現在、私はスバルのフォレスターという車に乗っています。
本などの分類ではRV(レクリェーショナル・ピークル)、あるいはSUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)というカテゴリーに属している場合が多いのですが、単にSW(ステーション・ワゴン)に分けられている時もあり、どうもこの車は分類しにくい車のようです。
メーカーが考えたコンセプトが、乗用車とRVの中間的なものといいますから、その狙いは当たったといえるでしょう。
私が、これまでの普通のセダンタイプの車から、このような車に替えた理由は勿論私の趣味と無関係ではありません。
最近の私の山行は、殆どアプローチに車を使っています。
電車やバスの時間に縛られないことや荷物を適当に積み込んで行き、状況によって現地で必要な物だけ持って山に向かえることなど利点は多いのですが、交通機関の無い処まで車で入れることもその一つです。
しかし、大体そういう処は舗装されてはおらず、砂利道の林道だったり凹凸のある路面であったり、要するにラフロードです。
そのような道に出会う度に、4WDで車高の高い車が欲しいと思ったものでした。
それならもっとアウトドア色の強いクロスカントリー系の車(パジェロ、テラノ、ハイラックスサーフなど)があるじゃないか、と言われそうですが、私は年中山に行っている訳ではなく、生活の基盤は都市部です。
街中では普通の乗用車のように違和感なく乗れ、ラフな道でもストレスなく走れる、そういう車が希望でした。
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フォレスターはグレードに関わらず全車4WD仕様であり、最低地上高は20pあります。
乗用車(インプレッサ)がベースの車ですから、乗り心地もヘビーではありません。
同じようなタイプの車に、トヨタではRAV4、ホンダではCR−Vがあります。
ちなみに、RAV4はコロナ、CR−Vはシビックがベースです。
しかし、車を選ぶにあたり、私にとってこの2車は初めから選考の対象外でした。
一つには、4WDの能力が明らかにフォレスターの方が優っていたからです。
特にCR−Vはデュアルポンプ式4WDといい、通常走行は2WD(FF)、前輪が空転した時にのみ後輪に駆動力が伝わる簡易的4WDです。
解りやすく言えば、最大登坂能力において、フォレスターが登れる坂をCR−Vは登れません。
しかし、まぁ、それも考え方によるとは思います。
普段FFで走るということは、フルタイム4WDより機械的ロスが少ない訳で、燃費的には有利といえるでしょうから…。
もう一つは、両車ともアウトドアを強調するためか、スペアタイヤを背負っていることです。
これは星島浩氏(自動車評論家)も言っていることなのですが、私は普通の平凡な生活を送っている人間ですから、当然のように年に何度かはフォーマルな場所(冠婚葬祭など)に行く機会があります。
その時には車で行く場合もあるのですが、そのようなフォーマルな場所に、後にタイヤを背負ったいわば「遊び車」で乗り付けるのはどんなものでしょうか。
そんなことを全く気にしない人もいることでしょうが、私の好みではありません。
フォレスターに乗るようになってから2年程が経ちました。(走行距離は約2万キロ)
その間の感想を一口に言えば、「可も無く不可も無く」といったところでしょうか。
あるいは、「まぁ、こんなモンだろう」かな。
と、いって特に不満があるわけではありません。
決して広いとは言えない後席(カムリから乗り替えれば大抵狭く感じる)や固めのサスペンションは、初めから承知していましたが、同乗者にとっては、前の車よりは乗り心地の面で不評かも知れません。
それと、ノンターボのエンジンレスポンスがもう少し良ければとは思います。
どうもゼロ発進加速が少々遅く感じるのです。
しかし、私がこの車で新しい発見(?)をしたのは4WDについてです。
それも、4WDの車にする理由の一つであった山岳路やラフロードにおいてではなく、普段の生活の中なのです。
実は、雨の日や風の強い日での走行安定感が2輪駆動の車とは明らかに違うのです。
高速道路での雨の日など、以前はおっかなびっくり走っていた時もあるのですが、今は精神的にかなり異なります。
勿論出すスピードにもよりけりですが、少なくとも前の車の時よりは2ランク位余裕を持って走行できるのです。
ということは、フルタイム4WDの走行能力というものは、何も雪道やラフロードだけのスポーツ的な装備というより、むしろ安全装備として考えるべきものだと思います。
話は変わりますが、インターネットのホームページのなかには、共通の趣味をもつ人達が集うフォーラム的なものが数多くあります。
車の世界にもそれがあり、多くは掲示板を利用して同じ車を持つ人達が情報を教え合ったり交換したりしています。
そこで、検索をしてみるとフォレスターにもそういうホームページが幾つかありましたので、興味をもって時々覗いていたのです。
しばらくすると意外な(私にとってですが…)ことが解ってきました。
