HORSESHOE

小さな小包が届いた
一生懸命思い出してみたが送り主に覚えがない
わかるのは発送元が中央競馬会の
トレーニングセンターの近所だということだけ
中から出てきたのは
汚れたゼッケンと蹄鉄が4つ
それとレースで馬の頭絡に付ける番号札
3月に中京競馬場で1年半ぶりに勝利した
ジェニュインの子供が
そのレースで着けていたものだった

この子は'99年春、私が最初に対面した
ジェニュインの息子だ
嬉しいような・・不思議なような・・
あの時のなんとも形容し難い気持ちは今でも覚えている
母馬から片時も離れず、臆病そうな眼差しでこちらを窺っている
“こんなに気弱そうで、将来大丈夫かなぁ?”
それが彼の第一印象だった
私の心配は杞憂に終わった
2年半後、我々の前に現れた彼は
デビュー戦を楽々と勝ち、
高い前評判に余裕で応えた
キツネにつままれたような気分・・
でも、こんなに誇らしく、嬉しいことがあるだろうか
私は、彼に手紙を出した
生後2ヶ月のときの写真を添えて
彼への期待と声援を書き綴った
もう二年ちかくも前のことだ
彼を担当する厩務員さんは、
私のことを覚えていてくれたのだ
添えられた手紙には
“もっと早く勝つはずだったんだけど・・”
と書かれていた
体調の不調が影響し、彼は長いこと
勝利にあと少しのところで手が届かずにいた
厩務員さん自身、どれだけ待ち焦がれていた勝利だったことか・・
“重賞級”と謳われた素質は
まだ開花していない
たとえみんなが彼のことを忘れたとしても
私はいつまでも信じて待ち続けるよ
