・そっくりパソコン TVニュースなどでも盛んに取り上げられていたので、こちらをご覧になられている方(=パソコンを既に使っている方)なら、iMacのデザインを真似したソーテックのe-oneの話はご存じかと思います。アップルが訴えにより、東京地裁が製造販売中止の仮処分を決定したもので、その理由については、消費者がiMacとe-oneを誤認、混同したり、アップルとソーテックに資本提携関係があると誤解する恐れがあることをあげています。 e-oneはiMacとよく似たデザインのIBM PC/AT互換機で、そのデザイン、リーズナブルな価格設定、価格の割に性能が悪くないことなどにより、生産が追いつかない程の大人気のようで、予約だけでも数万台を抱えているとのことだそうです。私もメインメモリ128MBの仕様の方なら、機械としてはいいマシンだと思います。一体型のマシンはあまり好みではないですし、スケルトン仕様については、嫌いなので、魅力的だとは思いませんが…(どうせスケルトンにするなら、こういう半透明ではなく、すっきりクリアーな透明にして欲しい。中身丸見えマシンなら、私もスッゴク欲しいです〜笑) ・誤認する? 仮処分の理由である『消費者がiMacとe-oneを誤認、混同する』については、私はあまりないと思います。OS自体が異なる以上、購入するに当たっては、Macではない、Mac用ソフトは動かないということを最低限、店員が説明するでしょう。もちろん、パソコンに全く知識がない方が、どこかで見掛けたiMacを気に入り、e-oneを同じものだと思い込んで買ってしまう可能性はありますが、それほど、多くはなさそうな気がするのです。 どちらかというと、iMacとe-oneを見比べて、デザインも似ているし、価格にこれだけ開きがあるならe-oneでもいいかな?と、e-oneを選ぶユーザーの方が多いかと私は思います。デザインを真似られてアップルが損をしているのは、間違いないのは確かですが、それは間違ってe-oneを買う消費者が多いからではなく、違うことを分かった上で、敢えて選ぶ消費者が多いからだというのが私の認識です。 ・そっくりと言えば… Oliveraieは着せ替え人形のファンサイトですので、当然、着せ替え人形に興味がある方の割合が多いかと思います。さて、似ている、似ていないで思い出すことがないでしょうか? そうです。着せ替え人形で裁判になったに、ma-baバービーのことです。 1981年からマテルとライセンス契約を結んだタカラが販売していたタカラ製バービーは、1986年、マテルとのライセンス期間切れに伴い(マテルがライセンス延長を認めなかった)、バービーの名称が使用できなくなったため、名前をジェニーに変更。一方マテルはバンダイと合弁でマーバ・コーポレーションを設立し、ジェニーによく似た人形をバービーとして販売しようとしたところ、タカラがマーババービーの販売、製造の差し止めを求める仮処分を東京地裁に求め、半年後にマーババービーの顔を変えるということで和解が成立した…というのが大まかな内容です。 当時、タカラ製バービーはものすごい人気だったらしく、その頃、人形のにの字も知らなかった私にも、この件に関しては微かに記憶に残っています。勝手な憶測になりますが、売れ行き不振のため、一時はタカラに任せた日本の着せ替え人形の市場で、日本人向けに作られた幼い感じの顔のタカラバービーがブレイクしたのを見て、バービーの名前を使い似た人形を自分のところで発売すれば、ライセンス契約よりもっと儲かる…と欲が出たのでしょう。 機能的に見ればma-baバービーとタカラバービー&ジェニーは別の人形と言えます。サイズもma-baバービーの方が背が高く、首などの可動部もma-baバービーの方が勝っており、ヘッドモールドに関しても、明らかに異なっているとのことです(うちにも一人だけいますが、詳しくチェックしたことはありません)。それでもパッと見た印象はかなり似通ったものだと思いますし、アイプリントに関してはよく似ていたことは事実のようです。 ・フェアがいいな もし、タカラバービーがなかったら、ma-baバービーは出てこなかったでしょう。何らかのヒット商品が出れば、それを追いかけるように類似した商品が発売され、ある物は競争により更に進化したり、またあるものは一時的なブームで終わったりします。市場経済である以上、売れている類の商品なら、似たようなものが出てくるのは当たり前です。でも、ma-baバービーの場合、そしてe-oneの場合は、それとはちょっと違うように思います。 e-oneの場合、モニター一体型のコンパクト&スタイリッシュなPCを作ろうというコンセプトなら、何もiMacにそっくりなデザインを採用する必要はなかったはずです。もっと違ったアプローチのデザインを作ればいいわけで、そのための選択肢は無数にあったはず。私見になりますが、あれは似せようと思って作らなければ、ああいうデザインにはならないのではないでしょう。オリジナルに何の敬意も祓っていないe-oneと、それを良しとしているメーカーを私は恥ずかしいと思うし、このメーカーからは例えいくらか安くても、自分自身で買おうとは思わないです。 ma-baの場合はタカラバービーのユーザーをそのままいただいてしまおうしたように私には感じられて、それがものすごくアンフェアに思えるのです。人形ファンの私が見てもやっぱり似ていると思いますから。うちにいる娘は多分、修正されたアイプリントということになると思うのですが(未修整のアイプリントの娘は販売されたのでしょうか?)、それでも似ていると思います。子供やその親が間違ったり戸惑ったりすることは、当然、あり得る話でしょう。 私はフェアがいいな…と思う。佐川急便よりはクロネコヤマトがいいなとか。クロネコヤマトは通産省と闘って、宅急便を確立したんですよね。献金をばらまいていた佐川急便とは全く逆です。フェアな企業があれば、そちらを支持していきたいな…と思うのです。 それにしてもma-baバービーは可哀想ですね。所詮、人形は物なのでしょうけれど、人形ファンである私は、人形をただの物としては扱えないし思えないのです。会社としてのma-baがどうだろうが、知ったことではありませんが(結局、解散したのですが)、偽物のレッテルを貼られてしまったこの娘たちのことを思うと、少し心が痛みます。ma-baバービー自身は何も悪くないのに…と。 1999/09/24 |