小春団治御披露目
各地で満貝御礼

 小春改め三代目小春団治の襲名披露は、四月二十三日、
道頓堀中座からスタートした。
トップの福車の後いきなり春団治が登場し、文枝、米朝と、
紫綬褒章、人間国宝が続く贅沢な落語会となつた。
中入り後は春之輔の司会で春団治、米朝、文枝、五郎各師が口上を述ベ、
横山ホットブラザーズ師の賑やかな漫才の後、いよいよ小春団冶が登場。
二代目春団治夫人の作による新出囃子「小春団治囃子」にのり、
母校立命館大学から贈られた、立命マークを胸に染め抜いた色紋付きに身を包み、
新作「職業病」を披露。十月で閉館が決まった中座最後の襲名披露を
満場の観客はたっぷりと堪能した。
 当日のパンフレットには、横山ノック大阪府知事のお祝いの言葉が
寄せられていたが、実は知事選の四月十一日にはすでにパンフレットの
印刷は済んでいて、肩書きには「大阪府知事」と書かれてあった。
下馬評では「現職圧倒的有利」といわれていたが、もしものことが起これば
一から印刷し直さなければならない。そこで抜け目のない小春団治は、
もしもに備えて、印刷屋にパンフの発注と同時に、「前」と書かれたシールも
一緒に発注していた。
 その後、松之助、染丸両師に高校落研後輩の北野誠とタージンまで口上に並んだ
「もとまち寄席」。
最多人数となった春団治、三枝、春之輔、福笑、文珍ら七人の口上の「創作落語の会」。
春団治、五郎のほかに志ん朝師も加わった東京国立演芸場。
南光、文福の口上に春やすこ・けいこ、堀ちえみの即席漫才まで飛び出した枚方市民会館。
など各地で披露の会が開かれ、七月三十一日の宝塚「おばやし亭」で一応襲名披露の会は
幕を閉じる。


小福が初体験
大使館の仕事で韓国へ

私、何をかくしましょう、初体験は「韓国」だったんです。
つまり一人目の子供を仕込んだんが、ハネムーンの時で場所が「韓国」、
なんて訳無いでしょうが。ウチの家はネ、仲が悪いのよ。
御存知の方も多いでしょうが(ほとんどの人が知ってると思うけど)
別居中なんですよ。
おまけにハネムーんには行っとらんのですよ。
ついでに言うけど旅行なんて一ぺんも行った事ございません。
旅行どころか家族全員で外出した事など皆無。
なんでこんな人生送らんとあかんのじやー!
 いやいや失礼しました。ついつい筆がすべりまして。
いやね、私外国へ行った事が無かったんですよ、お恥ずかしい話が。
それで初めての海外が「韓国」、つまり初体験ちゅう訳ですわ。
しかし韓国行きと言えば男性は、「遊ぴと違うん?」とお思いでしょうが、
さにあらず。なんと韓国の日本大使館の依頼を受けて、仕事で行ったんですぞ。
日本の文化、芸能を披露するイベントで、上方落語を公演した訳です。
笑福亭松枝師、桂文福師、そして私の落語家三人と、落語作家のさとう裕氏、
漫画家のいわみせいじ氏、計五人の一行で関空をスタート、
二日間の公演でして一日目は八割方の入り、二日目は大入りで立ち見も出る盛況、
おまけに大使御夫妻もお越しになり、大喜びでお帰りになりました。
落語に大喜利、南京玉すだれに河内音頭と、舞台は常に熱いムードで包まれました
(ライトもごっつ熱かったけど)。
 自分で言うのもなんですが、皆ホンマにようウケてましたで。
日本の誰もが見てないから勝手な事言うてるやろとお思いの方、
関係者の人に聞いて下さい。間違いなしの成功でした。
ひょっとしたら日本の時よりも良かったんとちゃうやろか、
と思うぐらいうまい事いきました。
韓国に永住した方が仕事増えるんと違うかなと思たほどです。
 皆さん「韓国」のお客さんはよろしおまっせ。
日本のお客さん!もっと笑って下さいよ。
 えっ?私の芸がおもろないから笑えん、えらいすんまへん。

