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◆『ヒヤシンス』

 

俺は悩んでいる俺ってサイテーだなと思う事もある
だって二股したことがあるからだどうすれば良いのか?
「クリオネ?」
ジェイドが呼んだ
「えっ!あっ!ジェイド…」
「やっと気付いた。なんかぼっーーとしてるよ?」
「そっ‥そう…か‥」

 バタッ!!

「クっ‥クリオネ!!」
ジェイドが駆け寄る
「大丈夫か!?うわっ!凄い汗!」
おもむろに額に手を当てると
「凄い熱!!」
俺はその声を聞きながら意識が遠退いていた

  カチッ、カチャ、カチャ

『なんだ…この‥音?しかもなんだか冷たい‥?』
「大丈夫か?」
聞き慣れた声がした目を開けると目の前に
スカーがいた。
「目、覚めたか?」
俺は起き上がって言った
「何でお前がいるんだ?」
「先生方のご命令で」
「ジェイドとデットは?」
「二人とも任地は離れられないから俺が来たんだよ」
『他にいないのか?』
なんて思った
「これを飲め」
スカーがいきなりカップを差し出した
「何だこれ?」
「ハチミツミルクだ」
「何で?」
「いいから受け取れ」
強引にクリオネに渡した。
飲んでみると温かくって甘かった。
「どうだ?」
スカーが聞いてきた
「…うまい」
「そうだろ?」
スカーが少し笑ったのを俺は見た。
「何、ジロジロ見てるんだよ。とりあえず寝ろ。」
俺は言われるまま寝た。
「人ん家の台所で何作ってるんだよ。」
「お粥」
スカーは一言そう言った。
「はあっ‥」
どんな物を作るのか不安になってきた。
「出来たぞ」
スカーがお粥を持ってきた。
「…」
「何だよその顔、別に毒なんか入ってねーぞ…じゃあ
俺が食わしてやるよ。」
「へっ?」
驚いたスカーがそんな事をするなんて
「ほら、口を開けろ」
「んっ」
「熱いぞ」
お粥を食べると
「…うまい」
「大丈夫だろ?」
「まあな‥」
「お前、何で顔、赤くなってるんだ?」
「別に…」
お前のせいだよお前がいるから‥
「おい?大丈夫か?」
「…大丈夫だ。」
沈黙が流れる。
俺は思わずこんな事を言ってしまった
「親、いるのか?」
なんて事を聞いてしまった。
「昔、いた。」
「えっ?」
スカーがまさか答えてくれるとは
思ってもみなかった。
「俺の親父は超人、おふくろは人間。だから親父と結婚する時、
親戚中が猛反対をして、それを押し切って結婚して、俺が産まれた。」
「じゃあ、幸せだったんだ。」
「その時までな」
「その時?」
「俺が3才の時に二人とも流行り病で死んじまった。
それからが大変だった。親戚中をたらい回しされた。
6才になった時にある超人が現われて俺を買っていった。」
「もしかして、そいつが‥?」
「そうだ、d・M・pの超人だった。」
俺は一瞬スカーの目が悲しそうに見えた。
「それから10年間、俺は育てられた。」
「波瀾万丈だな…」
それしか言えなかった
「そうだな、考えてみたら凄い人生歩んでるな、
殺されそうになったりしたもんだな。」
俺はもう何も言えなかった。
「こんだけ、教えたんだからお前も教えろよ」
「おっ…俺は親父、おふくろと姉二人に妹が一人いる。」
「いいな‥」
「えっ?」
「…幸せそうで」
『スカーは幸せが欲しいのかもしれない。』
聞いてみる事にした。
「なあっ?」
「何だ?」
「もし、普通に両親といっしょに暮らしていたら
どうなっていたと思う?」
しばらく沈黙が流れた
「解らねぇ、過去の事はこだわらないんでな、ただ‥」
「ただ?」
「ケビンに会えなかったかもしんねーな」
「…」
嫉妬に近い感情が出始めた。
「お前なんだか変だぞ」
俺の顔を覗き込んできた
「‥お前のせいだ」
「へっ?」
スカーの頭を持ち、
無理矢理キスをさせてしまった。
『しまった!!』
慌てて口を離した。
「ぷはっ…」
「ご…ごめん」
「っ‥たくっ、いきなり人の唇奪いやがって」
「殺さないのか?」
「はあっ?何、言ってるんだ?テメー」
「お前、なんで驚かないんだよ!!」
「慣れてるからな」
「慣れてる‥?」
爆弾発言を聞いてしまった
「ああ、こういう事をしなければ生きていけないからな。」
「…好きだ」
「へっ?」
「不謹慎だと思う、けど言わないと
心が壊れるかもしれないんだ!!」
叫んだ
心の底から叫んだ。
スカーは俺の頬を触った。
「やっぱりな…」
「えっ?」
「この前、ジェイドの家に行った時からお前、
俺に対する目が変わったからな。」
『勘、するどいな‥』
「だけど、俺にはジェイドがいるからな。」
「ちなみにやったのか?」
「抱いた事もあるし、抱かれた事もある。」
「ジェイドにか?」
「そうだ。」

