2006 カナダ公演日記 |
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12月13日(水) カルガリー公演 今日はカナダ最終公演。 8時半にロビーに集まってホテルから車で20分ぐらいのカルガリー日系人会館へ。 キャパ150人ぐらいのこぢんまりした会館で、わざわざ高座を作っていてくれていた。 はじめは舞台の横に下座のスペースを作ろうかと思ったが、 ホールの隣に大きなキッチンがあり、そこに窓が開いている。 このキッチンを囃子部屋にしたら、と言うアイデアが出た。 それなら舞台袖を作る作業が減る。 一度鳴り物を組んでキッチンの中で演奏してみる。 太鼓や笛はいいが三味線が少し聞こえにくい。 そこで窓の前に置いた机に三味線が座って演奏し、他はキッチンの中で。 三味線の前にはすだれ状の衝立で目隠しする。 演奏してみると三味線と太鼓のバランスがよくなった。 会場によってみんな条件が違うので、 いろいろ工夫しながら舞台設営する。 昼から会員さん達のクリスマス会があるそうで、一応設営の段取りや位置決めをして、 またばらして昼前に一旦終了。 しばらく時間が空くので少し観光をすることにする。 総領事館の増子さんにまず連れて行ってもらったのが、 1988年カルガリー冬季オリンピックのジャンプ台。 丘の上に90mのジャンプ台がそびえ立っている。 有料で上に上れるそうだけど、受付は半分シャッターが閉まり、 呼んでも誰も出てこない。 エレベーターのボタンを押してみるとドアが開いたので、みんなで勝手に乗り込んで上へ。 ドアが開くと最上階で、昔のジャンプで使ったスキー板や、 カルガリー・オリンピック当時の写真などが展示されている。 外に出るドアには鍵が掛かっているが、つまみを回すと簡単に解錠された。 またまた勝手にドアを開けて外に出ると、 そこは90m級ジャンプ台のスタート位置だった。 90mの高さでなおかつ丘の上にあるので遠くの町まで一目で見渡せる。 まるで町に向かって飛んでいくような感覚。 ニッカネンがこの大会で金メダルを獲った。 スキーのジャンプ台のてっぺんに登るなんてまず無いこと。 一同大喜び。 次は同じオリンピック・パーク内のボブスレーコース。 ジャマイカのボブスレーチームを描いた、 映画「クールランニング」はここで撮影されたそう。 スタート地点の氷の上で傾斜のどこまで行けるか根性試し。 足を滑らせると生身の身体のままゴールまで滑走してしまうことになる。 増子さんは「もうだめですよ、そこまでです、やめてくださーい」とハラハラドキドキの様子。 オリンピック・パークを後にして巨大ショッピングセンターで昼食。 フードコートでそれぞれ好きな物を注文。 それから一旦解散してショッピングセンターで買い物タイム。 1時間半ほど買い物して、まだ時間があるので今度はノーズ・ヒルへ。 町が見渡せる丘だけど、風が吹いて寒い。 今日は比較的暖かい日だけど、風が吹くと急激に体感温度は氷点下何度かになる。 ノーズ・ヒルは訳すと「鼻丘」。 昔インディアンの女性が不倫をすると、この丘に連れてこられて、 鼻の先を削がれたと、総領事館のディヴィーズさんが流暢な日本語で説明してくれた。 ヒーヒーいいながら丘を登ると、ここもすばらしい見晴らし。 ダウンタウンのビル群が蜃気楼のように大地にそびえ立っているのが見える。 ダウンタウンの反対側の丘の上からも街を眺めて会場に戻る。 戻ると日系人協会の人が先ほどマーキングした位置に高座などを設営してくれていた。 毛せんやプロジェクターをセットしようとしたが、会場にたくさんパーティー後の人たちが残ったまま。 どうやらこのまま落語会までここですごすよう。 お客さんのいる前での設営になってしまった。 日系人協会の人たちは顔つきは日本のじいちゃん・ばあちゃんだけど、 2世や3世で、みんなほとんどが英語でしゃべっている。 カナダで生まれて国籍も当然カナダ。 見た目は日本のおばちゃんだけど、日本語で話しかけるとちょっときょとんとするような人もいるし、 英語で話しかけてくる人も多い。 でも「お茶入れましょか」とか「それをするならここにこんな物も」とか 「クッキーどうぞ」とか何かと世話を焼いてくれるのは日本のおばちゃんと同じ。 設営はすぐ終わり、会場には続々とお客さんが来る。 椅子が足りなくなってきて、楽屋の僕らの椅子まで持っていこうとする。 ディヴィーズさんの英語と日本語の司会で、 総領事や日系人協会のケビンさんのスピーチの後開演。 高座に上がって見るとお客さんのほとんどが日系人協会の年配の人たちだけど、 後ろに若いカナダ人の団体がいる。 後で聞くと地元の高校生が1時間半かけてバスで見に来てくれたらしい。 今までの会場と違いほとんどが顔つきは日本人だけど、 みんな字幕を見てる。 みんな日本語よりも英語の方が得意な人たち。 客席は日本の地域寄席みたいやけど、 やはり「海外公演」だった。 不思議な感覚。 日系人だけどほとんどの人が落語は初めてで、 半分ぐらいの人は「落語」そのものを知らなかったらしい。 でも、すごく喜んでくれた。 終演後撤収が終わって関係者等と日本茶と和菓子でお疲れさん。 カルガリーには和菓子の店がなく、会員さんがわざわざ僕たちのために作ってくれたらしい。 でも日本の和菓子屋さんが作るのと同じようなおいしい和菓子だった。 カナダで生まれ育って英語しかわからない人も多いが、 「日本人の心」をどこかにずっと持ち続けている人たちだった。 カナダ最終日にいい経験をさせてもらった。 帰りにまた気のいいカナダ人運転手さんが、夜景やイルミネーションのきれいなスポットを案内してくれた。 ホテルに荷物を置いてカナダ打ち上げに街に繰り出す。 増子さんが連れて行ってくれたところは「カウボーイ」というクラブ。 入場料を払って中に入って驚いた。 テンガロン・ハットにブーツ姿のカウボーイスタイルだけど、ビキニトップのセクシーな 従業員がうじゃうじゃいる。 みんなウハウハ。 中は広くてすごく賑わっている。 「大阪モード学園の学生さん」みたいな人たちのファッションショーやライブなどが ひっきりなしにステージで行われている。 夜が更けて2階を見に行くと、濡れたTシャツショーをやっていた。 ほんまにええ打ち上げですと、みんな感謝感激。 こうして最後に盛り上がってカナダ公演を終えた。 明日は帰国する。 90m級ジャンプのスタート地点。 ここから直滑降で滑って飛んでいくなんて、僕らには想像できない。 カルガリー日系人会館。書が飾られている。 もどる |
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