交通ルールを守ろう
梅団治が多額の罰金

 SL撮影が趣味の梅団治が、なんとスピード違反取締りカメラに撮影された。
ところは愛知県春日井市の東名阪と東名を結ぶ有料道路で、この日も梅団治一家は、
小福宅と違い家族全員でSL撮影に群馬県(上越線)へ行く途中だった。
 午前四時過ぎ、前方の車が急ブレーキを踏んだ。
「危ない。こいつ酔うてんのんとちゃうか。巻き込まれたらかなわんさかい
抜いてしまお」追い越し車線に出てアクセルを踏んだ梅団治に突然、
真っ赤な光が襲った。そう、前を走っていた車は知っていたのだ。
 梅団治が免許証を取得したのは二十歳のときでそれから二十余年もの間、
無事故、無違反で当然その時はゴールド免許、公安委員会からは優良運転者の
表彰案内までもらったことがあったが仕事で行けなかった。
それが災いした。
 名古屋からの電話に始まり、住吉警察へ、新大阪へ、門真へとあっちこっち
行かされたあげく、刑事上の罰金8万円、行政上の処分が免停3か月で、
二日間の講習を受けて半分の45日、講習代が2万7千6百円と、
この不景気には、辛い判決がくだった。
 聴聞会の時、今までのことを色々言ったが「ああ、そうですか」と聞き流された。
あれから家族で外食もできない。二度と、あの有料道路は走らない、
そうして罰金分を取り戻してやる。
 皆さん、交通事故はもちろん、交通違反にも気を付けましよう。

雨中の決戦
春団治ヘアーズ大敗

 去る6月22日、浅香中央公園において2年ぶりにヘアーズ
(春団治一門野球チーム)の試合が行われた。
梅雨で生憎の雨だったがメンバーは、ほぼ全員そろった(不況の賜物)。
相手チームのトローイングスは八尾の会社のチームでヘアーズにとっては
強すぎたうえに、初回から春彦、一蝶とエラーが続き三番、四番に
梅団治が打たれ、いきなり4失点。早くも弱いのが相手にバレてしまった。
 しかしダブルプレーも達成、ショートの吉次からセカンド小春団治、
そしてファーストの福車へ(やればできる)。
こんなプレーもあった。
センター前ヒットを打った福矢が一塁でアウト、なんと記録はセンターゴロ
(アホ、ボケ、カス)。
 最終回はチャンスを迎え、代打の切り札春団治の登場。期待通り、
見事フォアボールを選び出塁、満塁で小春団治、ここでアウトなら
名前の「小」を取るどころか全部取られると身体を張ってデツドボールで一塁へ、
最後は福矢がアッケなくサードゴロ(アホ、ボケ、カス)。
結果は7対3だったが、明らかに大敗だった。
 なお、春駒は雨は嫌だとほとんどベンチに座っていた。
 今回のメンバー
1番セカンド小春団治→春駒、2番ファーストー蝶→福車、
3番ライト春雨→壱之輔、4番センター福矢、5番ショート吉次、
6番レフト春彦、7番サード春菜、8番キャッチャー貴春、
9番ピッチャー梅団治、そして代打の切り札春団治。

検証古典落語(5)
始末の極意の巻(福車)

