『さっきからずっと気になっていました。…マスクに埃がついてましたよ。』 『ダメですよ。せっかくの格好のいいマスクなんですから、大切にしないと。』 (以下リフレイン) ////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////// あれ以来。 あれ以来、どうしてもチェックのことが気になってしまう。 どんな過酷なトレーニングをしていようとも、チェックのことが片時も頭から離れたことはなかった。 ・・・もう一度、会いたい。 その日、ケビンはトレーニングをこっそり抜け出して、どこかへ出かけていった・・・ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 「何でこうなるかなぁ〜・・・」 今日も万太郎&チェックは勝負のために出かけていた。 今回は、チェックが「おでん」をおごることになった。 「なんでコンニャクまで買うんだよぉ・・・たまごだけでいいのに〜」 鳴きそうな声で万太郎が言った。 万太郎は、コンニャクが大嫌いである。 しかし、『おごられる側は必ず完食しなければならない。』というルールのもと、食べないわけには行かないのだった・・・ 「いやあ、コンニャクもおいしそうでしたから(笑)」 (何だよ、その笑いは・・・絶対ボクがコンニャク嫌いだって分かってる・・・) しかし、ルールからは逃げられない。 仕方がないので、残ったコンニャクを思い切って口に含んだ。 (うげ〜っ、臭いよぉ・・・もう二度とコンニャクなんて食べないぞ!) こうして万太郎は、何とかコンニャクという試練を突破したのだった。 「あああ〜っ・・・まだ口の中に変な感触が残ってるよぉ・・・」 そういって、万太郎はいかにも気持ち悪そーな顔をした。 「しかし、コンニャクのどこが嫌いなのですか?私には何が嫌なのかさっぱり分かりません。」 「何でもおいしいおいしいってパクパク食べちゃうチェックの方がボクは不思議だけどな〜・・・ チェックって嫌いな物無いの?」 「そうですね・・・特には。」 チェックはピーマンだろうとセロリだろうとパセリだろうとニンジンだろうと、 何でも生でも食べてしまう。(らしい。) (そーいうのってたまにうらやましくなるよなぁ・・・) 万太郎は、好き嫌いについて昔ビビンバにきつく教育されたことを、しみじみと思い出した。 (あんな風に、めちゃくちゃ怒られることも無いもんね。) とか、思っていた。 「さて、と・・・じゃあそろそろ帰りましょうか。」 ^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^ (とは言っても・・・) ケビンは、物陰からそっとチェックと万太郎の事を見ていた。 (これじゃストーカー・・・みたいだな。) 確かに。別名「覗き魔」とも言う。 (おでん食ってるのか・・・俺も後で食べようかな・・・じゃないっ! ・・・何とかさりげなくチェックに話しかけられないだろうか・・・) どうやら出て行くタイミングに困っているらしい。 と、その時。 (あ・・・帰っていくぞ。) 帰っていく二人を、ケビンは追いかけていった。 もちろん、なるべく気づかれないように・・・(完全にストーカー。) (しかし、あの二人・・・結構仲良さそうだな。) ただ「へぇ〜」程度なのか、はたまた嫉妬まで行っているのか。 とりあえず、気にはなるらしい。 (万太郎のヤツも、どんどん友達を作っていくからなぁ・・・) まぁ、確かに。 と、不意に思った。 (待てよ?そういえば、何で万太郎と一緒なんだ?) 疑問を持つのが遅すぎである。 (確か、この間会ったときも一緒だったな。なぜ?) まぁ、確かにその辺の事情をケビンが知る由も無い。 そんな時、ケビンの頭の中に一つの答えが浮かんだ。 (まさか・・・デート!?) 違う違う。 確かにチェックはそのつもりだが、万太郎はただ友達と一緒に遊びに行ってる〜という感じなのである。 (おのれ万太郎、許せん!) どうやら、完全に嫉妬してしまった模様である。・・・誤解なのに。 そんな妄想をしている間に、万太郎が帰っていった。 (あ、万太郎が帰った・・・よし、今だ!) そして、ケビンはチェックのところへ走っていった。 「あ・・・ケビン。」 「よ、よう。」 引きつってる。 「・・・げ、元気、か?」 緊張してるのバレバレ。 「元気です。」 でも、気づかない。こっちもこっちだ。 「奇遇ですね、こんなところで会うなんて。」 「あ、ああ・・・」 奇遇じゃない奇遇じゃない。 「今日はどうしたんですか?ランニングの途中ですか?」 「え・・・あ、ま、まぁそんなような物かな・・・?」 え?ストーキングじゃ(バキィ!) 「お、お前こそ、今日はどうして1人で?」 「ああ、さっきまで万太郎と一緒だったんですよ。ついさっき分かれたところです。」 知ってる知ってる。 それよりも、ケビンが知りたいことは他にあるんじゃないかい? 「万太郎と?そういえば確かこの間も一緒に居たよな?・・・なんで最近あいつとつるんでるんだ?」 と、いかにも不意に思い出したかのように話した。 「ああ、実はですね・・・ちょっとしたゲームをやっているんですよ、私たち。」 「ゲーム?」 意外な言葉が飛び出したので、ケビンもちょっと気になるようだ。 「(本当は私が万太郎と一緒に居たいって言うのもあるんですけど、)私たち、お食事をおごったりして、 最終的に10,000円を先に使い切った方が負け、というゲームをやっているんですよ。」 「ほ、ほぉ〜・・・」 (どうせ万太郎が考えたんだろうな。つまんねー遊びだ・・・) とか、思っていた。 「あ、そろそろ夕食の準備しないと食べられませんね・・・それじゃ、私はこれで失礼します。」 「あ、ああ・・・気をつけてな。」 そう言って、チェックが帰るのを見送った。 「・・・やっぱり、可愛いな。」 ケビンはぼんやりと物思いにふけった。 「チェック・・・今は万太郎のほうに心が傾いているのかもしれんが・・・ いつかきっと、俺の方に傾けさせてやるぜ!」 そう心に誓うケビンであった・・・ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 さてさて、ここからが大変。 ケビンはこっそりと帰って来た。 そこまでコソコソする訳は・・・ 「ケビン。」 ギクぅっ! (こ、この声は・・・) ケビンが後ろを振り向くと、そこには手に何かを持ったクロエが立っていた。 「トレーニングを無断で抜け出して・・・しかも、随分と遅いお帰りだったじゃないか・・・えぇ?ケビン・・・」 明らかに声のトーンを低くしている・・・ 「い、いやその・・・これは・・・」 「言い訳は後で聞こう。さて、とりあえずこっちへ来い。」 と言われて、ずるずる引きずられて密室へ連れて行かれる。 「今日はロウソク垂らしの刑だ。」 「な!!!?」 その夜、ケビンの断末魔が辺りに轟いたという・・・ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ちなみに、二人の残金は・・・ 万太郎 ⇒ 9748円 チェック ⇒ 8657円 チェック、逆転なるか? 続く。 |