電解コンデンサは電子部品の中で特に寿命が短い。
特に熱の影響が大きくパッケージには85℃とか105℃とかの許容温度が書いてあるが、
高々この程度の温度で2,000時間保障されているだけなのだ。
僕が以前乗っていたホンダ・ビートのコンピューター基板も電解コンデンサが液漏れを起こし心停止を起こしたことがあった。
これも、電解コンデンサの寿命の一つであろう・・・(本当は設計者が世間知らずの馬鹿だからなのだ・・・全くもって迷惑である)
以前に勤めていた会社では、海外工場に入れた洗浄装置に付いていた三菱電機製のインバータから出火し装置の制御盤が焼けた事(2回)がある。
この時も、電解コンデンサが焼けて素っ飛んでいた・・・これは電解コンデンサに問題があった訳では無いようだが・・・
電解コンデンサ自体は定格一杯で使ってもすぐニ壊れるものではないが、寿命は加速度的に短くなっていくのだ。
良く、数年使用した機器が故障し電装BOXを開けて見ると電解コンデンサが破裂している事がある。
調べてみると電解コンデンサが逆実装されていて1V程度の逆バイアスがかかっていた・・・
「ほー5年も持ったじゃん・・・このコンデンサエライな〜」
1V程度の逆バイアスならば結構耐えられたりするのである。
ただ、電解コンデンサが破裂すると電解液が飛び散って汚い汚い・・・とても触る気にならないくらいバッチくなってしまう。
もう一つ・・・
自分で設計した基板が仕上がってきたとき、真っ先に電解コンデンサの極性を確認しよう。
それから、通電するときに顔を基板の上に持っていくと危険だ!
若い頃、出来上がってきたCPU基板に初めて通電した時に基板を覗き込んでいた僕の顔にコンデンサが焼き栗の様に飛んできた。
幸い2mmほどの火傷を負っただけで済んだが、あのコイル状の内臓が”パン!”飛んで来るとたまったものではない。
本当にビックリ箱以上にインパクトがあるのだ。
電解コンデンサの寿命は下記の式で表される
Lo :基本寿命
T1 :コンデンサ許容温度
T2 :コンデンサの使用温度
この式から寿命は周囲温度によって決まると読める。(アレニウスの温度x2速)。
電解コンデンサの寿命は電解液の余剰量と電解液をシールしたゴムから漏れて蒸発する
(蒸発以上に漏れる事もある=液モレ)スピードで決まる。
そして、そのスピードを決定するのは温度であり、寿命は温度によって決まると言える。
今まで書いてきたのは電解コンデンサの破裂関係ばかりだが・・・実際に最も多い故障モードはコンデンサの容量抜けであろう。
特に、電源の平滑回路で使われている電解コンデンサは電圧のスイング量が大きいのでトラブルが多い。
容量抜け・・・と言われる症状なのだが、容量が小さくなったって見た目では判らないのでナカナカ気が付かないのである。