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熊野詣で(つづき) 8月17日 第一話
<大阪駅の変なおじさん・・・そして紀伊田辺に>

2004年8月17日
我々の乗った高速バスは予定通りAM5:00に京都駅に到着。
窓際の席で爆睡中のあっくんを起こさないようにカーテンから外をそっとのぞくと・・・雨である。

「この先はどうかなぁ?・・・まぁ、いいか何とかなるさ・・・」
京都駅で2割ぐらいの乗客が降りた。
京都駅を出発すると、あっくんがお目覚めである。
「あっくん、ここ京都だよ。」「・・・・。」あっくんは一生懸命カーテンの隙間から雨の京都の朝景色を見ていた。
・・・特にあっくんは感想を発しなかった。

定刻よりちょっと早いAM6:00に大阪駅着。大阪駅の外を見るのははじめてである。
まぁ、見ても特に感動も無かったのだが・・・・

それにしても、大阪駅と言うところはわかり難い駅であった・・・(はじめてだとこうなのかも知れないが・・・)
兎に角、JRの駅でJRの切符を買うのにこんなにみどりの窓口を探し回った事は過去に経験が無いのである。

やっと探し当てたみどりの窓口・・・ここで私に切符を売ってくれたおじさんも非常にわかり難い方であった・・・
私:「えー、紀勢本線の紀伊田辺駅まで行きたいんです。
   スーパーくろしお一号の指定席って2座席空席ありますか?」
みどりの窓口の駅のおじさん:
  「くろしおにはどこから乗るの?」
私:「???あっ、天王寺駅が始発ですよね。天王寺ってここから近いんですか?」
  って言う、関西初心者発言をしておいたのだが・・・
駅:「あのねぇ、くろしおはねぇ、新大阪から出るんです。」
私:・・・時刻表には天王寺って書いてあるのにな・・・間違えてるんだ・・・・
  「じゃ、この駅から近いほうで良いです。」
駅:「そう、じゃあ新大阪ね。」
私:「新大阪ってそんなに近いんですか・・・」
駅:「うん、すぐとなり。」
  ・・・・
駅:「あれぇ?・・・・・ないな
   違いますよお客さん。くろしお一号は天王寺発ですわ!」
  ・・・って怒られた・・・・
素直な私:
  「あぁ、そうなんですか、じゃあ天王寺からにしてください。
   それから、指定席は海側の席にしてください。」
駅:「???」何言ってるのこいつ???って感じで・・・
  「一応、山側と海側があるんだけれど、どうせ山ん中走っちゃうから関係ないですけど・・・」
  ・・・・
  「あぁ、海側の席は無いね、山側なら空いてるけど・・・」
  ※今思えば、この時点で 天王寺始発だし、この時間から行ってれば海側の自由席に乗れると思うよ・・・って言って欲しかった。
私:「じゃ、大人と子供一枚づつ下さい。」
  ・・・・
  お金を払い・・・
私:「天王寺駅にいくのはどっちですか?」
駅:「あっちが改札だから行けば判るよ。」
気の弱い私:
  「どうもありがとうございます。」

  ・・・
  その場所は、歩いて一分のところにある中央改札口でした。
  しかし、行っても良くわからんのです・・・特に視野の狭い私は看板を探すのが大変苦手なのです。
  ・・・・
私:「あっくん、天王寺ってどうやって行くのかな?判らないね・・・駅員さんどこかにいないかな?」
あ:「僕、便所行きたい・・・」
私:「ああいいよ・・・行っておいで。」・・・

中央改札口の案内所の駅員さんに聞くと、
「入って一番左側のホームに行ってください。環状線というのがあります。
 その環状線の内回りに乗ってください。」・・・と、明快な答え。
私:「なんか、天王寺まで行けそうだね・・・」

ホームに行くと、その内回りのホームには奈良行きが・・・外回りのホームにはちゃんと外回りが来るのだが・・・
・・・良くわからないので駅員さんを探すのだが、居ないのでその奈良行きに乗っている人に、
「この電車、天王寺に行きますか?」って聞いたら、何もいわずに首を斜めにどちらかと言うと縦風に振った。
こういうファジーな返事をされたことが無いので・・・「えっ?」と聞き返すと、
その人は僕の顔を見ながらそのまま眠ってしまった。
・・・この人の背広の胸にあるバッジから、つい2週間ほど前まで僕が勤めていたVという会社と深い関係のある
Mという家電メーカの人である事が伺えた。