ードイツー

「ヘップシ!」
「ジェイド、大丈夫か?」
「大丈夫です、レーラー。」
『誰か、噂でもしているのかな?』

「でも、俺を好きになるなんてお前、趣味変わってるな」
「そうか?」
「ああ、変わってるな。」
スカーは何か考え始めた。
「おいっ?」
カシャ
「えっ?」
スカーは自分のマスクを外した。
赤い髪になった
『ちょ…ちょっと待てーーー!!』
「何だよ、そんな顔して」
「す‥スカー!!そっ‥そんな事は出来ない」

  ボカッ

「何、考えてるんだよ!」
「違うの?」
「あたりまえだ!!」
「じゃあ、何するの?」
「お返し。…クリオネ」
「キョ!!」
まさか名前を呼んでくれるとは
思ってもみなかった。
いつもはお前とか軟体生物なんて言ってるからな
「じゃ、布団に入るぞ」
「なっ!スカー!?」
「ダメなのか?」
「うっ…いいです…」
そう言って布団に潜り込んできた。
『うーー、スカーの顔が目の前にーーー』
「A、BまでいいけどCはダメだ。」
あっさりと言われた
「お前、こんな事していいのか?」
「今日だけだ。」
「スカーの事、ますます解らなくなってきた。」
「それはどーも」
俺はまたスカーにキスをした。
『よく見るとスカーって顔立ちは整っているし、まつ毛は長くて多いし、
まだあどけない感じだし…』
考えてみたら、スカーはジェイドと同じ16なんだもんな
俺なんて20になったばかりだけどこいつは二期生の誰よりも
過酷な生き方をしていた。
薄暗い洞窟の中で生き延びてきたんだろう。
スカーが口を離してきた
「ぷはっ」
唾液で糸を引いていた。
「クリオネ、お前って欲深いのか?」
「そうかもな」
またキスをした
「お前って、キスをするのが好きなのか?」
「いいじゃないか、そんな事」
何回かキスをしていると

ピンポーーン
「やべっ誰か来た!!」
「早くマスク貸せ!」
「どなたでー?」
「あの、私クリオネの姉ですけど?」

ガチャ
「あっ…あなたは、スカーさんですか?」
「そうだが」
「あの、サインしてくれませんか?」
そう言って色紙とサインペンを渡した。
サインをしてると
「名前は何なんだ?」
「申し遅れました、私の名前はクリネといいます。」
「‥」
たしかに兄弟だなと感じた。
その姿はクリオネが女体になった感じだった。
「あの、何か?」
「いや、別に…」
部屋を案内すると
「クリオネ!!」
「クリネ姉さん!」
「まったく、あんたね高熱だして倒れたって
聞いたから急いで来たのよ!!」
「あっ、スカーさん。こんな愚弟の為に看病して
頂き真にありがとうございます。」
「じゃあ、俺そろそろ帰ります。」
「おきお付けて下さい。」

バタン

「クリオネ、あんたいいわねー」
「なんで?」
「あんな格好いい人に看病されていいじゃないの?‥あれ?」
「どうしたの?」
「唇の所少し切れてるわよ」

そう、この傷は証

スカーを愛している証

Fin