「SONGS MAKE MY
DAY」
2003.7.24 in store
CRCP-20332 ¥2,300(tax in)
Sound produced by face to ace
80年代がどんな時代だったか知ってる人も、知らない人も、face to aceを知ってる人も、知らない人も、まずは聴いてみてください。
『知識』は、よい音楽のもとではちっぽけなことと感じます。
◇◆・・・とはいってみたものの、今回はレヴューというよりは、サウンド比較のような形式にしてみました。(なんで?^^;)
◇◆なお、音源によって音質も違うと思いますので、比較音源を以下に示します。
STEPPIN’OUT ----------->THE VERY BEST OF JOE JACKSONN
THE RIDDLE ------------->THE RIDDLE
SHATTERED DREAMS----->BEST OF THE 80’s JOHNNY HATES JAZZ
PROMISES,PROMISES ----->THE BEST OF NAKED EYES
WONDERFUL LIFE -------->WONDERFUL LIFE
P−MACHINERY ---------->a secret wish
◆1.STEPPIN‘OUT /JOE JACKSON
■原曲「STEPPIN’OUT」とは?
1982年。ピアノをこよなく愛する?JOE JACKSONの作品。
広がりはあるが軽く8ビートを刻むドラムに和音のエレピのテーマとベースが重なり、さらに1オクターブあげたテーマにグロッケン(鉄琴)も華やかに重なるイントロ。
そのピアノのテーマがそのままサビの歌メロになるというインパクトです。リズムとコードは単調に繰り返され、単純だがでも美しく品のあるポップス。
歌いまわしの力の入れ具合かな、最初に聞いたとき、一番ACEさんのヴォーカルイメージがついた曲でした。
それが、face to aceの手にかかると・・・?
大きな違いはリズム。このアルバムについて、80年代特有のスカスカな部分は「失礼ならが音を足したり」といつだか海月さんがおっしゃってましたが、このリズムはまさにそれ。
基本の8ビートの隙間を埋めるようにパーカッシブルでよりポップでテクノに。
音質としてはイントロの展開が原曲よりもメリハリがあって、奥行きを感じ、まず耳をひきました。ベースの音を徐々に明るく変調させたりするテクニックもニクイ。
明るいといえば、原曲キーより半音だったかむしろ低いぐらいなのに、明るく高く感じたのが不思議。音使いの響きのマジックでしょうか。
ピアノの強い原曲に比べ、ヴォーカルを前面にだしてくるのも、グロッケン音で刻んでた間奏のオブリをミュートのギターで弾いてる?あたりもface to aceらしい。
◆2.THE RIDDLE /NIK KERSHAW
■原曲「THE RIDDLE」とは?
1984年。オールマイティなミュージシャンNIK KERSHAWの作品。全英3位だったらしい。
「木枯らしに抱かれて」風(どっちがどっち^^;)にフェイドインしてくるマーチングバンド調のドラムに南米アンデスの香りを乗せたようなイントロで入ってくるPOPS。
巧みに繰り返される転調が耳と心をくすぐる。哀愁をおびたフォークロア調なんだけど、落ち込むわけでなく裏のりで心地よい曲。
それが、face to aceの手にかかると・・・?
一緒です(笑)。左右に降るバッキングの海月さんらしさや、ACEさんらしいギターアルペジオ、間奏でのトリルのアプローチ等はあるものの、「匂い」はまったく一緒。
ソックリさんショーいけます。
◆3.SHATTERED DREAMS /JOHNNEY HATES JAZZ
■原曲「SHATTERED DREAMS」とは?
1988年。Vo.G.Bの三人組、JOHNNY HATES JAZZの作品。全米で2位になったこともあるらしい。
ちょっぴり切ない印象的なシンセのリフのイントロに、甘いヴォーカルが重なるミディアムテンポのドラマティックな作品。
80年代も後半、音が研ぎ澄まされ、垢抜けて強く、広がっている感じがしました。
音の定位の持ってき方とか、アレンジの第一印象は一番face to aceに近いかなぁでした。
88年、考えてみたらACEさんも本田さんもデビュー後、バリバリに活躍されてた時代ですね。
それが、face to aceの手にかかると・・・?
柔らかい、まろやか・・・。頭のリズムのきっかけからしてストレートな原曲と違ってトリッキーでお洒落。
余韻たっぷりのピアノのリフ、薄く流れるシーケンス、原曲にないギターのカッティングの音も雰囲気がある。
(てゆ〜か、このJOHNNEY HATES JAZZさんって、G.いるはずなのに、どしてこんなに入ってない、出さないんだろ、時代性?^^;)
ヴォーカルもコーラスもそこはかとなく美しい・・・。
◆4.PROMISES PROMISES / NAKED EYES
■原曲「PROMISES PROMISES」とは?
1983年。エレクトリックデュオ、NAKED EYESの作品。全米で10位以内にはいったらしい。
印象的なギターのカッティングから入るミディアムテンポの曲。ハンドクラップ(なんて単語も久々に口にした気がする^^;)、シロフォン(木琴)の乾いた音も当時の流行といった感じでしょうか。
味のあるギターソロ後のカッティングのアプローチはかなり好きかも。危うげなギターの音が点在する、ルーズ感や気だるさがただよう作品。
それが、face to aceの手にかかると・・・?
気だるさを残しながら、きっちり感のある優等生が見え隠れするのは、やはりface to ace?
