北海道2泊3日道中記



某旅行会社のパックツアーで函館・小樽・札幌への小旅行へ行って参りました。
で、恥ずかしながら旅の感想など。

2月3日
◇◆◇◆第1日目◆◇◆◇

 出発日。午後12時50分に関西空港はJAL団体受付カウンター前集合、午後1時 50分の便で函館空港へ向かう。
 パックツアーに「遅刻」の2文字は禁物なので、時間に余裕を持って 朝8時半すぎに家を出る。出発が伊丹空港からだったなら、もっとゆっくり 出発できたのだが、旅行会社にかけあってみたものの変更を認めてもらえ なかったので、仕方ない。
 実を言うと、私は前夜、今ひとつ熟睡できなかった。「10年ぶりに北海道へ 行ける!」という興奮がそうさせたのか否かは定かではないが(もしそうだとしたら 遠足前日の子供と同じだ)、うとうとしては目を覚ますような状態を午前1時 すぎくらいまで繰り返していた。思うに、普段の宵っ張りが裏目に出てしまった のだろう。前々夜から早寝早起きのクセをつけておけばよかった、などと今頃に なって自らの不摂生を悔いても遅い。この日は午前6時半起床。私は睡眠不足の 身体で出かけることになってしまった。

 自慢ではないが私は睡眠不足に弱い。しかも私の睡眠不足は肌のみならず胃腸を も直撃するタイプのようで、この日も移動中のJR車内で いきなり腹痛。同行者(夫だ!)にえらい気を遣わせてしまった。
 ちなみに私は枕が変わると眠れなくなるタイプでもある。 1日目から睡眠不足で、しかもあと二晩、熟睡できるという保証はどこにもない。
 一応、マイ安眠グッズ(ラベンダーのハーブピロー) 持参ではあるが……果たしてこの旅行、無事に終わるのだろうかと不安 いっぱいの旅立ちだったが、函館空港到着後、バスで移動中も酔うことなく 元気に10年ぶりの函館市内を観光した。
 到着時間が早かったので、函館イルミネーションファンタジーはごく一部しか 楽しめなかったけれど、バスの車窓から見た電飾の赤煉瓦倉庫街はとてもキレイ で思わずウットリ。
 今回の旅では、郷土料理の夕食に加えて、函館観光の定石である夜景見物も オプション扱い(10年前は郷土料理の夕食のみオプション)だった。両方とも 頼んでいない私たちは、一足先にバスでホテルへ。

 ホテルは10年前に泊まったのと同じ、「函館国○ホテル」。これまた懐かし かった。夕食は、夫はラーメンを食べたかったらしいのだが、方向を間違えて(JR函館駅前 へ行くべきなのに、ビール園や倉庫街のほうへ行ってしまった)ので、なし崩しに 手近にあった「いか祭り」という回転寿司屋へ。しかし偏食ばりばりの夫はここだけ では満腹になれなかったようで、結局、この店を出た後、近隣のコンビニへ寄って カップラーメンを購入(何やってんだか……)。
 私は夜食に肉まんを買った。何の変哲もない肉まんだが、旅先で食べるとまた格別な気がするものである。
 入浴後は早々と就寝。明日は朝食6時半、出発午前7時半と、朝から かなりタイトスケジュールである。

