フロントマンとして=ACE&LUKE
この2ヵ月で、元聖飢魔IIギタリストふたりのライヴを見ることができました。
この期に及んで比べることは、賛否両論あるでしょうが(?)、敢えて同じ観点で所感を書かせていただこうと思います。フロントマンとしてのおふたりについて…。
私の中で、ACEさんはヴォーカリストで、LUKEさんはギタリストだった。。。そんな話です。
■アンサンブル■
例えば仕事、大人数で何かをつくりあげようとしたとき、方向性が決まっていれば、その中での個々の役割というものが自ずと決まり、重要視されると思う。
逆に少人数であれば、個性をぶつけあってこそ、おもしろいものができることが往々にしてあるように思う。
声楽に例えると、合唱団員がそれぞれ個人特有の歌い方で、ビブラートも好き勝手つけて歌ったらどうなるか、仮にどんなに各個人がテクニシャンでも美しいハーモニーは生まれない。
じゃぁソリストが音程だけを気にして、ただただ正確にピアノ伴奏に合わせて歌ったら?…たぶん心に訴えてくるものはないでしょう。
アンサンブルとして「face to ace」に前者を、「CANTA」に後者を感じました。(・・・私が声楽に例えやすいだけで、それぞれの歌について言及してるわけではないです・・・)
■ギタリストとして■
ツインギターにキーボードもコーラスもフィーチュアした「face to ace」、和音やメロディを奏でる要素がいくつもつまったユニット。
ACEさんが弾かなくても誰かがソロを取る。しかもギターとは限らない。各作品の持つ世界観の中でそれぞれが役割を担えばよい。
ACEさんのギターはその中にあって、ACEさんらしさをアピールしていたと感じました。
そしてLUKEさん…最近自宅で心ゆくまで、ギターの録音ができるらしいというLUKEさんの話を聞くにつけ、それはいったいライヴに影響しないのか、
一発勝負の演奏がこじんまりしたりはしないのか、などと勝手な思いをめぐらせてました。
・・・いやはや「CANTA」にそんな心配は無用でした。<LUKEさんが弾かずして誰が弾く>のソロ。
打ち込みシンセはあるものの基本はギター、ベース、ドラム。トリオ。楽器の主張は「CANTA」の宿命かと。
その中、唯一の和音楽器として(厳密には違いますが)体を張らなければならないギター。しかも暴れるリズム隊の前で。
「CANTA」のギターには主役を感じました。
■ヴォーカリストとして■
ACEさんがラジオ番組で「歌を聴かせるために、この曲たちがある。ちゃんと歌えてなかったらライヴをやる意味がない。」
とおっしゃり、ギタリストがギターを持たないライヴも辞さない覚悟だと知ったとき、その心意気だけで、まず十分ヴォーカリストだと思いました(笑)。
反面、生で聴いたとき、恐れながら喉に負担のかかる発声をされてるのではと勝手に心配してみたり・・・、
でも、もう無理だろうと思っても出す、その根性(腹筋?)にも頭が下がりました。
事前準備も本番も<歌うことに手を抜かない> だからヴォーカリストだと思ったのです。
で、高いキーに「a」や「o」のような、<喉の開く母音>が当てられている作品が多い?特に「FACE TO FACE」曲・・・。(※)
歌いやすさを考慮した歌詞なのでしょうか・・・だとすればなおさら凄いです。歌を大切にされてる。
(・・・ヴォーカリストのACEさんにさらなる欲をいわせていただくなら、お得意のファルセットをうまく使われたらより素敵な作品が生まれるのでは?聴いてみたいです。)
そしてLUKEさん・・・、ライヴでのLUKEさんの歌、勢いがあって、表情もあって、特にリフにのるような作品は気持ちよいと思いました。
作品の輪郭を正しくなぞるのが歌ではなく、中身を正しく伝えるのが歌の使命だと思ってます。。。相手に気持ちを伝える…。
そのあたり、ギターに乗ってガンガン伝わってきてた。
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手法は様々でも、華があって観客をひきつける。フロントマンの最低条件ですかね・・・ちょっと初々しく、でも立派なフロントマンとして新たな出発をされたお二人にエールを送ります。
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(※)今回、厳密に調べたり他と比べたわけではありません。ライヴで聴いたときの感覚的な印象です。
(2002年4月23日)