層状化合物への

インターカレーション

 

 

 

 

 

 

 

目次

1 背景―――――――――――――――2

1-1 β-ZrNClとβ-HfNClTcについて-2

1-2 層間距離の大きな物質を考える―――3

1-3 ZrOClについて――――――――――4

    1. ZrOClの作成法――――――――――4
    2. β-CeSIについて―――――――――6
    3. β-CeSIを得るには――――――――7

2 目的―――――――――――――――9

 

3 β-CeSIの作成――――――――――10

    1. 実験方法――――――――――――10
    2. 実験結果――――――――――――12
    3. 考察――――――――――――――18
    4. 今後の課題―――――――――――19

1背景

    1.  β-ZrNClとβ-HfNClTcについて

Zr-Zr間距離)<(Hf-Hf間距離)

t∝r3/d5 ,  D(ε)∝t-1

Tc=1.33θexp-1D(ε)V)

(β-ZrNClTc)<(β-HfNClTc

層間距離-大で、Tc-大となる。

1-2 層間距離の大きな物質を考える

☆ β-ZrNClやβ-HfNClと同構造で層間の大きな     物質としてZrOClとβ-CeSIが考えられる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1 バンドによる層間の模式図

1-3 ZrOClについて

CORBETTらの論文によると、

ZrX ZrO2 ZrXOy ZrOx

XClBr

という反応で、ZrClOy)が完全に酸化状態になる

y=1)と、ZrClOy)はSmSI構造の結晶となる。

    1. ZrOClの作成法

  • 容器の端を閉じた後、シリコンの覆いで放電アーク溶接。

  • 後、炉冷。

1025℃で10日間

890℃で14日間

ZrX0.11ZrO2にて)

 

 

* 実験をすぐには実行出来なさそうだったので、 この物質を作る実験は今回行わず、後ですることにした。

    1. β-CeSIについて
    2. CeSIを高温にして出来る(above500℃)β-CeSIは、

      SmSI型の構造となっている。

      1 構造と標準圧力相における格子定数

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

      2 α-CeSI型とSmSI型の層の構造

    3. β-CeSIを得るには

反応式は

CeI3 + S = CeSI + I2

である。

Zur Hochdruckpolymorphie der Seltenerdsulfidiodide LnSI

というBECKらの文献によると、

また、ICDD cards によると、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目的
  2.  

     SmSI型であり、層間距離がより大きいβ-CeSIを作成し、インターカレーションを成功させ、より高いTcを目指す事。

     また、この構造の物質に対するインターカレーションの試みを他ではやったという報告はなく、出来あがる物質の性質(熱電材料、強相関電子系)にも興味が持てる所である。

  3. β-CeSIの作成

      1. 実験方法(1

<加熱プログラムは以下の通り。>

   20分    1時間    1時間

室温 ⇒ 150℃ ⇒ 150℃ ⇒ 450

60時間

 ⇒ 450℃ ⇒ 炉冷

      1. 実験方法(2

      1. 実験方法(3

    1. 実験結果

X線回折装置による結果は以下の通り。

結果総括

450℃で

3日間

原材料のピークと

ほぼ変わり無し。

550℃で

3日間

原材料のピークと

ほぼ変わり無し。

カーボンのペレットを入れ

450℃で

1週間

変化はあるがβ-CeSIのピークは

出てきていない。

主なピークで一致しそうなのは

Ce(IO3)3

d 3.3426.7度) 3.1028.8度) 2.0943.3度)

であった。

3-3考察

 原料となるCeI3のピークが既にICDD cardsのデータと一致していないことを考えると、原材料CeI3(高純度化学研究 純度99.9% 形状Anhydrous)が既に変質してしまっていた可能性が考えられる。

 実際に物質を作ってみたが、β-CeSIは出てこなかった。作成方法を見てみると、時間をかけるかカーボンを入れるかで変化が現れることはわかる。しかし目的の反応がほとんど進んでいないのかもしれない。

3-4今後の課題

論文の記述にある方法の再現度を高めるために、

という方針で試料をうまく作成し、インターカレーションを行うことができるようにすることが、当面の課題である。