<SOUND CARD>

 02/09/27


1.基本

 サウンドカードに関してはそれほどややこしくない。これには実質的にCreativeの一社独占形態というのも関連している。サウンドカードでややこしいのは昔のMS−DOSのゲームを動作させる時で、Windows上ではビデオカードのようには混み入ってはいない。現在のWIN上で動くゲームは基本的にDirect X経由のDirect SoundやDirect Musicを使用しているので、販売されている物はほぼ全てそれに対応しているし、トラブルも少ないと考えて良いだろう。

 ここで簡単にサウンドカードの歴史を。長い間サウンドカードはクリエイティブ・メディア社のSOUND BLASTERによる一社独占という形態が続いていた。つまりこのカードか他社のSB互換カードというのが選択肢だったわけである。それが変わり始めたのは98年からで、理由はMS−DOSのゲームが無くなったこと。WindowsのゲームはDirect Xの普及により にDXに対応していればカードの種類は関係なくなったからだ。
 その後ライバル社とのシェア争いはあったものの、結局は現在ではまたCreativeの一人勝ち状態であり、それ故ビデオカードほどは互換性に悩まされる事は無い分野である。MS−DOSのゲームにこだわるのでない限り、現時点ではそれ程カード選びは難しくないといえる。

 サウンドカードやチップは近年劇的に変化している分野ではなく、DXが一般的になった5.0から現在の8.0までの間にビデオカードの様な急激な成長はしていない。よってDX8.0以上要と書いてあってもゲーム上のオプションでサウンドの性能を落とせば、昔のサウンドカードでも問題無く動いてしまうケースも多く、ビデオカードほどはトラブルになりにくいのである。

 さて各社からいろいろなサウンドカードが出ているがどこが違うのか。

*サウンド・クオリティ
 非常に多くの音を出力しようとするとそのデータ量によりシステムに負荷がかかる。よって音がずれたり画面が遅れたりしてしまう。高くて良いカードほどこの辺の対応力がある。これについてはほとんどのゲームでクオリティを調整できるので、安いカードでも音質を犠牲にすることで解決できる。

*MIDI音源
 シンセサイザーの音源モジュールを搭載しているかどうか。ここでは詳しくは述べないが、要はこれを搭載しているカードではゲームによってはリアルな音が出せるということ。様々な楽器の音源をチップに持っているので、オーケストラ演奏まで出来る。現在ではほとんどのカードがこれに対応しているものの、そのクオリティには大きな差があるので注意。特にDTMもやりたいという人はなるべく良い物を選ぼう。

*同時発音数
 読んで字の如し。当然多いほど良い。現在は1024くらいまで上がっている。

 サウンドカードはビデオカードと同様に根本的には処理チップをカードに搭載している形態なので、マザーボードに直接ICとして載せてしまうオンボードという形も非常に多い。コストやスペースを考えるとそれ専用のカードを差すよりはという事で、メーカー製セット販売マシン等ではほとんどこれである。当然それらは上記の性能に劣る事になるのは言うまでも無い。


2.3D SOUND

 サウンドカードに高性能を求めるとなると見逃せないのが3Dサウンドである。これは立体音響の規格であり、基本的には4つ以上のスピーカーによって実現される。SPのセットを購入してそれぞれのSPをモニタの横と自分の背後に置き(脚付きor壁掛け)これにより立体サウンドを実現する。もちろん完全な単体SPを置ける環境があれば理想的。前方二つのSPによる擬似サラウンドと違ってこれはかなりのインパクトがある。今目の前に音を出しているものがあったとして、ぐるりと回転するとそれに連れて音が自分の周りを一周する感じになり、例えば敵が後ろから来た時でも音でわかったりするので臨場感が全然違う。


*EAX
 Sound BlasterのCreativeの規格。ハードウェア的に3Dサウンドを実現するもので対応したサウンドカードが必要となる。様々な環境(空間)をシミュレートして再生する、どちらかというと音質重視主義の規格。欠点としては4SPでないと効果は薄い点でヘッドフォン等では効果は薄れる。実質的な標準規格である。規格はEAX、EAX2、EAX3と存在しており、SB Live!が純正な対応カード。

*EAX Advanced HD
 EAXの拡張規格で、使用にはSB Audigy相当のカードが必要である。サウンドの音自体のクオリティUPやこれまでは重過ぎて出来なかった様々な効果の複雑な適用を可能にしており、更にプログラマー側からのカスタマイズの自由度を大幅に上げている。2002年になってからは対応しているゲームも増え始めており、しばらくは主流の規格となるであろう。

*Diret3D SOUND
 Direct Xでの規格。つまり最も一般的に使用できるが、ハードウェアの助けを借りるわけではないので能力やパフォーマンス的にはかなり劣る。

*5.1CH サラウンド
 映画でのサウンド規格であるDolby Surroundの事。いろいろな形態があるが、現時点で一番一般的なのはこの5.1CHとなる(Xboxで採用されている事でも有名だろう)。5.1CHの意味は、左右SP(2)、後方SP(2)、センターSP(1)に加えて重低音用のウーファー(.1)を使う事から来ている。重低音は指向性があまり無いので一台で全ての分の低音を担当し、センターSPは映画での台詞の定位感を高める為に使用される。もし後方にも定位用のセンターSPを置けば6.1になるし、後方SP(2)に加えてサラウンド用にSPを2個追加すれば7.1CHとなる。
 この規格に対応したゲームで5.1CHを再生するには、

1.デコーダー機能を持ったサウンドカードを使い、カードからの出力を5.1CH分のSP出力を持ったアンプに入れてやって再生する
2.カードからそのまま外部出力した5.1CH信号を、デコード可能なAVアンプに入れて再生

 という方法がある。SPだけあってもデコーダーが無いと意味が無い。いずれにしろそこそこ金が掛かる規格である。家庭用ゲーム機の場合はゲーム自体をTVでやる為に、このセットを居間等に組めば映画もこの音響システムで楽しめるという利点がある。しかしPCではSPを置く場所の問題もあるし、DVD機能があると言ってもTVほどの大画面は確保出来ないという面がある。

*A3D
 3Dサウンドがスタートした98年頃には一番対応ゲームが多かった規格。しかし会社経営がうまく行かずCreativeに吸収される形で幕を閉じた。現在でも対応しているゲームは若干残っているが、対応しているサウンドカードに新製品がないので今から選ぶ意味はそれほどない。
 音響効果は派手目で自然な音というよりはゲーム的な作り。自然な反響音ではなく位置関係をハッキリさせるスタンス。基本的に2SPでの再生を考えているので、SPが背後に置けない人には便利な規格。ヘッドフォンでも効果が大きい。ただし3DサウンドをエミュレートしているのでCPUパワーを食うようになっており、パフォーマンスに問題の起きる事も多かった。

*その他
 その他にも2SPにて擬似的に3Dサウンドを再生する規格は存在しており、独自にそういった物を使用しているゲームも存在する。有名な物としてはMiles Sound Systemがある。


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