不安ながらも、そのまま電車に乗ると確かに天王寺に辿り着く事が出来た。
意外と、大阪→天王寺は時間がかかったような気がしたが・・・

天王寺に着いて、今度はくろしおの乗り場がわからない・・・・駅員さんに聞いて一番左のホームで待つ・・・
まだ、AM7:00前である・・・実は、くろしおに乗らなくても天王寺をAM6:47に出る紀伊田辺行きがありその方が早く付くのだ。
しかし、我々のようにでかい荷物を背負った身ではぎゅう詰めになることが予測される通勤電車に乗る勇気は無いのである。

待っている間に、電車の中で食べるように飲み物とお菓子を買う。
・・・朝飯をどうしようか??という事で、丁度くろしおが入るホームの入り口にある駅そば?の店で「食べる?」と聞くと、
あっくんは「いいよ、電車で食べよう。」

私は、駅員さんに駅弁の事を聞くべく、あっくんをそこに残し調査に向った。
改札口の案内所の駅員さんを捕まえしばし駅弁談義。
彼曰く: 味を気にするんだったら目の前KIOSKでコンビニ弁当(おにぎり・サンドイッチ)を買うのが無難だよ。
 くろしおの車内販売は和歌山からだから紀伊田辺に着くまでに買えるか判らないのでこの駅で買うのが良いだろう。
 しかし、最悪なことにここの弁当は・・・(はっきりと言わなかったがマズイという事はひしひしと伝わってきた。)だから、
 私は勧めませんが、あとは貴方が次第です。
私:「わかりました。じゃあ、まずい飯を買ってくろしおに乗ります・・・ありがとう。」

私は、まずいのを承知で改札口から右側に行き、ホームへ階段を降りお弁当を2つ買った。
あっくんの待つところへ戻ると彼はおりこうさんにして待っていた。
私:「あっくん、なんかね、駅員さんに聞いたらここの弁当まずいって・・・でも買ってきたよ。」
あ:「うん、お菓子あるから良いよ。」

しばらくすると、特急風の車体が我々の待つホームに入ってきた。
列車の鼻先には「はんわ」と書いてある???くろしおじゃあないんだ???
その電車がホームに着くと、サラリーマンがぞろぞろと降りてきた。

その車両は車内清掃が終ると、くろしお一号に変身した。
あっくんと早速乗り込む。自由席は未だガラガラで海側の席が全部空いている・・・・
定刻AM8:01だらだらとくろしおは天王寺駅を出発した。

案の定、駅弁は今まで食ってきたどの駅弁よりもまずかった。
このお弁当の名誉のために言っておくが、私は薄味が好きだが京料理のように素材の味・・・とか言って殆ど素材の味しかしないような
料理はあんまり好きではない・・・というよりも、セロリみたいで嫌いなのだ。今回買ったお弁当は雅過ぎたのか?
私の口にただ合わなかっただけであろう。

「この雨の中、田辺に着いたらどうするか???」と思案するを私と、
「お父さん、いったい僕をどこに連れて行くのかな???」とちょっと不安なあっくんを乗せて、スーパーくろしお一号は
一路紀伊半島を南下するのであった。

途中、日根野という駅で関空へ行くにはここで分岐することを知る。
何度か関空から海外に出たことがあるがこんなに和歌山に近いという事は知らなかった・・・学習。

それにしても、大阪駅の駅員さんの言っていた山の中を走るから関係ないって・・・何???やっぱり海側が断然良いよ。

南下するにつれて空は徐々に明るくなっていった。
黒い雲の下に見える灰色の海を見ながら、晴れた日の海は綺麗なんだろうな・・・と想像するのである。
すると、何だか海が綺麗に見えてきて、車内に流れる「タッタタラララタラララタララー」と牧真二みたいに幸せになれるのであった。
一々感動する僕と、無感動なあっくん・・・「ほら・・・あそこ面白い形の岩が見えるよ・・・」「ふ〜ん・・・」・・・

駅の前が砂浜になっているところなどの海岸線を走り始めるとすぐに紀伊田辺である。
駅のホームに下りると、もうそこは幟とポスターで熊野古道ムード一色である。

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