<追憶の彼方〜幻の大年越しミサ物語 B.D.13.12.31〜B.D.12.1.1>
さてさて、この話は実体験を元に書いておりますが、いかんせん遠い昔のおはなし、おぼつかないところはご愛敬ご愛敬…
21世紀に14年のときを越えて蘇る!幻の大年越しミサ!(最初で最後?)さあて、お立ち会いお立ち会い…
B.D.13年、すでに聖飢魔IIの人気は飛ぶ鳥を落とす勢いで、ミサのチケットも手にはいりにくい状態でした。
しかも改造手術後の初ツアー。関東在住の私でしたが、のちにビデオやDVDになった、あの中野サンプラザのチケットは結局取れませんでした。
閣下の具合はどうなんだろう・・・。
写真週刊誌で見た閣下は、改造した足を真っ直ぐに伸ばし、その足にはゴジラの足のスリッパ。痛々しいお姿でした。
切断の話もあったと恐ろしいことがそこには書いてあった。
二度と走りまわる姿は拝見できないのだろうか…どんな姿でミサに臨んでいらっしゃるんだろうか…
年の瀬も押し迫った12月、そんなことを考えながら、池袋の西武デパートを歩いていた。ふと目についた赤木屋プレイガイド(チケット屋)の壁に
"12/31 聖飢魔IIのチケットあります"
「年越しミサだ…」
それはサンプラザから1週間後の新宿でのミサでした。
当時の私は箱入り娘の女子大生(笑)。急だし、そんな日、そんな時間に誘う友達もいない。
親だって許してくれないに違いない(笑)。でも・・・
「この聖飢魔IIのチケットまだありますか?」指を指してみた。
「何枚ですか?」
「…1枚」
「ええと…今だとこの席が空いていますが、ここかここがいいんじゃない?」
チケット屋のお姉さんは、新宿コマ劇場の座席表を広げて見せてくれた。
さすがに1枚となると意外なところがあいている。
「ジェイル側か・・・」エース宗の私はちょっと思いながらも(^^;、前から15番目ぐらい真中から少し下手よりの席を選びました。
チケットを手にして、喜び勇んで家に帰ったものの、なかなか親に話を切り出せない。
やっと話しはしたものの、予想通り、
「なんでそんな時間に若い娘がいかなきゃならないんだ」年越しミサだからかな・・・(^^;
「何時に終わるんだ」夜中の1時ぐらいかな・・・(^^;
「電車がないだろう」大晦日だから終夜運転あるって・・・(^^;
とにかくチケット買っちゃったし、男友達に迎えに来てもらうってことで(迷惑な話だ)
なんとかOKもらいました。
開演時間は憶えてはいませんが、たぶん22時とか22時半とかだったんではなかったでしょうか。
遅い時刻の上り電車に乗り込んだ私は、初詣に向かう晴れ着姿の女の子たちに混じって、西武新宿駅に降り立ちました。
新宿コマのある”不夜城”歌舞伎町はいつにも増してご機嫌な人間たちでごった返しています。
人波をかき分けて悪魔の待つ会場へ・・・
いよいよ「悪魔の大年越しミサ」、副題「ゆく悪魔くる悪魔」の始まりです。
「創世記」。演歌で有名なコマ劇場ということで、回り舞台からでもでてくるのかと思いきや(笑)、
立派なセットが組まれていて、噂のスーパーデーモンカー・ターボGT・ロイヤルサルーンにのったデーモン閣下。
やっぱり痛々しい…2人のゾンビーズを従えての登場です。
スリムでパワフルなドラマー、ライデン湯沢、
ゆっさゆっさと貫禄のベーシスト、ゼノン石川、
猫のように挑発的な若きギタリスト、ジェイル大橋、
そしてもう一名、ちょっとお茶目でスタイリッシュなギタリスト、エース清水。みんな本物だ〜。
久しぶりの大音響、初めての聖飢魔II体験にもうドキドキでした。
座席的には当時増えてきたメイク信者のいる席から少しはなれていて
ちょっと静かな?、初心者向けの場所でした。
曲は11月にでた第3教典「地獄より愛をこめて」からがメインで、思ったよりおどろおどろしくない、軽快でダンサブルなステージだという印象でした。
デーモンカーを押すだけのゾンビかと思いきや、これが立派なダンサー
「魔界舞曲」ギタセクとも絡んで、観客を魅了します。
後半クレーンにのった閣下は私たちの頭上を右へ左へと動きます。
その動きにあわせるように信者の波も右へ左へおおきなうねりが生まれます。
「G.G.G」では、マハリクマハリタからテクマクマヤコンまで、信者は一緒に大喜び、
ギターソロでは、ゆかいなツイン、前にでてきた2名は
身をそらすジェイルさん、お辞儀をするエースさん、とってもお茶目で会場が沸きます。
ドラムソロやベースソロもかっこいい。
佳境にはいったミサですが、すぐそこまで新年が迫ってまいりました。
ふっと一切の音が途絶えた会場に、突然、機械的な女性の声が響き渡ります。
「ピ・ピ・ピ・ピ−ン、午後11時58分 30秒をお知らせします…」
NTT117番の時報。会場から「おぉ〜」という歓声が上がりました。
時刻を読み上げる声はどんどん新年に迫っていき。その声をかき消すように、
ステージ、会場一丸となってカウントダウンの大合唱
「5・4・3・2・1…。」
「アクマしておめでとう!!!!!!!!」
B.D.12年の幕開けです〜。閣下のお顔も満足げです。
その勢いのままミサは終盤になだれ込み、スピード感あふれる「Fire after Fire」
一瞬舞台が暗くなったかな?のあと、
なんと、閣下がたちあがってらっしゃるではないですか。
2本の足でステージにしっかりと…
もう会場は騒然となり、続いてまわりではすすり泣く姿も。
ほんとにびっくりしました。あとから活動絵巻教典みるとサンプラでもそうだったんですよね。
でも、その時はほんとに驚きました。最高のお年玉です。
それが本編だったか、アンコールだったか、もう記憶がありませんが、ひとしきり
盛上り、ゆったりとした「秘密の花園」も。
アンコールも終わって、大きく手をあげた悪魔たちは去っていきました。
忘れられない年越しでした。
人間界へと戻った私は、きてくれた友達と初詣にでかけ、のんびりと87年の日の出参拝(寒かった〜)。
そして「日本の元旦の朝というものは、家族で過ごすものだ。」という厳格な家族(笑)の元へと帰っていったのでした。
おしまい
(2001年1月5日)
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