THE VOID
09/02/08
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製作・販売: Ice-Pick Lodge / Atari
発売予定: 2009
日本代理店: 未定
| 概 要 |
| ロシアのIce-Pick Lodgeが開発したジャンルミックス型のゲーム。地元での代理店はND
Gamesで、ロシア語版は既に2008/04に発売済み。同国内ではかなり高い評価を受けているゲームである。制作発表後は英語圏では“Tension”のタイトルで呼ばれていたが、代理店の決定と共に“The
Void”の名称に変更されている。 実際のロシア語での原題は“Turgor(膨圧)”で、植物細胞内の流動体に圧力をかけ細胞膜を硬くする圧力の意味。ゲーム内世界の設定がこの構造に似ている事から比喩的な意味合いで命名されている。 Ice-Pick Lodgeは2002年に設立された制作会社で、2005年にBukaより発売されたPathologic(病理学)に続くこれが2作目。このPathologicも非常にユニーク且つ奇妙なゲームで、それ故に販売してくれる代理店を見付けるのに相当苦労したそうだが、結果としては幾つかのメディアから年間ベストを受賞したりと高い評価を受けた。風変わりなゲームの性質上商業的な成功には結び付かなかったが、一部ではその特異なゲームの雰囲気からカルト的な人気を得ている。その後英語版もリリースされたのだが、マイナーな代理店からの発売でプロモーションが行われなかったのと、英語への翻訳が相当酷い出来だったのが重なってほとんど注目もされずに終わっている。(それを受けて有志による英語化プロジェクトも進められている)。 英語版の発売はAtariからになるが、正確な発売時期はまだ不明である。発売に当ってはストーリーの見直しや新しいロケーションの追加、そしてゲームバランスの調整が行われるそうで、オリジナル版とは若干違った内容に改善される予定。またコアな層を狙ったゲーム性なので、それをもっと一般的なプレイヤーでも楽しめるようにも変更する(もっと低い難易度を設ける等)。 |


| BASICS |
| いきなりゲームのムービーを見ても一体どんな内容なのかが想像出来ない位に、とにかくユニークで変わっているゲームである。基本的には前作のPathlogicと同じくサバイバル・アドベンチャーとでも呼ぶべき物で、3Dで作られた時間経過の概念の在る世界の中を一人称視点で歩き回れて、登場人物との会話や各種クエストをこなしながら生き延びられるように(ゲームオーバーにならないように)進めて行くゲームとなる。そこにRPG的な面と戦闘要素が加わり、更にはプレイヤーの行動に応じて変化して行く世界であるという点も同じ。しかし(仮想的な)現実世界が舞台だった前作とは異なり、今回の舞台は実在の世界では無い。その点で戦闘の手段が実際の武器であったPathologicと違い、今回のゲームでの戦闘手段は一種の魔法が用いられている。 このThe Voidが一体どんなゲームなのかを解説するのはかなり難しい。いろいろな要素が絡み合っている為に、セクション別に各要素を順に説明しても分かり辛いと思われるので、先に大まかな概要から説明してみたい。或いは一回全体をざっと読んでから、再度読み返して見た方が理解し易いだろう。 主人公の男性に特に名前等の設定は無く、その精神が分離して(死亡した様にも思えるが確実にそうなのかは言及が無い)、別の世界であるThe Void(空間,虚空)へと来てしまったという所からスタートする。プレイヤーの最終目的はこの世界から脱出する事である。 このThe Voidの世界にも時間の概念が存在しており、プレイヤーに許された時間は35サイクル。一つのサイクルは100の更に細かい単位時間から構成されている。この時間はプレイヤーの意志で高速で進めたりも可能。もし35サイクルが終了しても脱出の条件を満たせなかった場合、またはその過程で精神の死に至った場合にはゲームオーバーとなる。 The Voidの世界は連結された小室が連結された形で構成されており、プレイヤーは全体マップ上からどの場所へと移るかを指定。その後その地点のマップ内へと実際に降り立って世界内を歩き回れるようになる。ただし全体マップ上での移動には時間が掛かるので、制限時間を考えて動く必要がある。 プレイヤーが関与出来る世界の住人として「シスター」と「ブラザー」が各11人存在しており、一対一でそれぞれが結び付いている関係にある。彼等と仲良くするか敵対するかはプレイヤーの行動次第。シスターは連結された小室同士のゲートを開く力を持っており、仲良くなる事で全体マップ内にてアクセス可能なエリアが増えて行く。ただしシスターと仲良くするほどそれと結び付いたブラザーの嫉妬心を高めるので、敵対的な関係が強くなって行くようになっている。 