 今回のテーマは始末の極意より、「梅千しを眺めるだけで飯が食えるか」
についで検証してみましよう。
 私はこのネタを師匠福団治から十数年前に教わりましたが、演芸場などでも
かけることの出来るコンパクトな軽みのある噺として演らせでもらっています。
演者によっては30分の大ネタとして演じる場合、裕福そうな家の子に菓子を与えて、
そこから食事をよばれてタバコもごっそりタバコ入れにつめ込み、はては土産まで・・・
のくだりを入れるが、あの部分は「始末」ではなく「詐欺」なのでサギとりは
前回で終わってるし、今回は対象外とさせていただく。
 まず大粒の南高梅一個を皿にのせ、茶碗に御飯を一杯、炊きたてなので
オカズなしでも食べられそう。塩は「減る」のでもちろん用いない。
じっくり梅千しをながめて、口の中にジワーとつばが…湧いてこない。
そうやオレ梅千しあんまり好っきゃないねん!
そこで好物の白菜キムチに変えると、確かにつばは湧くが白御飯を口に運んでも
キムチの味はしない(当たり前やけど)むしろ視覚と味覚にズレが生じ、
おいしさは感じない。
梅干しの大好きな六才の長男を実験に使ったが、「とうさん見るだけて意味わからん」
「こんなものお口に入れんとおいしいてわからへんやろー」と
御飯ふた口ほど食べたところで制止を振り切り梅に箸をつけてしまつた。
やはりそうだ。
なまじ目の前に美味しそうなモノがあって、口に入れないのはストレスが溜まるだけ、
それならいっそ米だけの方が節約にもなる。
書きつぶした紙で鼻をかむのも柔らかいティツシュに慣れた我々にはやや無理がある。
壱之輔のように鼻が赤くなるだけだ。
 やはり古典落語はそのまま現代社会には当てはめられない場合も多いようだ。
 結論・・・梅千しを目で見ただけではオカズにゃならん。
アダルトビデオやあるまいし。


転生人誤

最近の学校では落語家の教師、講師が増えてきた。
実は私もその一人である。いずれも落語家に学校側から講師の依頼があって
受諾する事になるのですが、もともと教師であった人が落語家に
入門してきたというケースもある。そのひとりが桂丸福君です。
彼は永い間、教師である事を伏せていた。
入門当時は、毎日オートバイで京都から我が家まで通って来ていた。
雨の日も風の日もバイクで通い、一日も休まず三年間、見事修業を努めあげた。
その訳は家から学校へ、学校から我が家へは余りにも不便でバイクでなければ
毎日通って来れなかったのだ。それをある新聞社が記事としてとりあげ、
丸福君の顔写真が大きく新聞に載ったのである。
朝、丸福君が学校へ登校すると皆がジロジロ見るのである。
職員室で隣の先生が、その新聞を取り出し、丸福君の顔とジロジロ見比べながら
「これ、田村先生とちゃいますか」「ああ又言われました。桂丸福によう似てると、
今日で三人目ですわ。世の中にはよう似てる人がいるもんですなあ。
その為に私がえらい迷惑してますわ」とごまかした。
 その数日後、あるイベントで丸福君がステージで喋っている所を
同じ先生に見つかり「やっばり田村先生ですな」「ああ又ですか、
田村先生によう似てる言われまんねん。世の中にはよう似てる人がいるもんですなあ」
…ばれてしまった。
(福団治)
本におまけが…
いわみ氏が単行本出版

 この春団治一門新聞「とらとやな」に、いつも四コマ漫画や
イラストを描いてくれている和歌山県出身の漫画家いわみせいじ氏が、
この度、単行本を出版されました。
 この単行本は十年前からニュース和歌山で連載されていた
「和歌山さんちのハッサクくん」を一冊にまとめたものです。
もちろん四コマ漫画を中心とした本ですが、今までにないユニークなおまけが
たくさん付いています。
おまけその一、その場でサイン。その二、その場で似顔絵。
このふたつのおまけは、どこでも場所は問いません。
著者を見つけたら声をかけてください。サインか似顔絵を描いてもらえます。
その他にも色々なおまけがありますが、それは本を買ってからのお楽しみ。
 この本をご希望の方は最寄の大手書店、或いは「図書出版・浪速社」
TEL06・6942・5032までお問い合わせください。
 「とらとやな」愛読者の皆さん、いわみ氏の単行本も応援よろしくお願いします。



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