映画日記 2001,1,1〜12,31
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「スパイ・ゲーム」 アメリカ映画
12月31日 15:30 高岡ワーナー・マイカルシネマ

中国の蘇州刑務所からある人物を救出することに失敗したCIAエージェントのビショップは
捕まり投獄されてしまう。
知らせを聞いたかつての先輩エージェント、ミュアーはビショップが命令もなく単独で
起こした行動だと知り、独自に探りを入れる。
ビショップはベトナム戦争当時、ミュアーにその才能を見いだされ、
スパイとしての技術をミュアーからたたき込まれた。
いわばミュアーは師であり、良きパートナーであった。
しかし仕事となれば非情なミュアーに付いていけず、たもとを分かつことになってしまった。
政府は政治的判断からビショップを見殺しにすると知ったミュアーは、
CIA内部で悟られないようビショップ救出作戦を展開する。
ロバート・レッドフォード、ブラッド・ピットが師弟スパイに扮したスパイ・アクション。
レッドフォードが救出作戦に赴かず、CIA内部で上層部と駆け引きしながらビショップを救出しようと言うのがいい。
物語は現在のビショップ救出作戦を軸に据えながら、ミュアーとビショップの出会いから
数々の二人の作戦行動と悲しい想い出が回想形式で綴られる。
つまり、ダレそうになれば回想で派手なシーンを挿入できるので実に便利いい。うまい作り方。
レッドフォードは非情だけれど悪者になりきらず大人の演技。
ラストはうまく事が運びすぎのような気がする。


「ハリー・ポッター」 アメリカ映画
12月25日 18:30 梅田ピカデリー

両親が事故で死んで親戚のおばさん夫婦に育てられたハリー・ポッター。
階段下の物置部屋で寝起きし、意地悪なおばさん達にいじめられて育ったハリーに
ある日魔法使いの学校から入学許可証が届く。
実はハリーの両親は魔法使いで、悪と戦って命を落とした英雄で、
優れた魔法使いの血を引くハリーは、魔法界では有名人だった。
魔法使い学校ホグワーツでいろんな魔法を習うハリー達だったが、ある日学校の屋根裏部屋で
3つ頭の凶暴な犬が守っている賢者の石の秘密を知り、何者かがこの石を狙っていると気付く。
ハリー達は悪の力からこの賢者の石を守るべく立ち上がる。
ベストセラー小説「ハリー・ポッター」シリーズの映画化。
原作を読んだ人間は次の展開がわかるので映画としての楽しみが少しそがれるよう。
途中魔法のほうきにまたがってするゲームが登場するが、ルールがよくわからない。
最初ちまちま得点していくのに最後は一気に大量得点できる。どうもゲームとして解せんなぁ。
演技は主役のダニエル・ラドクリフよりも友人役のルパート・グリントの方がうまい。
勇気と友情をテーマにしたおとぎ話。


「O[オー]」 アメリカ映画
12月21日 13:30 ヘラルド試写室(GAGA)

全寮制の名門私立高校で唯一の黒人学生オーディンは、成績優秀でバスケの花形選手。
スター性があり、校長の美しい娘デジーの恋人でもある。
ヒューゴはバスケット部のメンバーで父はコーチをしているが、父の自慢は名プレイヤーの
オーディンの方。
黒人でありながら何もかも優秀で、名声も美しい恋人も父の愛情までも手に入れてしまう
オーディンにヒューゴは嫉妬し、狡猾な罠を仕掛けてオーディンをおとしめようとするが
わずかの計算の狂いからオーディンのみならず周りの人生の歯車が狂い出す。
シェークスピアの「オセロ」を現代のハイスクールに置き換えた異色作。
「パール・ハーバー」のジョシュ・ハートネットが汚れ役に挑戦。
嫉妬に身を焦がすヒューゴ役に挑んでいるが、嫉妬の過程が簡単にすまされている。
友人を罠に掛けるほどの心の葛藤をもう少し描いてもらわないと、後半が生きてこない。
少しはしょり過ぎの感がある。


「WASABI」 フランス映画
12月12日 19:20 完成披露試写、厚生年金芸術ホール(K2、日本ビクター)

優秀だが強引な捜査でとかく上司と摩擦が耐えないフランスの刑事ユベール。
彼のもとに19年前突然消息を絶った日本人の恋人ミコが亡くなったと知らせが来る。
彼宛の遺品を取りに日本を訪れたユベールに弁護士は、あなたの娘ですとユミを紹介する。
後2日で20歳になるユミが成人するまで、ユベールは後見人として世話をしないといけない。
ド派手ファッションで奔放なユミに、なかなか自分が父親であると言い出せないユベール。
ところがミコは莫大な金を残していることがわかり、死因にも疑惑が浮上する。
二人は得体の知れない組織からつけ狙われだす。
広末涼子、ジャン・レノ主演でリュック・ベッソン製作、監督は「TAXi2」の
ジェラール・クラヴジックとお膳立ては揃ったが、内容はお粗末。
広末がいいとか悪いとかの問題以前。
ほとんど東京が舞台だが、広末、入国管理官、外資系銀行員などの日本人がフランス語を
しゃべるのはいいとしても、刑事、やくざの親分までがすべてフランス語をしゃべるのは不自然。
おまけにロケのバックで一般人がジャン・レノと広末を指さして見ている。
ちゃんとエキストラを配置せぇよ。実に興ざめ。
物語も陳腐。
どうも広末を世界に売り出すためにリュック・ベッソンに金を渡して撮らせたように思う。
ベッソンに義理のあるレノとクラヴジックがこの映画に付き合わされた。レノがかわいそう。
でも、クラヴジック、もうちょっと何とかならんかったんか。
2001年最低の映画だった。


「モンスターズ・インク」 アメリカ映画
12月11日 18:30 完成披露試写、梅田ピカデリー(ブエナ・ビスタ)

モンスター世界のエネルギー産業「モンスターズ・インク」のモンスター達は、
不思議なドアにつながった人間の子供部屋に侵入し、子供達を怖がらせる。
実は子供達の悲鳴がモンスター世界のエネルギーになっていた。
モンスターズ・インクのエリートのサリーと相棒のマイクは、
モンスター世界に迷い込んだ人間の女の子を発見する。
実はモンスター界では人間の子供は有害とされ、人間はおろか人間界の物を
持ち込むだけで厳罰に処される。
ろくに言葉もしゃべられない小さな女の子を何とか人間界に戻すため奔走する。
ディズニーとCGスタジオ、ピクサーが組んだフルCGアニメ。
サリーの全身の毛は1本1本がなめらかで実に細かい仕事をしている。
この映画のネックはモンスター達の表情や質感ではなく。
人間の子供をどう描くかにかかっていたと思う。
「トイ・ストーリー」の少年アンディーは脇役なのでそれほど作り込みをしなくても
よかったが、今回の少女プーは感情移入されないと物語の厚みが出ないキャラなので
人間の少女という「具体」の描き方が作品を大きく左右していた。
結論から言うと、これだけ緻密に作られた架空のキャラクターに具体的な人間を混ぜると
やはり違和感がある。
おもちゃや蟻のCGはお手のものでも、ピクサーの天敵は人間であったよう。
「ドラえもん」のどこでもドアーがこんな所に登場している。


「フロム・ヘル」
 アメリカ映画
12月10日 19:00 完成披露試写、リサイタルホール(20世紀FOX)

1888年のロンドン、ホワイトチャペル。
この貧民街でメアリーは娼婦として街角に立っていた。
しかし街を牛耳るやくざに法外な上納金を取られ、
娼婦仲間とギリギリの生活を強いられていた。
ある日娼婦ばかりを残忍な手口で襲う殺人鬼が現れ、
いつしか切り裂きジャックと人々から呼ばれるようになり
大衆紙を賑わしていた。
捜査に当たっているのは腕利きだが妻子を亡くし阿片中毒となった
アバーライン警部。
アバーラインは幻覚で事件を予見したりする不思議な能力の持ち主で、
この事件は解剖学的知識のあるもの、つまり上流社会の人物が犯人ではと
目星をつけるが、警視総監は頑としてアバーラインの推理に耳を貸さず、
逆にアバーラインはタブーをかえりみず王室が関係してるとにらむ。
メアリーと心を通わせるようになったアバーラインだが、魔の手はメアリーにも忍び寄る。
全体的に夜か曇り空でダークな映像。
監督のヒューズ兄弟は「切り裂きジャック」と言う猟奇事件を、残忍さを押さえながら
恐怖感を醸し出すのに成功している。
新鮮な映像表現もあり、力量もありそう。
ジョニー・デップが警部役をやっているが、暗さの中にも美しさがある。
今までで一番デップを美しく撮った映画だと思う。
娼婦役のヘザー・グラハムは場末の娼婦にしては少しきれいすぎる感がある。


「レイン」 タイ映画
11月30日 15:30 ヘラルド試写室(クロックワークス)

ジョーはタイで有数の凄腕の殺し屋。
ある日射撃場で働く耳の不自由な青年コンの射撃の腕を見込み、
彼を殺し屋として仕込む。
ジョーの教えでめきめき腕を上げたコン。
子供の頃からいじめられ愛情を知らずに育ったコンは、
殺人マシーンとして正確に仕事をこなすうってつけの殺し屋になった。
仕事で負傷して第一線を退いたジョーをコンは友情で支え続けた。
ところが薬局の娘と恋が芽生え、愛情を知らずに非情な仕事をこなす
コンの心に変化がうまれた。
そのころ恋人をレイプされたジョーはレイプ犯に復讐したが、
ボスの仕事の顧客でジョーとコンは組織を相手にしてしまう。
香港出身の双子の兄弟、オキサイドとダニーのパン兄弟初監督作品。
緊張感のある画作りで随所にうまさが見られる。
すぐにハリウッドからお呼びが掛かるのではないかと思う。
殺し屋の物語という手垢にまみれた題材も、
演出の力量とエンターテインメント性を一番出せるジャンルだからだと思う。
耳の聞こえないコン役のパワリット・モングコンビシットは二枚目だが
殺し屋にしては少しマスクが甘すぎる。
ジョー役のピセーク・インタラカンチットはもう小室哲哉にそっくり。
この兄弟監督、今後注目。


「約束<ラ・プロミッセ>」 フランス映画
11月28日 15:30 ヘラルド試写室(ツイン)

10歳のマルタンは小児癌で入院中だが病院という狭い世界で毎日いたずらを繰り返す。
マルタンのお気に入りは老人病棟。動作がのろく半分呆けている老人達は小遣い稼ぎも楽で、
マルタンの格好のいたずらの的になっていた。
ある日植物人間のようになった老人ベランの部屋に忍び込んだマルタンは、
なぜかベランを気に入り毎日ベランの部屋に入り浸る。
ベランは寝たきりで意識もないと思われているが、実は呆けまいと毎日自分の生年月日や
妻の名前などを復唱してアルツハイマーと闘い、心の中で皮肉を言う頑固爺だった。
初めはマルタンを疎ましく思っていたベランだが、全く無言で無表情のベランを相手に
無邪気に遊ぶマルタンだけが自分を人間らしく扱ってくれる存在に思え受け入れていった。
やがてマルタンは毎日自分の部屋を抜け出してベランの隣で眠るようになり、
ベランの目の動きで「イエス」「ノー」がわかるようになったマルタン。
小児癌の少年と寝たきり老人の間に奇妙な友情が生まれていったが、
二人の死期は確実に近づいているのだった。
題材としては暗く、お涙ちょうだいになりがちだが、寝たきり老人をおもちゃにして遊ぶなど
子供らしく、全編ほのかなユーモアで包み、泣かせない。
ベラン役のミッシェル・セローは寝たきりで、目だけの演技で全てを表現する難しい役どころ。
彼の心の声はナレーションで語られる。
最後までこのほのぼのした雰囲気で終わるのかと思ったら、最後の最後で泣かせ、
「約束」の意味がわかる。


「キリング・ミー・ソフトリー」 アメリカ映画
11月27日 19:30 完成披露試写、梅田劇場(アミューズ)

アリスはロンドンに住みだして18ヶ月のアメリカ人。
ジェイクという彼と同棲するキャリアウーマンだが、
出勤途中で偶然出会った男に一目惚れし、無言で誘われるまま男と関係を持ってしまう。
ミステリアスな男はアダムと言う登山家で、遭難事故で仲間を救った英雄として
本まで出版されるような有名なアルピニストだったが、恋人のフランソワーズを
救えなかったことを心の傷として生きてきた。
そんなアダムに心身共にのめり込んだアリスはジェイクと別れアダムと結婚する。
情熱的なアダムだが凶暴なところもあり、美しい姉のデボラも何か隠しているよう。
それにアダムのレイプ疑惑や女性の失踪事件など、アダムに対して次第に不信感が
募っていくが、やがてアリスも身の危険を感じ始める。
「さらば、わが愛/覇王別姫」のチェン・カイコー監督が欧米進出に選んだハリウッド作品。
「恋に落ちたシェークスピア」のジョセフ・ファインズと「オースティン・パワーズ・デラックス」の
ヘザー・グラハム主演。
結構激しい濡れ場の連続で、今まで中国で撮れなかった大胆なセックスシーンを
ここぞとばかり繰り出すカイコー監督。
それに答えるように清純顔のヘザー・グラハムも、脱ぎっぷりよく見事な肢体をさらけ出す。
登山家としての鍛えた肉体と、謎を秘めた表情などファインズは適役。
ただ登場人物が少ないので犯人の目星がついてしまうのが残念。


「Dr.Tと女たち」 アメリカ映画
11月27日 15:30 ヘラルド試写室(GAGA)

Dr.Tことトラヴィスは人気の産婦人科医。
彼に診察してもらうため金持ち女性達は予約を入れ、
待合室はさながら女性達の社交の場となっている。
家族は美しい家内と2人の娘。つまり回りは女性だらけ。
富も名誉もあるトラヴィスだが娘の結婚を前に家内は精神に異常をきたし、
嫁ぐ娘にはレズ疑惑が浮上、自分も女性プロゴルファーと恋に落ちてしまう。
一見幸せそうなトラヴィス家だがトラブルが次から次に襲う。
「M・A・S・H」「ザ・プレイヤー」のロバート・アルトマン監督作品。
モテモテの産婦人科医にリチャード・ギア。
共演陣も豪華でプロゴルファーに「恋愛小説家」のヘレン・ハント、
妻に懐かしのファラ・フォーセト、「ジュラシック・パーク」のローラ・ダーン、
「アルマゲドン」のリブ・タイラーなど。
ファラ・フォーセットはオールヌードも披露し、歳の割にナイスバディーなのに驚かされる。
全身特殊メイクなんやろか。
相変わらず多くの登場人物が絡む割にストーリーは煩雑にならず、
物語がいろんな方向に展開していくアルトマンらしいうまい演出。
しかしこのオチはいただけない。


「バンディッツ」 アメリカ映画
11月21日 19:00 完成披露試写、サンケイホール(20世紀FOX)

考えるより先に行動するタフガイのジョーと神経質だが頭の切れるテリーは
ムショ仲間。
一瞬の隙をついてまんまと脱獄した二人は堅気の生活を送る資金集めとして
銀行強盗をすることにする。
リスクを少なくするためにテリーが考えた方法は、前日銀行の支店長宅に押し入り、
次の日の早朝支店長と共に出勤し、支店長に金庫を開けさせるというものだった。
ジョーのいとこのスタントマン、ハーヴィーを運転手に引き入れ、
手荒なことをせず銀行を次々に襲う彼らは「お泊まり強盗」として有名になっていった。
しかし偶然出会った退屈主婦のケイトが一味に加わってからは、ジョーとテリー、
そしてケイトの三角関係となり、一味はぎくしゃくしていく。
ブルース・ウィリスが「アルマゲドン」で共演したビリー・ボブ・ソーントンを引き入れ
コンビを組んだ。
共演は「エリザベス」のケイト・ブランシェット。
「レインマン」のバリー・レビンソン監督作品。
強盗の方法に斬新さはないし、スタントマンのいとこを引き入れたところですでに
オチは読めた。
山も少なく盛り上がりに欠ける。半コメディーだが中途半端。
ケイト・ブランシェットは今までと違うイメージで顔まで変わっていた。


「ブレス・ザ・チャイルド」 アメリカ映画
11月9日 15:30 ヘラルド試写室(GAGA)

クリスマス・イブ。看護婦のマギーのもとに音信不通の妹ジェナが現れ、
コーディーと名付けられた女の赤ん坊を押しつけ姿を消してしまった。
マギーはコーディーを自分の子のように育てたが、奇妙な行動をとるコーディーを
医者は精神に障害があると判断した。
ところがマギーは、コーディーは病気ではなく
特殊な能力の持ち主ではとおぼろげながら思っていた。
コーディーが6歳になった頃ニューヨークでは幼児連続殺人事件が起こっていた。
FBI捜査官のトラビスは殺された幼児が全て6歳で12月16日生まれと言う共通点から
カルト宗教集団の仕業とにらむ。
やがて不思議な力を持つコーディーにも魔の手が及び、
マギーはコーディーを守るために立ち向かう。
キム・ベイシンガー主演で監督は「マスク」「イレイザー」のチャック・ラッセル。
製作は25年前に「オーメン」をヒットさせたメイス・ニューフェルドで、
「オーメン」を越える作品をと25年ぶりにオカルト作品に取り組んだそう。
カルト集団の教祖役のルーファス・シーウェルやFBI捜査官役のジミー・スミッツなど、
怪しげな役者もちゃんと配しているが「ローズマリーの赤ちゃん」や「エンド・オブ・デイズ」を想起させる。
この種のキリスト教ネタはどうも仏教徒の我々にはピンとこない。


「アトランティス」 アメリカ映画
10月29日 19:20 完成披露試写、梅田ピカデリー4(ブエナ・ビスタ)

1914年、マイロは祖父の意志を継ぎ、海中に没したと言われるアトランティス発見のため
奔走していたが、考古学学会は相手にしてくれない。
そこにマイロの祖父の友人で大富豪のプレストンが現れ、祖父との約束で、
すでに深海潜水艇やクルー、機材もそろえてあり、後は探検に出発するだけだという。
通信・メカニック・爆破などそれぞれのオーソリティーが乗り込み、
アトランティスが沈んだと言われる海域に進入すると、なぞの巨大生物が潜水艇を襲い
潜水艇は大破。
小型艇に分乗して海中の不思議な空間に上陸すると、伝説のアトランティスを発見する。
アトランティスは謎のクリスタルが守り、エネルギーの源でもあった。
ところがその強大な力を手に入れるため、マイロ達と上陸した者がいた。
ウォルト・ディズニー生誕100周年を記念したアニメ。
人物のアップなどはディズニー・アニメらしい平面のキャラクターだけど、
スペクタクルシーンなどは立体的な奥行きのある絵になっている。
オリジナル脚本だけど、後半からは宮崎駿監督の「天空の城ラピュタ」を
彷彿とさせる展開。
改めて宮崎映画のすごさを思い知る。ディズニーにまで影響を与えるとは。


「シャンプー台の向こうに」 イギリス映画
10月29日 15:30 ヘラルド試写室(GAGA)

