サキュバス

 女の夢魔。「下になる、下に横になる」という意味のsuccuboという言葉から来ています。古来から女性の夢魔とされたものにはラミアー、リリスなどがありますが、サキュバスはこれらの夢魔を中世的にまとめ上げたものと言われています。眠っている人間の男を誘惑して性交し、悪魔の子を身ごもります。彼女が訪れた場合、男は悪魔の子が産まれないように起きて大きな声で祈らなくてはなりません。男の夢魔はインキュバス。トマス・アクィナスによれば、インキュバスはサキュバスが採取した精液を使って女性を妊娠させるそうです。

 町や村などの人の住む場所、あるいはその周辺に出没します。そして、一度誘惑する相手を決めると、相手が死ぬか自分がその相手に飽きるか、もしくは何らかの手段で追い払われるまで取り憑きます。

 サキュバスは、まず甘味な夢で眠っている男性を誘います。サキュバス自身はどちらかと言えば醜いのですが夢の中では非常に美しく、男性が彼女の誘惑から逃れるのはほとんど不可能に近いと言われています。精力に溢れた若い男性や、女性との関わりを避ける禁欲的な修道士たちの場合は特にそうだったようです。多くの場合、男性たちは誘われるままに交わり、精液を奪われてしまいます。実はこれは夢精のことで、中世ヨーロッパでは夢精はすべてサキュバスのせいだとされていました。


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