プレイヤーの基本的な脱出方法としては、11人居るシスターの中の誰か1人と非常に仲良くなって、その彼女の力を借りてこの世界を抜け出すという形になる。或いは自分の状態を最大限に高めて1人だけで脱出するという手段も有るが難易度が高い。エンディングは全部で13通り。 これだけでは漠然としていて何やら把握出来ないと思うが、以上が凡そのゲームの構造である。 注) より詳細なゲーム情報をお伝えする前に断っておくが、以下の解説には断片的な情報から「おそらくこれはこういう意味であろう」という風に私が解釈した部分も含まれている。しかしそのシステム自体が他に類を見ない様な変わった物なので、一部実際のゲームの内容を誤って説明している部分を含むかもしれない点を御了解頂きたい。 |


| LYMPHA | ||||||||||||||||||||||||||||||||
| Lymphaは世界を構成する最も重要な要素で、資源とも言えるしまた通貨の役割をも果たしており、その世界の中の全てを司っている物となる。(英語のLymphはリンパ液の意味)。全部で七色のカラーから構成されており、それぞれに持つ意味合いが異なる。 Lymphaは生命エネルギーでもあって、プレイヤーは生きる為にこれを手に入れる必要がある。Lymphaが無くなったら、それは即ちプレイヤーの死を意味する。つまりプレイヤーはゲーム中絶えずLymphaを採取しないとならない。また全ての行為においては、その際に使われるLymphaの分量がその効果を決定するので、採取する分量も充分でないとプレイヤーの活動が制限される事になる。例えば全体マップ画面での移動にもこのエネルギーが必要なのだが、投入する分量が多いほど小室間のプレイヤーの移動速度は速くなる(短時間で済むので、ゲームオーバーまでの時間制約を考えると有利)。 一番の基本的な形としては植物の様にして地面に生えているのを採取するというやり方。または世界に生息する生物を捕らえるか倒して、その持っているLymphaを手に入れるという事も可能である。大量のLymphaの存在する鉱床もあるが、敵対する生物が数多く居たりと危険度が高い。 Lymphaは異なった効力を持つ七色から構成されているが、それぞれの色が世界の中に生まれて来るのは作物の周期の様に一定ではなく、どのサイクルにどのカラーが多く出現するのかはランダムであり、またゲームをプレイする度に異なる。その為に場合によっては、プレイヤーが欲しいと考えているカラーのLymphaが一定期間枯渇するという事態も考えられる。そこでマップの中にはガーデンと呼ばれる地域が設けられており、ここに生えている枯れ木に手に入れたLymphaを塗ってからエネルギーを注いで活性化させてやり、定期的に育ったLymphaを収穫するという方法が用意されている。ただし実世界と同様に、自分以外にもその育った実を回収しようとする生物は居る。 ここで注意すべき点として、Lymphaは世界の全てに関与するエネルギー資源の意味を持つので、プレイヤーの採った行動によって増えたり減ったりするのは、世界の有り様にも大きな影響を与えるようになっている。つまり七色のどの色のLymphaにおいても、それが世界内で増える事でプレイヤーは恩恵を受けられるが、同時に必ずマイナス要因も生じる。プレイヤーにとって理想なのは、七色全てを満遍なく育てて何時でも利用可能にしておく状態だが、それは同時に多大なマイナス要因を世界に対して及ぼす事にもなる訳だ。よってプレイヤーはどのカラーを重視して育てるのかを絞っておかないと、上手く脱出へと結び付ける事が困難となる。
プレイヤーはLymphaを採取するが、実はそのままではLymphaを使う事は出来ない。その為には体内でLymphaを使えるように変換する必要があって、以下にそのプロセスを紹介する。 画面上のプレイヤーの体はこの世界での仮想的な入れ物を表しており、その体内には“ハート”を格納する事が出来る。最初はその数は少ないが、仲良くなったシスターから貰い受けたり、場合によってはマップ内で見付けたりする事で最大21個までを収納可能。 画面上向かって右がプレイヤーのメモリーを表し、七色に対応した七つの貯蔵袋が用意されている。マップ内で手に入れたLymphaは一旦ここに収納される。次にプレイヤーは使いたいLymphaを体内のハートへと注ぎ込む。しばらくするとハートから体内へと神経が伸びるようになるので、その時点でハートから左側のパレットへとLymphaを移せるようになる。左側のパレットも七色分用意されており、ここに貯められて初めてそれを使えるようになるというシステム。貯蔵庫の容量は体内のハートの数が増えるほど増加して行く。(基本が100で、ハートの数*10分増して行く)。 つまりプレイヤーはどれだけ生の状態のLymphaを持っていてもそれをすぐに使う事は出来ない。ハートに注ぎ込んで神経が発達するのを待ち、その後パレットへと移し替えてようやく使えるようになる。