応用物理学研修
A
インターカレーション
intercalation
内容
超伝導物質に
層状化合物とは?
強い結合力で平面的に結合されたものが、弱い結合力で重なって層となったもの。
弱い結合図 層状化合物のイメージ
共有結合等(強)
ファンデルワールス力、静電気力等(弱)
インターカレーションとは?
層の間の結合力は弱いので、結合を破って原子等を入れやすい。層状化合物の層の間に原子・分子等が入り込む現象をインターカレーション(
intercalation)という。
図 インターカレーションのイメージ
<言葉の話>
インターカレーション
してどうなる?
↓
↓
その他インターカレーションの特性を利用し、層間吸着やイオン交換等にも使える。
インターカレーションによる
超伝導物質の作成
インターカレーションで
超伝導物質に
(もとは絶縁体)
Li
(Naでも同様)をインターカレーションすると、それぞれ転移温度Tc=15K、25.5Kの超伝導物質になる。
<研究によってわかったこと>
β―
ZrNCl、β―HfNClの結晶構造
ホストは
SmSI型の結晶構造。Li
をインターカレーションした後のホストの結晶構造はYOF構造となることが知られている。β―
ZrNCl、β―HfNClにおけるインターカレーション
β―
ZrNClにて↓
↓
↓
↓
β
-ZrNCl→Tc=15(K)β
-HfNCl→Tc=25.5(K) 何故か?<研究でわかったこと>
結晶内で最近接となっている、異なる層間の
Zr-Zr距離とHf-Hf距離とでは、Zr-Zr
<Hf-Hfとなっている。
伝導バンドを作る元素間の距離は、原子軌道の重なり積分
tに影響する。t
∝rd3/d5rd
…原子のd軌道の広がりd
…原子同士の距離重なり積分
tはフェルミ準位近傍の状態密度D
(εf)と逆比例している。D
(εf)∝t-1状態密度比…β
-ZrNCl:β-HfNCl=1:1.17つまりバンドを作る元素間が離れると、フェルミ準位近傍の状態密度は増す。
BCS理論の式
T
c=1.33θdexp(−1/D(εf)V)θ
d…デバイ温度D
(εf)…フェルミ面での状態密度V…電子・フォノン相互作用
d
<大>→t<小>→D(εf)<大>→Tc<大>
今後の展望
物質の構造 ⇔
Tc↓
より高い
Tcをもつ超伝導物質の開発
(超伝導発現機構の解明)