まず、殆どが若者達であること。(文の書き方で判ります)
フォレスターという車は今年になってマイナーチェンジされ、それに伴い大幅にフェイスリフトされて、多少は見られるようになりましたが、その前(私が乗っているモノ)は「一体スバルにはカーデザイナーはいるのだろうか」と思うほど野暮ったいデザインでした。
しかし、私はフォレスターのコンセプトや内容を、デザインよりはずっと高く評価していましたし、こんな車は若い人は買わないだろう、という考えもこの車にした一つの理由なのです。
だけど、考えてみるとインターネットを扱っている人は圧倒的に20代、30代が多い訳ですから、どんな車のフォーラムであろうと、若い人が多いのは当然といえば当然のことなんですよね。
意外なこと(?)の二つ目は、その掲示板で語られる内容が、部品の交換や改造などハード面がほとんどであること。
マニアックといえばマニアックでしょうが、どうしてこんなにいろいろ純正の部品や装備を替えてしまうのでしょう。
タイヤ、ステレオなどは序の口で、ステアリング、ショックアブソーバー、マフラー、ホイール、ヘッドライトバルブetc数え上げたらキリがありません。
それでも足りずに、あとどこか換えるトコないか、などと話しているのです。
それにしても、それにかかる費用も結構な金額だろうに、と他人事ながら心配してしまいます。
どうもこの人達は、車は、運転するためのものではなく、仲間達に自分の車の改造の具合をアピールするために必要なもののようなのです。
もう一つ唖然としたのが、4WDのターボ車にのっていて、「私の車は燃費が悪い…」と悩んでいる人がいること。
4WDは前にも述べたように駆動システムの機械的損失があり(その分よけいに燃料を消費する)、ターボは排圧を利用して無理矢理シリンダーに燃料を押し込んでやるのですから、2WDの普通の車に比べたら燃費が悪いのは当たり前であり常識です。
そういう知識がないのか、それともケチなのか、よく解りません。
私などは、オイルショック後の、ガソリン1リットル百数十円もした頃を経験していますので、現在のガソリンの値段は本当に安いと思っています。
従って、「燃費は、どの程度かな」と一度だけ計っただけで後は一切計算などしたこともありません。(勿論、私も費用は低い方がいいに決まっていますが、走る度に燃費を心配する位なら4WD車になぞ乗りません)
また、フォレスターは車高の高いことが他の車に対するアドバンテージなのに、「今度、車高を低くしました」などと自慢げにいう人もいましたし、びっくりすることばかりでした。
ま、「…自分の車をどう扱おうが自分の勝手だろ…」と言われれば、それまでなんですけれどね。
というような訳で、このようなフォーラムは、私が当初期待したような、ドライブに関する情報とか車の使い方にたいする意見だとか、いわば車のソフトウェア的な内容ではありませんでした。
しかし、世の中にはいろいろな方がいらっしゃるんですね。
スバル(富士重工業)は小さなメーカーです。
軽を除けば、量産型乗用車としては3車種しかありません。(インプレッサ、フォレスター、レガシィ)
しかし、それだけに「一球入魂」というか、一車種、一車種を大事に育てているようです。
かってはバンのようだと嫌われたワゴンに市民権を与え、そしてステータスにまで高めたのはスバルの努力の賜です。
これは、トヨタ、日産はじめ他のメーカーには出来なかったことです。
トヨタはコロナ5ドアで何度かトライしましたし、日産はスカイライン2000GTワゴンやサニー・カリフォルニアでバンとは異なる車だということをアピールしましたが、結局成功しませんでした。
スバルにとっては、他のセダンタイプの車種では勝負になりそうもないと考えたのかも知れませんが、レガシィ・ツーリングワゴンをいたずらにモデルチェンジせず、改良と熟成を重ねて今日のヒットに結びつけたのは素晴らしいことです。
ワゴンは商売になると気がついた他のメーカーが、後を追って様々なワゴン車を出しましたが、プロの評論を見てもユーザーの人気投票でも、この何年来一つとしてレガシィ・ツーリングワゴンを凌ぐ車はありません。
本当か笑い話かは分かりませんが、トヨタのあるディーラーでは「ウチにもレガシィがありますヨ」と言ってカルディナを売っているとか…。
フォレスターも、日本よりアメリカで人気が高いそうで、そういえば今度のフェイスリフトも、よりアメリカンと言えなくもありません。
何年か前は経営危機も伝えられたスバルですが、現在はすこぶる順調のようです。
しかし、世界的な業界再編の波はこのメーカーにも例外ではありません。
スバルは先頃、その4WDの技術力に目をつけたGMと提携しましたが、いずれはどこかの巨大グループの一員になってしまうのでしょうか。
それが企業としてとらざるを得ない道としても、あのスバルのシンボルマークである六連星(むつらぼし)は残して欲しいものだと思います。
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