病年齢は一定しないが、20〜30歳台の女性に発病することが多い。男性は30〜50歳台を中心にした緩やか分布で、これは胸線腫合併症の分布とよく合致している。さらにわが国の統計では男女差のない幼児眼筋型の山のあることが明らかになっている。家族性重症筋無力症はまれである。(『現代難病事典』P4より引用)
 全国の特定疾患の受給者数はおよそ8千人です。申請していない人もかなりあるので、全国の患者数は正確には分かりません。


重症筋無力症の原因

神経末端部のしくみについて
神経末端部では、神経と筋肉はつながっているのではなく、隙間があります。脳からの命令はこの隙間を橋渡しされます。大脳から送られた運動伝達物質(アセチルコリン)は神経から放出され、それを筋肉側にあるアセチルコリン受容体(アセチルコリンレセプター)が受け取ります。すると筋肉が収縮します。
 筋肉が縮んだままではこまりますので、これを元に戻す働きがあります。この隙間にはコリンエステラーゼという酵素があり、アセチルコリンを壊します。すると脳からの命令が消えて、筋肉の収縮が元に戻ります。こうして私たちはなめらかに筋肉を動かしています。

筋無力症は自己免疫性疾患
私たちの体には、ウイルスなどが入って来た時に抗体を作ってそれをやっつける免疫という能力があります。例えばインフルエンザにかかった時にはインフルエンザウイルスに抵抗する抗体を作ってインフルエンザを治します。
重症筋無力症では、この免疫の働きが何かの原因で故障し、間違った抗体を作る命令を出します。その命令によりリンパ節で抗体を作ります。この抗体が自分の体の一部(アセチルコリン受容体)を攻撃し、病気を起こしています。
 この「間違った抗体を作る命令を出す」のは胸線の中で起きていると考えられていますが、詳しいことは明らかになっていません。

原因は間違った抗体

重症筋無力症患者では、間違って出された命令によってリンパ節で作られた抗体(抗アセチルコリン受容体抗体)が、アセチルコリン受容体についてしまいます。体の中にはこの抗体を壊すものはないので、自然に壊れるまでついたままです。すると次の現象が起きます。

  • アセチルコリン受容体に抗体がついているために、アセチルコリンを受け取ることができない。(脳からの運動の命令が届かない)
  • 抗体がついていると、アセチルコリン受容体が壊れてしまう。(脳からの命令を受け取るものがなくなる)
  • 胸腺と関係ある筋無力症
    胎児期や幼児期には、免疫の働きは未熟です。胸線は抗体を作ったり、抗体を教育したりなど免疫機構の発達に重要な役割をもっています。成長と共に免疫機構が発達し大人になると、胸線は脂肪組織にかわっていきます。
     重症筋無力症患者の胸線には、免疫異常すなわち「間違った抗体を作れ」という命令を出すT細胞があることが病気の原因の一つと考えられています。このような理由から成人で症状が中等度以上であれば、胸線を摘出する意味があると言えます。

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