■ DEEP PURPLE with 新日本フィル セレクトオーケストラ■ 東京国際フォーラム ホールA 2001.3.24
今回のライヴはいつもと勝手が違う…
何しろ、オーケストラを従えてのライヴだという、時々話は聞くものの、私にとっては全く初めての体験です。
場所は有楽町の東京国際フォーラム、都心にどうしてこんな土地があったのかと思うぐらい、大きな建物です。
開放感があり、柔らかい光が差し込む建物の中をエスカレーターでどんどん昇っていく、今回の席は2階の下手より、前から4番目でした。
ステージの上は奥にオーケストラの楽器が並び、透明なついたてをはさんで、手前にバンド機材がセッティングされています。
機材は下手ギター側、足元には幅1m以上はあるだろうという範囲でずらっとペダル類が並んでますが、特にアンプが積み重なってるでもなく、
ラックの両端にスピーカが並ぶ程度の質素な感じ。
キーボードは舞台中心にグランドピアノ、その下手よりに、高校時代憧れたハモンドオルガン。
なんたって、私はジョン・ロードさんのオルガンのコピーからバンド始めた人間ですから、生でみられる日がくるなんて…。
その後ろの白い冷蔵庫みたいなものは?下のほうで何か回ってる感じ、これがあのレスリースピーカー?ハモンドとは切っても切れないパープルオルガンサウンドのうねりをだすスピーカーです。
たぶんそうだろうと勝手に思いながら、上手側に目をうつしていくと、タム?台の上に2つ。その横にはドラムセット。そしてベースアンプ。
特に仕掛けもないシンプルな舞台です。
19:00、ほぼ定刻に新日本フィルセレクトオーケストラのメンバーが現れました。総勢80名以上はいると思われる。さすがにステージ半分では窮屈そうです。
黒いスーツのジョン・ロードがステージに登場、指揮者の紹介が終わると、ピアノで始まる荘厳なオーケストラ曲。
やがて白い布をまとった衣装の男性が現れゆったりと歌い始める、落ち着いたしかし伸びのある歌声。「イアン・ギラン?」と耳うちするツレ。
「さぁ…」それくらい自分たちの思っているヴォーカリストとは違ったソリストがそこに立ち、想像しなかった音の世界が展開されていきました。
オケとピアノとヴォーカルが織り成す厳かな世界…。
「ロニー・ジェイムス。ディオ〜」の声にふと我に返る。「えっいきなりですかぃ?」
登場したのは、それまでの雰囲気とはうって変わって、コテコテのロッカー仕様のおっちゃん(失礼)。小柄で華奢で、動きも軽やか。
いつの間にか他のメンバーも定位置についてます。
いよいよ、ロックとクラシックの競演です。
キーボードとハープのユニゾン、ギターのカッティングの後ろで流れる本物のストリングス。贅沢だ〜。チェロのソロもまじえ、曲は進んでいきます。
ギタリストのスティーヴ・モース、恐ろしいほど上手で、歪んだ音もクリアな音も、ハーモニクスまでいい音で鳥肌がたってしまいました。
こんな言い方してよいのかわかりませんが、スタジオヴァージョン聴いてるような演奏の正確さでした。客席を魅了します。
ロニーのパワフルなヴォーカルもそれに負けていません。ちょっとおどけたパフォーマンスもあり楽しませてくれます。レインボー曲もあり〜のであっという間の4曲でした。
ブラヴォー!
また、オーケストラにスポットがあたり、客席に静寂が戻ります。
ジョンがつくった?シンフォニーです。
現代音楽はほとんど聴かないのでわかりませんが、クラシックで考えれば、ストリングスでそのフレーズやらないでしょ。というようなギターちっくなフレーズもあり、
<4分音符2つに(16分休符16分音符8分休符)×2で1小節>みたいなのの繰り返しとか…(わかりづらい説明^^;裏ノリを多用してるってことです。)
難易度高いなぁって思いながら聴きました。
オーケストラの音は…、電気楽器と融合しなければならないので、仕方ないと思うんですが、個人的には違和感がありました。音の定位ってゆーんですかね。
当然、通常のオケのコンサートと違って、マイクで拾った音に処理がされているわけですが、
本来、オケではこの楽器はここから聴こえるんじゃないかっていう部分がボケているように感じました。
もちろんステレオで、きちんと処理されてるんですが、生に比べてどうしても真中でまとまってしまうように聴こえる。
音質についても、ヴァイオリンのピチカートの音とかピアニッシモにしたときの音とか、ブラスはいいんだけど、クラリネットとかオーボエとか。
繊細な音にパワーがありすぎるように感じるのが気になりました。
ただし、それは電気楽器とあわさると威力を発揮しますので、気になったのはオケだけになったときだけです。
逆にいえば、それだけオーケストラ中心の演奏会だったということが、お察しいただけるでしょうか。
15分の休憩をはさんで、またオーケストラは続きます。もちろん、イアン・ギランは歌うし、タムたたくし、ロックの演奏もあります。
イアン・ペイスのドラムにティンパニーやタイコやシンバル、いわゆるオケのパーカッションが絡んだときはぞくっとしました。
オルガンとシロフォン(ってゆーのかな木琴です。)の掛け合いもかっこいい。
ただ、多分みんなが聴きたいパープルではないのかなと。
演奏も佳境にはいったとき、聞き覚えのあるフレーズが、「STRANGE KIND OF WOMAN」?。会場は盛り上がります。
ロジャー・グローヴァーのベースも魅せます。もう50歳半ば過ぎのイアンもフェイクこそほとんどないものの、上手くカヴァーしながらのロックのステージでした。
〜アンコール〜
スティーヴのギターから聴いたことのあるリフ。ZEP?それはシャレだったようで、続くあのリフ、「わぉ」。
会場の異常な盛り上がり、一瞬会場が揺れた感じがしました。「SMOKE ON THE WATER」です!!!
ロニーも飛んできました。
何しろあの有名なイントロのリフをバンドはもちろん、弦楽器も管楽器も一丸となって(笑)奏でます。あのリズムにあわせて、ヴァイオリンの弓が動く(笑)それはもう壮大な光景でした。
会場も負けじと「SMOKE ON THE WATER〜♪」イアンに導かれての大合唱。最後はロングフェイクも決まり、興奮のうちに幕を閉じました。
休憩をはさんだものの、3時間という長丁場、お疲れ様でした。年齢相応のライヴをみたという3時間でした。
そして、バンドは変態しつづけているということを認識しなければならないということを考えさせられるライヴでした。
(2001年3月24日)