3月30日(火) アダナ散策
今日もまたコーランで5時半に目が覚めた。
モスクの尖塔にスピーカーが付いていて、そこから1日5回コーランが流れる。
いたる所にモスクがあるのでどこにいてもコーランが聞こえる。
今日は一日オフなので午前中はそれぞれのんびり。
僕は溜まってる公演日記とメールの返事を早朝から昼までして、
昼食後アダナの街をぶらつくことにする。
マイケルとグレッグは歌舞伎舞のみなさんと行動するので、
僕と福矢・風喬・マルコの4人で金持ち側に出かける。
ホテルのたもとに掛かる紀元前2世紀に作られた石造りのタシュ橋を渡って
セイハン川の反対側へ。
トルコは信号が少なく、みんなビュンビュン走る車の間隙をぬって道路を渡るが、
僕らは怖くてなかなか渡れない。
道路渡るのも命がけ。
まず民族博物館へ行こうと地図を見ながら街を歩くが、
目的の博物館が見つからない。
露天商のおっさんに聞くが、英語が出来ないようでどこをどう曲がっていいのかわからない。
すると少年が僕が連れて行ってやると案内してくれたが、
そこは民俗学博物館ではなく、考古学博物館だった。
でも暑いので中に入って少し涼むことにする。
今日は天気もよく30℃近くはあると思う。
Tシャツ1枚で十分。
博物館を出てホテルから見える巨大寺院メルケズ・ジャミィへ行こうと歩いていると、
またしても2人の少年に声を掛けられた。
エリクという少年は少し英語が出来て、ジャミィへ連れて行ってやるという。
ここはイスタンブールと違って観光客が多数訪れるようなモスクではないので、
中に入れるかどうかわからなかったので心強い。
エリクはとても親切で、靴を入れる袋を一人一人手渡してくれる。
ここは観光地のモスクではないので、女性はスカーフ着用が義務付けられている。
マルコは持参したスカーフを頭に巻いて中に入った。
メルケズ・ジャミィは例の実業家サマンチ氏が建てたトルコ最大のモスク。
6000人収容のだだっ広い礼拝堂にはきれいなカーペットが敷き詰められ、
大きなドームや壁の装飾、ステンドグラスなどに圧倒される。
10年の歳月を掛けて3年前に完成した新しいモスクで、イスタンブールの大寺院
スルタン・アフメット・ジャミィよりも大きくて同じように尖塔も6本ある。(大きな寺院でも普通は4本)
ジャミィを出ると今度はマーケットへ連れて行ってやるという。
案内されるままマーケットへ。
マーケットは本当に町の人が利用する商店街で、
トルコの人達の生活がかいま見られる。
トルコの町は露天商の品揃えとか商店の雰囲気が新世界や日本橋の五階百貨店と似ている。
イスタンブールでは「サイト・シーイング」で、アダナでは「ライフ・シーイング」と言ったところ。
途中のジュース・スタンドで冷たい物を飲もうとなったが、エリクは何のジュースか説明してくれたり、
値段も英語に訳してくれるので重宝する。
おまけに君らも好きな物をと言っているのに、僕はいいと遠慮する。
子供がそんな遠慮したらあかん、何か飲みなさいと強く勧めると、
やっとじゃあこのレモンジュースをとすごく恐縮しながら注文した。
金製品が買いたい一緒に行って値切ってくれと言うと、
僕の知っている店があるので、そこへ行こうという。
この街は結構同商売の店が多く、布きれ屋、電化製品と店が固まっている。
金製品の店は100軒ぐらいが集まってて、その中の1軒へ、
エリクは店主に声を掛けて中に入っていく。
24金のブレスレッドをいくつか見せてもらい、値段交渉開始。
トルコはインフレでお金の桁が多く、たいがいの商品は「ミルヨン」という100万単位で話をする。
金製品となると軽く億単位の話になってしまうし、お札もゼロが多いのでわかりにくい。
驚いたのは金製品も量り売りで、値段を聞くと計りに乗せて金額を言う。
どんなに細かい細工をしてもデザインがよくても金の目方で値段が決まるよう。
エリクは僕の言うことを店主に伝え、店主の言い値を紙に書いて僕に伝える。
高い買い物なので、値段は紙に書くのが一番わかりやすい。
非常に役に立つ少年達や。
買い物の後はホテルまで僕らを送ってくれた。
小遣いのひとつもせびられるかと思ったら、そんなこともなく、
純粋に親切で案内してくれたらしい。
お礼にとホテルのロビーで彼らを待たせ、いつも海外公演に持参している
僕の写真入りのうちわと千社札の入った大入り袋など
「お世話になった人用プレゼントセット」を二人にあげた。
二人は神妙な顔でそれらを受け取ると、家はホテルの近所なのに
僕らを案内するのに邪魔だからと繁華街に置いてきた自転車を取りにもと来た道を帰っていった。
本当に日本人に親切な国だ。
あとで歌舞伎舞の人達に聞くと、街を歩いていて僕のうちわを持っている少年を見つけ
びっくりしたそう。
少年達はうちわの写真を指さして「マイ・フレンド、マイ・フレンド」と自慢してたそう。
そう言えば彼らは僕を「ブラザー」と呼んでいた。
まだ少し夕食まで時間があるのでショッピングセンターに徒歩で行ってみる。
建物は立派だがなんか寂れた雰囲気で魅力はなく、すぐに外に出た。
ショッピングセンターの反対側にはマクドナルドがあった。
グレッグは肉好きで1週間に3度はハンバーガーを食べないといられないらしく、
この旅の間禁断症状が出ていた。
福矢はグレッグへの土産にとハンバーガーを買い込み、持って帰ると
夕食前なのにグレッグは大喜びでパクついていた。
夕食後、板東鼓登治さんらが街に飲みに行くというので、後から合流。
12時前にホテルに戻るが、連日の夜更かしで睡眠不足が溜まってきた頃なので、
今日は早寝した。
メルケズ・ジャミィの横で。青くて広い空にモスクが映える。
モスクの中では女性はスカーフ着用。内装もすごい。
マーケットを案内するエリクとエムレ(右の少年2人)
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