「空を飛ぶ」ことははるか昔から人間の夢でした。でも飛ぶことは大変難しいことでした。ライト兄弟が初めて飛行機を飛ばしてからまだ100年も経っていないのです。
飛ぶことは現在でも簡単では有りません。お金も時間もかかります。危険も伴います。しかし自分自身が空を飛ぶこと以外にも「空を飛ぶ」楽しみは有ります。自分で作った飛行機が自由に空を飛んでいるのを眺めているのも素晴らしいと思いませんか?
それが模型飛行機です。実は模型飛行機というのは本物の飛行機が空を飛ぶ以前に存在しました。研究のために始まった模型飛行機ですが今ではいろいろな楽しみ方が出来るホビーになっているのです。
実際に飛ぶためには小さな模型と言えども本物と同じ飛行の原理が働きます。そしてそれが「良く飛ぶ」ためにはそれなりの「奥義」が必要なのです。手軽に始められて奥が深い。ここが模型飛行機の魅力と言えるでしょう。
ここでは私が今「はまって」いる模型飛行機の楽しみをご紹介します。
紙飛行機
ボール紙を切ってのりで貼ってつくるあの紙飛行機です。材料は紙ですから形も大きさも自由に作ることが出来ます。自分で作ったオリジナルの飛行機が空高く優雅に飛んでいる姿はとても魅力的です。「子供っぽい」と思う方も多いでしょう。しかしこの魅力に取りつかれている方もとても多いのです。いまでは滞空時間を競う「日本紙飛行機大会」や「世界大会」まであります。
私もまだ初心者ですが、今後は飛行の原理や上手な飛行機の作り方などをご紹介していきたいと思います。
WarBirds
模型と言ってもこれはコンピュータの中で飛行機を飛ばすいわゆるシミュレータです。最近はパソコンの性能も上がり飛行機の動きを再現することが出来るようになりました。これはバーチャルな世界での飛行機なのです。したがって実際には経験出来ないような体験をすることが出来ます。このWarBirdsはそんなフライトシミュレータのなかでもオンラインで100人以上の人が世界中から参加して戦闘機を操り空中戦を行うというものです。
詳しくはこちらでどうぞ。
不定期更新:今日の出撃日誌(2000.6.24更新)
資料編
私の読んだ本の中から飛行機について分かりやすく書いてあるものをご紹介します。
「隠された飛行の秘術」加藤寛一郎著 講談社
東大工学部航空学科教授の加藤氏が解説する飛行の原理。これこそ私にとってバイブルと言っていい本。難しい数式はほとんど出てこないしとても分かりやすい。紙飛行機を飛ばす奥義とは何か、飛行力学に基づいて丁寧に解説しています。またこれを読むと東大の大学院で紙飛行機の飛行を解析していたり航空学科の学生が授業の課題として必ず紙飛行機の設計を行うなど「まじめに」紙飛行機を取り扱っていて大変面白い。
「零戦の秘術」加藤寛一郎著 講談社
紙飛行機もそうですが何事にも名手や名人がいます。加藤氏は飛行の名人やその秘義がどういうものであるのか興味を持ちそこに潜む意外な原理を見つけだそうとします。名人の飛行とはどんなものか、その奥義とは何か、理にかなったものなのか。この本では第二次世界大戦で零戦(ゼロ戦)に乗り撃墜王となった坂井三郎氏との話を中心にその核心に迫ります。
「飛行の話」加藤寛一郎著 技報堂出版
加藤氏が最初に出した飛行力学入門書。「飛行力学」なんて堅いイメージとは裏腹にとても分かりやすく、平易である。ここでも話題は「飛ぶってどんなこと」と「上手に飛ぶにはどうすればいいの」ということ。
「飛行の原理」谷一郎著 岩波新書
飛行の歴史(飛行機だけではなく飛行の歴史から始まっている)から現代のジェット旅客機まで「飛ぶとはどういうことか」について書かれた新書。
「飛行機の再発見」佐貫亦男著 講談社ブルーバックス
