霧の中



霧が揺れた
シラビソはしっとり濡れている

霧が匂う
私はひとりだ

どこか、木の伐る音が聞こえる
ずっと下の谷合らしい

今まで私は何を考えていたのだろう
失ったものへの執着はもうないはずなのに…

霧の中からじっと見ている誰かが
ふと、笑ったような気がした