層状化合物への
インターカレーション
目次
1
背景―――――――――――――――21-1
β-ZrNClとβ-HfNClのTcについて-21-2
層間距離の大きな物質を考える―――31-3
ZrOClについて――――――――――42
目的―――――――――――――――9
3
β-CeSIの作成――――――――――101
背景(
Zr-Zr間距離)<(Hf-Hf間距離)
t∝rd 3/d5 , D(εf)∝t-1Tc=1.33θdexp(-1/D(εf)V) |
(β
-ZrNClのTc)<(β-HfNClのTc)
層間距離-大で、 Tc-大となる。 |
1-2
層間距離の大きな物質を考える☆ β
-ZrNClやβ-HfNClと同構造で層間の大きな 物質としてZrOClとβ-CeSIが考えられる。
図
1 バンドによる層間の模式図1-3
ZrOClについてCORBETT
らの論文によると、
ZrX + nZrO2 = ZrX(Oy) + nZr(Ox) |
(
X…Cl、Br)という反応で、
ZrCl(Oy)が完全に酸化状態になる(
y=1)と、ZrCl(Oy)はSmSI構造の結晶となる。
1025 ℃で10日間890 ℃で14日間( ZrX+0.11ZrO2にて) |
* 実験をすぐには実行出来なさそうだったので、 この物質を作る実験は今回行わず、後ですることにした。
CeSI
を高温にして出来る(above500℃)β-CeSIは、SmSI
型の構造となっている。表
1 構造と標準圧力相における格子定数
図
2 α-CeSI型とSmSI型の層の構造反応式は
CeI3 + S = CeSI + I2 |
である。
Zur Hochdruckpolymorphie der Seltenerdsulfidiodide LnSI
という
BECKらの文献によると、また、ICDD cards によると、
SmSI型であり、層間距離がより大きいβ-CeSIを作成し、インターカレーションを成功させ、より高いTcを目指す事。
また、この構造の物質に対するインターカレーションの試みを他ではやったという報告はなく、出来あがる物質の性質(熱電材料、強相関電子系)にも興味が持てる所である。
<加熱プログラムは以下の通り。>
20分 1時間 1時間
室温 ⇒
150℃ ⇒ 150℃ ⇒ 450℃60
時間⇒
450℃ ⇒ 炉冷X
線回折装置による結果は以下の通り。結果総括
450 ℃で3 日間 |
原材料のピークと ほぼ変わり無し。 |
550 ℃で3 日間 |
原材料のピークと ほぼ変わり無し。 |
カーボンのペレットを入れ 450 ℃で1 週間 |
変化はあるがβ -CeSIのピークは出てきていない。 主なピークで一致しそうなのは Ce(IO3)3 d 値 3.34(26.7度) 3.10(28.8度) 2.09(43.3度)であった。 |
3-3
考察原料となる
CeI3のピークが既にICDD cardsのデータと一致していないことを考えると、原材料CeI3(高純度化学研究 純度99.9% 形状Anhydrous)が既に変質してしまっていた可能性が考えられる。実際に物質を作ってみたが、β
-CeSIは出てこなかった。作成方法を見てみると、時間をかけるかカーボンを入れるかで変化が現れることはわかる。しかし目的の反応がほとんど進んでいないのかもしれない。3-4
今後の課題論文の記述にある方法の再現度を高めるために、
という方針で試料をうまく作成し、インターカレーションを行うことができるようにすることが、当面の課題である。