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モニュメントウォークの記録です
「1.17希望の灯り」
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中日新聞 2002年1月22日
大震災の苦しみの中、国籍や宗教、肩書きの違いを超えて助け合い、支え合った「心」を次の世代に語り継ぎ、世界へ伝え広げる仕組みをつくろうと、阪神大震災の遺族や被災者らが、特定非営利活動法人「阪神淡路大震災 1.17希望の灯り」を設立する準備を進めている。被災地だけでなく、全国そして世界からの参加を呼びかけている。

「子供を失ったショックは、七年たってもまったく変わっていないし、絶対に忘れることはできない。生き残ったのではなく、生き残された私たちには、まだやるべきことがある。それをやっていかないと『おやじ何してんだ』と先にいった子に笑われます。

震災からちょうど七年たった今月17日。NPOの設立発起人に名を連ねた神戸市北区の会社員、白木利周さん(59)はこう淡々と語った。白木さんは同市東灘区の自宅で被災し、大学生だった長男健介さん(当時21歳)を亡くした。

白木さんがNPOにかかわるきっかけは1999年4月、犠牲者を悼んで被災地に建てられた慰霊碑を訪ね歩く運動「震災モニュメント交流ウオーク」に参加したことだった。この運動は、失われた6432人の命を「個人の死」ではなく、「みんなの死」として受け止め、体験を共有しようと市民グループが同年1月から始めた。

「被災した時、皆さんからもらった温かい心を伝えていくにはどうしたらいいか。私たちがいなくなったら終わってしまう。一人の力ではどうしようもない。大きな組織が必要じゃないか」。交流ウオークで知り合った遺族や被災者らと語り合ううち、こんな思いが高まってきたという。

池田小学校(大阪府池田市)の児童殺傷事件、米中枢同時テロ、アフガニスタンへの報復攻撃など、悲しい出来事が世界中で相次いだことも、遺族らを突き動かした。

「自分たちには集える場があって、悲しみや苦しみを吐き出すことができた。こうした悲劇に遭った人たちにもそんな場がつくれないだろうか・・・。遺族からこんな声があがりました」。被災地でのボランティア活動に取り組み、設立発起人会の代表を務めることになった俳優の堀内正美さん(51)が遺族の思いを代弁する。

発起人には、白木さんら遺族7人のほか、堀内さん、市民ボランティアら11人が名を連ねた。

「希望の灯り」は、神戸・三宮に建てられているモニュメント。被災者やボランティアが全国から持ち寄った種火がここにともされており01年には50人の市民ランナーが復興支援への感謝の印として、この火を全国69都市に届けた。

NPOは震災の体験やそこから生まれた「生きる知恵」を語り継ぐことや、災害や事故、犯罪で傷ついた人への心のケアんどを活動内容とする。3月10日に神戸で設立総会をする計画だ。

堀内さんは「第2次世界大戦が終わっても次の戦争が続いている。悲しみや苦しみ、絶望を伝えていかなかったために愚かなことが繰り返される。個々の遺族がいなくなっても、語り継いでいけるような仕組みつくりたい」と話し、さまざまな分野の人の協力を求めている。発起人の連絡先は「神戸からの感謝の手紙事務局」=電話078・321・3921。