イギリスの田舎町で全英ヘアドレッサー選手権が開催されることになった。
ブライアンは葬儀屋で死体相手にカットの練習をしながら、父のフィルの理髪店で
働いていた。
そこに別れた母のシェリーがやって来て家族でヘアドレッサー選手権に出ようと持ちかける。
シェリーは癌でもう一度家族の絆を取り戻そうと、チーム参加の選手権に家族で出場したかった。
しかし10年前、3連覇の選手権を目前にヘアモデルでレズのサンドラとシェリーは駆け落ちした。
そんなシェリーをフィルが許すはずもなく、いったんは断ったが、負け犬のような人生から抜け出すため
参加を決意。
それぞれの思いを胸に、カットやブローのバトルが繰り広げられていくのだった。
「パール・ハーバー」のジョシュ・ハートネット主演。
スポーツもののノリで美容師選手権を見せる異色作。
ちゃんと卑怯な事をする悪役もいるし恋も描かれている。
「女性ヘア・ブロー部門」「男性フリースタイル部門」「ナイト・ヘア部門」など
バトルにもちゃんと変化が付けられ飽きさせない。
こういう穴場ネタをやらせるとイギリス映画はうまい。


「怪獣大決戦ヤンガリー」
 韓国映画
10月26日 13:30 ソニー試写室(コムストック)

キャンベル教授とヒューズ博士は洞窟で2億年間眠り続ける伝説の大怪獣ヤンガリーを発見するが、
キャンベル教授は手柄を独り占めにしようとする。
怪獣復活を恐れたヒューズ博士は失踪してしまう。
2年後姿を現せたヒューズ博士はヤンガリーの恐ろしさを訴え、すぐに埋めることを提案する。
ところが地球に飛来した謎の宇宙船から光線が発射され、ヤンガリーが覚醒した。
街を破壊するヤンガリーに対して軍が出動する。
ハリウッド版「GOZIRA」と同じようにCGで作られた怪獣だが、CGの技術が低くちゃち。
セットも安物で夕方の子供向け番組の方がもっとちゃんと作ってると思う。
ハリウッドから多数の俳優を連れてきて撮ったようだけど、名前を言われても誰も知らないし、
出演作は有名な物が多いが、顔を見てもどこに出ていたのか思い出せないような
俳優ばかり。
あんな中途半端なCGなら、むしろ着ぐるみの方がよかったのに。


「アニバーサリーの夜に」 アメリカ映画
10月25日 15:30 ヘラルド試写室(GAGA)

1年間の別居の後再び生活を共にし、6度目の結婚記念パーティーを開くことになった
作家のジョンと女優のサリー。
パーティーに集まってきたのは俳優仲間、映画監督、カメラマン、インテリアコーディネイター、
作家等々。
仲の悪い隣人とぎくしゃくしながら関係を修復しようとしたり、夫と仲良すぎる女性カメラマンにやきもきしたりするが、
パーティーは参加者の余興で盛り上がる。
夜も更けてくると酒の酔いもあり、それぞれの抱える問題が浮き彫りにされていく。
結婚記念日パーティーの一夜の物語。
主演のジェニファー・ジェイソン・リー、アラン・カミングが監督と脚本も担当。
ケビン・クライン、グウィネス・パウトローなどの大物の他、フィービー・ケイツ、ジェニファー・ビールスなどの懐かしどころも出ている。
主軸は主人公夫婦の問題だけど、登場人物の数だけ悩みや問題、関係がありそれらが
物語を紡いでいく。
地味だけど煩雑にならず、うまく捌けたのはリーとカミングの演出の力量がしっかりしていたのだと思う。


「ビバ!ビバ!キューバ」 キューバ・スペイン合作映画
10月11日 13:30 ヘラルド試写室(シネカノン圷)

キューバの首都ハバナ。世界的に有名なキャバレー、トロピカーナのオーディションを
シシーは受けていた。シシーの父カンディドはかつてトロピカーナの歌手として活躍していたが、
恋人マベルとダンサーのアルマンドの仲を怪しみ、トロピカーナをやめて今はしがないトラック運転手。
別のダンサー、オリビアと結婚してシシーが生まれたがオリビアは愛想づかしして出ていってしまった。
シシーは街で出会ったセルヒートと恋に落ちるが、セルヒートのお尻には父カンディドと同じあざがある。
もしやセルヒートは父の息子?二人の恋の行方はどうなるの?
登場人物が複雑に肉体関係を持っていて、この映画を見るとキューバ人は全員浮気性のように見える。
そんなアホなと思うようなストーリー展開。
情熱の国キューバらしいが、インド映画のようにはブレイクしないと思う。


「シュレック」 アメリカ映画
10月10日 13:30 UIP試写室(UIP)

沼のほとりに住む怪物シュレック。彼は人を食うと恐れられまた孤独を楽しんでいた。
偶然助けたしゃべるロバのドンキーはシュレックになついて住みつくわ、
横暴なファークアード卿に土地を奪われたおとき話のキャラクター達が押し掛けてくるわで
静かな沼は一気に賑やかになってしまった。
ファークワード卿に掛け合いに行ったシュレックとドンキーだが、お后として選んだ幽閉中の
フィオナ姫を救い出せば、おとぎ話のキャラクター達に土地を返してやると約束を取り付けた。
ドラゴンに守られた城ではフィオナ姫が白馬の王子様が助けてくれることを夢見ていた。
ところが自分を助けてくれたのは見にくい怪物シュレックだった。
ドリームワークス製作のフルCGアニメ。
アニメだが子供向けと言うよりヤング向けのようで、大人にしかわからないような
ギャグもある。
最近のCGアニメは肌の質感まで細かく表現されていて、シュレックの顔の毛穴、
フィオナ姫の顔のそばかすや髪の1本1本までリアルで、スカートの上から
お尻のパンティー・ラインが見えそうなほど。
フィオナ姫は妙にナイスバディー。


「オー・ブラザー」 アメリカ映画
10月5日 15:30 ヘラルド試写室(GAGA)

1930年代、お気に入りのポマードにこだわる伊達男エヴェレット、皮肉屋のピート、
ちょっと頭の弱いデルマーら囚人3人は、エヴェレットが隠した120万ドルのお宝目指して
野外作業中に脱走した。
追っ手を振りきり何とか逃げ続ける3人は、途中で知り合ったギター弾きのトミーと
当座の逃走資金調達のためラジオ局で「ずぶ濡れボーイズ」と名乗りレコーディング。
ところが彼らの曲が大ヒット。
そうとも知らない3人は、身を寄せた親戚に賞金目当てで密告されたり、伝説の銀行強盗
ベビーフェイス・ネルソンと行動を共にしたりして逃避行を続けていたが、冷酷な追っ手が迫っていた。
ある日エヴェレットは120万ドルのお宝について、本当のことを告白するのだった。
コーエン兄弟脚本・監督のほのぼのコメディー。
伊達男のジョージ・クルーニー、皮肉屋のジョン・タトゥーロ、頭の弱いティム・ブレイク・ネルソンと
キャラクターのはっきりした3人に、癖のある人物達が次々絡んで物語が進む。
コメディーだが、あえて爆笑をあまりとらず、ニヤニヤだけで見せる映画。
全編ニヤニヤを維持するのもかなり難しい。
キャラクター設定の妙と物語作りと「その空気」のうまさによるところが大きいと思う。
音楽もいい。全編ブルースとカントリーで心地よい。サントラを買おうかと思わせる映画。
ラスト近くで盲目の男の不可思議な予言が当たっている映像があるが、ここもクスリと笑わせる。
ニヤニヤとクスリだけでこれほどおもしろいと思わせる映画は少ない。
追っ手の保安官は「暴力脱獄」の看守がお手本だと思われる。
はじめはあまり顔がわからず、サングラスのアップだけで冷酷さを印象づける。
脱獄物のセオリーどおり。
コーエン兄弟は味のある映画巧者だと思った。
他の出演者にホリ−・ハンター、ジョン・グッドマン、チャールズ・ダーニング。


「クローン」 アメリカ映画
9月28日 15:30 東映試写室(GAGA)

2079年、地球は異星人と戦っていたが、防護シールドで守られた都市はわずかで、
大半の土地を失っていた。
最新兵器を開発する科学者スペンサーは出勤途中に地球保安局のハサウェイに逮捕される。
なぜ逮捕されたかわからないスペンサーに、ハサウェイはあるビデオを見せる。
それは異星人によって作られたクローン人間の身体から爆弾が取り除かれるシーンだった。
異星人は地球人を拉致しクローンを作り、身体に巧妙に爆弾を仕掛け、元の記憶をインプットして戻す。
ターゲットとなる人物に接近すると自爆するようにセットされているが、本人はクローンだという自覚はない。
お前はクローン爆弾で、本人はもうこの世にいない。
そんなことはあり得ない、このままでは爆弾除去のために殺される。
スペンサーは命からがら脱出に成功するが、ハサウェイは執拗に追ってくる。
町の外のゾーンと呼ばれる廃墟に住むケールの協力を得て、妻の勤める病院に保管された
自分のDNAで自己の存在証明をしようと危険を冒して病院に潜入するのだった。
「ブレードランナー」「トータル・リコール」のフィリップ・K・ディック原作のSF作品。
高層ビルをぬって飛ぶエアーカーなどが「ブレードランナー」を彷彿とさせる。
セットに掛ける予算があまりないようで、ばれないようにカット割りでごまかしている。
まぁ、それだけカット割りもうまいと言うことだけど・・・。
最後は大ドンデンが用意されている。
ほとんどゲイリー・シニーズ、マデリーン・ストウ、ヴィンセント・ドノフリオの3人で話は進んでいくが、
ヴィンセント・ドノフリオは「フルメタルジャケット」の精神に異常をきたす太った新兵の頃から比べると、
ずいぶん精悍になったなぁ。
「ザ・セル」の猟奇殺人者役のように、これから性格俳優として仕事が増えると思う。
この映画もっと製作費があれば、もっと見応えのある映画になったと思う。


「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」 イギリス映画
9月27日 ビデオ(WOWOWにて収録)

仲良し4人組が一儲けしようとギャングのボス相手にポーカーで勝負するが、
巧妙ないかさまで大敗、多額の借金を作ってしまう。
こつこつ働いていたのでは期日までには払えない。
隣のギャングが大麻栽培で儲けているチンピラの金を強奪すると知り、
その金をいただくことにする。
強奪計画は成功するが、隣のギャング、麻薬組織、恐ろしい借金取り立てに、
クラシックな銃を巡ってのこそ泥などが絡み、4つ巴、5つ巴のバトルが繰り広げられる。
マドンナの旦那、ガイ・リッチー監督作品。
「スナッチ」の前に作られた作品で、パターンは「スナッチ」と全く同じ。
やはり登場人物がやたら多くて、全員が物語に絡んでくるが、うまくさばいて
複雑に人物が絡めば絡むほど物語が高みに上がっていくという演出はリッチー監督のうまさ。
うまいけど同じ映画を2本連続撮ったといった印象は拭えない。
「スナッチ」は「ロック、ストック〜」の成功で予算も増え、キャラクターをもっと個性的に改良し、
おまけにブラピまで出演してるので当然映画としておもしろい。
「スナッチ」を先に見てしまったので、「ロック、ストック〜」が色あせて見えてしまった。
逆なら「スナッチ」が色あせてたところだろうけど・・・・
うまい監督だけに次回作に期待が膨らむ。


「エボリューション」 アメリカ映画
9月18日 15:30 ソニー・ピクチャーズ試写室(ソニー)

アリゾナの砂漠に隕石が落下し、地元の大学で教鞭を執るアイラとハリーは調査に赴く。
砂漠の下の洞窟から隕石は発見されたが、サンプルを持ち帰り顕微鏡で調べてみると
未知の生物が発見された。
落下現場はすぐさま軍によって閉鎖され、調査が進められたが、アイラとハリーは蚊帳の外。
サンプルの生物は驚くべきスピードで進化し、単細胞生物から実体のある生物へと変化していった。
軍と共に調査している女性科学者アリソンに、もう一度落下現場で自分達も調査したいと訴えるが
取り合ってもらえない。
そんな二人に隕石の第一発見者のウェインが小さな恐竜の死体を持ち込む。
宇宙からの生物は地球の生物進化の過程を短時間で果たしてしまう。
このままほっておくとやがて地球は謎の生物で埋め尽くされてしまう。
アイラ、ハリー、ウェイン、そして味方に付いたアリソンは地球を守るために立ち上がるのだった。
「ゴーストバスターズ」のアイバン・ライトマン監督作品。
アイバン・ライトマンはどうも「ゴーストバスターズ」路線が好きなようで、
テーマは違ってもノリは全く「ゴーストバスターズ」と同じ。
やはりラストには「マシュマロマン」に相当する「巨大な物」が登場する。
進化過程でいろんな生物が登場するが、中途半端なコメディー映画。
「Xファイル」のデビッド・ドゥカブニーやジュリアン・ムーアなどが出ている。
ジュリアン・ムーアにとってこの映画は何のキャリアにもならなかったと思う。


「ロック・ユー!」 アメリカ映画
9月18日 13:00 ソニー・ピクチャーズ試写室(ソニー)

14世紀のヨーロッパ。トーナメントと呼ばれる剣術試合が人気を呼んでいた。
瓦ふき職人の息子ウィリアムはエクター卿の従者としてトーナメントを転戦していたが、
試合のケガがもとでエクター卿は死に、従者達は路頭に迷ってしまった。
トーナメントは騎士のみが参加できるが、ウィリアムは身分を偽ってトーナメントに参加、
高価な賞品を手に入れ飢えをしのぐことができた。
これに味を占めたウィリアムは他の従者相手にトレーニングを積みトーナメントを転戦することにする。
種目は賞品がいい馬上槍試合。
向かい合わせに馬に乗った騎士が走ってきて槍で付き合いをするというものだった。
旅の途中で一行と行動を共にすることになった文筆家のチョーサーに貴族証明書を偽造させ
トーナメントで連勝するウィリアムの前に名手アダマー伯爵が立ちはだかる。
アダマーに惜しくも破れたウィリアムだが、観客席に美しい貴婦人ジョリスンを見つけ、
一目惚れをする。
ロンドンの世界選手権、ジョリスンの愛も手に入れたウィリアムだが、父親との密会をアダマーに見つけられ、騎士でないことがばれてしまった。
競技場に姿を見せれば身分詐称で捕まってしまうが、ジョリスンとの愛と、自分を支えてきてくれた仲間の友情のため、
ウィリアムは競技場に姿を現すのだった。
愛と友情をテーマのスポーツ物を中世の馬上槍試合に置き換えた異色作。
音楽もクイーンの「ウイ・ウイル・ロック・ユー」など懐かしのロックが中世をバックに使われる。
何度も馬上槍試合のシーンがあるが、ただただ馬に乗って向こうからダーっと走ってきて
突き合うだけの勝負なので実に単純。
それだけに見せ方が問われるが、「グラディエーター」ほどのバリエーションがあるわけでもなく、
同じようなカットの繰り返し。
一番の見せ場をダレさせてはラストシーンも盛り上がらない。
馬上槍試合にこだわらず他の種目も参加して変化をつければ良かったのに。


「A.I.」 アメリカ映画
8月9日 高岡ワーナー・マイカルシネマ

未来の地球。産児制限が徹底され、むやみに子供が産めない社会。
サイバートロニクス社の従業員スウィントンの息子は、
不治の病で治療法が見つかるまで冷凍保存されていた。
ある日会社から子供ロボットのモニターという実験が提案された。
今までのロボットとは違い感情を持ち、両親への「愛」をインプットされた新型ロボットだった。
スウィントン夫妻は悩んだあげく実験を承諾したが、一度セットされた子供ロボットはリセット不可能で、
うまくいかなかった場合は廃棄処分となる。
デビッドと名付けられた子供ロボットは、何の疑いもなく両親を無垢の愛情を持って接し、
夫妻も我が子のように愛し始めた矢先、奇跡的に実の息子の病気が治り、
いきなり二児の親となった。
自分達の本当の子供とロボット、やはり親の愛情の偏りは隠しようもなく、
ある事件をきっかけにデビッドを捨てた。
「愛してるのになぜ」と泣きながら問うデビッドを残し母親は車を走らせるのだった。
持ち主のいないロボットはジャンク屋に捕まり、悲しい末路を遂げる。
偶然であったジゴロ・ロボットのジョーと家から一緒に付いてきたスーパー・トイのテディーと共に
ジャンク屋から逃れ、自分の愛を受け入れてくれる世界に向けて旅を続けるのだった。
スタンリー・キューブリックの企画をスティーブン・スピルバーグが引き継いだSF作品。
人間になることを夢見る現代のピノキオ物語だが、実に悲しい。
「泣かせのオスメント君」の面目躍如。
ジュード・ロウのテカテカしたチープなロボット顔もいい。
企画はキューブリックだがやはりスピルバーグ作品で、スピルバーグらしいうまいカットが随所にあるが、
最後はやはり異星人の奇跡に着地する。
もともとスピルバーグ色の企画じゃなかったので賛否両論のできになったこともわかる。
この作品、キューブリックが撮るとどう着地するか観たかった。


「千と千尋の神隠し」 日本映画
8月1日 梅田スカラ座

小学生の千尋は両親と引っ越しの途中、不思議な町に迷い込んでしまう。
無人の食堂で料理をぱくつく両親だが、千尋はこの町がこの世の物とは思えず、
早くここから出ようというが、両親はかまわず食べ続ける。
仕方なく無人の町をこわごわ散策して戻ってくると、両親は豚に姿を変えていた。
出会ったハクという少年から、ここは神様の湯治場で人間だとわかると殺されてしまう。
豚に変えられた両親を救うには、湯婆婆という魔女が仕切る温泉旅館で働くしかないと言う。
うまく取りなして旅館の使用人として働く事になったが、名前を取り上げられ「千」と名付けられた。
仕事が始まったが小学生の女の子がいきなり温泉で働くことになり、しかも客はおかしな神様ばかりで、とまどうことばかり。
ハクや釜爺、先輩のリン達に助けられ千尋は両親を救うため一生懸命働く。
宮崎駿監督のアニメ。
ただただ与えられるだけの無難な生活をしていた小学生の女の子が、
右も左もわからない異次元空間で自ら運命を切り開く能動的な少女へ変わる様を、
絶妙のストーリーと味付けで描いた作品。
きわめて日本的な美術と設定が、日本人の琴線に触れ、深く心に入ってくる。
宮崎監督は細かい仕草にまで気を配っているようで、無人の食堂で両親がむさぼり食うシーンで、
ラーメンを食べる母親の左手の手首の角度など、「ああこんな感じで女の人はラーメン食べたりするなぁ」と
思うような仕草や、間隔の広い階段の登り方など、かなり人間観察が行き届いた描写力。
この細やかさがストーリーや美術、キャラクターなどの隅々にまで浸透してこのアニメはできあがっているのだと思う。
前作「もののけ姫」はメッセージが強すぎたが、この作品は観た者が感じた事がそのままメッセージとなるような映画。
間違いなく宮崎作品の最高作といえる映画で、この夏の映画ではトップだと思う。


「ジュラシック・パークV」
 アメリカ映画
7月26日 16:00 ユニバーサル・プレミア、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(UIP)

