『冬の夜の色彩』
 
 
 
 
 
コン、コン…。
 
静かに舞い降りる
白銀の光の螺旋。
 
雲の向こうに
うっすらと光る
優しい月明かり。
 
荘厳に響き渡る
冬の夜の色彩。
 
それは雪の降る
ある夜のできごと…。
 
いつものように
俺の部屋の
ドアをノックする
名雪の姿。
 
カラカラ…。
 
「ううっ、相変わらず寒いな…」
「うん、寒いね」
 
静かな夜。
 
俺たちは
 
いつものように
夜のベランダに出て…。
 
ちゅっ。
 
いつものように
夜の挨拶。
 
にっこり微笑む
名雪の笑顔。
 
俺たちを祝福する
柔らかな銀色のかけら。
 
優しいものたちが
繰り返し
帰ってゆく場所のような
静かな風景。
 
「いよいよ…あと一週間だな」
「……うん、そうだね」
 
肩を抱いて
寄り添いあう。
 
「ね、祐一?」
「ん?」
 
名雪が不意に
俺に訊いた。
 
「7年前のこと…覚えてる?」
 
♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪
 
「ああ、覚えてるさ。はっきりとな」
 
わたしの言葉に
優しく応えてくれる祐一。
 
「もう…7年になるんだよね…」
 
7年………
 
わたしにとっては
本当に幸せな
7年だった。
 
きっと
この人と一緒なら…
祐一と一緒なら………
 
これからも
ずっと幸せでいられる…。
 
「そうだな…」
 
わたしにとって…
 
ううん
 
わたしたちにとって
7年というのは
 
いつも
本当に大きな
節目だった。
 
静かな時…。
穏やかな静寂……。
 
わたしは
祐一の腕の中で
 
静かな
穏やかな
優しげな
そんな時を過ごす。
 
今にも
幸せに包まれて
眠っちゃいそうな
そんな時間…。
 
「…幸せに……なろうねっ」
 
そんな
わたしの言葉に
 
祐一が
優しい声で…
 
「ああ…幸せになろうな」
 
そう応える。
 
静かに舞い降りる
白銀の光の螺旋。
 
「そうだな…俺たちの時間は、7年前に始まっ
 たんだな…」
 
雲の向こうに
うっすらと光る
優しい月明かり。
 
そんな
感慨深げな祐一に
わたしは思わず……
 
「違うよっ。祐一がこの街を忘れてた7年を足
 して…14年前から始まったんだよ」
 
荘厳に響き渡る
冬の夜の色彩。
 
その言葉に
祐一が
にっこりと頷いて…
 
「そうだな…14年……だな………」
「これからも、よろしくお願いします、だよっ」
 
それは…………
 
祐一がこの街で
暮らすようになって
7年が経って…
 
あと一週間で…
 
わたしの名字が
“相沢”に変わる…
 
そんな
 
雪の降る
ある夜のできごと…。
 
 
 
 
〜おしまい〜
 
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
 
 
 
 
 
《あとがき》
 
らぶらぶショートショートです。
 
名雪と祐一が24歳になって、あと一週間で結
婚する…ってシチュエーションです。
「7年前のこと…覚えてる?」、この7年前が
ゲームでのできごとにしたかったんです。まぁ、
気持ちだけの「からくり的要素」でしょうか…
って、もしかしてバレバレですかぃ?(汗)
 
で、一応お断りということで…このSSは、猫
蹴のHPに掲載してあるSSとは、時間軸を変
えてあります。限定SSということで…読んで
やってくださいね☆
 
 
--
猫蹴ぱと 拝
 
 


【お礼の言葉】
猫蹴ぱとさん、ありがとうございます。
いつもと違うしっとりとした雰囲気、どことなく大人っぽい雰囲気が漂うのは、
やはり、名雪達の年齢のなせるワザでしょうか?
描写も、普段のぱとさんのSSの雰囲気と違った感じがするから不思議です。
(手法的には大きく違ってないと思うのですが)
こういった、方向性のSSももっと読んでみたい気もします。
えっと、6000HITとかでいかかでしょうか?つづき(笑)
 
本当にありがとうございました。
今後もよろしくお願いします。
 
HID
1999/8/16


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