<MS−DOSの基礎知識>


 02/06/15


 1982年にスタートしたIBM PC(互換機)の歴史上、長い間ゲームはMS-DOSというOSの元で動く様に作られていた。そんな環境が完全にWindowsベースに切り替わったのは1999年位からとまだ最近の事である。そんな中マシンの進化に伴うゲームのクオリティ向上によって次第にMS-DOSのゲームは過去の物となりつつあるのは事実。だがこれを書いている現在(2001/8)まだMS-DOSのゲームをプレイする機会はあると思うし、特にアドベンチャー・シミュレーション・ストラテジー等のシナリオやゲーム性が重視されるタイプのゲーム(グラフィックの向上に”比較的”ゲームそのもののクオリティが依存しないゲーム)では過去の作品に今でも通用する名作と呼ばれる物も多い。
 そこでここではそういったMS-DOSのゲームを遊ぶための知識を解説していく。もちろん必要度としては低い部類に入るのだろうが、逆にいざ必要になった時に現在では解説の類を見付け難くなっているので、そう言った意味でもここでまとめておく。

 MS-DOSというのはテキストベース&シングルタスクのOSであり、GUIインターフェイス&マルチタスクのWindowsとはまるで違った性質を持っている。Windowsが一般的なユーザー向けに普及し出したのは92年頃からであり、当初のWindows3.0から3.1、その後4.0からは名前をWindows95と変え、そのあとは98,2000とリリースされているのは御存知の通り。しかしながらゲームの世界に関して言えばアプリケーションの移行については相当遅れていた。97年くらいまではDOSのゲームの方が数の上で優勢であり、98年くらいにやっと逆転したという感じである。そして99年以降はほぼDOSのゲームというのは出ていない。
 この遅れは何故かというと、MS-DOSは単体のアプリしか動かせない設定なので、ゲームを起動した際にマシンのハードウェア資産をフルにゲーム側で使用する事が出来る=高速で動かせる、ということが一番の理由である。対してWinでは管理者としてのOSがいる為にゲームが勝手にマシンのハードを動かす事が出来ない=ゲームが遅い、という事になる。言い換えるとWinというゲームを遅くするマイナス環境においても、DOSレベルの高速ゲームが作成出来るほどにマシンの性能が上がった(Direct Xという環境も整った)のが切り替わり出した98〜99年頃の事とも言える。
 よって96〜98辺りのゲームをやろうとした場合MS-DOSのゲームに遭遇する可能性は結構ある。そう言った場合に知っておくべき知識について以下解説していく。


◎Windows上でのMS-DOSの扱い
 現在のWindows(95/98)上ではMS-DOSというのは非常に優遇された存在である。というのはWindowsを普及させるにあたって「Win上ではMS-DOSのプログラムは動かない」としてしまうと普及が進まない可能性があったからだ。よってWindowsを終わらせる事なくDOSのプログラムが共存してちゃんと動くような配慮がなされている。
 ただしこれがWin95/98の不安定化につながっているというのは聞いたことがあるだろう。DOSというのはマシンを占有して動く事を前提して作成されたいわば”わがまま”なプログラムなので、これを許容する構造を取り入れたWinではどうしても不安定さが増してしまう(その種のアプリが落ちた時にOSごと巻き込んで落ちてしまう可能性)。これらを防ぐ為には権限を強化したOSがあれば良いのだが(Win2000やNT)当然DOSアプリとの互換性は落ちる。
 よってWin98の構造というのは私の様に結構DOSゲームをやる人間には有りがたい存在なのだが、現状DOSアプリを動かす機会などまずない一般の人間にとっては単にマシンを不安定化する迷惑なだけの物となっている。

 ではWinではどのようにしてDOSのプログラムを動かしているのだろうか。これは単純にいうと仮想的にマシンを作り出す事で実現している。まあDOSのエミュレーター上で動かすと考えてもらって構わない。ゲーム側からはあくまでも単体のDOSマシンで動いているように見せ掛けて、その処理はWin上でエミュレーションしてしまうという事である。その為にWinでは幾つかのエミュレーションの段階を用意している。なお一つ注意として以下の説明は基本的にWin98を前提としており、95では当てはまらない場合もある。基本的に95よりも98の方がDOSへの互換度が高い。


1.DOSのWindows表示
 DOS窓と言われる方式。英語だとDOS Boxと言われる。DOSのアプリ用に一つのウインドウを開くというもの。基本的に通常のアプリはほとんどこれで動く。ゲームでも昔の物はこれで動く確率は高い。ただし現在やる機会が多いと思われる95〜98年辺りに製作のゲームではこれでは動かないと思った方が良いだろう。この方式だとビデオカードに対して特殊な処理をしているゲーム系では、画面表示がうまく行かない為に不具合が出るのである。
 この方式では普通のアプリと同様にウインドウとして扱えるので便利ではあるのだが、まずゲームではウィンドウのサイズが変えられないのでCRT画面サイズによってはやりにくくなるといった問題がある(テキストだけならばフォントサイズを変えられるがグラフィック画面だとサイズが変えられない)。また安定度的にもゲームでは若干不安定である。更にキースキャンに問題があることがあり、うまく操作を認識してくれなかったりもする。よってゲームのプレイにはあまりお勧め出来ないモードである。

