「慟哭そして...」傾倒者の戯言
「慟哭そして...」がリリースされたのは1998年2月26日。
当時、私は「慟哭そして...」については殆ど知らなかった。
データイースト社が18推のゲームを出すということは、知己から聞いていたが、特に意識していなかった。
むしろ、それまでのデータイースト社のゲームに思い入れのある私としては、データイースト社がそのようなゲームを作ることには大いに違和感を感じていた。
そんな私が初めて「慟哭そして...」を目にしたのは、3月に入ったある日、所用で大阪に行った際、用事を済ませた足で日本橋を訪れた時だった。
当初、別のソフトを目当てにソフト店に入ったのだが、陳列棚のとあるソフトに私の目は引き寄せられた。
そう、それが「慟哭そして...」だったのである。
あのパッケージのイラストに魅入られたのだろうか。
私はソフトを手に取った。
イラストに暫く見入った後、私はケースの裏面を見た。
そこにいたのは潤んだ瞳をこちらに向ける梨代。
次の瞬間、私はそのソフトを手にレジに向かっていた。
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帰宅後、購入したソフトをサターンにセットし、早速プレイしてみる。
まず、オープニング。
期待が湧き上がるのをひしひしと感じる。
次いで、ゲーム本編の開始。
メイド部屋の中の様々な物を順次チェックしていくと、それぞれに対してレスポンスが返ってくる。
キャラクターだけを売りにした安易なゲームではないことを早々に知る。
その後、ゲーム序盤のイベントをこなしていくものの、途中、何の準備もなしにプレイするには、このゲームは甘くないことに気付く。
アイテムの在処、各人の居場所、様々な情報、行動の選択、それらの整理の必要性を感じた為、改めて最初からプレイすることにする。
予想以上の手応えに喜びを覚える。
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データイースト社のゲーム、通称デコゲー。
デコゲーという言葉は、データイースト社がリリースしてきたゲームの特異性により、往々にして誤解を招く。
デコゲー=妙なゲームという誤った認識があるからである。
実際のところ、普通でないセンスのゲームも多々あるが、それらはデコゲーという大きな枠の中にあるに過ぎない。
妥協のない作りこまれた作品という枠で括れば、「慟哭そして...」もデコゲーであることは間違いない。
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毎日、少しずつプレイし続け、数日後、ようやく屋敷を脱出。
キャラクター別のエンディングを迎えられなかった為、少なからず戸惑う。
とはいえ、桂が犯人であることは見当がついていた。
ミステリーにおいて、死体のない死は生きていると同義と考えていい。
だが、神田川と田辺の2人が事件に関連しているかどうかは分からなかった。
3人が結託して犯行を行ったのではないかという考えも頭に浮かぶ。
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ミステリーが好きな方なら、「慟哭そして...」の其処彼処に覚えのある展開を見出すことだろう。
直海の死体が石膏像に塗り込められていたが、これは江戸川乱歩の「一寸法師」で使われた死体の隠し方だ。
また、行方不明のバスの運転手の死体が床下収納から発見されるが、コナン・ドイルの「マズグレーヴ家の儀式書」に同様の場面がある。
それに、犯人が自らを死んだように偽装しつつ、他の者を皆殺しにする手口は、アガサ・クリスティーの「そして誰もいなくなった」のそれと同じだ。
もしかしたら、「慟哭そして...」のシナリオを担当した方も相当のミステリー好きなのかもしれない。
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サターンユーザーの友人2人に「慟哭そして...」を薦め、購入させることに成功。
「慟哭そして...」完全クリアーの為の情報交換や、ゲーム中、語られることのない設定に関する考察、好きなキャラクターに対する思い入れなど、「慟哭そして...」に関する様々な事柄について話し合う。
このことが後に「慟哭そして...」の同人誌を発行することに大きく影響を与えることになる。
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7月、「慟哭そして...の謎本」なるコピー本を発行。
前述の友人は同人誌を作るような趣味は持ち合わせていなかった為、必然、私が全て手掛けることになる。
かくいう私も自分自身が同人誌を作るのは初めてのこと。
実に無謀。
しかし、友人の励ましや、同人関係に聡い知己の協力に支えられ、無事に本を発行。
彼らへの感謝の念を込めて、発行元の名称を「慟哭研究委員会」と設定する。
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8月、「FINAL EDITION」を購入する。
当然、笹本梨代等身大フィギュアプレゼントに応募。
暫くの間、夢を見る。
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「慟哭そして...」のプレイ中、途中経過のセーブやロードの際、それまでのプレイ時間が表示されるのはご存じのとおり。
このプレイ時間、本編の内容とは無関係なので、プレイ中、気にする必要はない。
しかし、記録が残る以上、より短い時間の記録を残したい。
そう考えた私は早速、タイムアタックに挑戦することにした。
もちろん、目指すのは梨代の真相エンディング。
ゲームクリアまでの行動チャートを作成、連射機能を使用して表示メッセージをスキップ、カーソルの移動速度を最速に設定するなど、様々な準備を施した上、幾度となく挑戦。
そして、遂に梨代の犯人対決イベント直前のセーブで、49分29秒という記録を残すことに成功する。
ちなみにこの記録、実際にはまだ短縮の余地がある。
私のこだわり故、梨代に名前で呼んでもらうイベントを敢えて外さなかった為である。
端から見る分には、まるっきり馬鹿だが、これも私の「慟哭そして...」に対する一つのこだわりの形である。
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6月、「D−SQUARE」を発行。
前回のコピー本と異なり、今回はオフセットによる発行。
メインとして20頁のマンガに挑戦。
無謀。
実際、四苦八苦しつつ、ようやく完成にこぎつける。梨代、いつみ、千砂、ノーマの4人が登場するマンガだが、4人其々のキャラクターを考え考え描き上げる。
苦労はしたものの、その分、喜びも大きい。
他に、解明できなかった件に関する新しい考察や、アンケートの結果発表、声優に関する記述等で構成。
しかし、1番の売りは特別付録の「きせかえRIYOちゃん」かもしれない。
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私はフィギュアを組み立てる技術は持ち合わせていない。
にもかかわらず、スカイネットより発売された笹本梨代のフィギュアを購入する。
12800円也。
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10月、「慟哭そして…」始めとする私の好きなゲームを題材としたホームページを作成することにする。
そう、ここのことである。
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