「Starting Over」感想


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Posted by 宏方 智樹 on 1999/09/25 09:36:58:

    はじめまして、宏方智樹と申します。
    Key掲示板でHIDさんのSSは見かけているのですが、多くて
    どれから読んでいいのやらという感じでした。
    今回、原点である「Starting Over」を読ませていただきました。

    本編では妹のことをあきらめていた香里が、前にすすみだす様が
    とても心地いいです。栞や祐一や北川や名雪の気持ちが、それに
    絡んで行くのも、好きです。いろんな方向を向いているみんなの
    想いが交叉しながら、話がすすんでいくのがとてもいいですね。

    とくに気に入っているのがchapter 8からの展開です。
    香里が栞を置いて学校に行くという描写、栞が学校に来てしまう
    というところ。もう、ぐっときました。chapter 11の香里の告白は、
    こういう描写を積み重ねてきたからこそで、彼女の強い想いが
    とても伝わってきます。この展開、完璧です。

    祐一が学校に来ていないという設定がまた、きいていますね。
    限られた時間を大切にしようとする香里と対照的であり、
    栞のはかない希望と陰陽の関係にある絶望につながってもいる。
    だから、二人の想いをとても強いものに感じます。
    祐一自身のことや、あゆのことも、作品ではあまり触れられて
    いないんだけど、それでもどうなったのか感じ取れます。抑えて
    書いているけど、香里と栞のことをちゃんと書いているから、
    読み取れるんですよね。

    ――ああ、なんかこういう分析は意味がないですね。
    本当に素晴らしい作品でした。

    SIDさんのSSには、静かに進む描写、という印象が強くあります。
    そのなかで、積み重ねられた想いが表出するのが、読んでいて心に
    染み入ります。最近の作品に比べると、文章の流れで意識を表現
    しているのですが、この印象は変わりません。

    作品が多すぎて、どれから読もうかという感じなのですが、
    また少しずつ感想を書かせていただきます。

    それでは、今後ともよろしくお願いします。

    ---
    宏方 智樹

    P.S. ホームページを立ち上げる予定でいるのですが、リンクさせて
    いただいて構わないでしょうか。



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