※ コピープロテクト ※              目次

  12/08/28


概  要
 ほとんど全てのゲームは、違法に複製されないようにコピープロテクトを掛けて販売されている。プロテクトの方式はゲームの販売会社が自社開発するのではなく、専門にそういった技術をライセンスしている会社と契約するのが普通であり、海外のゲームだとSecuROMSafeDiscが有名。ダウンロード販売の形態でデジタルなデータのみを送付するケースでは、コピープロテクトではなくDRMと呼ばれる事も多い。

 一般的には「起動する時に正規のメディアが光学ドライブに挿入されているかどうかをチェックする」という、リテール版でのディスクチェックを行う物をコピープロテクト。一方でダウンロード販売での購入orリテール版での購入のどちらにおいても、インストール後はオリジナルのディスクを必要とせずに起動が可能になるが、システム内部に違法複製を阻むようなプログラムを組み込む物をDRMと呼ぶ。


 しかしそのプロテクトを破ろうとする側との争いが延々と続いている為に、プロテクトの方式が年々複雑化しており、その結果としてちゃんと正規のメディアを使用しているのに、「これはコピーされた物で正規のメディアでは無い」と誤認されてしまうというトラブルも絶えない。ここではそういったエラーに遭遇した際の対策を紹介する。

 なお私自身は特にプロテクトの方式に詳しい訳ではないので、一部情報に誤っている箇所が有るかも知れないのをお断りしておく。

STARFORCE
 OSによる制限の問題で、過去のリテール版ゲームをVista /7で動かす際に障害となる可能性が高いコピープロテクトがStarforceである。(なお以下に述べるがXP64も対象となる)。

 メジャーな会社の中では一時期Ubisoftが積極的に使用していたのだが、正規品にも関わらず起動しないというトラブルで出荷製品の回収騒ぎなどもあって、2006年にはUbisfotがStarforceを訴えるという事態にまでなった。他ではDreamcatcherなども使用頻度が高かったがここも2006年に買収されており、以降はメジャーな代理店では使われていない。

 ダウンロード販売においては光学メディアが無いので関係無いが、プロテクト用のファイルがそのまま残されていて、それがセキュリティソフトにウイルスではないかと誤認検知されるというケースは発生している。なお現在のStarforceはデジタル販売用のDRMなども手掛けているが、ここでの扱いは過去のリテール版ゲームを現在の新OSで使おうとしたケースに限る。


 問題が発生するかどうかは、そのゲームが使用しているStarforceのバージョンによって決まる。購入前ならば当該ゲームの使用しているバージョンをネット上で調べる。(2012/08現在)検索すると幾つか対象ゲームリストは見付かるが、数多く流通していた当時に比べると少なくなっている。

  リスト   リスト   リスト


 手元に実際にゲームが有るなら、ゲームの実行ファイル(.exe)と同じ階層にprotect.dllというファイルがないか探す。異なる名前にされている事もあるが、拡張子がdllなのは間違いない。これのプロパティでバージョン情報タブを見ればバージョンが表示される。なお発売国によって使用しているコピープロテクトが異なる可能性もあるし、同じStarforceだがバージョンが違うというケースも有り得る。

 テクニカルサポートによるとOSによるバージョンの制限は以下の通り。

*Vistaで使用するには  3.04.062以上が必要
*Vista64(XP64)で使用するには 3.05以上が必要
*Windows 7で使用するには 3.07.018以上が必要


 注1) 正確に記するならば、StarForce側では過去のライセンス取得ゲームについては無料でアップデート用のツールキットを配布しており、代理店側がこれを使って新たに作成したVista /7対応の実行ファイルをパッチとして配布すれば動作可能となる。しかしダウンロード販売がこれだけ発達した現在、既に流通していないリテール版の(特にマイナーな)ゲーム用パッチをわざわざ出す可能性は相当に低いと思われる。

 注2) バージョンが対応していてもStarforceのドライバのアップデートが必要なケースがある。対応ゲームをインストールする際に、同梱されているStarforceのドライバが新しければインストールするという方式。だがVista /7以降は地元のロシアが活動の中心なので、日本にて最新の対応ゲームをインストールしている可能性は少ない。そこで最新ドライバを単体でインストールしてやる。



 その他の注意点。このプロテクトはSCSIに接続されたドライブと検出すると動作しない。これは通常仮想ドライブがSCSIのドライブとしてマウントされるので、それを排除する為の仕様である。しかしこれだと物理的なSCSIドライブを使っている場合に問題が発生する訳で、強引なやり方過ぎると批判も多いようだ。


*バージョンアップで動作しなくなった
 パッチでゲームのバージョンが上がると起動しなくなるというケースも報告されている(一緒にStarforceのコンポーネントがアップデートされているケース)。この場合には再インストールして初期のバージョンで起動するのかを確認。起動するのならば一段階ずつバージョンを上げて行って、動作する最も上のバージョンでプレイする。ただしマルチプレイ等では最新に出来ないと不味いケースも考えられる。