南米コスタリカ沖のサイトB、この島は遺伝子技術によって蘇った恐竜の島だった。
立入禁止区域となっていたが、パラセイリングで恐竜見物をしようと、観光客がボートで接近、
行方不明となる。
8週間後、恐竜学者グラントのもとに実業家のポールとアマンダ夫妻がやってくる。
結婚記念日にサイトB上空を遊覧飛行したい。許可も取ってあるのでガイドしてほしいという。
研究資金の援助を持ちかけられ渋々応じたグラントだが、飛行機はグラントを止めるのも聞かず
島内に着陸。武装した男たちが降り立った。
実は行方不明となった息子を捜すためにポール達が嘘をついていたのだ。
巨大恐竜に追われ、すぐさま飛行機で脱出しょうとするが恐竜に激突墜落してしまう。
武器は壊れ、男達は次々に犠牲になってゆく。
実はサイトBでは、T−REXよりも巨大で凶暴なスピノサウルスの復元に成功していて、
息子を捜すどころか、自分たちも肉食獣の獲物として自然の中にほり出されてしまったのだ。
おなじみのシリーズ第3弾。
今回の試写はUSJ「モーション・ピクチャー・マジック」内でのスペシャル・プレビュー。
会場前は赤じゅうたんが敷かれ、ロープの向こうには報道陣のカメラの砲列がずらり。
後ろには見物客が遠巻きに眺めてる。アカデミー賞の授賞式会場前みたいだった。
そんな前を通って会場内に。
泉谷しげる、曙らも東京から来ていた。
曙はふつうの座席に座れないので、座席横にソファーを置いてもらってそこで鑑賞。
プレスシート、プレスパス、ポスター、ピンバッジ、USJナップサック、USJパンフなど
お土産もいっぱいで、ロビーではポップコーンやドリンクまで配るサービスの良さ。
映画はいつものパターンで新鮮みはないし、恐竜のCGももう驚くほどでもない。
スピルバーグから監督をバトンタッチした「ジュマンジ」のジョー・ジョンストンは娯楽映画として無難にまとめた。
この映画は理屈を言わず、登場人物と同じようにただ恐竜に翻弄され、ハラハラ・ドキドキ
音と映像に身をゆだねて手に汗握り、「あー、おもしろかった」と映画館を出てくる映画なので、
娯楽映画としてはじゅうぶん楽しめる。夏休みはやはりこういう映画でないとね。




「猿の惑星」 アメリカ映画
7月19日 19:00 完成披露試写、厚生年金芸術ホール(20世紀FOX)

2029年、深宇宙探査のための宇宙ステーション、オベロン号は磁気嵐を発見。
調査のために知能が高くよく訓練されたチンパンジーのペリクリーズを探査ポッドで
調査に出すがペリグリーズは消息を絶つ。
上官の止めるのも聞かずレオはペリグリーズをポッドで追うが、レオもまた行方不明になる。
レオのポッドは磁気嵐が作り出した不思議なトンネルに吸い込まれ、
とある惑星に不時着する。
そこは猿が支配し、人間が奴隷となった猿の惑星だった。
33年ぶりに蘇った「猿の惑星」21世紀版。
昔の「猿の惑星」ファンは、どうしてもこの作品をリメークと思い、
「あのラストシーンは一体・・・」と思ってしまうが、猿と人間が逆転した惑星に
不時着すると言う設定だけを残し、全く別の作品となっている。
猿のメイクは現在の技術を持ってすればよくできて当たり前で、
そのことを考えると33年前にほとんど今と同じような特殊メイクをしていたというのはすごい。
クライマックス前に昔の「自由の女神」に相当するシーンがあるが、
カット割りは昔の「自由の女神」のカットにわざと似せてあった。
ところがこれはまだ中ドンデンで、ラストに大ドンデンが用意され、問題を残しながら終わる。
おかげで映画が終わってから「あれはどうなってるのか・・・・?」と、
頭の中で一から整理し推測して自分でつじつまを合わせながら帰らないといけない羽目になる。
チャールトン・ヘストンが猿の役で出ていると聞いたので、注意して見ていたが、
「たぶんこれやろうなぁ・・」と思う人物がいたが、顔はよくわからない。
クライマックスで「アメリカやったら劇場で大喝采が起こるねやろうなぁ」と思うシーンがあった。
この映画の見せ場のひとつ。
監督のティム・バートン色は少し抑えられ、万人ウケする作りになっている。
ヒット作のシリーズでもなく、リメークでもなく、基本的なシチュエーションを残したまま
新たな物語を作った点はかなり評価できる。
続編が出来そうな作りだけど、下手にシリーズ化せんといてほしいなぁ・・・。


「トゥームレイダー」 アメリカ映画
7月18日 19:30 完成披露試写、梅田スカラ座(東宝東和)

ララ・クラフトは知的で美しく敏捷な肉体も兼ね備えたトレジャー・ハンター。
20年前に失踪した父親の残した広大な屋敷で執事のヒラリーと、
ハイテクおたくの相棒ブライスと暮らしていた。
ある日隠し部屋で不思議な時計を発見、父親の遺言でこれは時空を司る鍵で
惑星直列の日にこの鍵で時空を支配するピラミッドを手に入れることができる
という事がわかる。
ところがこの鍵を「光の人々”イルミナーティ”」という秘密結社も狙っていて、
彼らの手先パウエルはこの鍵をララから奪ってしまった。
世界を守るためララはパウエルを追って秘密が隠されたアンコールワットへ向かう。
世界で2400万本も売れたゲームの映画版。
主演はジョン・ボイドの娘アンジェリーナ・ジョリー。
この映画で初の親子共演をしている。
チラシなどの写真ではそれほどでもないが、もうお父ちゃんそっくり。
唇が深海魚のように厚ぼったい。
なんかおっぱいばかり目立つ。まぁゲームもそうやけど。
日本のサスペンスドラマのように、ちゃんとサービスのアンジェリーナ・シャワーシーンもある。
トレジャー・ハンターとしては「インディー・ジョーンズ」、石像が襲ってくるところは
「ハムナプトラ」、古い屋敷にハイテク装備に執事は「バットマン」、
ワイヤーアクションは「マトリックス」と、いいとこ取りで新味はない。
こういったアクション映画の場合、アクション「動」を際だたせるために合間に
「静」の部分を作る。
ところがこの「静」の部分が大事で、優れたアクション映画はこの「静」の部分も見せるし、
この部分でストーリーの厚みを膨らませる。
この映画はその「静」の部分が少し希薄。
共演の英国人ダニエル・クレイグは最近「ホテル・スプレンディッド」「ザ・トレンチ」など
よく見かける。
第2の「ロバート・カーライル」になるか。
まぁノー天気に見る娯楽映画としてはいいかも。
監督が「将軍の娘 エリザベス・キャンドル」のサイモン・ウエストと言うこともあり、
ちょっと期待しててんけどなぁ・・・・


「ブロウ」 アメリカ映画
7月17日 15:30 ヘラルド試写室(GAGA)

子供の頃父親が破産し、惨めな生活を見てきたジョージ・ユングは、
友人とマイアミに出てマリファナ販売で小金持ちになる。
商才のあるユングはもっと儲けるためにはと、メキシコに飛び
直接交渉で大量のマリファナを仕入れ、自家用飛行機で密輸するという
産地直送型の密売人としてのし上がる。
ところがいいことは長くは続かず、あえなく逮捕。
刑務所で知り合ったディエゴと出所後、今度はコロンビアのコカイン・カルテルの
ボスと手を組みコカインの闇ルートを確立する。
ユングのコカインはハリウッドの芸能人、インテリ層、上流階級などに、
おしゃれなドラッグというイメージで爆発的に浸透してゆく。
巨万の富を得るが、裏切り、逮捕、家族崩壊など、
ユングは決して幸せな人生ではなかった。
アメリカのコカイン市場の85%を占め、一大コカイン帝国を築き上げた男の実話。
ジョニー・デップ主演、ペネロペ・クルス共演。
このペネロペ最近大ブレイク。
「オール・アバウト・マイ・マザー」の後、キャサリン・ゼダ・ジョンーズを
け落として「ラックス・スーパーリッチ」のCMやってたり、
ニコラス・ケイジの「コレリ大尉のマンドリン」や、トム・クルーズとの
共演映画も控えてる。
主人公達の儲け方がすさまじく、金勘定が一仕事、
「何度数えても50万ドル足らん」「その段ボール箱の金もういっぺん数えてみ」
「もう金数えるのはうんざりや」「ほな目方計ってみ、27kgあったら50万ドルや」
「じゃまくさいから、もうええわ」
みたいな会話をしてる。
見てる者が、そんなに儲かるならと一線を越えてしまいそうな羽振りだった。
実にオーソドックスに作られた伝記物。
巨万の富を築いたが、最後は一文無しになり愛する者すべてを失う。
絵に描いたような凋落の仕方。
映画自体は退屈もせずに最後まで見られた。
正攻法でちゃんと撮られた映画やね。


「キス・オブ・ザ・ドラゴン」 アメリカ・フランス映画
7月13日 19:20 完成披露試写、三番街シネマ1(K2、日本ビクター)

フランスでの麻薬ルートの共同捜査のため中国から派遣された捜査員リュウ。
麻薬シンジケートのボス、ソングが投宿しているホテルでフランスの捜査指揮官
リチャード警部と合流する。
リチャードは必要ないからとリュウの拳銃を取り上げ、丸腰のままソング逮捕の任につかせる。
ソングは娼婦二人を部屋に招き入れるが、警察側はあらゆる所に仕掛けた隠しカメラで
ソングを監視していた。
ところが、娼婦はソング暗殺のために送り込まれた殺し屋で、ソングはかんざしで滅多刺しされる。
リョウとリチャードが部屋に駆けつけつけるが、リチャードは部下に録画をストップするように告げると、
リョウの銃でソングの息の根を止め、娼婦も殺してしまう。
罠にはめられたことに気づいたリョウは命からがらホテルから逃げだし、
チャイナタウンの協力者アンクルの店に向かう。
そこはソング暗殺のためにリチャードに無理矢理協力させられてたもう一人の娼婦、
ジェシカが客を引く場末の風俗街だった。
ひょんな事で知り合ったジェシカがソングの殺害現場にいたことを知ったリョウは、
彼女を証人に身の潔白を証明しようとするが、ジェシカは娘を孤児院に入れられ、
娘と暮らすためにはリチャードに逆らえないという。
警察組織をフルに使ってリョウを執拗に追うリチャードの魔手はリョウとジェシカに近づいてきた。
リュック・ベッソン製作でジェット・リー主演のカンフーアクション。
ジェット・リーはカンフーの達人だけではなく、中国鍼の達人と言う設定がおもしろい。
リストバンドに仕込んだ鍼を臨機応変に相手のツボに刺し、動きを止めたり眠らせたりする。
カンフーと鍼、動と静の達人。
フランスなのに相手方にカンフー使いがたくさんいるのは不自然。
SWAT隊員までカンフーを使う。
アクション途中でどうなったのかわからないようなカットもある。
敵役のチェッキー・カリョは憎々しくていいけど、なぜソングを殺したのかちゃんと説明されていない。
まぁ「レオン」のゲーリー・オールドマンみたいな役どころなので、そんな理由なのだろうと勝手に考えて見ていた。
ストーリーはオーソドックスそのもの。
タイトルの「キス・オブ・ザ・ドラゴン」は、
カンフーの達人の代名詞「ドラゴン」が最後に誰かにキスするのかと思っていたら、
全然違う意味だった。最後の言葉がタイトルになってる。


「渦」 カナダ映画
7月11日 13:30 ヘラルド試写室(GAGA)

薄暗い不気味な部屋で、裸の見にくい男が包丁を研いでいる。
まな板の上にグロテスクな深海魚が乗せられさばかれようとしている。
魚は死ぬ前にと、物語を語り始める。
有名女優の娘ビビアンはブティックを経営しているが、経営は思わしくなく
投資会社の兄はビビアンの店を閉めることを通告する。
絶望の淵に立たされたビビアンは気晴らしにクラブに行き、帰り道で男をはねてしまう。
動揺したビビアンは男を置き去りにして逃げ帰った。
男は重傷を負いながら自宅に戻り、いすに座ったまま絶命する。
罪の意識にさいなまれるビビアン。
自分が轢いた男の弔いをするために葬儀場を訪れたビビアンは、そうと知らず轢いた男の
息子エビアンと知り合い、二人は惹かれ会う。
途中で挿入される魚をさばく異次元空間がデビッド・リンチの「イレイザーヘッド」のようで、
包丁を研いでるところは「アンダルシアの犬」のようだった。
本筋との世界のギャップが大きすぎる。
魚が語る恋物語にしてはオーソドックスすぎる。
もっと不可思議な物語にしないと語りべの魚が浮いてしまうし、
殺されると次の魚が引き継いで同じ声で物語をつなぐのもいただけない。
ここはやはり一匹の魚の殺される前のお話としないといけないのではないかい。


「ザ・トレンチ<塹壕>」 イギリス映画
7月9日 15:30 東映試写室(彩プロ)

第1次世界大戦中のフランス北部ソンム。
蜘蛛の巣のように張り巡らされた塹壕の中でビリー達イギリス軍の新兵は、
総攻撃の命令を待っていた。
上官のハート中尉はインテリだけど頼りないく、新兵達の頼りは古参の
ウインター軍曹だけだった。
外の世界の見えない狭い塹壕内でビーリーの兄は狙撃され重傷を負い、
仲間は砲弾で吹き飛ばされた。
いつ下るともわからない攻撃命令をただ塹壕内で待つ日々。
苛立ちと恐怖、憔悴しきっていた彼らにとうとう総攻撃の命令が下る。
第1次大戦中に起こった20世紀最大の愚行と言われた「ソンムの戦い」、
その戦いを前に塹壕内の新兵達の心理を描いた戦争映画。
ほとんどが塹壕内のセットで、舞台劇のよう。
照明がセット臭い。
主役のポール・ニコルスはジュード・ロウ似の二枚目だが、
ジュード・ロウが大ブレイクしている今、ジュード君に似ていることが今はマイナスになって損している。
軍曹役のダニエル・クレイグは渋い。
最後の総攻撃シーンでやっと塹壕の外にカメラが出たが、
「わー」と言って突撃するでもなく、銃を構えててくてく敵陣に向かって歩いていくだけ。
敵の弾にバタバタ兵士は倒れていく。
こら20世紀最大の愚行やわ。2日間で6万人死んだらしい。
これが昔の突撃スタイルなのか。
ラストカットはキャパの写真のよう。


「ヤマカシ」 フランス映画
7月6日 19:30 完成披露試写、リサイタルホール(K2、日本ビクター)

鍛え上げた肉体と自由な心を信じて、ビル登りに命を懸ける集団「ヤマカシ」。
警察は彼らを捕まえることに躍起になるが、「ヤマカシ」は子供達の憧れの的だった。
ある日心臓の弱い子供が彼らの真似をして木から転落、医師から24時間以内に心臓移植を
しないと助からないと言われる。
手術には大金がいるし、お金がないと手術をしてもらえない。
そこでヤマカシ7人衆は子供の手術費作るために立ち上がる。
リュック・ベッソン製作。
「ヤマカシ」とはコンゴ語で「超人」と言う意味。
どんな方法で金を工面するのかと思っていたら、
金を用意しないと手術してくれない病院の理事から金目の物を盗んで
手術費用にしようという。
なんやただの泥棒やんか。
すぐ院長を取り囲んで脅したり、盗みで金を工面したり
全然共感できない。
自分のマンションの壁をよじ登られたら誰でも怒る。
こいつらの言い分はどこにも正しいとこはない。
実在のグループらしいが、主役にするほど華はない。
メンバーが多すぎる。
キャラもかぶってるし、それぞれの個性を描ききっていない。
7人もいらん。4人で充分。


「ドクター・ドリトル2」 アメリカ映画
7月3日 19:20 完成披露試写、三番街シネマ1(20世紀FOX)

動物と話ができるドリトル博士は世界中で引っ張りだこ。
毎日忙しい日々を送っているが、心の安らぎは妻と二人の娘の待つ我が家だが、
最近長女のシャリースにボーイフレンドができ、パパは気が気じゃない。
ある日、森の動物がドリトル博士の所にやってきて、森を助けてくれと言う。
森に駆けつけると森林伐採で、このままでは動物たちの住みかがなくなってしまう。
森を守るため一肌脱ぐことにしたドリトルは、森に1頭しかいない珍しい種類の熊が繁殖すれば
法律で森林伐採をくい止められることを知る。
婿として選ばれた雄熊はサーカスにいるアーチーだった。
アーチーを説得して森の雌熊エバとお見合いさせるが、都会育ちでエサの取り方も知らない
アーチーでは自分を守ってもらえないとエバは取り合わない。
それからはアーチーの特訓が始まった。
徐々に自然に慣れてきたアーチー、ウィットに富む彼の言葉に次第に心が傾きだしたエバ。
しかし製材会社の陰謀で、ドリトルとアーチー達は窮地に立たされる。
エディー・マーフィーの「ドリトル」第2弾。
エディー・マーフィーは役柄もあるが、少し老けたみたい。
全然昔のような毒気や下品さがない。
ファミリー路線に転じたか。
ギャグは映画のパロディーのところはおもしろい。
まぁファミリー向けやね。


「夢の旅路」 アメリカ映画
7月3日 13:00 東映試写室(キングレコード、シネマストリーム)

昔、道もない野原の真ん中に勝手に料金所を作った男がいた。
ゲートを通る車もなく何十年と男は車が来るのを待ち続けた。
フランスのドキュメンタリー映画の撮影隊が彼を取材にやってきたとき、
やっと車が料金所に向かってやってきた。正装しチューバを鳴らして迎える男だったが、
車はあっさりゲートを迂回して行ってしまった。
しかし男はめげることなくいつかゲートを通る車を夢見て待ち続けるのだった。
現代、タクシー運転手のヘンリーは強盗に有り金を奪われた後、
老人たちが無理矢理車に乗り込んできた。
それはドキュメンタリーの撮影隊だったフランス人3人組だった。
金もない不思議な老人たちと奇妙な旅を続けながら、ヘンリーは老人達から
大切な人を捜しに旅たつように諭され、老人達は姿を消した。
漠然とタクシーで旅発つヘンリーの前に美しい女性ファティマが通りかかる。
一目惚れをしたヘンリーはファティマの納屋に住みつき、ファティマの愛を得ようとする。
母や弟の反対もあって心を開いてくれないファティマだったが、
やがてヘンリーに心を開きヘンリーと共に旅発つが・・・。
長編デビューとなるマイケル・ディ・ジャコモ監督作品。
「海の上のピアニスト」のティム・ロス主演で共演陣にミッキー・ルーニーや
ロッド・スタイガーなど懐かしどころが出ている。
二人ともまだ生きてた。
夢の中のような不思議でおかしな世界で前半はおもしろかったけど、
後半の恋物語あたりから退屈な映画になってしまったし、
ラストは理解できない。
何とか前半の世界を維持できなかったのかなぁ、残念。


「ファイト・クラブ」 アメリカ映画
7月1日 ビデオ(WOWOWにて収録)

自動車会社の事故調査係ジャックは不眠症に悩まされていた。
重病患者の会に紛れ込み、彼らと共に泣くことが唯一の心の慰めだった。
ところが凝った家具でそろえた自宅が何者かに爆破され、
飛行機で隣り合わせたタイラーの家に転がり込む。
タイラーの考えは自由奔放だが過激で、ジャックはタイラーにとまどいながらも傾倒していく。
タイラーは殴り殴られることで自己を解放する「ファイト・クラブ」を設立。
会員はどんどん増え、至る所に支部までできる始末。
カリスマ性のあるタイラーは会員を選抜し軍隊を組織しだした。
エドワード・ノートン、ブラッド・ピット主演。
公開当時のテレビCMを見て、もっとノー天気な、ただ単にベア・ナックルで戦う
秘密クラブの話だと思っていた。
実際は深かった。
重病患者の会をはしごするシチュエーションがおもしろい。
途中の大どんでん返しで「あっ!」と驚かせるし、
監督のデヴィッド・フィンチャーは「セブン」といい「ゲーム」といい、
どんでん返しと画面に独特の色調を持ったうまい監督やなぁ。


