■形態■

 ココヤシの木は大きくなると高さ、20〜30mにもなります。電信柱のように真っ直ぐに伸びた幹のてっぺんには、長さ5〜7m程の鳥の羽のような形をした葉がたくさん付いています。また、幹の表面には葉の付いていたあとが横皺になって残っています。花は葉の付け根から出る長さ1〜1.5mの茎に付きます。先の方にはたくさんの雄花が、付け根の方には1個から数個の雌花が付きます。果実の大きさは品種によってちがいます。直径10〜35cm、重さは最も大きいものでは4kgにもなるそうです。成熟するにつれて果実の表面は緑、黄、橙黄から灰褐色と変化しますが、色の変化も品種により様々です。皮は三つの層から出来ています。一番外側の外果皮はとても薄く滑らかです。真ん中の中果皮は厚く丈夫な繊維が集まって出来ています。一番内側の内果皮は硬い殻になっていて、中の胚乳(発芽するときに使う栄養分)を保護しています。ヤシの木を増やすのには、種(果実)から育てます。土に埋めてから3〜6ヶ月で発芽して、7〜9年目から収穫が始まります。1本の木からは、年間40〜 80個の果実が取れるそうです。
ココヤシが含まれるヤシ科には、全世界の熱帯・亜熱帯に236属約3400種が知られています。

■原産/分布■

 ココヤシの原産地には、幾つかの候補地があって、まだはっきりとはしませんが、下のような理由によりメラネシアが有力とされています。
1)ヤシガニや、ココヤシにつく昆虫の大部分が、インドからオセアニアにかけての地域にいる。(その土地に長くいればいるほど他の生物との関係が濃くなっていき、新しい土地に移植されるとその関係の一部が失われてしまうので。)
2)ニューギニア北部にあるアイタペ遺跡から、紀元前3000年頃の炭化したココヤシの殻が発掘された。
3)ニュージーランドから果実の化石が見つかっている。
 古くから世界各地の熱帯の砂浜や河口地域に栽培されていましたが、19世紀に入りヤシ油製造のためにプランテーションで大規模に栽培されるようになりました。しかし現在では、油脂の供給源としてはアブラヤシに押され、放置されたままの農園も多いようです。
成育には地下水が重要で、乾燥地帯のサンゴ島や隆起サンゴ礁では干ばつの被害を受けやすい。

■収穫■

 1本のココヤシは年間40〜80個の果実を付けると言われています。これを単純に1年50週で割ると、ほぼ1週間に1個の割合で実が落ちる計算になります。もし、30本のココヤシがあるとすれば、毎日約4個の新鮮な果実が地面に落ちてくることになり、これを拾い集めるのがもっとも簡単。しかし、この方法で得られるのは、成熟してしまった果実が多く、果水の量が少なくて飲料用としては適当ではありません。果水量の多い若い果実を採集するには、やはり木に登るか、道具を使って落とすしかありません。木に登るには、幹に丈夫なヒモを回し、その両端を左右の足首に結び、足の裏で幹を挟むようにすると比較的登りやすいようです。しかし、この方法はかなりの危険が伴うので、大規模なプランテーションでは、長い竹竿の先に鋭利な刃物をつけて切り落とす方法が取られるほか、はしごを掛けたり、幹を削り足場を作って登ることもあります。果実は引っ張ってもなかなか取れませんが、数回回転させることにより簡単にもぎ取ることが出来ます。

■ヤシの木陰に潜む危険■

 採集中は勿論、この樹に近づく時には、何の前触れもなく重さ数kgにもなる果実が、10階建てのビルの屋上ほどの高さから落下してくる事を忘れてはいけません。町中やホテルの中庭に植えてあるココヤシは花が咲くとその花茎ごと切り取ってしまい、事故を未然に防いでいるので気が付きませんが、実際は危険な面も持ち合わせた植物なのです。

■利用法■

!!注意!!
(必ず一度、上の「!!注意!!」をクリックして注意事項をお読み下さい。)

 ココナッツの皮は硬くて厚いので、剥くためには次のような方法を用います。
1)鋭く尖った槍状の硬い木の枝を、地面に埋めしっかり固定する。
2)果実を両手でしっかりと持ち、この槍に叩きつけるようにして、繊維質の中果皮を刺し貫く。
3)てこの原理を使い果実を捻って中果皮を剥ぎ取る。
この方法は、昔から、東南アジア・オセアニア地域一帯で広く行われてきました。固い殻(内果皮)に包まれた空洞に入っているジュース(果水)を飲むには、内果皮の中で比較的軟らかい発芽孔(芽が出てくる3つの穴)をほじって穴を開けるとよいでしょう。又、殻(内果皮)は、ちょうど真ん中で横に割れやすく、縦に走る3本の線の真ん中辺りを思いっきり叩くと、きれいに半分に割ることが出来ます。
 大きくなった果実でも、表面(外果皮)が緑色あるいは黄色の若いものは、まだ胚乳(発芽するときに使う栄養分)が軟らかいゼリー状で、そのまま食べることが出来ます。又、果水も豊富なので、飲料としても重要。成熟するにつれ胚乳は厚く硬くなり果水は減少していきます。この胚乳を細かく削り果水を加え搾った白い液がココナッツ・ミルク。削った胚乳を水と共に煮立てて、浮き上がった油をすくい集めたのがココナッツ・オイルです。ココナッツ・ミルクは、ポイを浸して食べたり、料理の調味料として用いられます。ココナッツ・オイルは、食用油以外に、体に塗って保温、保湿、虫よけ等に利用されます。発芽が始まると、胚乳はウエハース状になり、これも食べられます。また、開花前の直立した花茎から採れるジュースはとても甘く、糖分量は15〜18%もあります(果水の糖分量4.5%)。1日に2〜3リットル採れ、毎日先端を削って切り口を新しくすると、40〜60日間採集可能です。この液を、1〜数日放置すると自然発酵によりヤシ酒となりますが、やがては酢になってしま います。この樹液とパンダナスの実の粉とを煮詰めあわせて保存食を作る地域もあります。又、若芽の軟らかい部分は、ココナッツ・ハートと呼ばれ野菜として利用されます。
 食用以外にも、葉はバスケットに、果実の中果皮はほぐしてロープの素材などに利用されます。さらにシース(葉鞘)は濾過をする時にとして使われる他、幹も材木として重要です。


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