リズムも全体的に強弱のある16ビートでタテが原曲より強調され、レイト感のあるシンセフレーズの立ち上がりも原曲より早いためか、ノリというか、おさまりがいい気がしました。
ACEさんのクリーンなギターカッティングも鳥肌もん。しかしなんといっても絶品は原曲フレーズを拝借しながらも、彼の解釈で弾いたというソロでしょ。
◆5.WONDERFUL LIFE /BLACK
■原曲「WONDERFUL LIFE」
1987(6?)年。一発屋(?らしい)BLACKの作品。日本ではウィスキーだったか何かのCMにつかわれたらしい。だからなんとなく記憶にあるのかな。
いやぁ、寂しいというかうらぶれているというか(失礼)、なぜ、そんな悲しいストリングスから入る(ftaではでてきません。)、みたいな。
これもまた全体的にシロフォンな音がバッキングで流れてるのですが、4.とは違ったウェットな音に。そこに、泣きのSAXまで絡むという・・・。
リズムも8ビートのリム、サビでちょっと深い音のスネア・・・が基本という展開のシンプルなもの。
淡々と刻まれるバックに、独特な上品な質感のヴォーカル。「WONDERFUL WONDERFUL LIFE♪」という声とフレーズはいつまでも耳に残ります。
かなりよいメロディーなんだと思います。
それが、face to aceの手にかかると・・・?
ある意味、メロディの美しさとヴォーカルの質感だけで聴かせているような印象ももった原曲でしたが、face to aceは違います(笑)。
パーカッシブルなリズムと軽やかなバッキング。生っぽい音が多かった原曲よりエレクトリカルで軽い印象を持ちました。
でも決して冷たくならないのは、湿度の高いACEさんのヴォーカルと、サックスやアコースティックギター等の生楽器がきっちり仕事してるからでしょうか。
原曲にないアコギのアルペジオがはいってきたときには、おもわず「うわぁっ」と声がでてしまいました。サビに向かって作品の持つ景色の世界観が広がる感じがします。
GASBONさんのお洒落でウェットすぎないサックスソロも好き。
◆6.IT’S ALL A GAME /NATIONAL PASSTIME
■原曲「IT‘S ALL A GAME」とは?
聴いてないのでわかりません(笑)。
それが、face to aceの手にかかると・・・?
原曲知らないんで、手にかかると!もないんですが(^^;。
(・・・話はかわるけど、このアルバムのこのクロスフェイドインアウトこそしてないけど、隙間なく続けられる曲のつなぎは80年代ですね。ディスコサウンドを思い出す;。)
さり気ない単音フレーズですが、印象的な音と相まって耳に残るシンセリフ。厚く覆われた雲間から少しの光がさして、つい見上げてしまう空のイメージがして、湿り気のあるこのアルバムの中では、ある種のすがすがしさをも感じる作品でした。(歌詞は置いといて^^;)
伸びやかに歌い上げる、何人もの(?)若々しいACEさんのヴォーカルとスタイリッシュなアルトサックスとの絡みもよい。
このスネアの音、海月さんだな・・・とか思いながら、リファインされた原曲って;と思いを馳せてみました。
んが、・・・ご厚意により、原曲を聴くことができました。・・・・ということで、
■原曲「IT‘S ALL A GAME」とは?
「IT‘S ALL A GAME!」というハモリのフレーズが2回繰り返されて始まるんですね。
印象的なキラキラした音と少し落ち着いた音の、ユニゾンリフフレーズが続く。割と力のはいった歌い方のヴォーカルにハモリがきれいな曲。
泣きのシャウトやギター?はいったり、サックスも震えながら妙にジャジーに泣いたり、スネアも重め、でもハイハット跳ねてるし、ねらいは軽快な作風・・・なのだろうか、なのですが。
なにより、サックスソロ前の転調するベタなシンセソロ(リフ)・・・すごいです(^^;。戻り方も結構力技…おもわず笑ってしまいました。
曲調もテンポも違うんだけどなぜか「マイ・シャローナ」が頭をよぎったのはなぜ(^^;。オクターブのベースかな。
それが、face to aceの手にかかると・・・?
そうか、やっぱりあのベースラインは使わなかったか・・・(^^;でした。とにかく全然スタイリッシュになっています。
リズムもシンプルで軽く、その分ベースやシンセの小技で聴かせるような、海月さんの得意分野?。サビの効果的なギターカッテイングもかっこよいです。
転調もせず、シンセソロもつかわず、すぐにサックスソロに。原曲よりずっと力が抜けたヴォーカルが何よりよい。
◆7.P-MACHINERY /PROPAGANDA
■原曲「P-MACHINERY」とは?
1985年。作品。男女2人ずつのドイツ人4人組ユニット、PROPAGANDAの作品。
テクノっぽくもあり、ポップでもあり、でもヘヴィでもあり、いろいろな要素を持った音フレーズともに完成度の高い作品の印象を持ちました。
厚みのあるブラスのフレーズは一度聴いたら忘れられません。
この時代ならではともいえる、ある意味無意味で自己満かもしれない、でもこれがなければ始まらない(苦笑)とも思われるテクノロジーを駆使した入口に80Sを感じました。
女性ヴォーカルだし、ホントにこれをやったの?(CDで選曲ボタン間違えたかと思った。)とACEさんのイメージが一番つかなかった曲です。
それが、face to aceの手にかかると・・・?
こちらもそっくりさんシリーズ。導入のギミック的なテクノロジーのところも(進化して?)きちっとおさえられ、原曲キーより1音半かな?さげてるのに、匂いが一緒というのはスゴイなぁ。
迫力のあるブラスに負けない濃く歪んだギターには、久し振りにギタリストACE清水をみた気もしましたが、さてどうでしょう。
原曲よりハードなところはハードで、優しいところはいっそ優しく、メリハリの効いたface to aceのカヴァーここに極まるといった感じです。
(2003年7月26日)(2003年8月2日追記)