「ELECTRIC DRAGON 80000V」 日本映画
6月27日 11:00 テアトル梅田(サンセントシネマワークス+タキコーポレーション)

子供の頃、鉄塔で感電してからコントロール不能の暴力的なパワーを
エレキギターで制御しつつ爬虫類専門の探偵となった竜眼寺盛尊と、
顔半分に仏の仮面を付け、昼は電気屋で夜は電波を正しく使用しない者に制裁を加える
闇の仕置き人、雷電仏蔵が運命的な対決をするという荒唐無稽な話。
石井聰互監督、浅野忠信・永瀬正敏主演。
モノクロで全編にハードロックが流れる。
上映時間も映画なのに55分しかない。
仏蔵は電波を正しく使わない者に制裁を加えると言っても、違法電波を
取り締まるわけではなく、携帯で連絡するやくざなどをやっつける。
なぜ盛尊を狙うのか、「怒ったお前に会いたかったから」と言うが、
帯電王としてのプライドか、そのあたりが説明不足。
パワーはあるけど、もう少し設定のディテールを丁寧に作って欲しい気がした。


「パール・ハーバー」 アメリカ映画
6月26日 18:30 フェスティバルホール(ブエナ ビスタ)

レイフとダニーは幼なじみ、二人とも子供の頃からパイロットに憧れ、
父親の農薬散布の飛行機を勝手に動かしてはこっぴどく叱られていた。
レイフはダニーをいつもかばい、ダニーもレイフを兄のようにしたっていた。
陸軍航空隊のパイロットとなった二人は、適性検査で看護婦イヴリンと出会う。
一目惚れしたレイフはなんとかイヴリンに近づき、恋愛に対して不器用なレイフに
逆に好意をもったイヴリンは彼の愛を受け入れる。
しかし志願していた英国の航空隊への入隊が決まり、欧州の戦地に向かうレイフは、
イヴリンに必ず無事に帰ってくる事を誓って旅発つ。
ダニーとイヴリンは南の楽園ハワイへ転属となり、平和な日々を過ごしていたが、
そこへレイフの機が墜落し、遺体も発見できないと知らせが来た。
悲しみにくれるイヴリンを慰めるダニーだが、いつしか二人の間に愛が芽生え始める。
レイフを失った悲しみも徐々に癒え、愛をはぐくむ二人の元に、奇跡的に生還した
レイフが現れる。
二人の仲を知ったレイフは愕然とし、レイフはダニーを非難、二人は激しく殴り合う。
明くる朝、日本軍の奇襲攻撃がパール・ハーバーを襲った。
情報収集が遅れた米国艦隊は無防備で為すすべもなく次々に撃沈され、
航空機も飛びたてずじまいで日本軍の餌食になっていった。
なんとか修理中の機で飛び立ったレイフとダニーの活躍もむなしく、被害は甚大だった。
米国も重い腰を上げ参戦を決定、パール・ハーバーの借りを返すべく東京空爆を計画。
この任務に志願したレイフとダニーだったが、生還することも難しい極めて危険な任務だった。
なぜ今頃「パール・ハーバー」なのかと思っていたが、
「プライベート・ライアン」「スターリングラード」系の悲惨なシリアスな戦闘シーンを
見せる映画ではなく、一大スペクタクルとしての戦争大作を作ろうとして、
この題材を使った製作のジェリー・ブラッカイマーの狙いは見事に当たった。
試写でフェスは初めてで大画面で音響もいいからかもしれないが、
今までで一番迫力のある戦争映画だと思う。もう鳥肌もの。
監督のマイケル・ベイは丁寧な仕事で、すごい戦争大作を撮った。後の語りぐさになる映画。
アメリカ映画であんなに日本にこてんぱんにやられる戦争映画はなかったと思う。
反撃してもほんのちょっと一矢報いる程度で、やっぱり逆に窮地に立たされる。
しかし友情や愛を引き裂いたのは日本軍ではなく戦争であるというような、
反日的な感情を芽生えさせないような配慮がなされてた。
親友を交えた三角関係の人間ドラマも盛り込んで、見応えのある堂々とした3時間3分の
ヒューマン戦争大作になっていた。
巨額の宣伝費もあるしこれはヒットしそう。


「ロマンスX」 フランス映画
6月26日 15:30 東映試写室(プレノンアッシュ)

小学校の教師マリーはモデルのポールと付き合って3ヶ月、半同棲状態だが
マリーはポールを好きで好きで堪らないのに、ポールはマリーに指一本ふれようとしない。
マリーはポールとの愛に悩み、行きずりの男とセックスする。
それから性学者で勤めている学校の上司とソフトSMに走ったりするうち、
愛情と快楽は別物であると感じ始める。
娼婦まがいのことをしたりしてポールの気を引こうとするマリー。
なんとか気を引くことに成功したマリーだが、性交途中でポールを怒らせてしまった。
味気ない行為だったがマリーは妊娠。自由なポールを縛り付けまいと腐心するマリーだが、
陣痛が始まったとき酔いつぶれて起きないポールを見て、マリーはある決断をする。
フランス映画でR−18指定。
女性監督カトリーヌ・ブレイヤの作品で、はじめは性描写などで少し詰めが甘いかと思ったが、
どんどん描写はエスカレート。
女性でしか描けない愛と性、羞恥心、健気さ、怖さなど女性心理の深いところまで入っていく。
これは男性監督では描けないし、同性とは言えここまで掘り下げて描くブレイヤ監督も偉い。
かなりの問題作。


「アリーテ姫」 日本映画
6月19日 16:00 松竹試写室(オメガ・エンタテインメント)

中世、アリーテ姫は城の塔のてっぺんでひっそり暮らしていた。
姫の役目は立派な騎士と結婚すること。その日まで民にも顔を見せず、
静かに暮らす。姫もそれが運命だと思っていた。
古文書で見つけた抜け穴で城を抜け出し、初めて街へ出た姫は、
人々の生き生きした生活を垣間見、小さな自分の部屋以外に広い世界があることを知る。
姫の婿を選ぶ日が来た。
かつて存在した魔法使いの宝物を世界中から探しだして献上するのが結婚の条件だった。
騎士達が世界中から不思議な宝物を持ち帰ったが、本物の魔法使いボックスが妖術で
アリーテを妻とし、連れ去ってしまった。
自分の心を妖術で封印され、屋敷の地下に幽閉されたアリーテだが、
やがて本当の心を取り戻し、自分の考えで未来を切り開こうと行動する。
これが初監督となる片渕須直は、宮崎駿の直弟子で「魔女の宅急便」の演出補と
謳われているけど、「魔女〜」はずいぶん昔やし、演出補ってとても
セールスポイントとしては弱いと思う。
アニメの雰囲気はまんまジブリ。
しかも「風の谷のナウシカ」の頃の絵や内容で、
フルデジタルアニメと書かれてあったけど、何かテレビアニメのような絵でちゃち。
物語は単調で地味。途中で眠くなった。
ジブリアニメはもっと起伏があって、メッセージも強いけど、この作品は淡々として静かな主張。
中世の時代なのに、魔法使いが「プログラム」とか「モード」とか現代のハイテク用語を使うのが
違和感がある。中途半端。
学校の巡回映画向けなんやろか。


「みんなのいえ」 日本映画
6月18日 13:30 梅田劇場

放送作家の飯島直介と妻の民子は念願のマイホームを建てることにする。
設計は民子の友人で新進気鋭のデザイナー柳沢、建築は民子の父で
頑固だが確かな腕の大工の棟梁岩田長一郎。
自分たちの好みの家を建てるつもりが、あまりにもアーティスティックなデザイナーが、
妙なこだわりで家をデザインし、実父の棟梁が昔ながらの家を頑なに作ろうと意見が対立。
両者をなんとかなだめながら妥協して設計変更を繰り返す。
おろおろしながらなんとかマイホームを作る話。
タイトルの「みんなのいえ」は漠然とした一般の「あなた達の家」という意味かと思っていたが、
自分の家なのにデザイナーの家でもあり、大工の家でもあると言うことで
「みんなのいえ」なのだとわかった。
どんどん話をややこしくしていく人間の絡み方、ドラマの盛り上げ方、ギャグ等、
どれをとっても三谷幸喜の映画だけど、
ただ一点気になるのは、民子が自分の父親のことを「長一郎」と呼び捨てにするところが
何の説明もされず謎のまま終わった。
ココリコの田中君が主役の一人で、力まず自然体で結構頑張ってた。


「ワイルド・ワイルド・ウエスト」 アメリカ映画
6月17日 ビデオ(WOWOWにて収録) 

西部開拓時代。合衆国征服を狙うマッドサイエンティスト、ラブレス博士を捕まえるため
ウエストとゴードンは大統領から特命を受ける。
発明家で頭脳派のゴードンに対し、ウエストは行動してから考えるタイプ。
大統領から貸与された機関車「ワンダラー号」で博士を追う二人だが、
全くかみ合わない。
途中ラブレス博士に科学者の父親をさらわれた娘リタも加わり、なんとかラブレス博士に追いつくが博士は巨大なクモ型ロボットで攻撃を仕掛けてくるのだった。
ウイル・スミスとケビン・クライン主演。
今普通の時代劇は当たらないし、現代的な痛快時代活劇を作ろうという気もわかるが、
メカに頼りすぎ。
緊迫感のない主役の演技と、ちゃちな合成。
金の無駄遣いのような映画。


「姉のいた夏、いない夏。」 アメリカ映画
6月15日 13:00 ヘラルド試写室(GAGA)

1976年、サンフランシスコに住むフィービーは高校を卒業後、
母と二人暮らしで退屈な毎日を過ごしていた。
フィービーには拭いようのない心の傷があった。
7年前、仲のよかった大好きな姉フェイスの死だった。
白血病でなくなった優しい父が、高校を出たら見聞を広めるためにヨーッロパ旅行でもと、
二人に国債を残していた。
姉のフェイスはボーイフレンドの英国人ウルフとヨーロッパに旅発ち、
ポルトガルの田舎町で崖から身を投じた。
あんなに明るい姉がなぜ?
フィービーは姉の死の真相を探すためヨーロッパへ旅発つ。
姉から届いた各地の絵はがきをもとに姉の足跡をたどるフィービー。
そしてパリで姉の元ボーイフレンド、ウルフを訪ねる。
今では幸せな家庭を持つウルフは、フィービーをとまどいながらではあるが
快く迎え入れる。
はじめはフェイスの行動を隠していたウルフだが、やがて真実を語り出す。
それは明るく快活な姉のイメージとはほど遠い物だった。
本当に姉はそんなことを?
姉の死の真相を見つけるためにはなくなった場所へ行くしかない。
ポルトガルへ旅発つフィービーを心配したウルフも同行することになったが、
ポルトガルへ向かう道中、二人はお互いに惹かれる物を感じる。
キャメロン・ディアス主演と聞いてキャメロン・ディアスが妹役だと思っていたら
姉の役だった。
だから回想シーンにところどころしか出てこない。
チラシなんかキャメロンしか写ってないのに。
全体的に静かな映画。
ゆっくりと物語が進行すると思ったらベストセラー小説の映画化らしい。
だから小説を読んでいるような映画。
全編に流れる音楽がいい。
70年代の雰囲気がよくでた大人の映画やね。


「デュカネ 小さな潜水夫」 デンマーク映画
6月13日 13:30 東映試写室(M3エンタテインメント)

コペンハーゲンに住むクリスチャンとアスク兄弟は、
いつも夏休みをおじいちゃんの住む港町で過ごしていた。
おじいちゃんの船で沖に出てスキューバーダイビングするのが楽しみ。
ある日兄弟は海底に沈むドイツ潜水艦Uボートを発見する。
ところがクリスチャンが思いを寄せるマヤの父親の船に、Uボートを探す怪しい一団がいた。
おじいちゃんに宝物をプレゼントしたいと彼らはUボート内部に潜入するが、
艦内で弟アスクが頭を打って意識不明に。
病院に担ぎ込まれたアスクを見た霊感の強いランスコウ夫人は、
アスクは艦内の霊に魂をとらわれている、潜水艦内部から魂を連れ帰らないと治らないと言う。
アスクの魂を連れ帰るためにもう一度潜水艦に向かうクリスチャンだが、
Uボートには恐るべき秘密が隠され、クリスチャンに謎の一団が迫る。
子供の冒険物にUボートの秘密と謎の一団を絡め、ちょっとオカルトチックにした映画。
デンマーク映画なので有名俳優は一人も出てないし、デンマークにしては頑張ってるねやろうけど、
あまり金もかかってない。
日曜の夕方NHKでやるような海外のテレビ番組とも映画ともつかないような映画。


「レクイエム・フォー・ドリーム」 アメリカ映画
6月7日 15:30 東映試写室(ザナドゥー)

定職もなくぶらぶらする息子を溺愛する未亡人の母。
息子はしょっちゅうテレビを質に入れヤクを買う。
母はテレビのダイエット番組がお気に入りでその度に質屋からテレビを請け出しに行く。
息子は恋人と店を持つ夢があるが、金がない。
そこで友人タイロンとヤクの売人になることにした。
金は入るし自分たちもヤクでご機嫌。商売は順調で金は見る見る貯まっていった。
母はダイエット番組に応募して書類選考を通過。
テレビに出ることを夢見ていた。番組に出るときはあのお気に入りの真っ赤なドレスで・・・
ところが久しぶりにドレスを着てみようとしたが、太って入らない。
テレビにお気に入りの真っ赤なドレスで出演するため、
母のダイエットは始まった。
食事療法ではらちがあかず、ダイエット専門医を訪れ、薬でやせることを始めた。
息子の仕事は順調だったが、イタリアマフィアの締め付けでヤクが手に入らず金は減る一方。
自分たちも禁断症状が出始めた。
母は過酷なダイエットで冷蔵庫が襲ってくる幻覚に悩まされ、どんどんおかしくなっていく。
息子達もヤクを手に入れるため危ない橋を渡ろうとし、
恋人はヤクのため体を売る。
全編を通じて中毒を描いた映画。
クローズアップと編集、音楽と効果音。うまさが光る。
バラエティー番組でバンジージャンプや絶叫マシンなどにタレントが乗るときに使う、
顔を撮す提灯アンコウのようなカメラを映画で使っているのが斬新。
監督は「地面がぐんぐん近づいてからパラシュートがないことに気づくスカイダイビングだ。
さらにひどいことに地面に激突してからも容赦なく映画は続くんだ」と言っている。
一見コミカルなように見えるが、母と息子達の堕落の仕方は半端じゃない。
行くところまで行ってしまう。
もうそれぐらいでいい、と客は思っても映画は容赦なく彼らの悲惨さをこれでもかと見せる。
麻薬に興味を持っている若者に見せるといいかもしれないが、
健全な老若男女には刺激が強すぎる。
映画としての完成度は高いけど。


「イグジステンズ」 カナダ・イギリス映画
6月6日 ビデオ(WOWOWにて収録)

とある教会内で新作ゲームの発表会が開かれた。
「イグジステンズ」と名付けられたその究極の体感ゲームは、
人間の脊椎に直接ケーブルで接続し、ゲームの中に入り込むというものだった。
会場から選ばれたゲームフリーク達と実際にプレーするのはカリスマゲームデザイナー。
彼女がゲームのプレイ中、反ゲーム主義者が乱入し狙撃する。
会場の警備の男性と命からがら逃げ出したゲームデザイナーは、自分を襲った
者達の正体を探るためゲームの世界へと入ってゆく。
デビッド・クローネンバーグ監督作品。
クローネンバーグの不気味なアイテム満載の映画。
変な形の生き物のようにうごめくゲームコントローラー、へその緒のようなケーブル、
人間の歯を弾丸にした気持ち悪いピストル等。
アイテムのぐちょぐちょ感は、何もそこまでしなくても・・・・と思うぐらいイってしまっている。
いくら機密とはいえ、発表会にオリジナルデータを持ってきてコピーがないなんて事はないやろ。
ゲーム内の世界はわけわからん。
ジュード・ロウはさえないし、ウィレム・デフォーも別にこんな役せんでもと思うような
どうでもいい役。
この人最近変な出方が多いような気がする。


「ハムナプトラ2」 アメリカ映画
5月25日 19:30 完成披露試写、北野劇場(UIP)

ハムナプトラから生還したリックとエヴリンは結婚して、今では8歳の男の子までいる。
エジプトで持ち帰ったスコーピオン・キングのブレスレッドを息子のアレックスがはめると
とれなくなってしまった。
そのブレスレッドは幻の黄金のピラミッドを知らせる力がある。
前作にも登場した怪人イムホテップを蘇らせた一団はブレスレッドをはめたアレックスを誘拐。
息子を助けるため、またまたエジプトへの冒険が始まった。
前作の10倍ぐらいパワーアップしてた。
合戦シーンがすごい。
CG合成やろうけど大軍団が両方からぶつかるところ、かなりの迫力。
もうエキストラはアップだけで、後はCGで出来るみたい。
黒沢が「乱」を撮っているときにこの技術があったらと思うけど、
あの人はやっぱりディレクターズ・チェアに座って演出しないと行けないやろうなあ。
PCの前に座ってモニター見ながらでは映画撮った気がしないと思う。
「ハムナプトラ2」はもういいとこ取り。
インディー・ジョーンズに怪物などを絡め、ジュラシック・パークみたいな部分もあれば、
カンフーアクションもある。
2時間10分ノンストップで、理屈抜きでハラハラ、ドキドキ。
昨年ロンドンのタワーブリッジ脇で、クラシックな車や屋根のはがれた2階建てバス、
空撮用のヘリが並んでて、映画の撮影やなぁと思って見ていたが、
この映画の撮影だった。


「ギフト」 アメリカ映画
5月22日 19:00 完成披露試写、梅田ピカデリー(アミューズピクチャーズ) 

事故で夫を亡くしたアニーは3人の子供を育てるため、占いで生計を立てていた。
彼女は人の未来が見えるという超感覚の持ち主だった。
父を亡くしたショックのため、心がすさんでしまった長男が、学校で問題を起こした。
駆けつけるアニーに担任のウエインは優しく接し、婚約者のジェシカを紹介する。
一瞬脳裏をかすめた映像。それはびしょぬれの無惨な死体だった。
数日後ジェシカは行方不明となる。
父親の依頼で占うが非科学的な物を信じない保安官の横やりでうまく占えない。
その夜、夢とも現実ともつかない映像でジェシカがすでにこの世の者でないと悟ったアニー。
映像の風景から、アニーの顧客ヴァレリーの敷地の池だとわかる。
池をさらった結果ジェシカは無惨な姿で発見される。
調べの結果、ヴァレリーの暴力亭主ドニーが事件当日、ジェシカと言い争っていたことが判明し
逮捕される。
事件は一件落着かに思われたが・・・。
「エリザベス」のケイト・ブランシェット主演で、キアヌ・リーブスも出てる。
「死霊のはらわた」のサム・ライミ監督。
殺人事件の犯人探しに協力した霊能者に真犯人が迫るという定番スリラーに、
「シックス・センス」のエッセンスを加えたような、新感覚スリラーだった。
キアヌが暴力亭主として脇役で「汚れ」に挑戦。
サム・ライミの映画ならと、ノーギャラで出たというが、
確かに新境地を開拓したけど、キャラクターとしてプラスになったかどうか・・・
ケイト・ブランシェットの演技と、
脇の地味だけど芸達者な役者のおかげでかなり作品の重厚さは増した。
ところどころ音で驚かせるところはあったものの、
鳥肌がゾゾーっとたったところもある。
ただ単に犯人探しのスリラーと、ホラーの要素の映画ではなく、
「ダンサー・イン・ザ・ダーク」系の、人間が絡み合って悪い方向に向かう
という「人間模様」もちゃんと描かれている。
この映画のえらいところは、最後にホロリとさせるところ。
「シックス・センス」的などんでん返しもある。
脚本、演出、演技、三位一体。
サム・ライミの最高作の誕生と言える。
ただ一ヶ所エラーが。いつも占いをするとき腕時計を机に置いているのに、
途中でカットが変わると腕に戻っていた。


