2001 英仏公演日記
本文へジャンプ 8月17日〜9月16日 



9月1日(土)三味線とバグパイプの共演


朝8時半、1階のリビングで朝食をとる。
メニューはシリアルとトースト、ベーコン、ソーセージ、目玉焼き、焼きトマト。
朝食後少しゆっくりして、昼前にマイケルと妹、姪も合流。
B&Bの親父さんの案内で散歩に出る。
お供はダルメシアンのレディーバードとテリアの一種のピックル。
この二匹はとても人なつっこく、すっかり僕らのアイドルになった。
B&Bを出てすぐ脇道にそれると森に続く道。
きれいな清流に平行して小道は続く。
小川のたもとで親父さんはこの地に伝わる伝説を話してくれた。
バイキングが攻めてきたとき収奪されないようにと、
財宝を川の深みに沈め、財宝は守られたが引き上げるときにロープが切れ、
底に沈んでしまったという。
長靴姿で大きなワイヤーカッターを持っていた親父さんは、その辺の手頃な木を
カッターで切断し枝もはらい、長い棒状にした。
そしてその棒を持って川に入り、ほらこんなに深いと川の中に差し入れた。
ほんとにせせらぎぐらいにしか見えない川なのに、そこだけ異様に深い。
岩肌に作られた洞窟のような部屋、そこから川へ続く小さなトンネル、
親父さんはいろんなポイントで説明してくれた。
少し登ると見晴らしのいい草原に出た。
ダルメシアンのレディーバードは大喜びで駆け回る。
丸められた干し草の間を草と土の臭いをかぎながら歩く。
天気もいいし気持ちいい。
マイケルの妹宅で昼食後、バグパイプを聞きに行く。
宿のおばさんのお父さんが1軒隣に住んでいて、自宅をバグパイプ資料館にしているという。
4時頃おじいさんの家へみんなで出かける。
今年89歳になるランスじいさんは、ショーケースに並べられたバグパイプを
熱心に説明してくれ、やってみるかと我々に勧める。
ここのバグパイプはスコットランドのように口で吹いて空気を貯めるのではなく、
右脇のふいごで空気袋に風を送り込むスタイル。
右脇にくくりつけたふいごで風を送り、左脇の空気袋を押さえて、
パイプの穴を指であけたり押さえたりして音階を出す。
これが結構難しい。
教えてもらったとおりやってみるが、「ふひょ〜」という情けない音しかでない。
ランスじいさんの模範演奏を聴くと、スコットランドのそれよりパイプの数が少ないのか、
柔らかく枯れた味のある音がする。
そこでマルコが三味線を取り出し、バグパイプと三味線でセッションしてみることにする。
お互いに知っている曲と言うことで、スコットランド民謡「蛍の光」に決定。
バグパイプの音を聞き三味線の調子を変える。
お互い探りながらの演奏だが、そこはミュージシャン同士、すぐに合ってきた。
三味線とパグパイプ、実に不思議な音色の調和だった。
ランスじいさんと別れてマイケルの妹フィオナ宅へ。
今夜はW杯予選、イングランド対ドイツの試合がある。
ワインやビールを飲みながらテレビ観戦。
下馬評はイングランドの劣勢が伝えられていたが、結果は5−1の圧勝。
今でも京都でフット・サルのチームに入っているマイケルは大喜び。
イングランドはドイツに対しライバル意識を持ってるそうだが、
この何十年と勝ったことがなかったらしい。
そんな歴史的イングランドの勝利の瞬間に、イングランドにいるなんてラッキーだった。
試合の後は夕食。
中華とスペアリブ。フィオナのスペアリブはとてもうまい。
今まで食べたスペアリブの中でベスト5に入るうまさ。
明日の段取りをマイケルと確認してたいへんなことが判明。
明日のマンチェスター公演が主催者の都合で中止になっていることが僕に伝わってなくて、
方々人づてに宣伝していた。
明日来る人がいるはず。
連絡とれるところもあるが明日のことなので、連絡がつかないところも出てくる。
頼んでおきながら勝手に中止するわけにもいかないので、急遽ホテルの宴会場を探し、
少人数でも何とか公演することにする。
食事もそこそこに二人方々に電話する。
まったくいろんな事が起こる。


ランスじいさんからバグパイプを習う。これが結構難しい。


三味線とバグ・パイプの共演。



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