*ディスクのチェック時間が非常に長い
 最初のチェックで媒体の認識が完了しない場合、全部で4段階に分けて正規品かを詳細チェックするようになっている。これはプロテクト方法がドライブの速度に関連しているからと思われ、段階的にドライブの速度を落としながら検証を行う。最後の段階まで10分程度掛かる事もある。


 参考までに私自身の体験例を紹介。似たようなトラブルが発生した際に参考になるかもしれない。新マシンにした後にStarforce関連のゲームをインストールして見た所、幾つかのゲームが起動時のチェックでエラーになってしまうのを確認。調べてみるとデバイスマネージャの認識でATAPI(IDE)のDVDドライブがSCSIと認識されてるのを発見。SCSIとの相性が悪い事からこれが原因ではないかと疑いを持つ。

 そのIDEをSCSIと認識する問題の原因は、近年のマザーボードの仕様の変化にあった。自作をしている人なら分かると思うが、既にマザーボード上からは過去のI/FとなりつつあるIDEは消えつつあり、HDDならばSATAがI/Fの主流になっている。よってIDEコネクタは互換性の為に残されているだけで、その制御も従来のIDEコントローラーではなく別の処理チップが行っていたりする。

 私の使っているGIGABYTEのマザーボードでは、GBB36X ControllerというRAID用の制御機構がIDEの管理も兼ねており、よってデフォルトの状態ではこのチップの下に位置付けられた光学ドライブは(RAIDと同様に)SCSIとして認識された状態になってしまう。そこで以下の様な手順を行って、ドライブの認識を変更してみた。

1.デバイスマネージャからGBB36X Controllerを削除して再起動
2.起動前にBIOSに入り、Integrated PeripheralsメニューのOnboard SATA/IDE Ctrl Modeを”RAID/IDE”に変更する(デフォルトはIDEのみ)
3.再起動後にGBB36Xが組み込まれる
4.デバイスマネージャで確認すると、今度はRAID用とIDE用の2つのGBB36X Controllerが存在している
5.!でドライバがインストールされていないIDE用を選択
6.ドライバの更新で「インストールするドライバを選択する」を選び、”標準デュアルチャネルPCI IDEコントローラ”を選択

 これでDVDドライブがIDEと認識されるようになり、ゲームの起動チェック動作が問題なく行われるようになった。もし自分のPCの光学ドライブが同じ様にSCSIと認識されているのならば、(マザーボードによって変るだろうが)IDEに変更する方法を探ってみて欲しい。

CD-Key(プロダクトキー)
 多くのゲームではCD Key(或いはシリアルNo.やプロダクトキー)という物をインストール時に入力し、このチェックが通らないとそこからインストールが進まなくなるという様にして、キーを正規品の認証用に使用している。このキーの入力に関わる問題について。


*CD Keyを無くした
 プロテクトとは直接関係は無いが、CDキーを無くすというのは媒体その物を無くすのと同意である。よってゲームの再購入が基本。時々「無くしてしまったので教えて下さい」みたいな書き込みを見かけるが(本人には悪いという自覚は無いのだろうが)、これはCD/DVDをコピーさせてくれと同じ意味と考えてもらいたい。もしも国内の代理店版であれば、問い合わせれば対応してくれる可能性はある。ただしユーザー登録がしてあって、所持しているメディアを証明の為に送る等の手続きは必要になるだろう。

 取りあえずはキーを無くさないような対策をしておくべき。購入したゲームのキーをノート等に一覧として書いておくとか、マニュアルのメモ欄に書いておくとか、タックシールの様な物に書き込んでマニュアルに張り付けておく等(媒体に直接は決して貼らないように)。


*CD Keyがどこにも書いてない
 これは海外の公式サポートやForumを見ると意外と多い。CD/DVDの表面に直接印刷されているとか、CDケースの裏側に印刷してあるとか、マニュアルに印刷されているとかパターンは様々。北米版と欧州版ではパッケージの形状が違うので、書いてある場所が別という場合も多い。複数枚の媒体を使うゲームでは、2枚目以降の媒体を出す為に持ち上げた時に見える内紙の部分に書いてあったりというケースも。


*KEYを入力してもInvalid(不正)として通らない
 再度確認して入れ直す。ダメな場合は以下の事を試してみる。

・マルチプレイ用のコードと2つのキーを持っているゲームもある。それを間違えていないかどうか。
・大文字と小文字の入力を現在と逆にして試す(全部小文字で入れているなら大文字で入れてみる等)
・区切りのハイフン”-”を入れてみる。入れているなら逆に外してみる。
・テンキーからではなくフルキーから入力する
・全角ではなく半角英数で入力する(またはその逆)


 中でも多いのが印刷の不鮮明さや字体等の原因で、違う文字と間違えているというケース。以下が多い事例。同じ文字が含まれている場合、良く見比べて実は違う文字ではないか等を確認する。