「恋はハッケヨイ」 イギリス映画
5月18日 15:30 ヘラルド試写室(GAGA)

旦那の失業で工場に働きに出た太った奥さん。
工場の太った主任にスカウトされる。
実は工場内で密かに女子相撲部が誕生していて、
身体を見込まれたらしい。
こっそり稽古に励んでいたが、妻の行動は奇行としか見えない夫は、
UFOマニアの友人に影響され、妻の身体が異星人に乗っ取られたと勘違い。
女子相撲部はビール会社のイベントで日本の力士と対戦することとなった。
一種のスポ根物だけど、なんで女相撲なのかよく分からない。
ずいぶん相撲を勉強していると思うところもあれば、
なんか勘違いや間違いがあったりする。
日本人から見るとやっぱり変。
最後の試合はもっと撮りようで盛り上がったともうけど、
監督の力量不足か。


「テイラー・オブ・パナマ」 アメリカ映画
5月18日 10:00 ソニー・ピクチャーズ試写室(ソニー)

素行不良でパナマに左遷された英国諜報員アンディー。
パナマでの情報源として白羽の矢を立てたのは仕立屋のハリーだった。
ハリーは英国仕込みの腕のいい仕立て屋として、パナマ政財界の有力者を
顧客に持っているどころか、大統領までもが客の一人で、妻はパナマ運河委員会に勤めていた。
情報提供者としてはもってこいだった。
ハリーの経歴詐称と借金をネタに情報提供者として丸め込んだアンディーは、
複数の国が運河の利権を狙ってるとハリーから情報を得、一攫千金、
英米を手玉に取るような罠を仕掛ける。
ピアース・ブロスナン主演。
なんかテレビドラマのような照明。
舞台劇のような地味な映画。
唯一派手なところは、海兵隊を乗せたヘリ部隊の急襲シーン。
最後に盛り上がるかと思わせたが肩すかし。
プレスシートの表紙はピアース・ブロスナンとジェフリー・ラッシュの顔に夕日のパナマ運河。
これだけでは地味なので戦闘ヘリの編隊をあしらったが、ヘリの写真を
どこかからパクってきたのだろう。飛んでいるヘリの鼻先に立っている人がいる。
ちゃんと消しとかなあかんがな。
ギャグなのかシリアスなのかもわからない曖昧さ。
最後はそんなにすっきりいってしまうのかと思ってしまった。
ブロスナンはここでも007のようだった。


「スターリングラード」 米・独・英・アイルランド合作
5月16日 10:30 梅田スカラ座

1942年、ドイツ軍はソ連領土内に侵攻してきた。
ソ連としてはスターリンの名を冠したスターリングラードは
何としても死守しなければならない。
ところが兵器は底をつき、兵士は未熟な新兵ばかり。
新兵二人に1丁の銃を持たせ、無意味に突撃を繰り返し、人垣で敵を防ぐしか方法はなかった。
前線で政治士官ダニロフの命を救ったのは、子供の頃から祖父に狩猟で鍛えられたザイツェフだった。
ダニロフはザイツェフの銃の腕前を狙撃手として開花させた。
敵に悟られることなく一撃必殺で敵の将校を血祭りに上げてゆくザイツェフ。
士気の落ちたソ連軍を鼓舞するため、ザイツェフの活躍は連日新聞で報道され英雄に祭り上げられてゆく。
たった一人の狙撃手のためにソ連軍が息を吹き返すことを恐れたドイツは、
ザイツェフを抹殺するため凄腕の狙撃手をスターリングラードに送り込んだ。
ジュード・ロウ主演の戦争映画。
「プライベート・ライアン」をかなり意識したようで、
冒頭20分はもう「プライベート・ライアン」ばりの大激戦地獄絵図。
こちらも負けずにリアイティー勝負で迫力ある。
ジュード・ロウは400人のナチスを狙撃した伝説の狙撃手の役。
中盤からはエド・ハリス扮するドイツの狙撃手とのスナイパー勝負になる。
普通戦争映画と言えば男ばかりでむさ苦しくて、無理に女性を絡めて何とか
花を添えるが、舞台がソ連なので女性志願兵も多数いる。
美しい女性兵士とジュード君は恋に落ちる。
「ハムナプトラ」のレイチェル・ワイズが美しい女性兵士の役だけど、
ジュード君が美男子なので女優がかすむ。
これでまた女性ファンを増やしたと思う。
ソ連軍の戦争映画は今までソ連映画しかなかったけど、
西側が作ったソ連軍映画もめずらしい。
全員英語しゃべってる。
見応えのある映画だった。


「ラマになった王様」 アメリカ映画
5月15日 19:00 完成披露試写、リサイタルホール(ブエナビスタ)

南米の奥地に王国があった。治めているのは若き王クスコ。
若くてハンサムだが超わがままで、田舎村のパチャに自分の別荘を建てるからと
パチャたちに立ち退きを命じる。
ところがクビにした魔女のイズマに魔法をかけられラマになってしまった。
袋詰めにされ捨てられたところはパチャの荷車の上だった。
かえってびっくり、荷車にはしゃべるラマが!おまけにそれは王様。
自分の土地を奪おうとしているわがままな王だが、心優しいパチャは王様を
宮殿に連れ帰ろうと一人と一匹?の珍道中が始まるが、イズマの魔の手は
ラマの王様に迫る。
今回のディズニー・アニメはギャグ主体。
短いけど後半は結構笑える。子供主体のアニメとは思えないほど大人がよく笑う。
今までのディズニーのギャグとは少し違うような気がする。
笑いのもって行き方などが違うのかもしれない。
日本語版のテーマソングは西城秀樹が「ムーチョ・ヒデキ」として歌っている。


「ロスト・ソウルズ」 アメリカ映画
5月15日 15:30 ヘラルド試写室(GAGA)

精神病院の一室で、カトリック教会公認の悪魔払いの儀式が行われた。
相手は家族を惨殺した数学者。病院内に響き渡る不気味な雄叫び。
結果は失敗だった。儀式を執り行ったラロー神父は廃人同様になり、
助手で霊能力を持つマヤは数学者のノートに残された数字を解読し、
犯罪学者のケルソンが、次の誕生日に悪魔によって肉体を乗っ取られ、
この世を支配するということを突き止める。
ケルソンに近づき、助祭とともにケルソンの肉体を守ろうとする。
はじめは悪魔など信用していなかったケルソンだが、
周りの不可解な出来事から、徐々に悪魔の存在と自分の運命に気づいていった。
ウィノナ・ライダー主演のエクソシスト物。
今年は「エクソシスト」の完全版のリバイバルがあったり、
ちょっとしたエクソシスト・ブームなのかもしれないが、
今頃「?」と思うようなテーマ。
悪魔払いなどは、どうしても「エクソシスト」のイメージが強いので、
新たなエクソシスト物を撮るのは苦戦を強いられる。
でもこの作品が初監督となるヤヌス・カミンスキー大健闘。
初監督とはいえ、カメラマンとして「シンドラーのリスト」「プライベート・ライアン」で
アカデミー撮影賞を受賞している名カメラマン。
クローズアップを効果的に使って不安な画面を構築する。
お話としては、「エクソシスト」に先日ビデオで見たシュワちゃんの
「エンド・オブ・デイズ」を足して「ローズマリーの赤ちゃん」をふりかけたような話。
「エンド・オブ〜」でもそうだったけど、ミレニアムにはこんな悪魔話がよく出てくる。
ラストシーンはひねりも何もなく「こんな終わり方ではあかんやろ・・・」と思ってしまった。
でも、ウィノナ・ライダーは悪魔払いの助手みたいな暗い地味な役どころだけど、
今まで見た映画の中で一番きれいと思った。


「エンド・オブ・デイズ」 アメリカ映画
5月11日 ビデオ(WOWOWにて収録)

1999年12月。ニューヨークは次なる1000年紀に向けて沸き立っていた。
元刑事のジェリコは、今ではVIP警護の仕事をしているが、昔妻子を殺され今も心に傷を持ち、
すさんだ生活をしている。ジェリコが警護している要人が襲撃され、犯人のねぐらを突きとめると、
犯人は元牧師で、部屋に女性の写真があった。
実はその女性クリスティーンは悪魔の花嫁として定められた女性で、
2000年の元日に悪魔と結ばれると、次の1000年は悪魔の支配となる。
ジェリコはクリスティーンを守るため、一人悪魔と立ち向かっていくのだった。
アーノルド・シュワルツェネッガー主演のオカルトチックなアクション映画。
いつもながらのバタ臭いアクション映画だが、監督のピーター・ハイアムズの演出と
編集のうまさで、シュワちゃんの大味な演技を隠し、テンポのいいアクション映画となった。
悪魔に乗っ取られた人間の役でガブリエル・バーンが渋く光る。


「LIES 嘘」 韓国映画
5月10日 15:30 東映試写室(K2エンタテインメント)

女子高生のYは同級生が以前からファンの彫刻家Jに、恥ずかしがり屋の彼女の替わりに電話する。
電話で盛り上がった二人はテレフォンセックスし、会う約束をする。
初めて会った二人はいきなりホテルでSEX。
Yは処女だったが、姉達二人の初体験は強姦だった、私は好きな人としたかったと告白。
中年Jに求められるままアナルまで体験する。
それから二人は忍び逢い、愛欲におぼれていくが、Jはサドだった。
むち打たれても愛する人のためと我慢するYだが、いつしか立場は逆転、Jは自分の中のMを見つけ、責めてくれとYに懇願する。
とどまるところを知らない二人の愛欲の果ては・・・
韓国版「愛のコリーダ」と言われるほど、かなりきわどい濡れ場は全体の70%を占め、
男性器はよく映っている。
彫刻家J役のイ・サンヒョンは平田満そっくり。
Y役のキム・テヨンは少女から大人の女になる変わり目を裸で体当たりの演技。
スタッフには細部まで丸見えやと思う。
試写室で濡れ場の度にそこかしこでもぞもぞ動く気配がする。
男も女も身体に変化を起こしていたのだと思う。
SMのことはよく分からないがこれも一つの愛の形。
Yは健気にJの愛を全身で受け止めているが、ドライなところもあるのが現代娘らしい。
監督のチャン・ソヌはHがよくわかった人だと思う。


「ハロルド・スミスに何が起こったか?」 イギリス映画
5月10日 13:30 ヘラルド試写室(東北新社)

1977年イギリスの地方都市、法律事務所で働いているヴィンスは「サタデー・ナイト・フィーバー」の
トラボルタのステップに夢中。
仕事中は同じ事務所のジョアンナに夢中で仕事が手に付かないが、実はジョアンナは隠れパンクだった。
母は夜な夜なディスコ遊びで朝帰り、父ハロルドは隠居生活で毎日テレビの前でパイプをくゆらす。
ある日、父ハロルドは敬老会の慰問で、隠していた超能力を披露した。
会場にいる人達の腕時計を超能力で止めるというものだったが、心臓のペースメーカーも止めてしまい、
老人が2名死亡。殺人容疑で逮捕されてしまう。
ディスコ、パンク、超能力、この3つを三本柱に物語は進んでゆく。
登場人物全員がストーリーに複雑に絡む。
声に出して笑うということはあまりないが、妙にニヤニヤして見てしまう不思議コメディー。
ユリ・ゲラーが本人役で出ている。


「ハンニバル」 アメリカ映画
5月8日 13:50 SY角座

麻薬捜査で銃撃戦となり赤ん坊を抱いた犯人を射殺したことで、FBI捜査官クラリスは
マスコミから追求され窮地に立たされる。
レクターによって廃人同様となった大富豪のメイスンは、レクターと心の交流があると踏んだ
クラリスを使ってレクター探しをする。
フィレンツェに潜伏しているレクターは自分を賞金欲しさに売ろうとした刑事を血祭りに上げ、
クラリスのためにアメリカに舞い戻る。
メイスンの雇ったプロの誘拐屋の手に落ちたレクターは、メイスンの屋敷に連れ去られる。
メイスンは復讐のためにレクターを生きたまま凶暴な野豚に食わせようというのだ。
レクターはメイスンお屋敷にいるとにらんだクラリスはメイスン邸に向かう。
「羊たちの沈黙」の続編で、監督はリドリー・スコット。
アンソニー・ホプキンスは変わらないが、ジョディー・フォスターがクラリス役を蹴ったため
ジュリアン・ムーアにバトンタッチ。この人賛否両論。
連休明けの平日の昼間なのでガラガラ。
リドリー・スコットならというのと、監督が前作のイメージをいらい過ぎて
つぶしてしまうのではと、期待と不安が両方あったが。
前作を損なわず、リドリー・スコットらしい「ハンニバル」だった。
奇をてらわず、力量のある人が正攻法で撮っている。
原作を途中まで読んでいたが、映画ではしょって説明不足のところは
原作で知ってたのでわかるメリットと、先の展開が見えてしまうデメリットがあった。
結末は原作と違うらしいけど、やはり展開が見えるのは楽しみが半減。
刑事パッツイのシーンで、レクターが手袋してるけどここではまだ殺されないとか、
ここでこんな殺され方するとわかっているとやはり興ざめ。
映画見るときは原作を見ない方がいいよう。純粋に映画を楽しみたい。
一応「3」が撮れるような終わり方だけど。
クラリス役はともかくレクターは完全にアンソニー・ホプキンスのものなので、
アンソニー・ホプキンスがもうやらないと言えば続編は撮れない。
当然ギャラはこれでまた跳ね上がると思われるが、ホプキンスは以前から引退を
ほのめかしている。ギャラを上げるための作戦か。
この映画見終わってしばらく白子は食べられない。


「ブロークダウン・パレス」 アメリカ映画
5月6日 ビデオ(WOWOWにて収録)

アリスとダーリーンは仲のいい女の子、2人は卒業旅行でタイを訪れる。
安宿のケチケチ旅行だが忍び込んだ高級ホテルでオーストラリア人男性と知り合い、
香港に行こうと誘われ、同行することにした。
ところが空港で身に覚えのない麻薬所持で捕まり、
言葉がわからぬまま供述書にサインしたため投獄されてしまう。
バンコクのアメリカ人弁護士が2人を助けようとするが、
罠にはめたと思われるオーストラリア人の行方もわからず、
捜査は難航する。
「告発の行方」のジョナサン・カプラン監督。
単なる外国での冤罪事件ではなく、女の子同士の友情と嫉妬も描かれている。
ラストは完全なハッピーエンドにしないところがみそ。
ビル・プルマンが弁護士役で出ているが、あの顔にアロハ姿は合わない。
なんかタイに行くのが怖くなるような映画。


「プリンス・オブ・エジプト」 アメリカ映画
5月6日 ビデオ(WOWOWにて収録)

エジプトの王子として育ったが、実は自分が捨て子で奴隷の子という事を知ったモーゼは、
仲のいい兄ラメセスと別れ一人旅に出る。
長旅の末、助けられた砂漠の村で結婚。
神の啓示を受け奴隷達の解放のために立ち上がるが、それは幼い頃から仲のよかった
兄であり現在の王ラメセスとの対決を意味していた。
スピルバーグのドリームワークスのアニメ。
モーゼの話だけどミュージカル仕立て。
テーマ曲はヒットしてたようで、聞いたことがあった。
モーゼのおなじみの海が割れる奇跡などは、
今ではただの伝説で、そんなことは起こるはずがないと
現代人は誰しも思ってるだろうに、
なんで今頃こんな宗教色の強い話をアニメ化してるねやろ。
途中でモーゼの夢のシーン、壁画の中でヘブライ人が虐げられるところの描き方が
おもしろい作りだった。
結局、侵略されたり、奴隷になったことのない日本人にはピンとこない話なのかもしれない。


「スリーピー・ホロウ」 アメリカ映画
5月5日 ビデオ(WOWOWにて収録)

1799年、ニューヨーク郊外で連続殺人事件が起こる。
被害者は皆首を切り落とされる残酷な犯行に、捜査官イガボットが派遣される。
村人達は首なし騎士の犯行だという。
イガボットは科学的な捜査を進めるが、イガボットの前に首なし騎士が現れる。
ジョニー・デップ主演、ティム・バートン監督。
ホーラーにしてはあまり怖くなく、コメディーにしては笑えない。
全体的にスキッと晴れることのない、どんよりした映像でティム・バートンらしい。
バートンファンはこんなん好きやろうけど、一般人にはどうかと思う作品。
バートンの本格的ホラーが見てみたい。


「リトル・ニッキー」 アメリカ映画
5月2日 15:30 ヘラルド試写室(GAGA)

地獄を支配する魔王の三男坊ニッキーはヘビメタ好きのお気楽息子。
兄たち二人は次期魔王の座を虎視眈々と狙っているが、そんな息子達に
魔王の座はまだ譲れんと、後一万年自分が統治すると宣言。
怒った兄二人は地上界を地獄にして自分たちが君臨すると地獄を飛び出してしまった。
同時に地獄門が凍りつき、死者達が地獄に入って来られなくなった。
死者の魂をエネルギーにしていた魔王は身体が崩壊していく。
父を救うためニッキーは兄たちを捕まえに地上に派遣される。
地上でおつむの弱いニッキーを助けるのは言葉をしゃべるブルドッグのビーフィー。
初めての地上は知らないことだらけで、おのぼりさん状態のニッキーは
ニューヨークの有力者に乗り移り、悪の限りを尽くす兄たちを連れ戻すことが出来るのか。
「ウォーター・ボーイ」「ビッグ・ダディー」のアダム・サンドラー主演のコメディー。
実にばかばかしい映画だが、総製作費が100億円だそうな。
ばかばかしい映画こそちゃちに作らず、金を使うと言う精神はよいが、
でも使いすぎ。
魔王役のハーベイ・カイテル、なぜこの仕事受けた?
もったいないなぁ。
クエンティン・タランティーノも盲目の牧師役で出てる。
SFXの費用のほとんどをしゃべるブルドッグ、ビーフィーの口のCG処理につぎ込んだそうな。
ニッキーはただの馬鹿ギャグだけど、このブルドッグは辛辣な皮肉ギャグ担当。
字幕はなぜか大阪弁。
このブルドッグ実は日本のCMにすでに登場していた。
「TWO DOGS」というレモン味の果実酒のCMで、散歩中飼い主にひどい目に遭わせる
ブルドッグの片割れがこの犬だった。
きっと犬のギャラも高いねやろうなぁ。
なんか無駄に金を使っているようなおバカ映画。


「マレーナ」 イタリア・アメリカ映画
5月1日 15:30 ヘラルド試写室(GAGA)

