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◆一万円勝負!!〜パートU〜

 
前回の勝負が終わってから一日後、万太郎から電話があった。
「やっ!チェック!」
チェックにとっては、とっても爽やかな声だった。
「おはようございます。…どうしたんですか?こんな朝早くから。」
「…どこが朝早いんだよ。もう12時回ってるじゃん。」
ちなみにチェックは最近低血圧気味である。
「ま、とにかくさ。」
ここで万太郎が話を切り出す。
「昨日の遊びをさ…勝負がつくまでしばらくの間続けない?…二人で。」
「え?」


二人?


ふたり?



          ふ  ・  た  ・  り  ・  ?




「二人…と言うのは…?」
「もちろん、僕とチェックさ。」



(えええええええええ!?

 私と、万太郎…二人!?

 しかも、勝負がつくまで!?)


チェックはそれはもう大喜びである。

いとしい人と、二人きりで遊びに行けるのだから、




「…どしたのチェック?…嫌なの?」
答えがなかなか返ってこないので、万太郎が心配になって言った。
「え!?…い、嫌なんかじゃありませんよ。…やりましょう、万太郎。」
「分かった。それじゃあ今日は□○▽×に集合ね。」
「分かりました。それでは…」
「うん、じゃあね。」

カチャン。
チェックは電話を置いた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(ま、万太郎と…『ふ・た・り・き・り』…で遊びにいける……)

これはチャンスだ、とチェックは考えた。

この勝負が続いているうちに…

万太郎にこの想いを伝えなくては!


チェックはそう考えた。



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で。


「あ、チェック。来るの結構早かったね。」
こう見えて、万太郎は意外と時間は守る方だ。
今回もチェックより早くここに来ていた。
「こんにちは、万太郎。」
「それじゃ早速始めよっか。」
そう言うと万太郎は、A、B、Cとあるくじ箱3つを持ってきた。
…しかし、これは一体誰がスタンバイしているのだろう?



と、いうわけで。
『ジャンケンポン!』
前回と同様、まずはジャンケンでおごる側とおごられる側を決める。

勝ったのはどっちだ…!?


チェックは右手の人差し指と中指を突き立てた。

万太郎も左手で同様のことをした。

チョキ対チョキ…あいこだ。



『あいこで…!』

次は勝負がつくか!?

万太郎は左手を広げている。

チェックは右手を握り締めている。

パー対グー。

と、言うことは…


「やった!今回は僕の勝ちだね!」
「負けてしまいましたね…」
「じゃあチェック、くじ箱を選んで。」
万太郎はそう言って促した。
「えーと…では、Aの箱からくじを引きます。」
チェックは恐る恐るその右手をAと書かれた箱に入れる。
「早く早く!」
待ちきれないとばかりに万太郎は促す。
「それでは…これにしましょう。」
チェックは一枚のくじを取り出して、開いてみる。

…そこに書かれていたものとは、一体…?



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「わぁ…あったかいねー。」
とある自動販売機の前。
万太郎は『もらい物』を頬に当てて温もりを感じ取っていた。
「やっぱし冬はこれがないと話になんないよ。」
「そうなのですか?」
「うん。これぞ日本の冬!!…って感じかな。」
そうして二人は缶のフタを開ける。

『おしるこ』と書かれたその缶のフタを。

とは言っても。
チェックはおしるこなど飲んだことがないので、どんな味がするのか少しだけ不安になっていた。
「う〜ん…」
でも、飲まないわけにも行かない。

{おごられた人は必ずおごったものを残さず食べる。}

そのルールの前では、不安もへったくれもあったものではないのである。

だが、万太郎が横でおいしそうに飲んでいるのを見て、決心がついた。
覚悟を決めて、中の液体を喉に通してみる。

コクン。


すると、口の中に上品な甘さと香りが広がる。
「…おいしいのですね。『オシルコ』というのは。」
「あ、チェックは飲んだことないんだっけ。…おいしいでしょ。」
「ええ。とても気に入りました。」
ニコっと微笑んでチェックは言った。