 それはそうと、この日は夫の誕生日だった。

2月4日
◇◆◇◆第2日目◆◇◆◇

 1日目に続き快晴である。善哉。
 朝は5時半くらいに起きて荷物をまとめ、朝食後はすぐに出かけられるよう準備 する。
 持ってきたハーブピローのおかげで、ぐっすりとはいかないまでも、まあ 健康維持に必要な程度の睡眠はとれたらしく、体調は悪くない。どうやら私は 「かぎなれた匂いのするもの」があるとよく眠れるようだ。昔読んだ犬の飼い方 の本に、自分の匂いのするものがあると子犬が落ち着くから、子犬をもらってくる ときは、その子犬の敷いていた毛布や玩具も一緒にもらってくるべし、という ような記述があったが、私は動物並みなのだろうか。 あまり嬉しくない事実である。
 バイキング形式の朝食をいただいたあと、予定通り出発。まずはパックツアーの 「お約束」、土産物屋へGO。海産物がメインの店らしいが、トイレを探して 奥へ向かうとき、ハーブ関係の小物の売り場を発見。昨夜、持参したハーブ ピローの香りがかなり褪せてしまっているのが気になっていたので、値段が安い こともあり、新しいラベンダーのハーブピローを速攻で購入。ほかに、土産用と 自分用にラベンダーとスズランのお香セットも買った。満足、満足。

 次は函館観光の定石その2、大沼国定公園。
 とはいうものの、湖(というか沼)は凍っている上、雪に覆われて、どこが岸で どこから水なのか分からないような状態だった。そんな湖をバックに集合写真を 撮った後、しばし散策。
 公園内には街の人たちが作った雪像が並んでいたので、それを見物したり、名物 「大沼だんご」を買ったり。公園の真ん中には雪で作った滑り台もあって、子供が 行列を作っていた。
 我々と同じ観光客でごった返すだんご屋で、私は醤油タレと小豆のセット を購入。バスの中で食べたが、関西の薄味に慣れた私には、塩辛い醤油味より 小豆のほうがおいしかった。

 大沼公園の次は、長万部のドライブインで昼食。ここも郷土料理のオプションが あったけれど、私と夫は申し込まず、同じ敷地内にある別の食堂で昼食。店名は その名も「アイドル」。昭和をひしひしと感じ させる名前のその店で、私は味噌ラーメン、夫はビーフカレー(なぜ北海道まで 来てカレー?)を食べた。
 ラーメンについては、麺の固さは好みなのだが、いかんせん、やはりこちらの 味付けはどうも私には濃すぎるようだ。ちょっと塩辛い。
 ところでこのドライブイン、実は女性用トイレが豪華だというので、できた当初、 ちょっとしたニュースになったことがある。10年前私が来たときはまだ「できた ばかり」という感じだったが、今回行ってみると、壊れているらしい設備もあったり して、時の流れを感じてしまった。店の入り口に飾られた、私の肩くらいまである 大きな紫水晶の塊はそのままだったけど(これ磨いたら、ネックレスだと 何連くらいできるのだろうとか毎回考えてしまう貧乏性な私……)。
 土産物を見た後、トイレに行くという夫を残して、私だけ先にバスに戻った のだが、ここでビックリ。他のツアー客全員、もう着席 しているではないか!
 私と夫は、集合時刻を間違えていたのである。嗚呼。
 慌てて夫を捜しにドライブインの中に戻ったが、食堂にも土産物売り場にもいない。 トイレの中に違いないが、彼は無論、男性用を使っている。考えたあげく、仕方ない ので恐る恐る男性用トイレの中を覗いてみて、誰もいないのを確かめてから踏み込み、 ただ一つ塞がっている個室のドアを叩いて夫の名前を呼んでみた。
 確かに住人は彼だった。集合時間を過ぎていることを告げると、彼は早々に出て きた。結局、我々は5分ばかり遅刻してしまったのだった。 あーあ……

