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五木寛之

晴れた日には鏡を忘れて  2005年08月読了
推理小説じゃないんだけれど・・・先の展開が楽しみで一気に読み進めてしまう作品。
醜いアヒルの子が美しいセレブへと変わっていく夢のあるお話し。
だだ一言・・・人間も犬も猫も、外見が良い方が有利であるに決まっている。

海を見ていたジョニー  2005年08月読了
海を見ていたジョニー・素敵な脅迫者の肖像・盗作狩り・CM家業・私刑の夏 の五編からなる短編集。
「・・・・(略)ジャズを好きだってことは、人間が好きだってことだ。ジャズ的ってことは、人間的ってことだ。汚れた手で、本当のジャズがやれるはずはない。・・・(略)。」
海を見ていたジョニーの黒人兵ジョニーの言葉だ。
ジョニーはこの後ベトナム戦争へ行き前線で沢山の人を殺戮してきた(多分・・・)。
そして再び戻ってきたジョニーは、もう自分は汚れてしまったから以前の様な音楽は奏でられない・・・と言いながらピアノに向かう。
そのジョニーの奏でる音楽は・・・「今までの最高の演奏だ!」と言われる。
ジョニーは、今まで音楽だけは心の美しいものだけに許されたものだと信じてきた。
・・・五木さんの2002年の作品「運命の足音」で、満州で軟禁されていた五木少年の家族らを踏み付ける鬼のようなロシア兵達が、夕方兵舎へ帰る時に美しいコーラスで歌うのを聞いて「音楽の美しさは、人間の美しさと関係ない・・・」と悟った。
僕は、あの一節を思い出しながら読んだ。

雨の日には車をみがいて  2005年08月読了
何度目かの再読。
僕も車が大好きで、車への思い入れが伝わってくる名著。
読後感がすっきりしていて、こういう作品をたまに読むのも良いもんだ。
あの五木さんの車遍歴もシムカから始まったんだ・・・と思うと少し安心。

白夜物語  2005年07月読了
北欧を舞台とした 霧のカレリア・夏の怖れ・白夜のオルフェ・ヴァイキングの祭り の四編からなる短編集。
僕は五木さんのこういう小説が結構好きなのだ。
特にヴァイキングの祭りは秀作。

にっぽん三銃士 上・下  2005年04月読了
読んでいて大変に楽しくなる物語。
タイトルから来るように3人の男達が奇想天外に・・・逆ハンぐれん隊の様な痛快さで暴れたり落ち込んだりしてくれる。
この現実味の無さが読んでいて気持よい。

大人の時間 上・下  2005年03月読了
まるで我が家を見ている様だ・・・

メルセデスの伝説  2005年02月読了
前に五木さんの著を読んだ時が前職を辞める時であった。
あの頃は、急激に視野が狭くなった後であり眼の調子が悪くって何をしてもつらくって仕様が無かった。
そんな眼も、この約半年の静養では悪化せずに居たため今では違和感無く何でも出来るようになった。

さて、メルセデスの伝説をなぜ今更に読み始めたかというと・・・BookOFFでまとめて五木さんの本を買ってきたからである。
・・・やはり、五木文学のひとつの重要なエッセンスなんです・・・車が・・・
五木さんというと”カーグラTV”だし・・・”逆ハンぐれん隊”が有りで、五木さんの車物の作品はすっきり清々しく気持ちよく読めるのである。
この"メルセデスの伝説”は、かの怪物グロッサー(僕は怪物ヒキガエルと記憶していた・・・)と戦中戦後の微妙な時期のお話。
僕が生まれたのは、戦後で平和な時代になってから・・・とずっと思っていたのだが、戦後16年しか経って居なかったんだ・・・とふと思い出した様に気付いた作品。

運命の足音  2004年07月読了
眼の焦点が合わなくなっちゃたので読書を控え気味にしている。
そうは言っても全く活字を追わない生活も出来ないので珍しくハードカバーの本を読んだ。

この本の中で五木さんは変化していく。
過去を少し曝け出しただけなのだろうが充分に衝撃的であり、自分を少し自嘲的に書き・・・
ずっと僕はこの本を読みながら数々の親鸞・蓮如の言葉を反芻しながら読んだ。
特に、親鸞の次の言葉を鮮明に思い出した。

 真の知識にあうことは
 かたきが中になおかたし
 流転輪廻(るてんりんね)のきわなきは
 疑情(ぎじょう)のさわりにしくぞなき

この本は約一ヶ月を費やしてじっくり読んだ・・・
兎に角色々考えさせられたし、久しぶりに読むのが辛い作業でもあった。

あわれあわれ、存命のうちに皆々信心決定あれかしと、
朝夕おもいはんべりまことに宿善まかせとはいいながら、
述懐のこころ、しばらくも止むことなし
御文章(御文)  蓮如

僕の頭の中はパニックになってしまった。
記憶のずっと向こうに行っていた親鸞の言葉が次々に蘇り・・・いったい自分は何をしているのだろう?・・・

人生案内  2002年12月読了(再読)
この文庫の元となった「夜明けを待ちながら」から数えて3〜4回ぐらい読み返しているのかな?
最近凹んでいる時に読むのは、「大河の一滴」とこの本だね。
決して、生きる勇気を与えてくれるわけでもないし、何かの答えを与えてくれるわけでもない本なんだけれど・・・

五木さんは、僕の大学生時代の前後で大きく変化した作家なのだ。
前期は、「恋歌」(この小説が大好きだったんだな・・・)や、あの名作「青春の門」(学校を一週間休んで読みふけった)等のグッと心を掴まれてしまうピュアな長編物、
80年代前半には仏教のお勉強のため暫く休筆。
僕が社会人になった85年から執筆を再開して、バブル期には”車の好きな作家”として、カーグラ等に露出しまくったり、またまた僕の大好きだった「逆ハンぐれん隊」シリーズで爽やかな小説を書く一方、世紀末に向けて世の中が荒んでくると、あの「大河の一滴」や、この本等の”人生”物を書いてくれる。
まあ、何と言うか、僕の人生の節目々に五木さんの作品がある訳で、何とも形容しがたいのです・・・
でも、シーナの作品みたいに片っ端から五木さんの作品を読んでいこう・・・と、ならないのもふしぎだな〜。
多分、読んだあと結構疲れちゃう部分があるんだね。
で、下世話な話だけれど・・・この人の過去、絶対語らない部分があるんだけれど、すごくヘビーな経験をされているんだろうねぇ・・・

僕が、初めて五木さんの手になる書を読んだのは、中学生のとき「かもめのジョナサン」という五木さんの訳の本がそうだったっけなぁ。

過去に読了している本(覚えているやつだけ・・・)
恋歌
青春の門<筑豊篇>
青春の門<自立篇>
青春の門<放浪篇>
青春の門<堕落篇>
青春の門<望郷篇>
青春の門<再起篇>
疾れ!逆ハンぐれん隊
爆走!逆ハンぐれん隊
危うし!逆ハンぐれん隊
珍道中!逆ハンぐれん隊
挑戦!逆ハンぐれん隊
怒れ!逆ハンぐれん隊
大河の一滴
夜明けを待ちながら