2.DOSのフルスクリーン表示
 エミュレーション方式的には上と同じであるのだが、ウインドウでは無くフルスクリーンで行うというもの。今のゲーム同様に(全部では無いが)ALT+TABでウインドウから全画面へと切り替えが出来る。この全画面表示で行うというもの。
 この方式が基本的なWin上でのDOSゲームのプレイスタイルとなる。これはグラフィック表示において特殊な事をして高速化を図っているゲームに対して、「全画面表示」という基本的な仕様を与える事でエミュレーション度を高めるという物であり、大抵のゲームはこれで問題無く動く。普通のアプリを動かす場合は他のアプリが画面で見えなくなるので不便で使われないモードなのだが、ゲームに関しては他に動かす物も無いだろうしこれを基本と考えておこう。

3.DOSモード(Exclusive Dos,Pure Dos)
 これはWindowsをシャットダウンしてMS-DOSとして再立ち上げをする物である。Windowsを終了する時に選択出来る「MS-DOSモードにて再起動する」を選ぶ事で実現出来る。Windowsに含まれるDOSのみでマシンを立ち上げるという意味。ゲームの中にはどうしてもWindowsのエミュレーションでは動かない物も存在しており、その場合はこうするしかない。
 これだとDOSそのものでマシンが立ち上げる訳であり、その為まずは間違いなくゲームは動く.....のであるが、実はこの方式には「現在の一般的なハードレベルのWindowsマシン」では致命的な欠陥があり、実質上のフルスクリーンまでで動かないと諦める事になる場合が多い。これに関してはトラブル関連の項で詳しく解説する。

4.DOS立ち上げ
 これはMS-DOSの起動可能なフロッピーでシステムを立ち上げるというもの。上のMS-DOSモードでの再起動と同じ事なのだが、厳密に言うとやや違う部分もある。これらは別の項にて解説する。またWindosのMS-DOSはVer7.1なので、これとは違ったバージョンのMS-DOSを起動したければフロッピーからということになる、もちろんそのバージョンを持っていなければならないが。


◎MS-DOS上での基本操作
 MS-DOSはテキストベースのOSなのでファイル操作等は基本的にKBから文字を直接打ち込んで行う。実はバージョン5からはマウス操作のファイル管理ユーティリティーが導入されたので(或いはサードパーティーのユーティリティーソフトにて)基本的な操作は分かり易くなっていたのだが、現在のWin同梱の物にはこれらは用意されていない。何故ならWin上からエクスプローラーで可能だからである。
 ただしいちいちエクスプローラーにてやるのは面倒という面もあって、最低限の操作は憶えておいた方がいい。以下簡単に説明する。なお大文字小文字は特に区別しなくて結構。

 MS-DOSでは画面に C:\Windows> のように表示される。ここで>というのがプロンプトと呼ばれ、ここからコマンドを入力するという意味。その前の部分は自分が今いるドライブとディレクトリを表している。最初の¥記号はルートディレクトリの意味で英語DOSの場合はバックスラッシュで表示される(押すキーは同じ)。またこれはディレクトリを区切る時にも使用される。 E:\Game\MSdos\Action> といった具合に。
 ドライブを移動したい場合は:(コロン)にて指定する。プロンプトから>d: (Enter)ならばDドライブに移動する。ディレクトリを移動したいならばCDコマンドを使用する。 >CD Game という風に。ただしこの場合移動したい場所は今いる所からのフルパス指定になる。例えばE:\GameからMSdosに移る場合は E:\Game> の後にCD MSdosで良いが、 Actionに移りたいならば E:\Game>CD MSdos¥Action としないとならない。ルートに戻りたければ >CD ¥ 、ドライブごと移動ならば >C:¥WINDOWS の様にドライブから指定する。なお戻る場合はCD ...の用にピリオドで代用する事が可能。その場所がピリオド1個にあたるので2つ戻りたければ例の様に3つピリオドを付ければ2つ上のディレクトリに戻れる。

 ファイルの一覧表示にはDIRコマンドを使う。何も付けないで実行すると単に一覧を表示するが、画面内に収まらないと流れてしまうので、/P/Wと
いったパラメーターを使用してやる。 >DIR /P/W だと、収まらない場合はPAUSE(/P) と横に広げて表示(/W)という機能が働く。

 プログラムの実行は単純にそのファイル名を入れてやるだけだ。 >NEWGAME と入った具合に。最後の.EXEは省略可能である。もちろんこれはそのファイルがあるディレクトリにいるか、パスも含めて指定してやらないとならない。

 これ以外の操作はウィンドウズ上からやった方が間違いもないし確実だろう。上の操作だけでゲームに関していえば基本的には十分である。それとF3キーにて直前のコマンドを再度入力出来るのは憶えておくと便利である。


  目次