第2次大戦中のシチリアの田舎町。
12歳のレナートは友人達が熱を上げているマレーナを見て衝撃を受ける。
端正で凛とした顔立ち、スリムだけどグラマラスな肢体、清楚な黒髪。
この世で一番美しいものを見たと思った。
それからレナートはマレーナの家の前で待ちかまえ、
マレーナが外出するときは後をつけたり、先回りしたり。
マレーナの夫は軍人で戦地に赴いているが、あまりの美貌故、
男達はマレーナに対しすきあらばと狙い、女達はそんなマレーナに嫉妬する。
レナートはマレーナに声も掛けられず、ただただ遠くから眺め、
思春期のよからぬ妄想の世界でマレーナと接していた。
じっと夫を待つ健気なマレーナに対し、世間は勝手な噂を立てるが、
レナートだけはそれがいわれのない噂だと知っていた。
なぜなら、後をつけたり部屋をのぞいたりしていたのでマレーナのことは何でも
知っていた。
やがて夫が戦死し、周りの男どもからの攻撃も激しくなった。
すてきな軍人と恋が芽生えかけたが、妻子ある歯医者の横恋慕から傷害事件にまで発展し、
裁判沙汰となり、マレーナは魔性の女の烙印を押され、
女どもからは亭主をたぶらかすと村八分。
戦争は激しさを増し、生活が苦しくなったマレーナはその美貌を武器にしだし、
窮地に追い込まれてゆくが、少年レナートにはなすすべもない。
美しいが故に男どもに言い寄られ、女どもの嫉妬にさらされ
勝手な噂をまき散らされるマレーナを陰で見守るレナートの
多感な年頃の一生一度のかなわぬ恋を描いている。
「ニューシネマ・パラダイス」「海の上のピアノ弾き」のジョゼッペ・トルナトーレ監督作品。
マレーナ役のモニカ・ベルッチはとってもイザベル・アジャニーに似た美人。
ちゃんと感情移入できる美女だった。
どこかで見たと思ったら、「ドーベルマン」で主人公の聾唖の愛人をやっていた。
その時もきれいなぁと見ていたが、やはりすごい美人。
途中「愛と哀しみのボレロ」と同じような、ナチに体を売った女をリンチする場面があるが、
そのリンチの仕方が半端じゃない。とてもリアル。
フランスとイタリアの違いかもしれない。
思春期に年上の女性に恋をする話は今までいくらもあったが、この映画は悲しい。
決して成就しないし、マレーナも悲しい。
このまま悲しいままで終わるのかと思って見ていたが、悲しいながらもシチリア女の気丈さで
少し救っている。
最後初めてマレーナとレナートが言葉を交わすシーンがあるが、
その後マレーナの後ろ姿とナレーション、そしてエンニオ・モリコーネの音楽で
とどめを刺した。
イタリア映画はいいなぁ。アメリカでは撮れない映画。


「アンツ」 アメリカ映画
3月31日 ビデオ(WOWOWにて収録)

皮肉屋の働き蟻「Z」は王女に一目惚れし、閲兵式の時に近くで見ようと
友達の兵隊蟻と役目を代わってもらう。
ところがそのまま白蟻との戦いにかり出されてしまった。
戦いは壮絶を極め多数の死傷者を出したが、うまく立ち回って生き延びたZは
ヒーローとして祭り上げられてしまう。
正体がばれそうになったZは王女をさらって、虫の楽園「インセクトピア」を目指すが、
巣の外は危険がいっぱい。
一方巣では将軍がコロニーを支配しようと画策していたのだった。
フル3DCGで描かれたアニメ。
アメリカのCGアニメの完成度は高くこの映画も文句なしに楽しめる。
それに加えて声優陣も豪華で、ウディ・アレン、シャロン・ストーン、ジーン・ハックマン、
シルベスター・スタローンなどそうそうたる顔ぶれで、それぞれらしい役どころで声の出演をしている。
セリフを見る限りこのアニメ、大人向けに作ったと思われる。
「バグズ・ライフ」と同じような時期に公開されたので損した作品。


「セシル・B・シネマ・ウォーズ」 アメリカ・フランス合作
3月27日 15:30 ヘラルド試写室(プレノンアッシュ)

とある映画館での舞台挨拶の途中、女優ハニーは謎の集団に誘拐された。
セシル・B・ディメンテッド率いる映画狂集団で、商業主義の腐ったハリウッドに
目にもの見せるためハニーを使って「究極のリアリティー映画」を撮ろうというのだ。
ゲリラ的に撮影を進めていく一行に、はじめは嫌々演技していたハニーも、
本物の女優魂が芽生え、一世一代の芝居でこの映画のクライマックスを飾ろうとするが、
一行は次第に追いつめられていく。
「ピンク・フラミンゴ」のジョン・ウォーターズの久々の新作。
毒気や批判精神は健在だが、いまだにマイナーなマニアック映画のまま。
セシル・B達の行動に全然共感できない。
「本当の映画を見せてやる」と息巻いてる割に、劇中で撮ってる映画がくだらなさそう。
若い間はまだしも、いまだにこんな映画撮ってるのもつらいなぁ。


「ザ・ダイバー」 アメリカ映画
3月26日 19:00 完成披露試写、リサイタルホール(FOX)

貧しい小作農の子として育ったブラシアは海軍に入隊。
黒人はコックか雑用係という差別が横行する海軍で、泳ぎのうまさから甲板兵に抜擢される。
墜落したヘリコプターのパイロットを必死で救おうとしているダイバーのサンデーを見て、
自分も潜水夫を目指すが、今まで黒人がダイバーになったことはなく、ダイバー養成所への願書は
何度も却下される。
やっとの事で養成所の入学をはたしたブラシアだが、今は現役を引退し教官となったサンデーの
差別的しごきが待っていた。
持ち前のガッツで苦難を乗り越え晴れてダイバーとなり、海底に沈んだ核弾頭回収で活躍したが
事故で片足を失ってしまった。
もう一度ダイバーに復帰するためアル中を克服し、今はブラシアの良き理解者となったサンデーと
二人三脚で訓練に励むが新しい規則が2人の前に立ちはだかる。
ブラシアに「ザ・エージェント」でアカデミー助演男優賞を獲得したキューバ・グッディング・Jr。
サンデーにロバート・デ・ニーロ。
贅沢な鬼教官役だけど、デ・ニーロにこんな役やらせたら、もうしたい放題。主役がかすんでしまう。
鬼教官のしごきに耐える根性物に黒人差別を加味した立身出世実話。
後半あれほど差別していたサンデーがブラシアのガッツに一目置き、最後は一番の協力者になるあたりは
ちょっとできすぎの感があるが、奇をてらわず教科書通りの正攻法の作りで安心して観られる。
最後で義足のブラシアが重い潜水服を着て歩くシーンはこちらまで力がこもる。
たった「12歩あるく」事をこれほど引っ張れる映画も珍しい。


「キャスト・アウェイ」 アメリカ映画
3月23日 18:50 南街会館

チャックは国際宅配便フェディックスの社員で世界中を忙しく飛び回っている。
恋人のケリーとのデートも分刻みで、クリスマスの夜、チャックは南米へと
旅立たなくてはならなかった。
慌ただしくプレゼント交換をしたが、婚約指輪とおぼしきプレゼントをじっと見つめるヘレンに
今開けないで、すぐに帰るからと言い残してチャックは機上の人となった。
ところがチャックの乗った飛行機が墜落し、チャックひとりが南海の孤島に漂着した。
漂着した荷物で道具を作り、なんとか火をおこし無人島でったひとりのサバイバルが始まった。
孤独をいやしてくれるのは、恋人ヘレンの写真の入った懐中時計と、
バレーボールに顔を書いた「ウイルソン」だった。
漂着して4年、チャックは今までの経験から風向きの良い日を割り出し、
筏を作り大波に向かって脱出をはかった。
途中嵐にあったりいかだが壊れてきたり苦難の航海の末、
通りかかった船に助けられ無事帰国したが、恋人ヘレンは死んだと思ってあきらめていた
チャックが戻ってきてとまどいを隠せない。
ロバート・ゼメキス監督がトム・ハンクスと再び組んだ作品。
まず墜落シーンがうまい。
ハラハラ・ドキドキ完全に観客をつかんだあとサバイバル・シーン。
飲む・食べるという生活の基本がとても大変なことと思い知らされる。
墜落、サバイバル、脱出、帰国して・・・と4つの違った見せ場があって飽きさせない。
見せ方がうまい。改めてゼメキスはうまい映像作家だと感心させられる。
ただ「フェディックス」からいくらかもらってるようで、やたら会社名が登場する。
この辺が少し興ざめ。
無人島に4年生活している雰囲気を出すため、途中で撮影を一時中断し、
半年間トム・ハンクスは減量したそうな。
その間ゼメキスは「ファッツ・ライズ・ビニース」を撮っていたと言うから
非常に効率のいいお仕事をなさったわけやね。


「天使のくれた時間」 アメリカ映画
3月8日 15:30 東宝東和試写室(GAGA)

1987年、ジャックはロンドンでの研修のチャンスをつかみ、
空港で恋人ケイトがひきとめるのも聞かず旅だった。
13年後、ジャックはウォール街で成功し、社長まで上り詰めた。
高級マンションのペントハウスに住み、愛車はフェラーリ。
休日やクリスマス関係なしの企業人だった。
ある日デリカテッセンでトラブルを起こした黒人を助けたことによって、
ジャックの身に不思議なことが起こる。
黒人は天使で、ジャックに「ある時間」をプレゼントしたのだった。
朝、子供の声で目が覚めると、自分の部屋ではなく、
隣で寝ているのは13年前に別れたケイトだった。
それは13年前ロンドン行きをやめ、ケイトと人生を歩みだした自分の現在の姿だった。
どうやらケイトと結婚した自分は、しがないタイヤの販売員で、
娘を小学校に送り、息子のおしめを換え、犬の散歩もこなす家庭的なパパだったようだ。
欲しい物は何でも買える成功者だったジャックは、安月給でスーツもろくに買えない惨めな生活に
はじめは嫌気がさしていたが、やがて子供達やケイトとの団欒に
ささやかな幸せを見いだしてきたが、もとの生活に戻る日が来たのだった。
ジャックにニコラス・ケイジ、ケイトに「ディープ・インパクト」のティア・レオーニ。
「もしもあの時こうしていたら・・・」を映画にした作品。
ケイトと別れた場合と結婚した場合が、パラレルワールドとして存在する。
この映画アメリカと日本ではずいぶん見方が違うと思う。
ロンドンでの研修というせっかくの出世チャンスを棒に振って、私と一緒になってと頼まれても、
日本ではまず仕事をとるし、女性も我慢して待ってると思う。
途中自分のウォール街での才能を生かし、タイヤのセールスマンから一流企業に就職し、
家具付きの豪華アパートが与えられたのに、ケイトがこんな所に住みたくない、
そんな仕事をしてたら子供と会う時間がなくなってしまう、貧乏でも今がいいという。
出世していいところに住めるのにそんなこと普通言うかなぁ。
ケイトと結婚しないと仕事の鬼やし、結婚するとファミリーパパやし、極端やなぁ。
真ん中でけへんのかいな。


「チキンラン」 イギリス映画
3月7日 13:30 東宝試写室(シネカノン・アミューズピクチャーズ)

イギリスの養鶏場で代われている雌の鶏ジンジャー。
彼女たちはトゥイーディー夫妻によってまるで捕虜収容所のような生活を強いられ、
卵の生産能力が落ちると命の保証はない。
ジンジャーは何度もみんなを脱走させようとして失敗し、
罰として石炭箱の中で何日も閉じこめられていた。
そんなある日空からサーカスを逃げ出してきた、「空飛ぶ鶏」ロッキーがやって来た。
ロッキーに空の飛び方を教えてもらって、全員で柵を飛び越えて逃げようと、
毎日ロッキーの指導のもと飛行練習が始まった。
しかしトゥイーディー夫妻は卵の生産だけではやっていけないと、
鶏肉を材料としたチキンパイ作りの機械を導入してきた。
さあ、もう一刻の猶予もない。ジンジャー達は最後の大計画を実行する。
イギリスのクレイアニメ工房の制作で、グリコ「プッチンプリン」のCMもここの制
作らしい。
オールCGの「トイ・ストーリー」とはやはり違った趣。
粘土をちょっとずつ動かす昔ながらの技法なので、暖かみがある。
お話はもう「大脱走」の完全パロディー。
随所に「大脱走」のおなじみのシーンが登場する。
しかもそれをやっているのが全部粘土の鶏。
「ネバー・エンディング・ストーリー」の岩怪獣「ロック・バイター」もそうだった
けど、
「th」の発音の時、ちゃんと舌を噛んでしゃべる。
粘土人形なのに芸が細かい。


「アメリカン・サイコ」 アメリカ映画
3月5日 15:30 ヘラルド試写室(アミューズピクチャーズ)

80年代のニューヨーク。証券会社の御曹司でヤンエグのパトリックは、
高級フラットに住み、モノトーンの家具でインテリアは統一されている。
ダイエットとエクササイズは欠かさず、ブランド物のスーツをビシッと着こなし、
毎日有名レストランでのランチとディナーの予約で友人達と
見栄の火花を散らす。
一見仲が良さそうに見えても、仲間達は強烈なライバル達で
誰が超トレンディー・レストランに最初に予約を入れることができるか、
誰の名刺が一番上品で凝っているか、優越感と嫉妬の毎日。
人もうらやむような生活だが、パトリックの心は満たされることはなかった。
彼はストレスが溜まると密かに殺人を犯す。
ホームレス、コールガール、ナンパした女性、ライバルのエリート。
凶器もナイフ、斧、銃・・・いろいろな凶器で犯行を犯すが、
やはり心のすき間は完全には埋められず、憔悴しきったパトリックは、やがて弁護士
にすべて告白する。
アメリカで物議を醸し出した小説の映画化。
ヤッピー達は毎日強迫観念に駆られたように、食欲がなくても
どこのレストランに予約を入れるか悩む。
労力の半分はライフスタイルを維持することに費やしていているような
バカさ加減が描かれている。
最後にドンデンがあり、ただの現代人のストレスによる連続殺人を描いた「サイコ」
ではなく、
「アメリカン・サイコ」たるゆえんがわかる。
主役はクリスチャン・ベール。
「太陽の帝国」の子役がこんな立派になってたとは知らなんだ。
ウィレム・デフォーが「なんやこれだけやったんか」と思うぐらいの出番しかないのが残念。


「どつかれてアンダルシア(仮)」 スペイン映画
3月1日 13:15 ヘラルド試写室(アーティストフィルム)

有名歌手の歌ばかり歌うふとっちょ男のニノと、酒場の男ブルーノが
マドリードで一旗揚げようとテレビ局にオーデションに来た。
しかしお笑いしか受け付けないと聞き、ふとっちょに歌手の物まねでいいからとだま
し、
小咄もいくつか仕込んで出番が来た。
しかしふとっちょはアガり症でネタを忘れ落選。
それを見ていた詐欺師まがいのマネージャーがスカウトし、
ストリップの合間のショーに2人を出す。
裸の姉ちゃん以外はまったく受け付けられず、
物が飛んでくるような舞台に、素人の2人は出ていく。
案の定ふとっちょはネタを忘れ、立ちつくす。
客から「そんな奴ぶん殴れ」ヤジが飛び、のっぽは彼の頬を打つ。
それが大受け。
それからはどつき漫才として2人の人気はうなぎ登り。
全国的なスターとなる。
しかし成功とは裏腹に、のっぽがふとっちょが思いを寄せる女の子を盗ったり、
思いやりがなかったりで二人の仲はどんどん険悪になり、
お互いを嫉妬し、殺したいほど憎むようになる。
日本の漫才師もここまではいかないにしろ、
仲が悪く、裏で相方の悪口を言い合いするような人もいる。
ほとんどのコンビは仕事が終わると右と左に別れて行動する。
仲の悪い人もいれば、よくてもプライベートは別にした方が四六時中一緒にいると
嫌気がさすからだと思う。
「(仮)」までが正式タイトルだそうな。
会議で仮タイトルを付けて、そのまま正式タイトルになったんやろうなぁ。
昔、ダウンタウンのビデオで「寸止め海峡(仮)」と言うのがあった。
きっとそれを意識してのものと思われる。
最後は「こんなんアリかいな」と突っ込むようなオチがある。


「処刑人」 アメリカ・カナダ合作映画
2月28日 12:10 梅田東映パラス2

敬虔なクリスチャンのマクナマス兄弟は、行きつけのバーで
ロシアンマフィアのチンピラをやっつけたが、明くる日チンピラ達は復讐にやって来た。
命からがらチンピラ共を返り討ちにして自首。
留置所で2人は「悪人を滅ぼせ」と神の啓示を受ける。
正当防衛ですぐに放免された2人は大量の武器を買い込んで、
神の名のもとに悪人退治を始める。
FBI捜査官スメッカーは鋭いプロファイリングで、ギャングを次々に殺していく犯人を
絞り込んでいくが、法で裁けない悪人を退治する犯人に次第に共感を覚えていく。
おなじみ「必殺仕事人」パターンではあるが、これが映画初メガホンとなるトロイ・ダフィーは
独自の手法で痛快に描く。
悪人退治の痛快さと、兄弟のかっこよさに、コミカルなテイストもあり、
娯楽作品として手腕を発揮した作品。
ダーバンのモデルもしているノーマン・リーダース人気か、この種の映画にしては
若い女性客も多かった。
ウイレム・デフォーは少しキレたキャラで、コメディー部門担当だったよう。
この監督の映画、次回作も是非見てみたい。


「海の上のピアニスト」 アメリカ・イタリア合作映画
2月24日 ビデオ(WOWOWにて収録)

イタリアからアメリカに向かう客船で拾われた赤ん坊は、
1900年に生まれたので「ナインティーンハンドレッド」と名付けられ、
機関室で薪をくべる黒人に育てられた。
船で生まれ、密かに育てられたため国籍もなく、子供は船の中で育ってゆく。
やがて父親代わりの黒人が事故で死んでしまうが、少年には意外な音楽の才能があった。
誰にも教えてもらわずにピアノをすいすい弾いてしまう。
やがて船のラウンジのピアノ弾きとなった伝説のピアノ弾き。
一度も船を下りることのなかったピアニストの生涯が、
同僚のトランペット奏者の回想を交えながら描かれる。
トランペット吹きから語られる数々のエピソードがおとぎ話のよう。
不思議な雰囲気を持った映画。
エンニオ・モリコーネの音楽もまたいい。


「ギター弾きの恋」 アメリカ映画
2月23日 13:30 ヘラルド試写室(GAGA)

「世界で2番目にうまい」ジプシー・ジャズ・ギタリストのエメットは、
才能はあるが女好きで酒飲みで、時間にルーズで何度も仕事をクビになり、
たまたまナンパしたハッティは、少し頭が弱くて口の利けない女だった。
なぜか彼女と付き合い、彼女は献身的にギタリストに尽くすが、
ギタリストは家庭的な男ではなく、彼女を捨て、
衝動的に別の女と結婚。
その女と別れたあと、なくした大事な物に気づく。
ウディ・アレン監督、ギター弾きをショーン・ペンが好演。
全編に古いジャズが心地よく流れ、ショーン・ペンは当然弾いてるかっこだけなのだけど、
ちゃんと手の動きをマスターして、本当に弾いているように
頑張って見せている。
口の利けない女性の役をサマンサ・モートンが顔の表情だけで演じている。
この人昔のテータム・オニールに似ている。
架空のジャズマンの人生を、ウディ・アレン本人や、
音楽評論家などがその人生を回想するというスタイルでつづられる。
ところどころちりばめられたギャグも、「おかしさ」を知っている
アレンらしく、ちゃんと笑えるギャグで、くどくならず、さらっとこなしている。
1時間30数分、ジャズギタリストの半生を大上段に描くわけでもなく、
薄っぺらな伝記物にもならず。
この力の抜き具合が実に大人で、心地よい。
「カイロの紫のバラ」的ほんのり気分いい小品。


「ファストフード・ファストウーマン」 アメリカ映画
2月22日 15:30 ヘラルド試写室(シネマパリジャン)