 長万部の次は小樽市内自由散策。
 といっても、到着したとき既に日は落ち、しかも日本海側だけあってすごい雪。 本当は小樽運河をバックに集合写真撮影が予定されていたのだが、雪で中止。 そんな状態だから、とても「散策」などという気分にはなれなかったが、行きたい 店があったので、雪の中、方向を見失いそうになりながら根性で歩いた。
 私が行きたかった店、それは「銀の鐘」。 前回はヴェネチアングラス美術館を拝観しただけで時間が終わってしまったので、 行けなかった店である。ここはコーヒー・紅茶飲み放題(オーダー時のみ ケーキ付き)な上に、カップ(ガラス製)を選べて、しかも飲み終わったら そのカップを貰って帰れるのだ! 行かない手はない。
 しかし、店はバスの駐車場所から「少し」離れた場所にあった。道に雪がなく、 さらに雪があれほどひどく降っていなければ、本当に大した距離ではないのだが、 その日の降雪は、喋ると口の中に雪が入ってくるほどだったのと、道につもった雪の せいで歩道と車道の区別がつかなかったのとで、自分の現在位置を地図と照らし 合わせながら歩くのは本当に骨が折れた。おかげで店に着いたときには残り時間が 少なくなってしまっていて、急いでケーキを頬張り、コーヒーを飲み干してバスに 戻らねばならなかった。
 そんな苦労をして手に入れたカップが右の写真である。 一口ビールサイズなので、夏になったらこれでぜひともビールを楽しみたい。

 小樽の次は札幌。この旅のキモ、「雪まつり」の会場散策である。が、こちらも 小樽同様に雪。しかし、「歩きたくない」とは言えない。小樽では私のワガママを きいてもらったので、こちらでは夫の希望をかなえるべく、ひたすら歩く。 小樽の借りを札幌で返すというようなものだ。
 目指すは会場の最西端、西12丁目にあるという某巨大 掲示板サイトの人気AAキャラ雪像である。
 本当の「雪まつり」は明日からなのだが、ライトアップだけは「プレ雪まつり」 と称して前日の夜から始まっている。中にはまだ完成していないものもあるが、 未完成品を見て作成工程を知るのも、それはそれでなかなか興味深いことだった。 道行きは楽ではなかったが。通路はところどころスケートリンクよろしく ツルツルになっているし、雪はざかざか降ってくるし、何より寒いし。
 しかし、ライトアップされた夜の雪像や 氷像が素晴らしかったのもまた事実。紫禁城も江戸城もペリーと黒船 (と聖ハリストス教会)も、思わず見とれてしまうほど素晴らしい出来映えだった。 寒さを堪えて見に来て本当によかった。百聞は一見に如かず、とはまさに このことだと思った。問題のAAキャラ雪像については……まあ、夫がそのうち 何か書くでしょう。たぶん。

 「プレ雪まつり」見物のあとは、一路ホテルへ。今夜のお宿は札幌郊外の 「札幌北広島プ○ンスホテル」。どうやらゴルフコースのクラブハウスを兼ねて いるらしく、ホテルの看板にはカントリークラブの名前も一緒に書かれていた。 こういう類のホテルはわりとゴージャスな雰囲気のところが多いが、ここも 例外ではなく、昨日のホテルよりいい感じだった。安いツアーというのは たいてい、2泊目の宿の質を落としがちなので警戒していたのだが、よかった よかった。
 お茶やお湯は各フロアに給湯設備があるとのことで、部屋に備えてあった ステンレス製の小さなポットを持ってお湯をもらいに行き、持参した中国茶の ティーバッグで明日の分のお茶を作っておく。明日の朝は9時出発なので ちょっとゆっくり朝食をとれそうだ。

2月5日
◇◆◇◆第3日目◆◇◆◇

 朝、ホテルの12階で一面の雪原を眺めつつバイキング形式の食事。
 夫はこういうときなぜか洋食を選ぶが、私は逆に和食。ご飯に味噌汁、肉じゃが、 漬け物などを皿に取る。米は、やはり「きらら」を使っているのだろうか、 おいしかった。漬け物は、「新海漬け」なるわさび漬けを試してみたのだが、 わさびがききすぎていて残してしまった。もったいないとは思ったが、鼻に ツンツンくるのだから仕方ない。
 出発準備を整えてホテルの玄関に出たところ、昨夜は暗くてわからなかった 「かまくら」を発見。希望すれば中でジンギスカンを食べさせてくれるらしい。 その名も「ジンギス寒」。試しに中を覗いて 見たが、焼き肉くさかった……(当たり前か)。
 このホテル、ゴルフのシーズンオフ中はどうしているのだろう、などと思って いたのだが、クロスカントリースキーで稼いでいるようで、その手の看板も出て いた。