 ”1”と"7"と"I"  "8"と"B"  "0”と”O”と"D"と"Q"  ”2”と”Z”  ”A”と”R”  ”C”と”G”  ”5”と”S”  "U"と"V"

一般的なメディアのエラー
  ※ゲームをプレイしようとすると「正規のCD/DVDを挿入して下さい」というエラーが出る場合


1.ゲームをパッチで最新版にする
 これは基本。プロテクト関連でのトラブルを対策したパッチも存在する。


2.インストールしたのと異なるドライブに入れて試す
 複数の光学ドライブが存在する場合、別のドライブに入れて認識させてみる。逆に昔のゲームではインストールした時と異なるドライブに入れるとダメな物も有る。メディア側でも通常はプレイ時にDisk 1を使うが、別の媒体を利用するケースもあるのでマニュアル等で確認。


3.仮想ドライブを無効にする
 仮想ドライブ機能とは、HD上にウインドウズからはCD/DVDドライブに見える様な仮想的なドライブを作成してしまい、ここにデータをコピーして使うというもの。「アクセスが高速になる」, 「沢山のCDを入れ替える必要が無い」, 「ノート等の携帯型PCでCD/DVDドライブを持ち歩く必要が無い」といった利点を持つ。これを実現するための商用ソフトや、Free/Sharewareが多数出回っている。

 しかしこれでゲームの媒体が仮想化されてしまうと、オリジナルのメディアが無くてもゲームが起動出来てしまう。制作側に言わせるなら、「仮想化後にオリジナルの媒体を他人に貸したり売ったりが可能となり、その結果として違法コピーが蔓延してしまう」。そこで初期の段階では認証の際に、それが仮想化されたドライブなのか本当に物理的に存在するドライブなのかを見極めるという風にしていた。だが仮想化する方の技術も向上して行くので、その識別が段々と困難になってくる。

 そこで近年のプロテクトでは、「システムに仮想化されたドライブが存在する」, 「仮想化ソフトが動いている」というの自体を検出して、それを無効にしないと正常動作しないという物が出て来ている。ターゲットとされているソフト名の代表的な物としては、"Daemon Tools", "Alcohol", "Phantom CD”, "Clone CD", "Nero 6", "Norton Ghost"等が挙げられている。基本的に無効にさえすればOKという話だが、場合によってはアンインストールしないと不可という事もあるようだ。

 なおこういったソフトは勝手にインストールされる類いの物ではないので、自分が使った憶えが無いならば入っていないはずなのだが、メーカー製のプリインストールPCではCD/DVDライティング系のソフトが常に起動するようになっている物が有り、これを認識して動かないという可能性もある。一度常駐ソフトを全て止めて試してみるべきだろう。


4.CD/DVDドライブのファームウェアを更新する
 ファームウェアを最新に更新する。ファームウェアはドライバとは異なり、ドライバがウインドウズにインストールされてハードウェアをコントロールするプログラムなのに対し、光学ドライブ側に搭載されている制御用のメモリの内容を書き換える物。対象は基本的にライティング機能を持っているドライブで、最新のプロテクトに対応してバージョンアップされたりする。例えば有名なプロテクトがバージョンアップした際に、その新方式だと内部のレーザーの動作等を調整しないと不具合が起きる可能性があるという理由等。


5.ドライブを替える
 自作しているPCならば、旧マシンから外したCD/DVD-ROMドライブ等を持って来て取り付けてみる。


6.仮想ドライブを使う
 上記とは逆に、仮想ドライブ化してしまって光学ドライブの互換性問題を解消してしまう方法。当然ながらこれを検出するタイプの近年のプロテクトには使えないが、昔のゲームであれば有効となる可能性はある。ただし使用には何らかの仮想化ソフトが必要。


7.ノートPCの問題
 残念ながら対策では無いが、ノート系のPCに用意されている外付けや薄型のドライブはトラブルが発生する可能性が高い。大抵のゲームでは発売前に採用したプロテクトによる各種光学ドライブとの相性テストは行われるが、その際に特殊な形状であるノート用のドライブはテストが行われない事が多いので、互換性の問題が発生する確率は高くなる傾向にある。ファームウェアをバージョンアップするとかの対策程度しかない。或いはデスクトップも有るのならば、そちらでプレイ可能であればノートでのプレイは諦めるとか。


8.国別のプロテクト
 どんなプロテクトを採用するのかは、制作会社ではなく販売代理店が決定する事が多い。よって北米・欧州・日本では、同じゲームでも採用しているプロテクトが異なるケースもある。よってどうしてもプレイしたいのならば、他の地域でのプロテクト方式を調べて、手元の動かない物とは違うのならば買い直すという手段は残っている。或いは購入前に使用プロテクトを調べて、自分のPCで安全そうな地域の物を買うとか。


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