ベラはニューヨークの食堂で働く35才の女性。金髪でスレンダーな美人だが、
妻帯者の俳優との不倫関係も倦怠気味。
そこに母親から見合い話が舞い込んできた。
見合い相手のブルノは売れない作家で、タクシードライバーとして生計を立てている。
女好きでおまけに別れた女房から子供2人を押しつけられ、子育てに奮闘中。
初デート以後、2人はいい感じでお互い好意を持っているが、ちょっとした行き違いから
結婚まで踏み込めない。
一方、常連の老人のひとり、ポールも恋人募集広告で知り合った老女とデートを重ねるが、
なかなかベッドインする勇気がなく、もどかしいつき合いをしていた。
35才という若くもないが、恋をあきらめるには早い中途半端な年齢の恋愛と、
老人の愛と性など、食堂を中心にいろんな形の愛が描かれる。
主役のアンナ・トムソンは2才の時からモデルとして働き、
カンヌのカールトン・ホテルから学校に通う富豪の娘だったらしい。
その後、破産してアメリカに戻りストリッパーなどをしていたが、
クリストファー・ウォーケンにスカウトされて女優になったという、ドラマチックな経歴の持ち主。
スリムだが豊満な胸。大きな瞳だが、唇も清川虹子のように厚ぼったい。
美人なのか不細工なのかわからない。
映画は都会で愛を求めてもどかしく生きる人々を、いろんなバリエーションで描いていて、
それほど大きな出来事は起こらず、小山だけで見せていく。
最後は意外なところに落ち着き、できすぎと言えばできすぎだが、
恋の寓話と見ればこれもまたよし。


「レジェンド・オブ・ヒーロー」 香港映画
2月21日 15:30 東映試写室(アートポート)

華英雄は武芸の修行をしていたが、新聞社の父が不正を暴いたことで逆恨みされ、
父母達は惨殺された。
黒幕達に復讐した英雄だが、国を追われ、恋人ジェイドと友人シェーンを残して
アメリカに渡った。
他の中国人移民と共に石切場で過酷な労役に耐えていたが、
ある日脱走、姿を消す。
英雄の子を身ごもったジェイドはシェーンと共にアメリカに渡り、
なんとか再会する。
しかし武術のライバル、「無敵」の一味の陰謀でホテルは火事になり、
双子を出産したジェイドは死に、双子の一人は連れ去られる。
占い師から「お前は回りを不幸にする星」と言われ、またしても姿を消す。
やがて師匠から奥義を伝授されるが、差別主義者による中華街襲撃と
奥義を手に入れようとする「無敵」の攻撃。
銃撃戦・カンフー・超能力、あらゆるバトルは中華街から自由の女神へと移っていく。
ワイヤーアクションと、CGを使ったカンフー映画に忍者も登場。
アクションはまあまあとしても、化粧や小道具がいかん。
主人公が年をとった設定で、髪の毛は白髪混じりになってるのに、
顔はまったく昔のまま若々しい。
まったく皺など書いてない。だから全然年齢が出ない。
刀で無数に切られ、上着にいくつも血のにじんだ切れ目があるのに、
上着を脱ぐとシャツには赤い線だけしか付いてない。
下は全然切れてない。ずいぶんええ加減。


「隣のヒットマン」 アメリカ映画
2月20日 19:20 完成披露試写、梅田ピカデリー2(20世紀FOX)

義父の作った借金で四苦八苦している歯科医オズの隣に、
ボスを裏切って出所してきた伝説のヒットマン、ジミーが名前を変えて引っ越してきた。
歯科医夫婦は仲が悪く、借金があるので離婚も出来ず、
妻は保険金目当てに、いっそ夫が死んでくれればと思っている。
そこで一気に借金を返済するアイデアとして、隣の殺し屋をボスに密告し、
礼金をせしめろと妻は夫をたきつけ、シカゴのボスのもとへ行かせる。
そうしておいて自分は殺し屋の家に行き、夫がボスに密告に行ったとチクる。
殺し屋に夫を殺させようと企んだのだ。
ところが殺し屋は夫とはすでに仲良しさんで、夫殺しを拒否。
妻は別の殺し屋を探しに旅に出る。
夫の方はボスの家で出会った殺し屋の女房に一目惚れ。
二人は恋仲になる。
ボスは手下を引き連れ殺し屋のもとに向かうが、
殺し屋は逆にボスをおびき寄せるために歯科医を行かせたのだった。
登場人物のほとんどが命を狙われているのが面白い。
主人公がなぜ歯科医なのか、ちゃんと理由があった。
最後の作戦は歯科医でないとできない技だった。
ブルース・ウィリスが殺し屋のキャラクターのままコメディーを演じている。
ことさら大げさなコメディー芝居ではなく、こういうシチュエーション・コメディーなら
他のシリアスな映画の邪魔にならないので、出演作のバリエーションとしては
いいジャンルだと思う。
「グリーン・マイル」の巨漢マイケル・クラーク・ダンカンが殺し屋の友人役で出演。


「リトル・ダンサー」 イギリス映画
2月18日 11:15 梅田ガーデンシネマ

1984年、イギリスの炭坑町。
11才の少年ビリーは母を亡くし、炭坑夫の厳格な父と兄、
痴呆の祖母と11才の少年の4人暮らし。
ビリーは今日も痴呆の祖母の世話をしている。
ビリーはボクシングの練習に行ったが、隣のバレエ教室に惹かれ、
父にはボクシングに行っていると嘘をついてバレエを習う。
チュチュをつけた女の子に混じって一生懸命練習するビリーを見て、
先生は彼の才能を見抜きロイヤル・バレエ学院の受験を勧める。
それを知った父は激怒。
バレエはまかりならん、男ならボクシングかフット・ボールをやれと厳しく責められ
る。
炭坑は閉鎖寸前で組合はストを決行。
毎日警察隊が動員され、兄は組合の急先鋒だった。
幾多の障害を乗り越えロイヤル・バレエ団の受験に向かう。
カット割り、編集、物語づくり、どれをとってもうまい映画だった。
少年の楽しそうなダンスシーンと、少年を取り巻く障害、
明と暗のバランスがうまい。
80年代のヒット曲がうまく挿入されている。
炭坑夫の家に生まれ、誰しもが炭坑夫になると決められたような町。
頑固おやじ。ストによる生活の貧困。痴呆の祖母の世話。
どれもが抗いようのない必然で、障害に無理がない。
途中でみんながいい人になっていくのが少し出来すぎだけど、いい映画だった。
同じ「ダンサー」ものでも「イン・ザ・ダーク」に比べると、
「リトル」は見終わった後の心の持ちようが違う。
今年のNO.1に躍り出た1本。


「ブレイド」 アメリカ映画
2月17日 ビデオ(WOWOWにて収録)

ヴァンパイアに噛みつかれた身重の女性が死ぬ間際に男児を出産。
生まれたのは人間とヴァンパイアのハーフ「ブレイド」。
彼はヴァンパイアの超人的な力と、太陽光線に強い人間のよいところを両方持った人物で、
ヴァンパイアハンターとしてヴァンパイアに恐れられていた。
ヴァンパイア達の世界では新興勢力フロストが長老達の忠告を無視、
古文書を解読し伝説をもとに強大な力を手に入れようとしていた。
ウエズリー・スナイプス主演のアクション映画。
ヴァンパイアものだったけど、味付けがうまい。
アクションは機関銃バリバリ、忍者よろしく背中に背負った刀で切りまくり、
おまけにワイアーアクションにカンフーと盛りだくさん。
「マトリックス」ノリのヴァンパイア退治。
見栄も決まってかっこいい。
戦うシーンはその都度バリエーションを変え飽きさせない。
なかなか楽しめた。


「東京攻略」 香港映画
2月16日 15:30 ヘラルド試写室(GAGA)

結婚式をすっぽかした高橋を追って婚約者メイシーと、新居の未払いの料金取り立てのため
内装業者ユンは香港から東京にやって来た。
しかし高橋を捜しているのはメイシー達だけではなく、日本のやくざ神戸組も躍起になって
高橋を追っていた。
神戸組に襲われたメイシー達を救ってくれたのは、日本で探偵をしている中国人リンだった。
高橋は神戸組組長伊藤の女房美雪と駆け落ちし、美雪は組の秘密を持ったまま逃げている。
自分は伊藤に雇われ高橋を追っているとリンは言う。
ビジネスマンのはずの高橋が組長の女房と?なぜ?
メイシーの心は揺れるが、ユンとリンもまたメイシーに思いを寄せ心は揺れていた。
しかしユンとリンもまた、ただの内装業者と探偵とは思えない。
二人とも何か隠しているのでは?
いったい誰を信じてどうすればいいのか、頼る者もいない東京でメイシーは途方にくれる。
真実を知るためには高橋を見つける以外に方法はないのだった。
東京を舞台にした現代カンフーアクション。
何度もカンフーアクションが登場するが、撮り方と編集が悪いので迫力がない。
いらないところでスローモーションを使い、迫力を半減させている。
カンフーアクションも工夫がなく同じような殺陣ばかり。
日本人俳優は、仲村トオル、阿部寛、遠藤久美子、大和武士などが出ているが、
日本人俳優はほとんどがとてつもなく演技が下手。(中国人はわからない)
エンクミは撮影スケジュールがあまりとれなかったのか、途中で存在が消える。
中国人達が日本語をしゃべるところは、たどたどしすぎて興ざめ。
香港映画はめぼしい映画人がハリウッドに流出したので、
クオリティーが下がったみたい。


「春香伝」 韓国映画
2月14日 15:30 ヘラルド試写室(シネカノン)

李朝時代、長官の息子モンニョンは勉学の合間に従者パンジャを従え、
散歩に出た。
大きな木に吊したブランコで遊ぶ娘達の一人チュニャンに目を奪われ、
その夜モンニョンはチュニャンの家を訪れ求婚する。
貴族と平民、身分が違うが正妻として迎えてくれるならと、念書を書かせ
応じるチュニャン。
二人の愛の日々はそう長くは続かなかった。
父親の転勤でソウルに戻らなければならなくなった。
平民で、しかもキーセンの娘と言うことで、モンニョンは父にチュニャンのことを隠していた。
自分もまた役人の試験を受ける身。
高級役人になって必ず迎えに来ると約束して去るモンニョン。
しかし次に来た長官は、チュニャンを手込めにしようとし、
モンニョンに操をたてるチュニャンを投獄してしまった。
韓国では芝居や映画で昔からおなじみの悲恋物語だそうな。
身分を越えて愛を貫いた恋愛話に、水戸黄門を振りかけたような話。
主人公の貴族の息子は顔がまんま日本の皇族顔。
高貴な顔は日本も韓国も同じなんやなぁ。
映画はまあまあだけど、途中で「春香伝」を語るパンソリと言う現代の語りべの
舞台が何度も登場する。
太鼓の伴奏で語り歌う。それに合わせ太鼓叩きは合いの手を入れる。
おやじの声や感情の込め方など、これは韓国の浪花節だと思った。
これがいい。一度これだけ生で聞いてみたい。


「小説家を見つけたら」 アメリカ映画
2月13日 13:30 ソニー試写室(ソニー)

昔処女作品でいきなりピューリッツア賞を受賞し、
その1作のみで文壇から姿を消した作家フォレスターは、
マンハッタンのアパートで一歩も外に出ず、本に囲まれて隠遁生活をしていた。
毎日公園でバスケをする少年を窓から双眼鏡で覗いていると、
少年達からウインドウとあだ名され、殺人者が隠れ住んでるのかもと
憶測はあらぬ方向に広がる。
ジャマールは友達にけしかけられフォレスターの部屋に忍び込むが、
逆に脅かされて部屋にカバンを忘れてしまう。
ジャマールは黒人で母子家庭の16才。
頭はいいが学校では仲間からハミゴにならないように、
わざと中ぐらいの成績しかとらず、毎日友達とバスケに汗を流していた。
ジャマールの楽しみは本を読むこと。
彼はひらめいた文章を誰にも内緒でノートにつけていたが、
フォレスターから戻ってきたカバンのノートには、そんな散文に赤で
添削が施されてあった。
やがてジャマールはフォレスターの家に出入りするようになり、
彼が大作家だと気づく。
フォレスターもこの黒人少年の文学的才能を見だし、
ジャマールの文章訓練を始める。
気むずかしい老作家と黒人少年、いつしか友情に似たものが芽生えてくる。
実にじっくり丁寧に撮られた映画。
派手なシーンはないが、老作家役ショーン・コネリーの存在感で見せる。
「アマデウス」のサリエリ役、F・マーリー・エイブラハムが名門私立高校の
嫌な先生役でいい味だしている。こんな役やらすとこの人うまいなぁ。
うっと涙をこぼす映画ではないが、じわりじわりと感情が広がる感動作。
ラストのハワイアン「オーバー・ザ・レインボー」がまたいい。


「迷宮のレンブラント」 アメリカ映画
2月10日 ビデオ(WOWOWにて収録)

画家として大成しないが凄腕の贋作師として裏で有名なハリーは、
有名作家は足が付きやすいので、少しマイナーな作品の偽物を描く。
ところがある画商から腕を見込まれ、レンブラントを描いて欲しいという。
韓国の客がレンブラントをほしがっている。
表には出ないから是非と、破格の値で依頼する。
今まで有名作家はしなかったが、自分の描いていた絵がゆきずまり、
これを最後にと引き受けた。
パリの美術館で実物を見、いろいろな文献でレンブラント絵のタッチを調べた。
ところがめぼしい作品のほとんどは収蔵先がわかっているので
そんな物を描けばすぐに足が付く。
そこで木炭で書かれた習作のみが残っていて、油絵は消失したとされる
レンブラントの盲目の父親の肖像画を描くことにした。
修復中の現場からレンブラントの絵の具を削り取り
鑑定を依頼し、同じような古い画材を集め、
レンブラントがそうしたように同じ絵を3度重ね描きした。
そして火にかけて少し焼いたり、すすをまぶしたりして時代をつける。
あまりにも精巧に作られた贋作をめぐって、やがて殺人事件にまで発展するのだった。
レンブラントの絵を中心に、なかなかよくドラマを作っていた。
最後は少しご都合主義的なところもあったけど・・・
殺人容疑で彼女と逃げているとき、金策をするのに、
紙に鉛筆で絵を描いて田舎の質屋に有名画家の素描と偽って金を作ったり、
手配されている車のナンバープレートをペンキで上手に数字を書き換えたり、
贋作者の面目躍如。
B級だけど面白かった。監督はジョン・バダム。


「アヴァロン」 日本映画
2月8日 梅田東映

近未来、人々は仮想現実ゲーム「アヴァロン」に熱中していた。
仮想世界で戦闘を繰り返し高得点をあげるアッシュは、ポイントを換金し、
生計を立てていた。
ある日アッシュとチームを組んで戦闘していたスタンナが現れ、以前のチームリーダー、マーフィーが
最終ステージ目指して「ロスト」し、廃人同様になったと言う。
時を同じくした現れた謎の男にチームを組もうと誘われ、アッシュは最終ステージ「スペシャルA」を
目指すためチームを組む。
「甲殻機動隊」の押井守監督の実写映画。
ポーランドで撮影され俳優もポーランド人。もちろん言葉もポーランド語。
古いポーランドの町並みとセピア色の画面が独特の雰囲気を醸し出す。
冒頭の戦闘シーンはオリジナリティーがあるが、
予告編での見せ場はこの冒頭の10分でほとんど終わってしまう。
最後の戦闘の巨大戦車は死角があったり、弱点をつかれてあっけなく破壊されたりと、
高レベルのステージとは思えないほど弱っちい。
アッシュは金のためにゲームをしているのはわかるが、金以外のこだわりが説明不足。
「アヴァロン」のゲーム会社がどうして儲けてるかもあまりよくわからない。
主演女優も華がない。
最終ステージで今までのセピアカラーから急に普通のカラーになり、現代的な風景に変わる。
これは意図したことであろうけれど、違和感がありすぎる。
予告編を見る限り面白そうだったけど、少し薄い感じがする。
予算と時間がなかったのかな。


「星願 あなたにもういちど」 香港映画
2月6日 13:30 ヘラルド試写室(メディア・スーツ)

オニオンは身寄りがなく、子供の頃の病気が元で目と口が不自由。
病院で毎日働いているが、心の支えは看護婦のオータムだった。
オータムも素直なオニオンを一番心を許せる友達と思っている。
ところがある日オニオンは交通事故で死んでしまった。
天使の計らいで5日間だけ地上に戻れると聞き、オータムに打ち明けられなかった
胸の内を告白しようとする。
しかし見た目は全くの別人に変わり、自分がオニオンだと話そうとすると発作が起きる。
オータムもオニオンが亡くなってオニオンを愛する気持ちがはっきり分かり、
悲しみにくれていた。
そんなオータムに思いを寄せるウー医師は、なんとか慰めようとオータムに接近するのだった。
猶予は5日間、このままでは告白できないまま、オータムはウー医師のものになってしまう。
オニオンは焦るのだった。
「天国から来たチャンピオン」をかなり意識して作られている。
普通の姿をした天使、友人に自分が死んだオニオンだと気づかせるためにマッサージをするところなど
「天国から〜」と同じ。
マッサージのシーンなど、全然知らない人間に「ちょっとマッサージしてくれ」と取って付けたように頼む。
おまけに主人公がソプラノサックスを吹くとこまで同じ。
同じようなモチーフで映画撮るのはいいけど、もっと工夫して欲しい。
主人公のリッチー・レンはなんとなくジュビロのゴン中山に似ている。
ヒロインのセシリア・チャンの箸の持ち方が悪い。


「フォーリン・フィールズ」 デンマーク映画
2月1日 13:30 東映試写室(彩プロ)

デンマーク人のヤコブは国連の平和維持軍として内戦の続くボスニアに派遣される。
毎日の仕事は孤立した市民に装甲車で食料や衣料品を届けること。
ある日ヤコブは上官のホルトから休暇を一緒に過ごそうと誘われる。
ホルトに付いていくと、どこからともなく武装した外国人達が集まり、
ホルトは彼らを引率してのツアーだという。
実はホルトは金持ちの戦争マニアを集め、実戦を体験させるツアーをサイドビジネスでしていた。
ヤコブはホルトに命を救われ、彼に恩義がある。
仕方なく同行することにしたが、着いた先はセリビア人の村で、その村を襲うという。
女子供に容赦なく浴びせられる銃弾。
ヤコブはホルトを非難するが、村人達の反撃に遭い、脱出用のへりは爆破された。
戦争ごっこのつもりの参加者もやがて地獄を見るのだった。
戦争映画でも数少ないボスニア内戦を描き、主人公が国連軍なのも珍しい。
あまり映画では登場しない国連軍の白い装甲車や、
ハリウッド映画で見かけないような火器も登場する。
政治的メッセージだけではなく、「金持ちの戦争ごっこ」と言う娯楽的な要素もちゃんと入っている。
青い正義感のヤコブ役、精悍なホルト軍曹役はそれらしい配役だが、ヒロインがいただけない。
全裸になるシーンがあるがスタイルが悪すぎる。
戦闘シーンもちょっと少ない。面白くなりそうな題材だけに残念。


「ブレアウィッチ2」 アメリカ映画
1月31日 19:30 完成披露試写、リサイタルホール(K2、日本ビクター)