ライト兄弟のフライヤー1号機から超音速機コンコルドまで「あの仕組みってどうなっているの」という視点に立った飛行のメカニズムの解説書。これを読むと飛行機ってだんだん複雑になり色んなことが自動的にできるようになっては来たけど基本技術は意外に進歩してないんだなあと感じる。
「紙ヒコーキで知るの原理」小林昭夫著 講談社ブルーバックス
身近な紙飛行機を題材に飛行の原理を探る。パラパラと読める点が良い。子供にもわかりやすく書いている。
「生物の飛行」東 昭著 講談社ブルーバックス
人間の飛行へのあこがれは鳥などの空を飛ぶ生物を見て始まったのではないだろうか。この本では動物から植物まで空を飛ぶ(舞う?)生き物の飛ぶ原理を探る。「羽ばたき」一つ取ってもまだ人間がまねできない(実用化できない)のである。知れば知るほど自然のふしぎさを実感する内容です。
「模型航空機と凧の科学」東 昭著 電波実験社
東氏は東大名誉教授。航空事故調査委員会委員。次に紹介する木村秀正氏とともに模型飛行機の世界では有名な方。紙飛行機やラジコン飛行機などの飛行力学的な説明やヘリコプターや凧の飛行原理についてやや詳しく説明している。
「模型飛行機[理論と実際]」木村秀正 校閲 森照茂著 電波実験社
戦前からある木村博士の同名著書を森氏が書き直したもの。森氏は日本大学航空学科の助教授(当時)。すべての模型飛行機愛好家必携の書と言える本で一般の愛好家レベルでは得られない貴重な模型実験資料が満載されている。自作の模型飛行機を作ろうと思ったら一度は見ておきたい本。しかしどの本も「本気で」紙飛行機やラジコン飛行機を取り扱っているところがすごい。
「零式戦闘機」柳田邦男著 文藝春秋 文春文庫
これは模型ではなく本物の飛行機の話。零式戦闘機=ゼロ戦は太平洋戦争で活躍した日本を代表する戦闘機である。当時、決して先進国というわけではなかった日本が(特に航空機分野は遅れていた)どうやって伝説的とまで言われた名機を作ることが出来たのか。そのすごさはどこに有り限界はどこに有ったのか。まるで開発の現場にいるかのような錯覚を与えるほど緻密な構成で圧倒される。
零戦の開発前、日本の戦闘機自力開発開始から真珠湾攻撃前夜までを描く。
飛行の原理から少し外れるが飛行機を作る苦労や最先端を維持せざるを得ない戦時下の開発とはどんなものだったのか知ることで「飛行機とは何なのか」に触れることが出来る。そして当時の日本のアイデアが現在の最先端ジェット戦闘機にも応用されていることに驚かされる。戦闘機の開発というより現在にも通じる「商品開発」の本質がうかがわれ興味深い。
「零戦燃ゆ」1〜6 柳田邦男著 文藝春秋 文春文庫
上記「零式戦闘機」の続編。真珠湾攻撃から終戦までの零戦の足跡を追う。またパイロットのインタビューを入れ当時の戦闘機による戦闘や空中戦がどんなものであり、零戦がどのように戦ったか詳細に記述していく。開戦当初破竹の勢いだった零戦も次第に米国戦闘機に追いつめられていく様が映画を見ているように描かれていく。それはまるで現在の半導体開発競争や自動車の開発競争を見ているようである。
そして零戦の劣勢は日本の劣勢そのものであった。
「零戦」堀越二郎著 講談社文庫
零戦の生みの親堀越二郎氏が書いた零戦開発の経緯。三菱という大会社が東大工学部航空学科を首席卒業とは言え若干26才入社5年目の堀越氏に任せた社運を懸けたプロジェクトが戦闘機の自力開発である。どんな気持ちで設計をしたのか本人の気持ちを語った本。
本書には出てこないが、零戦は東大首席卒業の超エリートが財閥の財力を得て開発し、かたや米国の代表グラマン社は当時創立まもない若い会社で実績もあまりなくその主任設計者リチャード・ハットン氏はどうしても飛行機を作りたくて同社の機械工から始めて夜学に通い設計者となった人物である。つまり、零戦vsグラマンは視点を変えればエリートエスタブリッシュメントと飛行機大好き野郎の戦いでもあったのである。結局グラマンが勝利を収めることになるのは歴史の皮肉か。