初期状態では体内のハートの数が少ないので、各種のLymphaを満遍なく高速に生成するのは難しい。更にこの世界でのルールとして、ハートの中に貯めたLymphaは時間と共に蒸発して行ってしまうようになっており、これを防ぐ方法は存在しない。例えばパレットが既に一杯だが、またすぐにその色を使いたいのでハートの中に注ぎ込んでおいて、パレットが少なくなったらすぐに移し替えるという行為は可能だが、ハートの中に貯めておける時間には制限があるので、予め貯め込んでおいてもいざ使いたい時には蒸発して無くなっている恐れもある。 もし全てのハートの中のLymphaが無くなったらそれは死を意味する。ハートが空になって警告が出た際には、メモリーに貯めてあるLymphaを注ぎ込まないとならない。しかし上記の様に体内のLymphaはやがて蒸発してしまうので、その速度よりも早く追加のLymphaが採取出来なければ終わりである。 また体内に入っているLymphaの色と量はプレイヤーの能力に変化を及ぼす。例えば攻撃力の赤が多いのならば、プレイヤーの攻撃能力にプラスのボーナスが付くといった具合。一種のインプラントの様な物だが、ハートの中に入れられる色は好きなように変えられるので、流動的にどの様にでもプレイヤーの能力を変化させる事が可能である。ただしハートの中に入れたLymphaは蒸発してしまうので、長時間好みの能力状態に体を保つ事は、追加のLymphaが無いと出来ないようになっている。 |
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| GLYPH | ||||||||||||||||||||||||||||||||
| プレイヤーがこの世界で何かをしたい場合、一般的な意味での魔法の様な能力を使用する。これは画面上にGlyph(絵文字)をマウスで描く事で行われる。もし描いた文字が認識されなければ失敗となるが、それ程認識能力はシビアでは無いようだ。 Glyphは全部で20種類程度用意されており、これもまたシスターに習ったりイベントに遭遇する事で徐々に憶えて行く。(体内のハートの数と等しい)。それぞれには異なった意味が存在しており、αならば“Give”、○ならば“Talk”、△ならば“Rivive”の様にコマンドとして使用する。そしてその際にどの色のLymphaを使って描くかで効果が変化し、また使った量によって威力が変化する。 例としてはSentinelというGlyphを使うと、その辺の小石にエネルギーを蓄えて一定時間後に破裂させられるようになっており、これは敵に対するグレネード攻撃として使える。その際に単にLymphaを込めただけだとその量がダメージとなるだけだが、攻撃の赤色のLymphaを込めてやれば破壊力が増大する。またはRiviveは通常のオブジェクトには復活の意味合いを持つが、生命を持たせて敵を追尾する攻撃としても使用が可能。その他移動速度を上げたり、シールドを張ったり、治療をしたりもこのGlyphを使って行う。他にも色との組み合わせでトラップとして使用したりと様々な応用が可能らしいが、この辺の詳しい情報は見付からなかった。 世界の中に棲む様々な生物との戦闘においても、このGlyphをカラーと組み合わせて攻撃及び防御を行う。各種生物は固有のカラーを持っており、特定のカラーに対しては弱いが、同様に特定のカラーには強い対抗力を持っているので、戦闘時にはその見極めが重要となっている。 |


| SISTERS |
| シスターはプレイヤーがThe Voidから脱出する為の鍵となる存在である。ブラザーに繋ぎ止められる形でマップ内に全部で11人が住んでいるが、各人の性格や考え方は様々。最初はルートがブロックされているので自由に誰にでも会える訳ではない。 プレイヤーは彼女達と会話をして情報を貰ったりクエストを依頼されたりもするが、基本的に初期状態では彼女達はプレイヤーに対して心を開いておらず、会話に乗って来ないばかりか嘘を言われたりもする。時には危険地帯へとプレイヤーを騙して誘導したりするケースもある。そのシスターとの関係を親密にする手段はただ一つ、そのシスターが好むLymphaを提供する事である。それぞれが2つの好みのカラーを持っており、そのカラーのLymphaを提供する事で、各々が5個所持している体内のハートが順に満たされて行く。 最初の内は指定された量を提供すると全体マップ上の閉ざされたゲートを開いてくれて、プレイヤーが全体マップ上で行かれる場所が増える。またはプレイヤーが体内に埋め込む為のハートを提供してくれて、合わせて新しいGlyphを教えてくれたりもする。更に続けて行けば段々と有利な情報を提供してくれるようにもなり、最終的に5個全てのハートを満たせば彼女は完全な協力者となって、プレイヤーが現世に帰る作業の手助けをしてくれるし、また一緒に現世へと連れて帰る事も出来る。 