 札幌は昨日に引き続き雪。それでも雪まつりの会場はけっこうにぎわっていた。 とくに目立ったのが、「顔はアジア系だが喋っている 言葉が日本語じゃない人たち」である。昨夜の小樽や泊まったホテルにも たくさんいたが、青森の冬期アジア大会の応援を兼ねて来ているのだろうか?  それとも、「札幌雪まつり」って、国際的にそんなにメジャーなイベントなの だろうか? うーん、よくわからない。
 昨夜は駆け足で見て回ったところを、今日は写真を撮ったりしながら少し時間を かけて回る。何しろ集合まで4時間あるのだ。昼食の時間を1時間取っても3時間 あるので、大通り公園を見終わったあとは、ススキノ会場へ足をのばした。
 地下鉄ススキノ駅前の「ロビンソン」というビル内にあった「芝」なる ラーメン屋で醤油ラーメンの昼食をとったあと、会場へ。
 ススキノ会場に飾られているのは、雪像ではなく氷像である。たぶん、夜の ライトアップをメインに考えてのことなのだろう。歓楽街だし。
 昼間見る氷像は、幻想的ではないが、それなりに面白いものもあった。とくに カニや鮭、ホタテ貝など、北海道の海産物(本物)が氷詰めになったオブジェは 傑作だった。あと、キリンビールが広告のために作った氷像。氷詰めになった 巨大ビール缶もおもしろかったが、キリンの鱗が非常に丁寧に彫り込まれている のは特に素晴らしいと思った。
 真駒内会場は自衛隊の敷地内ということで、好奇心も手伝って行ってみたい 気がしたけれど、いかんせん時間がなく断念。ススキノ会場を見た後は、歩いて 大通り公園まで戻り、休憩所の無料インターネットで少し遊んでから、テレビ塔へ。
 テレビ塔の売店で小樽ビールの試飲をやっていたのでちょいとお相伴にあずかり、 「おのぼり」の言葉通り展望フロアに昇ろうと思ったけれど、時間が押してきていた のと人が多いのとで中止してバスへ戻ることにする。雪まつり見物が終わったら、あとは 時計台のレプリカで有名な「道産市場」に寄ってから新千歳空港へ行くだけである。

 道産市場の中は、高校生くらいの男の子(なんて可愛いものではなかったが)でごった返していた。どうも修学旅行生と かちあったらしい。新千歳空港の手荷物検査窓口も、ものすごーく混んでいた。 搭乗待ちフロアもにぎにぎしかった。とどめに、我々の乗る便は 満席だった。ちなみに、その便はスーパージャンボ機 だったそうだ。それが満席。夫とはかろうじて隣同士になれたが、座席は残念ながら 通路の真ん中だった。がっかり&ちょっとうんざり。ANAの機内雑誌は面白かったけど。

 伊丹空港のレストラン街で夕食をとったあと、北海道に比べれば可愛い 寒さの中、帰宅した。

◇◆◇◆余録◆◇◆◇

 今回、冬の北海道へ行ってみて実感したのは、手袋は スキー用を持っていけということである。私はなめし皮の手袋を持って 行ったのだが、あの寒さと雪の前には歯が立たなかった。防水スプレーを使っても あまり意味がなかったし。私は北海道の寒さというものをナメていたのである。 すみませんでした。
 あと、可笑しかったのは、私と夫の日本語は北海道では 通じにくいらしいということである。夫は1日目の回転寿司屋で注文を 訊き返されたし、私は2日目、大通り公園内の売店で、同じように注文を 訊き返された。二人とも、知らず関西のイントネーションで喋っているという ことかもしれない。北海道の人の耳には、我々二人の会話はきっと、夫婦漫才 のように聞こえたことだろう。

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