<VIDEO CARD ゲーム編>

 03/07/16


                             ゲームに関係するビデオカード関連の知識


Q:VRAMとは?
A:これは非常に重要である。PCではビデオ表示用に専用のメモリを割り当てるという設計になっており、これをVideo RAM(VRAM)と呼んでいる。ビデオカードが有るならばその基板上に搭載されており、メインメモリとは全くの別物である。本来はこの容量によって表示出来る解像度や色数に差が出ていたので、1600*1200といった広い画面や32bitの色数でデスクトップを表示したい人は容量の多い物を購入する必要があった。しかし現在販売されている物では最低クラスでもVRAMを16MBは搭載しており、これだと1600*1200*32bit表示が可能なのであまりこれには意味が無くなった。

 一方ではゲームはこの領域に表示用のデータもストックするので、普段のデスクトップよりも大きな容量を必要とする事になる。ゲーム動作の必要最低環境にこのVRAM容量も必ず記述されているのだが、この要求は年々高まっており他は全てクリアしているのにVRAM容量のみ足りずにゲームが動かないというケースも多くなっている。VRAMはメインメモリと違って増設出来ないし、そうなるとメーカー製のオンボードチップセット採用のPCの場合でビデオカードの交換も出来ない場合、これはもうPCごと買い替えしか残されていない事になる。


Q:PCの仕様を見ると、VRAMの欄にメインメモリと共用、或いはメインメモリの一部を使用とあるのは?
A:統合チップセットでは本来は単独で用意されるべきVRAMをメインメモリの一部を使って代用してしまう事が多い。専用にセットするビデオカードの場合はVRAMをその基板上に配置出来るが、M/B上に全て搭載してしまう統合チップセットではコストとスペース削減の為にこれを無くしてしまうという事。例えばメインメモリが256MB搭載されているPCでVRAMの最大確保容量が32MBならば、ゲーム中はメインメモリ224MB+VRAM32MBで動作している事になる。なおメインメモリが空いていても仕様以上のVRAMは確保出来ない。問題点は、

*メインメモリが圧迫されるので、メインメモリの不足に起因する支障が出る可能性が有る(メモリ不足)
*通常VRAMというのはメインメモリよりも高速な物を使用しており、この場合統合チップセットではゲームの動作は遅くなる


Q:Hardware T&Lとは何か?
A:最近のゲームではゲーム動作の為の要求事項にこの文字が見られる物が出て来ている。簡単に言うと3D画面を描画する場合に必要となる処理過程にTransform & Lightlingという物があり、この部分をビデオカード側で行える(処理出来る)チップをHardware T&L対応と呼んでいる。どういうメリットがあるのかと言うと、ビデオカード側で処理出来るのならばその分CPUが空くので、AIや物理計算等他の処理を行う余裕が出来る(ビデオカードが機能を持っていなければCPUがやるしかない)。総合的に言ってフレームレートも向上する。
 これまでは推奨という物が多かったのだが、最近ではこの機能が無いと動作しないというゲームも出て来ているので注意が必要だ(無いカードでもエミュレートを行って動かすというソフトもあるが一般的では無い)。ただし絶対に動かないという意味では無く「実質無いとゲームにならない位遅くなる」といった意味合いで使われる事もある。以下は一部のゲームの対応状況だが、今後必須ゲームは増加する傾向にあるのは間違い無い。

必須ゲームAmerica's Army、No One Lives Forever 2、Battlefield 1942,Splinter Cell, Will Rock, Breed
強く推奨: Unreal Tournament 2003, Unreal 2, Rainbow Six 3:Raven Shiled, Postal 2


Q:メーカー製一体型PCのHardware T&Lへの対応状況は?
A:今後は変わってくるとは思うが、これを書いている時点(03/07)では対応している可能性はかなり低いのは確かである。近年出たゲームを購入する場合には、ゲームの最低動作環境にこの記述が無いかを確認、或いはデモが有るのならばそれを試してから購入するのをお薦めする。

 対応ビデオカード一覧(03/03時点)。誤りや追加等あれば連絡もらえるとありがたいです。

Nvidia GeForce シリーズ全て
ATI Radeon 7200, 8500, 8500 LE, 9000, 9500, 9600, 9700, 9800  (VE 、7000は非対応)
Matrox Parhelia
SiS Xabre

SiS315(オンボード)


Q:Vertex & Pixel Shadersの意味、DirectX9.0対応ビデオカードとは何か?
A:これに関しての詳しい解説はここでは書かないが、Hardware T&Lに変わる新しい方式(Vertex Shader)や、DirectX 9.0以降でサポートされているPixel Shader 2.0以上に対応しているビデオカードを指す。2003年末辺りからはこの機能を使ったゲームが続々と登場する予定で、これらの機能を持ったビデオカードを推奨するゲームが増大する。これを必須とするゲームは現時点では発売されていない。


