地下に向かって真っ直ぐに伸びた昇降階段です。冷たい風が吹き上がって来る中に靴音が響き、暗黒の闇に吸い込まれそうになります。
先頭に疲れ切った兵員達でしたが、彼らが十分に休息を取れるようなスペースはもちろんありませんでした。そこで彼らは、この部屋で滲み出てくる冷たい地下水に膝まで浸かりながら、立ったままで寝ていたと言われています。疲れ切った彼らの暗い目つきや暗闇に響き渡るうめき声が聞こえてくるようで、思わず背筋がゾクッとしてしまいます。
大田司令官が最期に爆死を遂げた部屋で、爆風で砕けた壁の跡が生々しく残っています。その白壁には、大田司令官の辞世の句が鮮やかに描かれたままで、彼の無念さが心を締め付けてきます。
白壁にほのかに残る黒ずんだ染みが、いつの間にか人の影に見えてくるのは決して気のせいだけとは言えないでしょう・・・・・