理想的には脱出までには全てのシスターと仲良くしたい所だが、そう上手くは行かないようになっている。何故ならそれぞれのシスターには害となるカラーがやはり2種類存在しており、プレイヤーが好みのLymphaのカラーを世界の中でより繁殖させれば、それはそのカラーが嫌いなシスターにとってはマイナスに働いてしまう。結果として親密度を上げる事が難しくなるばかりか、時にはそのシスターを毒によって死に至らしめるという可能性も持っている。よって使用したいカラーの選択が優先するならば、そのカラーを好むシスターの中から相手を選ぶしかないし、逆にシスターの選択が優先するなら、彼女に合ったカラーのLymphaを世界の中で多くするように行動するしかない。 なお親密度が上がるほどシスターは服を脱いで行くという設定らしいのだが、エロではなくアート寄りの裸体描写とは言え、裸が見えてしまう部分は特に北米ではレーティングの対象として不味いと思われる。なのでその辺は修正が入る可能性は有り得るだろう。 |


| BROTHERS |
| ブラザーとは世界の管理者の様な存在で、一対一対応なので全部でシスターと同じく11人おり、自分のシスターを支配する形で従えている。初期状態ではプレイヤーに対してはフレンドリーであり、話し合いや情報提供を行ってくれる。シスターは固定された場所に存在するが、ブラザーはマップ内を動き回っており、既に相対したブラザーは全体マップ上でその動きを見る事が可能である。 人間の女性の姿のシスターとは異なり、それぞれのブラザーは飛び抜けて奇妙な姿の者が多く、球体の上に乗っていたり、歯車の様な物で構成されてそれに長い首が付いていたりと様々。その他にも鳥籠の上に被さっていたりや、長い針の様な手足をしていたり、巨大な虫の様な体で逆さになってぶら下がっていたりと異形の者が目立つ。戦闘においてもそれぞれが異なったAIと戦法を持っており、一つとして同じ様なスタイルのブラザーはいない。 ブラザーはシスターを配下に置いているので、プレイヤーがそのシスターと仲良くすると嫉妬心が上昇するようになっている。具体的にはシスターの持つハートの内の3個までを満たした時点で、その対応するブラザーはプレイヤーの敵となる。更には4個までを満たすと、そのハートをシスターから奪ってしまうという行為に出る。もし回収されてしまえば、また再度新しいハートをLymphaで満たす所から始めないとならない。 またはプレイヤーが特定のLymphaを培養して世界のバランスを壊す事も好まない。プレイヤーの育てるガーデンに向かって特定のカラーのLymphaを回収してしまい、プレイヤーが収穫出来ないようにしてしまう事もある。それと全体マップ上を動く敵対したブラザーの位置は、プレイヤーのマップ上での動きに何らかの制限を加えるようである。(同じ場所には行けない等)。 プレイヤーがそういった敵対行為を防ぎたいのならば、先手を取って自分で回収したりするか、直接対決して彼等を倒すしかない。ただし非常に強いので、トラップを事前に仕掛けておいたり、大量のLymphaを用意したりと事前準備をしておかないと厳しいそうだ。なお一人のブラザーとも対決せずにゲームをクリアする事も可能である。 (下はロシアのゲームサイトのビデオレビュー) |


| GRAPHICS |
| 自社製のIce-peak Engineを使用。クオリティは全体的にそれなりという感じで、特別優れているという印象ではない。アニメーションはあまり滑らかではないし、キャラクタの顔のアニメーションも単純な感じである。ただしアートとしての想像上の異世界のデザインや表現については良く出来ていると思う。 他にはAGEIA PhysXに対応しており、内部のオブジェクトは物理計算によって動くようになっている。 |
| 総論 |
| 最初にムービーを見てから気になっていたゲームで、その特殊性故に英語圏での発売がどうなるか心配していたのだが、予想外に順調にAtariとの契約に成功。3月頃という話が現在どうなっているのかは分からないが、あまり焦らずにじっくりと英語版を作り込んで今年中の発売を目指してもらいたいと考えている。 ちょっと心配なのが英語版に向けてアレンジを施すという点で、売上げの為に初心者向けの調整を行うのは良いとしても、オリジナルの独特なゲーム性を損なうような真似は極力避けて欲しい。ゲームの難易度がどの位なのか不明だが、それを下げるとか易しい難易度を設けるとか程度で良いと思う。一方でオリジナル版への批判に基づいてゲームバランスや仕様が一部修正されるというのは有り難い。 戦闘についてはそれ程ゲームの大きな部分を占めていないように感じられるので、戦闘重視の方には受けないような気もするが、ユニークなゲームを探している人ならば注目しておくべき作品だと思う。西洋とは全く異なった土壌から誕生したゲームという印象で、その特異な感性が最近のゲームには無い刺激を与えてくれそうで期待している。 |