Q:ゲームの必要環境に出てくるDirect 3DやOpenGLとは何か?
A:ビデオ(グラフィック)チップは幾つかのメーカーがそれぞれ何種類も製作している為に多くの種類がある。当然全てのチップは設計自体が別物なので、そのチップ専用に記述されたプログラムでないと基本的に動かない。しかしそれだと市場に流通しているビデオチップが10種類存在したら、ソフトハウスはあるゲームを開発するのに10種類の別のプログラムを製作しなければならない(例えば家庭用ゲーム機では機種が違えば原則的には動かない)。
 そこでPCでは特定のビデオチップに縛られないやり方でプログラムを作ろうという風になっている。標準的な形式で命令を記述してやり、後はそれぞれのビデオチップにまかせるという形態である。例えばプログラム上では一般的な形式で命令を出して、それをどの様な処理過程にて実行するかというのは各チップの設計にまかせるという形である。この共通記述言語の事を3DAPIと呼ぶ。

 これによってゲーム製作側はある3DAPIを使用してグラフィック系のプログラムを製作し、それを受けた3DAPIプログラムからの命令を、搭載された3Dチップが解読して動かすという方式が可能になる。D3Dの場合であれば、製作されたプログラムはD3Dに対して仕様に乗っ取って命令を出し、それをD3DのAPIは解釈してビデオカードに渡して処理させるという過程になる。
 例えば人間社会の例で言うと、10ヶ国の別々の言語を話す人10人全てにある内容を伝えたい場合、それぞれにその言語を使って話してやるのは大変である。しかし10人がそれぞれ自国語と英語の通訳が出来る人間を連れていれば、ただ英語で話せば全員に通じる。この時の英語に当る共通言語が3DAPIという事。通訳に当る物はPCの世界ではドライバと言われる。

 この3DAPIには現在3種類(実質今では2種類)有って、どれに対応しているのかはそのゲームによる。

3DAPI  解       説
Direct3D
(DirectGraphics)
 最も対応ゲームが多く広まっている3DAPI。DirectXの機能の一部である。バージョンアップにも積極的であり現在のバージョンは9.0a(03/07現在)。現在のWindowsには標準で搭載されているし、ほぼ全ての3DチップがこのAPIをサポートしている。以前はAPIの能力に問題があったが、現在では最先端の機能をより早く取り込んでいる。

 最新のグラフィック機能を次々に取り入れているので最新バージョンに対応したビデオカード(&ドライバソフト)があればその恩恵を受けられるが、古いビデオカードやチップだと最新版を要求するゲームはうまく動作しない。ゲームの要求するバージョン、自分のマシンのD3D機能のバージョン、ビデオカードやチップの対応バージョンは調べられるので、動作に関して事前にある程度の目安は付け易いAPIである。
OpenGL  これは元々CG業界の3DAPI。主にグラフィック専用のWSにて使用されているものだが、近年の高性能化によりPCでも使用出来るようになった。高レベルな命令体系により高度なCG処理が可能だが、対応ゲームはD3Dに比べるとかなり少なめ。ただし3DFPSゲームではQuakeエンジンがこれを使用していることもあって非常にポピュラーなAPIである。現在流通している3Dチップの多くはこのOpenGLにも対応しているが、D3Dに比べると対応数は少ない。

 このAPIはPCだけで使われている物ではないのでバージョンアップにさほど積極的ではなく(意見の統一に時間が掛かる)、機能の拡張にはそれぞれが作成したGL Extensionというライブラリを使用する事が多いので、D3Dに比べると自分のビデオカードがそのゲームで要求されるOpenGLの機能に対応しているのかどうかが分かりにくいという欠点がある。ただしOSに依存しないのでD3Dに比べるとはるかに移植がし易く(MAC等へ)、またこれを使えるCG技術者を見付け易いという利点もある。

 元々Hardware T&L機能に対応しているので、これを意識して書かれたプログラムをT&L対応チップで動かせば高速という利点はあったのだが、現在ではD3Dも対応して来ているので特に有利という事も無い。 
Glide  3dfx社の製作した3DチップであるVoodooチップシリーズの専用3DAPI。Voodooチップが搭載されたマシンでなければ使う事が出来ない。3Dチップメーカーが統一ということを差し置いて争っていた時代の勝者であり、97〜98年辺りを中心に全盛時代を築いた。他の二つと大きく違うのは、専用APIのためVoodooチップの性能を極限まで引き出すプログラム製作が可能であり、その為たくさんのチップに合わせる形になってしまう汎用規格APIよりも速いという点である。この高速性を生かし沢山の対応ゲームを生み出した。

 ただし99年頃からの方針転換がうまく行かずにジリ貧になり、終には長年のライバル社のNvidiaへの吸収という形で歴史に幕を下ろした。現在ではこのAPIを使用するゲームもほとんど無く、ある程度昔の対応ゲームをプレイする時に有利に働く程度。

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