映画「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」のヒットでパーキッツヴィルは観光地となり、
ブレアウィッチグッズで商売する者まで出る始末。
ジェフはこのブームに目を付け、映画の主人公と同じ旅をする
1泊2日の「ブレアウィッチ・ハント」を企画した。
じつはジェフは以前精神病院に入っていたが、ツアー参加者はそんなことも知らずに
やって来た。
オカルト趣味、魔女崇拝、民俗学の勉強など様々な思惑を持った参加者が集まり、
惨劇の起きたラスティン・パーの廃屋で一夜を過ごしたが、朝目が覚めると方々に仕掛けた
ビデオカメラが壊され、自分たちと同じような別ツーアー参加者が惨殺されていた。
残されたテープを解析するためにジェフの隠れ家に一行は向かったが、
奇妙な出来事が次々に起こる。
前作は低予算で、ドキュメンタリーの手法をとりながら、具体的な物は一切見せず、
主人公達の恐怖の表情だけで見せていたが、今回は前作をちゃんと映画として扱い、
映画のヒットによって田舎町が観光化したという設定。
同じようなドキュメンタリー手法はもうとれないが、ドキュメンタリー監督の
ジョー・バーリンジャーを起用。
この人がちゃんとカメラを三脚に乗せ、一生懸命撮っている。
ところがこれがいけない。
「ブレアウィッチ」は森と不安定で視野が狭いカメラワークの勝利であったはず。
森から離れ舞台を建物に移し、三脚にカメラを据えたらただのホラー映画になってしまう。
実際「シャイニング」に出てくる双子の様な少女だけがぞっとするぐらいで、
あまり怖くない。
もうネットでの情報操作も出来ないし、1作でやめといた方がよかったのに。


「小さな目撃者」 オランダ・アメリカ合作映画
1月31日 13:30 松竹試写室(コムストック)

10才のメリッサは病気で口が利けないが想像力が旺盛で、
いつも奇想天外な作り話で空想の世界で遊んでいる。
製薬会社重役の父の商談に付いて、家族でアムステルダムに来たが、
ホテルで迷子になり、ホテルの外で偶然殺人事件を目撃、
犯人に追われ見知らぬアムステルダムの夜の街を逃げまどう。
ボートに住むホームレスに助けてもらい、なんとか両親に再会したメリッサだが、
実は殺人事件の首謀者は父の商談相手だった。
またしてもメリッサは助けも呼べず、一人殺し屋と戦うのだった。
父親にウイリアム・ハート、母親にジェニファー・テイリー。
キャッチコピーに「小さなダイ・ハード」と書かれてあるが、確かにたった一人で
凶悪犯に挑むところは「ダイ・ハード」だが、アクション的には「小さな小さなダイ・ハード」だった。
チラシに「エレベーター内での頭脳戦」とか書いてあるが、「これのどこが頭脳戦なんやねん」と
思うようなありきたりのシーンの連続。
作りが古くさい。音楽や演出が40年前の映画のようで、今時のアクション映画とは思えない。


「ミート・ザ・ペアレンツ」 アメリカ映画
1月30日 15:30 UIP試写室(UIP)

看護士のグレッグは教師のパムにプロポーズしたいがなかなか切り出せない。
ある日パムの妹の結婚式に同行することになり、
両親に会って結婚を承諾してもらう絶好のチャンス到来。
しかし、厳格なパムの父親とグレッグはどうもウマが合わず、父親に気に入られようと
いくつか嘘をついてしまう。
しかしパムの父親は元CIAで、人間嘘発見器とあだ名された人物。
グレッグの嘘を見逃すはずもない。
なんとか父親に気に入られようとする行動がことごとく裏目に出て、
不信感はつのる一方。
はたしてグレッグは父親の許しを得て無事パムと結婚できるのか・・・
グレッグに「メリーに首ったけ」のベン・ステイラー。
父親にロバート・デ・ニーロ。監督は「オースティン・パワーズ」シリーズのジェイ・ローチ。
元CIAの父親のスパイじみた行動が中途半端。もっと遊べば面白くなっただろうに。
デ・ニーロのコメディーとしては「アナライズ・ミー」の方が数段面白い。
ラストは取って付けたようなハッピーエンド。デ・ニーロは出ているがなんかチープなコメディー。
デ・ニーロはシュワちゃんのように、シリアスとコメディーを交互に出るつもりか。


「背信の行方」 アメリカ映画
1月30日 13:30 ヘラルド試写室(GAGA)

ケンタッキーでサラブレッドの牧場を営むカーターに、昔の仲間のビニーから電話がかかってきた。
ビニーはカーターの弱みを握っていて、ストーカーで訴えられている自分を助けてくれたら
昔の悪事の証拠品を渡すという。
20年前、ビニーとカーター、そしてビニーの彼女のロージーは競馬の八百長で味をしめ、
コミッショナーをも抱き込んで大きく儲けようとした。
しかしコミッショナーのシムズは頑として拒み、ロージーは色仕掛けでシムズに近づき、
関係を持った。
その写真をネタにシムズを抱き込み大儲け。
その金が今競馬界で成功を収めているカーターの元になっている。
ロージーはビニーを捨て、同じ野心を持つカータ−と結婚してしまった。
失意のビニーは落ちぶれ、酒浸りの毎日を送っていた。
過去と決別し、もう一度ロージーとやり直せたら・・・
ビニーはカーターをだまし、ロージーの元へ向かう。
しかしロージーもまた裕福な暮らしとは裏腹に、過去の傷を背負ったまま20年生きていた。
三人は過去と決別するチャンスをなくし、今までズルズル生きていたのだった。
ピューリッツァー賞受賞作家サム・シェパード原作の舞台劇の映画化。
原作に忠実に映画化を試みたのか、淡々と話は進む。
話が盛り上がりそうで盛り上がらない。
ニック・ノルティー、ジェフ・ブリッジズ、シャロン・ストーンと言う面子だが、
ニック・ノルティーとジェフ・ブリッジズが顔をそろえれば、
アクションシーンのひとつも期待するのは人情というもの。
二人は淡々と舞台役者のように演じる。
決して芝居が下手と言うことではないけど、物足りなさが残る。
シャロン・ストーンにいたっては、いつ出るかいつ出るかと待っていたのに後半しか登場しないし、
登場して愕然。なんやその醜い腹は!?
太って下腹が出て、身体の線が崩れて見る影もない。
あれは絶対役で作った身体ではないと思う。
欲求不満で終わる映画。


「スナッチ」
 イギリス映画
1月23日 19:00 完成披露試写、リサイタルホール(ソニー)

ベルギーの宝石商を襲った賊はまんまと86カラットのダイヤの強奪に成功。
首謀者のフランキーはロンドンで小物をさばいた後、ニューヨークのボス、アビーに
ダイヤを届けることになっていた。
ところが強奪した仲間が裏切り、ロシア人ボリスにダイヤの横取りを依頼。
ボリスは黒人の質屋ソルとビンセントに強奪を下請けに出す。
さあそれからは86カラットのダイヤをめぐって、盗ったり盗られたり、ワル達の争奪戦が始まる。
マドンナと結婚したガイ・リッチー監督作品。
この映画、登場人物が多く、どんどん人物がからんでくるが、からめばからむほど話は面白くなってくる。
かなりキャスティングに時間をかけたようで、一癖も二癖もある役者がそろいも揃った。
元KGBで「弾丸をかいくぐる男」の異名を持ったロシア人、気にくわない奴は切り刻んで
豚の餌にする非情なギャングのボス、間抜けな質屋、イギリス嫌いのニューヨークのボス、
弾丸を歯で受けとめた伝説を持つ不死身の男「弾丸歯のトニー」、
流浪民で素手で闘うボクサーのミッキーなど
魅力あるキャラクターが続々登場して物語にからんでくる。
前作「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」に惚れ込んだブラッド・ピットが
自ら出演させろと申し込み、破格の安いギャラで賭けボクシングのボクサー役で出演している。
この映画、主役らしい主役はいないが、全員がおいしい役。
展開はスピーディーだし、ギャグも面白い。ただオチは読めた。
リッチー監督は、この1作で「マドンナの旦那」から、独自のスタイルを持った一流の
エンターテインメント監督に脱皮した。
見終わって「あー面白かった」と声に出して言える作品。
自分の今年のベスト10に間違いなく入ってくる1作。


「ホテル・スプレンディッド」 イギリス映画
1月23日 15:30 東映試写室(メディア・スーツ)

孤島にたたずむホテル・スプレンディッド。このホテルは厳しい戒律と食事制限、独自のエステで
健康を保つと、滞在者のほとんどが長期滞在で過ごす一風変わったホテル。
ダイニングルームでの食事は時間厳守で、毎日このホテルの創始者、
故ブランチェ夫人の養生訓をレコードで聞きながら、
皆姿勢を正し黙々と食事する。
夫人の写真が貼られた地下のボイラーは、宿泊客の排泄物からメタンガスを取り出し、
それを燃料にして稼働する究極のリサイクルボイラーで、
夫人の作り上げたホテルという名のバランスのとれた宇宙の象徴のようなものだった。
ホテルの運営は夫人の息子や娘達が中心に行っているが、次男で料理長のロナルドと恋仲になり、
秩序を乱したと夫人から追い出されたキャスがホテルに戻ってきた。
長男で支配人のデズモンドは追い出そうとするが、キャスは副料理長として勝手に居座ってしまう。
スパイスの利いたキャスの料理は宿泊客も初めは戸惑っていたが、ロナルドの健康志向料理よりも
変化のあるキャスの料理の方がうけだした。
美食は悪であるとするホテルの秩序は、キャスの出現によって徐々に乱れていった。
そして巨大な生き物のようなこのホテル全体が食中毒のように変調をきたしていくのだった。
全体的なトーンは「デリカテッセン」や「未来世紀ブラジル」のように暗くて、不思議な世界であるけれど、
どうも掘り下げ方が今ひとつという感じがする。
キャラクターも、もっと膨らませば面白くなりそうなキャラが揃っているにもかかわらず、
どれも中途半端なところで止まっている。
テーマや目的がもひとつ見えてこない映画。


「アタック・ナンバー・ハーフ」 タイ映画
1月22日 13:30 東映試写室(クロックワークス)

バレーボール選手モンは、バレーボールチームの選抜テストに実力があるのにもかかわらず
落とされる。
それは彼がオカマだったから。
一方ランバーン県のバレーチームでは選手のほとんどが辞めていった。
それは監督のビーがオナベだったから。
ビーは改めて選手を募集し、モンとオカマ仲間のジュンがチームに加わった。
バレーが好きで一人残ったハンサム青年チャイとモンにジュン。まだまだメンバーが足らない。
そこでかってのバレー仲間でゲイ仲間達を呼び寄せ、練習がスタートする。
髪を伸ばし、化粧をし、長い爪を気にしながら彼らは練習に励み、
国体に出場が決まった。
大会委員長のゲイに対する偏見、試合中継を見て息子がゲイだと知り連れ戻そうとする父親、
失恋など幾多の苦難を乗り越え彼らは勝ち進んでいく。
オカマの選手にオナベの監督。そんなアホなと言うシチュエーションだが、
実話を元にして作られている。
映画のラストクレジットのバックに本物の国体での試合映像が流れるが、
本当に化粧してナヨナヨしながら試合している。
基本的にはコメディーだが、途中不覚にもホロッとしてしまう箇所もある。
しかしこの「アタック・ナンバー・ハーフ」というタイトル。
よくも日本で「アタック・ナンバー・ワン」があったものだ。
絶妙のネーミング。


「マイ・スウィート・ガイズ」 アメリカ映画
1月19日 15:30 ヘラルド試写室(GAGA)

ロスのボクシングジムでトレーニングをしているプロボクサーのシーザーとビンス。
彼らは親友同士で実力もあり、ボクサーとしていいところまで行っていたが恵まれず、
今は場末のジムでくすぶっていた。
そこにラスベガスのプロモーターから電話が掛かってきた。
マイク・タイソンの前座試合の選手が一人はドラッグで、一人は交通事故で出場できなくなり、
急遽二人に今夜試合をしてくれないかという依頼。
ファイトマネーは悪くない。試合は世界中に放送される。
またとないチャンスだが、ビンスはもっと有利にしようとギャラアップと、
勝者にはチャンピオンへの挑戦権をつけるよう要求。
これが裏目に出て挑戦権は付いたものの、ギャラは半額になってしまった。
ラスベガスまでの飛行機代もない彼らは、ビンスの元彼女で
今はシーザーと付き合っているグレースを誘う。
狙いは彼女のオープンカー。
発明家のグレースはベガスで発明品の出資者を捜すのも悪くないと考え、同行することにした。
元彼、今彼と美女は奇妙なバランスで旅を続けたが、途中で奔放な中国人女性リアが加わって
よけいややこしくなってしまった。
やっとベガスに着きいよいよ試合が始まった。
前座試合ゆえガラガラの客席だが、親友同士が夢を賭けての壮絶な戦いは
観客を熱狂させていった。
シーザーにアントニオ・バンデラス、ビンスにウディ・ハレルソンという配役。
前半は微妙なバランスの三角関係男女のロードムービーで、後半はボクシング映画となる。
バンデラスもハレルソンも鍛えた体でボクシングのトレーニングもしただろうけど、
やはり本物の迫力を出せないだろうし、試合シーンはうまいこと足元や顔のアップ、
観客などのカットをつないで、編集のうまさで上手に見せている。
ロバート・ワグナーが黒幕プロモーター的な役でいい味だしている。
試合の観客としてケビン・コスナー、ウェズリー・スナイプス、ジェームズ・ウッズなどが
カメオ出演している。


「ザ・ウォッチャー」 アメリカ映画
1月12日 15:30 ヘラルド試写室(GAGA) 

FBI捜査官のキャンベルはロスで連続殺人犯グリフィンを追っていたが、
ゲームをするかのように殺人を繰り返すグリフィンに恋人も殺された。
精神的にまいったキャンベルはグリフィン事件から降り、シカゴに転属した。
ショックから立ち直るため精神科医を訪れ、不眠症を薬でごまかす毎日。
しかしシカゴでも連続殺人が始まり、キャンベルに犯行を予告する手紙が送られてくる。
なぜキャンベルを追ってグリフィンはシカゴに来たのか。
プロファイリングによってグリフィンを分析していたキャンベル。
つまりグリフィンにとってキャンベルは一番の理解者なのだ。
そんなキャンベルにグリフィンは次に犠牲となる女性の写真を送り、
またまた殺人ゲームにキャンベルを巻き込んでいく。
否応なくまたグリフィンを追う羽目になったキャンベル。
追っているはずなのに自分がグリフィンから追われてるような気持ちが心を襲う。
すんでの所で逃げられ犠牲者が増えた。
そして次の予告が。
心の平穏を取り戻すためには事件の解決しかなかった。
キアヌ・リーブスが殺人鬼に挑戦。
最近多いMTV出身監督だが、MTV的手法が珍しかった頃はいいとしても、
もう映像に新味はないし、「音楽のためにこのシーンの編集しました」みたいに見えてしまう。
金の取れる「映画作家」として映画を撮って欲しい。
ちょっとはしょりすぎで、せっかく悪役をやっているキアヌが生きてこない。
もっと丁寧に悪人像を作ってやらないとせっかくの汚れ役が無駄になる。
キャンベル役は「セックスと嘘とビデオテープ」のジェームズ・スペイダー。


「ハート・オブ・ウーマン」 アメリカ映画
1月12日 13:00 東宝東和試写室(GAGA)

広告代理店クリエイティブ・ディレクターのニックは、男っぽさを売りに
仕事にプライベートに人生を謳歌していた。
離婚歴はあるものの、ちょいと口説けば女の子はいちころと自信満々。
次の部長は自分で決まりと思っていたが、部長のイスにはヘッドハンティングされてきた
ダーシーが座ることになった。
自分が座るはずのイスを外部の女性に奪われて、
ニックはダーシーを適当にいなそうと思っていた。
ダーシーはこれからの消費の主導権は女性にあり、女性向けのアイデアを考えて来いと、
マスカラやらブラジャーやらパンストなどの商品を部員に手渡した。
ニックは仕方なしにその商品を自分で使ってみることにした。
マスカラやマニュキアを付け、パンストをはきブラまで付けたが、
誤って湯船にドライヤーを落として感電。
次の日目を覚ますと、女性の心が読めるようになっていた。
会社に行くと今まで自分のことをよく思っていていると思っていた女子社員達は、
バカ男と心の中で思っていることにショックを受けた。
しかしダーシーの心も読めるのでアイデアを拝借。
ダーシーはニックを見直す。ニックもダーシーはキャリアウーマンとしてバリバリ仕事しているが
実は寂しがり屋であることがわかり、二人の仲は急速に近づいていく。
ニックはダーシーのアイデアを盗用して仕事を成功させ、逆にダーシーの手腕が疑問視され、
クビになることが決まった。
メル・ギブソンと「恋愛小説家」のヘレン・ハント主演のラブ・コメディー。
女性ぽい格好で感電して女性の心がわかるようになるという設定は、
コメディーでも陳腐な感じがする。
いくら心がわかるからと言っても二人が恋仲になるのが早すぎる。
途中、コーヒーショップの女の子とベッドインして、「引っ張ったら痛い」とか「あまり舌を入れすぎないで」
とか、心の声が聞こえてくるので萎えてしまったり、逆にテクニッシャンになったりするところや、
あまりにもベッドで女のして欲しいことがわかるので、ゲイと思われたりするあたりが面白い。


「ダンサー・イン・ザ・ダーク」 デンマーク映画
1月5日 シネマサンシャイン衣山(松山)

1960年代のアメリカ。チェコからアメリカに移民したセルマは母子家庭で、
工場で働きながら一人息子を育てていた。
貧しいセルマの楽しみはミュージカルで、友人キャシーとミュージカル映画を見たり、
素人劇団でミュージカルを演じたりしていた。
空想の世界でミュージカルの主役として歌い踊る自分の姿を想像すれば辛いことも吹き飛んだ。
しかし、セルマには秘密があった。先天的な目の病で視力がどんどん低下し、
いずれは失明してしまうこと。
そしてその病は息子にも遺伝していて息子も同じ運命をたどること。
ある日、警官で大家のビルはセルマに妻の浪費癖で破産寸前だが、
妻を愛しているので話せないと秘密を打ち明ける。
セルマも自分の目のことを打ち明け、誰にも話さない二人の秘密と約束した。
セルマは息子の目の手術代のためコツコツ貯金をし、夜勤を増やし内職もしていたが、
視力が衰え、疲れが溜まったセルマは仕事でミスを犯し解雇される。
わずかながらの退職金を、隠してある貯金箱にしまおうと開けると、金は盗まれていた。
ビルが犯人だと睨んだセルマは、ビルに詰め寄る。
追いつめられたビルは拳銃を突きつけるが、もみ合っている内に暴発し、ビルは死んでしまう。
金のために大家である警官を殺害した容疑で逮捕され、秘密を守る約束をしたセルマは
真実を話さず判決は死刑。
息子の手術のためにとっておいたお金で有能な弁護士を雇い、真実を話せば減刑されるが、
セルマは自分の命を懸けて息子の目を救おうとする。
かなり編集のうまさが光る作品だが、ラース・フォン・トリアー監督達が提唱する「ドグマ95」という、
手持ち・自然光・オールロケの戒律がここでも使われ、ミュージカルシーン以外は全部手持ちカメラ。
だから前の方で見ていたら少し酔った。
娯楽映画では物語途中でよく伏線が張られ、それが最後の方にいいように生きてくるのが普通だが、
この物語は伏線が全部マイナスに向かう。
ストーリー、映像、演技と、実にしっかりした作品だけど、見終わって救いようのない重い気持ちになることを
覚悟しなければいけない。
こんな重いミュージカルは初めて見た。