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あまり人気のない、帰り道。

二人は話をしながら帰路についていた。
まあ話をしながらとは言っても、万太郎が一方的に話をしているだけなのだが。
チェックはそれを嫌な顔一つせずに聞いている。
いや、これはむしろ…喜んで聞いている。

万太郎の話もネタが尽きかけて来たころ、チェックは辺りを見回してみた。

(今が…チャンスかもしれない。)

チェックは心を決めた。
いまこそ告白を…と思った。


「あの…万太郎。」
チェックはついに話を切り出した。
「ん?何?」
「………」
話を切り出した、までは良かった。
だが…なかなか次のステップに進むことができない。
「どーしたの?」
「あの…その…私は…」
…うーむ。
傍目から見ているとかなりじれったく感じる。
「私は…その…あな、あなたのことが…」
万太郎がきょとんとした顔でチェックの方をじっと見つめている。
「…私は、あなたのことが……………す…」
あともう一息!




       と こ ろ が 、 世 の 中 そ ん な に 甘 く な い 。




「よう、二人で何してんだ?」
「ん?」
二人は声が下方向に振り返ってみる。すると…

どっから沸いてきたのか、ケビンがこちらに向かって歩いてきていた。

「あ。ケビン。」
「よ、チェック。」
「あ…こんにちは。」
とりあえず、軽くアイサツをする。
「…他の奴らは、いないのか?」
ケビンは他の3人がいないのに気づく。
「うん。今日は二人だけで遊びに行ってたんだ。…でも、もう帰るとこだよ。」
「ほう、それは奇遇だな。…俺もこれから帰るところだ。」



…ゑ?



「あ、そうなんだ。それなら一緒に帰ろうよ。…ね?チェック、いいよね?」



…ゑゑゑ?



…ここに来て、告白作戦は失敗…のようだ。

(…告白はしてしまいたいけど…理由もなく断るのはケビンに悪いですし…)

「ええ、いいですよ。」
チェックはそう答えた。
…まあ、仕方がないといえば仕方ないのかもしれないが。


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と、言うわけで。



万太郎とチェック、そしてケビンの3人で一緒に話をしながら帰ることにした。
「ところで…ケビンは何をしていたの?」
「ん?…ああ、クロエに用事を頼まれてな。」
そんな感じで話は進んでいった。

そうこうしているうちに、分かれ道に出た。
「あ、ボクこっちだ。…じゃあ、ここでサヨナラだね。」
「そうか。…それじゃあな。」
「さよなら、万太郎。」
万太郎は去っていった。

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もう少しして、再び分かれ道に出た。


「あ、私はこっちの道ですね…では、ここでお別れですね。」
「そうか。じゃあ、また会おう。」
ケビンが帰っていこうとしたその時。
「あ、ちょっと待ってください。」
チェックが引き止める。
「何だ?」
ケビンがそう言ったとき、チェックはケビンに近づいて…
そして、ケビンのマスクを指でスッと触った。
「さっきからずっと気になっていました。…マスクに埃がついてましたよ。」
「あ、ああ…ありがとう。」
するとチェックは、ニコッと微笑んでこう言った。
「ダメですよ。せっかくの格好のいいマスクなんですから、大切にしないと。」

(!!)


その時。



ケビンの中に、『何か』が芽生えた。




「…では、また会いましょうね。さようなら。」
そう言ってチェックは去っていってしまった。

「……………………」


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まだ、行方は分からない。

戦いの行方も。

恋の行方も。


二人の戦いは、まだまだ続く…


        二人の残金
 万太郎  ⇒ 9748円
 チェック ⇒ 9260円







そして…


「………(赤面)」
1人たたずむケビン。
「…ちぇ、チェック…は…結構、その…可愛いな。(赤面)」




新たな波乱の予感?


                                         続く