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ヴォーカリストとして=ACE


清水さんの歌声

初めて清水さんの歌声を意識したのはいつのことだったろう…と遠い記憶を呼び起こしてみる。

そうだあの時だ。。。

それはまだCDなんてほとんど無かった時代、1986年の春頃。聖飢魔IIにはまって、でも貧乏学生だったのでLPなんて買えなくてもっぱら貸しレコード屋さんにお世話になってました。
しかし、私はどうしても手にいれたいものがあった。シングルカセット。。。そう今じゃ演歌歌手も出してるか出してないかの代物(笑)。聖飢魔IIにもそんな時代があったのですな。
じゃぁなぜ、シングルレコードでなくシングルカセットだったのか!? カセットには必ずカラオケがはいってまして。。。
当時、好きな歌はダブルカセットに録音して歌ってみたりと、ひとり悦にいっていた大馬鹿者の私にカラオケは必須アイテムだったわけです(^^;。

だが、これが意外な副産物をもたらした(?)。なんといってもカラオケだからコーラスが丸裸になるのです。うわっ閣下じゃない声がはっきり聞こえる...
「こ〜んやもひとり、い〜けにえになるぅ♪」
これが私が清水さんの歌声を認識した最初でした(笑)。ストレートでかわいい声、が第一印象。
少年のような声は、その1年後「やきつくせ〜♪」でも聞くことができましたが、ちょっと微妙な音程すらも嬉しくて、何度も聞いてニヤけて、ただただトロけてた憶えがある(笑)。
でもそれは信者(ファン)としての単純な喜び。

ソロ・ヴォーカリストとしての清水さんの歌に魅せられるまでに、それからまた数ヵ月を要しました。
87年11月発布(発売)の、第四大教典(四枚目のアルバム)「BIG TIME CHANGES」の「ANGEL SMILE」です。
清水さんが歌ってるらしいというのは知っていましたが、あまり意識せずアルバムを聴いていて、それまでと世界観の違うラストで驚いた。
なんて柔らかく優しい声で歌う悪魔なんだって、そこまでの緊張感がふっと解けて、ぞくっとした。(悪魔にしとくのはもったいない?(^^;。)

ハードなヴォーカルばかり聴いていた私の耳に新鮮に残った「ANGEL SMILE」は、聖飢魔IIを聴かなくなったその後も、時々思い出しては聴いていた作品の一つでした。
そのある種の衝撃は、当時作った自分のオリジナル作品に「angel smile」というタイトルをつけさせていただいたほど。
(後にも先にも、どなたかと同名のタイトルをつけたのは、この一曲だけです。)

ANGEL SMILE

その「ANGEL SMILE」が14年たって戻ってきた。ヴォーカルについて、ご本人が「あぁ、そんなに進歩してないなって思った。」とおっしゃるこの曲を私はこう聴きました。

いやいやご謙遜を・・・。(^^)

一音一音つぶが揃って大切に歌われている…サビが太く伸びている(長きに渡るロックコーラスの賜物?)。そしてフレーズの出口に気配りが感じられる。

以前、清水さんの正確なコーラスのよさを語ったとき(コラム「ここがすごい=エース清水」参照・笑)、
コーラスは頭の入りが大事で、むしろヴォーカリストは、頭の音程等が多少おかしくても、どこかでツジツマがあえばいい。
最後の抜き方に注力してるヴォーカルの方が余韻があって、私は好きだ。というようなことを書かせていただきました。

もともと清水さんは、フレーズの入口に関しては安定した音程にくわえ、吐息まじりにささやくような女殺しのテクをもってらっしゃる(笑)。
でもお尻の抜きかたは14年前のテイクはそっけないイメージが私にはありました。

「face to ace」では、少しヴィブラートをかけたり、ひっかけたり、フェイクしたり、
甘いヴォーカリストの必須条件(ヴォーカルの質が違えばまた変わる。)が備わってきたというように、僭越ながら感じています。

ヴォーカリスト

自分の作品を理想的に表現するのに、他人とは「音符にならない程度の微妙なメロディの曲線が違う。」というようなことを、ご自身もおっしゃってました。

結局、正確さが決め手のコーラスとは違う、ヴォーカリストに必要な個々の「味」というのはそこだと思っています。

もしかしたら、中間音の出せるギターという楽器を扱う人ならではの音と音の間の繊細なニュアンス表現は、ヴォーカルに通じるのかもしれない。

清水さんは「ヴィブラートたっぷりで、歌いあげるヴォーカルのみが良い」と思っていた私に、最初に「違う」と気づかせてくれた人。
14年経ったマキシでも「このヴォーカルはACEさんじゃなければ・・・」。こういうヴォーカリストも「あり」と思わせてくれた人。

ヴォーカリストとしてのステージ、楽しみにしております。

 

(2002年2月14日 ヴァレンタインデーに寄せて・・・はい、今年もなまいきで勝手なことを語らせていただきました。。。スンマソン。ちょっと直した。)