2010 NY国連・カーネギー公演日記
本文へジャンプ 3月3日 

2010年 NY国連・カーネギー公演日記

2010年2月16日(火)〜24日(水)


2月19日(金) 国連公演


今日は国連での公演。
9時半にホテルのロビーに集合し、タクシー3台にそれぞれ荷物を積み込み国連本部ビルへ。
国連前は見学ツアーの観光客ですでに行列ができている。
プロデューサーの武部さんが全員に今回の公演用IDパスを配布し、首からぶら下げる。
別の入り口から中に入ろうとすると、警備からそこに全部の荷物を置いて待てと言う。
ひとかたまりに荷物を置いて待っていると、別の警備員が犬を連れて登場して、
僕らの荷物を犬がくんくん嗅いでいく。
非常にセキュリティーが厳しい。
観光客とは違う入り口に案内され、そこからまたX線検査や金属探知器をくぐって館内へ。
一旦本部ビルの本館に入って、隣の新館へ。
ここは観光客も入って来ない関係者エリア。
現地スタッフの高橋さん、前回のNY公演も手伝ってもらったNYで俳優をしている
鈴木さんとも合流して、公演会場の第3会議室へ。
約400人ぐらい入れる所だけど、横広で変なところに柱もあって字幕が見にくいので、
3ブロックに別れている真ん中のエリアだけに客を入れて使うことにする。
高座も昨夜の内にちゃんと設営されていた。
鳴り物班に持参した毛せんを高座にかけさせ、僕と武部、
字幕班はプロジェクターとコンピューターの位置決め。
最前列の席をスタッフ用として、机にプロジェクター2台とコンピューター2台をそれぞれ設置していく。
向かって左側が英語とフランス語の字幕、
右側がスペイン語と中国語の字幕。
実はこの第3会議室は正面に2枚の大きなスクリーンとプロジェクターが初めから設置されているが、
それを使うと高座と字幕が離れすぎて目線の移動が大きく忙しいので、
チェアマン席の後の白壁に直接字幕を映す事にした。
それでプロジェクターも2台日本から持ち込んでる。
いつもの海外公演より機材が多い。ノートパソコン2台、プロジェクター2台、
ケーブル類、もしもの時に供えてプロジェクターの交換ランプまで。
このプロジェクターの交換ランプは5〜6万円もするが、
プロジェクターが使えないと字幕が出せないので大切な機材。
こちらの設営はあらかた終わったが国連側のスタッフが分業制で、
音響スタッフが来ては設営し、また別の時間に照明スタッフが来てと作業が分断されてはかどらない。
おまけに12時なると1時間完全に昼休みになるし。
我々も届けられた弁当を食べに2階のカフェテラスへ。
他の会議室からも会議が終わって、ぞろぞろカフェに人が集まってくる。
昼食後今度は控え室のしつらえ。
2組の着物を吊す所がないので、明日使うめくり立てを壁のコーナーの出っ張りに乗せて、
壁にガムテープではっつけた。
新築の国連ビルでこんなこと勝手にやってええねやろか。
字幕の微調整をしてると国連イベント担当のフェルナンドさんが来て、
字幕のスペイン語のおかしな所をチェックしてくれた。
ほんとに気さくなええおやじさん。
客席後部にも、字幕の位置に合わせ、こちら側が英語とフランス語、
こちら側がスペイン語と中国語席と貼り紙も貼っていく。
音響、照明などの設営が完全に終わったのは3時を回ってた。
字幕のタイミングや段取りなどを確認するため、もう一度リハをするつもりだったのに遅くなってしまった。
とりあえず頭から通しでやってみる。
一通り終えて、細かなところをチェックし終わったときにはもう5時半になっていた。
6時半から開演なので客入れは6時から。
向かいの控え室に移動して準備。
国連は誰でもひょいと入れる所ではないので、日本総領事館から各国の領事館へ、
また国連日本代表部から各国の代表部、国連職員へ招待状が送られてるが、
出席の返事は80ほどらしい。
会議が何時に終わるか読めないので返事を出さずに当日来る人もいるので100人ぐらいだろうと言うことだったが、
ふたを開けると倍の200人近くが来てた。
開演して高座から客席を見ると、最前列に国連、総領事館両方の3人の日本の大使も座ってるし、
いろんな国の人たちがマイクの突き出た机を前に座ってるので完全に国際会議の様相だけど、
反対側から見ると国連旗の間に英・仏・西・中、いろんな言葉の字幕が出てて、
その真ん中に赤い台の上に着物着た男が座ってると言う変な光景だっただろう。
演目はいつもの「お玉牛」と「皿屋敷」。
字幕のタイミングもいいようで、ちゃんとツボで笑いが返ってくるし反応も上々。
終演後、会議室前のロビーでレセプション。
紋付き袴のまま行くと、ロビーに観客がごった返してる。
今回のこのレセプションにはNYの老舗日本料理店「レストラン日本」や、サッポロビール、伊藤園、
モロゾフなど有名企業からも協賛をいただいてて、オードブルなどの評判もいい。
ロビーでいろんな国の方に声をかけられ、一緒に写真を撮り、プログラムにサインをする。
今までの海外公演はその国の人達が相手だったが、こんなにいろんな国の人達が混在した公演は初めて。
言葉や文化や肌の色が違っても同じ落語で笑い合うことができる。
海外公演を始めて10年の節目に、国連という最高の舞台でそれが証明された。
レセプションの途中で会議室に戻り、今度は囲み取材。
テレビカメラや新聞記者らに囲まれインタビュー。日本から来たおなじみの新聞記者もいる。
インタビューの後、またレセプションに戻っていろんな国の外交官達とカーンの通訳で話をして無事終了。
着替えて荷物をまたタクシー3台に乗せてホテルへ。
一旦荷物をそれぞれの部屋に置いて、近所の日本料理屋へ。
今日は金曜の夜なので店はどこも一杯で、何とか一軒の日本料理屋に全員入ることができたが、
メニューはもうラーメンと餃子しかできないという。
ビール飲みながらそれぞれラーメンすすってお疲れ様。
帰りにまた近所のデリでビール買って部屋に戻った。



国連前に勢揃いした一行。



英・仏・スペイン・中国語、4カ国字幕の皿屋敷。
字幕の両サイドに国連旗が立っている。



レセプションの後、会場でプレスに取り囲まれて合同インタビュー。
その日の内にNHKと日テレの全国ニュースで流れたらしい。



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