『チェック…』 万太郎が真剣な眼差しでチェックを見つめる。 『僕…お前のことが…』 『万太郎…』 そして、万太郎はゆっくりとその唇を… 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 「…夢?」 そこは、いつもの自分の部屋だった。 「夢ならば…もう少しだけ、覚めないでいて欲しかった…」 少しだけ、チェックは悔しかった。 もう少しで。 例え夢だったとしても、もう少しで万太郎と口付けを交わすことができたのに… 非常に残念な気持ちに駆られていた。 今日も皆で一緒に遊んで… と、言いたいところだが。 「おや、ガゼルマンとセイウチンとキッドの姿が見えませんが?」 気づいたことを口に出す。 「ガゼルとセイウチンは二人とも風邪ひいたんだってさー。…バカは風邪ひかないって言うのになあ。 セイウチンはともかくとして、ガゼルが風邪ひくなんて…おっかしいねー。」 笑いながら万太郎は言った。 「じゃあ、キッドは?」 「何だかカノジョへのクリスマスプレゼントを買いに言ったらしいよ。…ちぇーっ、いいなあ…カノジョのいるやつは!」 明らかにキッドへの嫉妬心メラメラで万太郎は返した。 この時、チェックは心の中でひそかに思っていた。 「つ、つまり…きょ、今日は万太郎と二人きり…!」 「…どうしたの?チェック。何だか顔赤いよ?」 「え!!??…べ、別に何でもありませんよ?」 「ふーん…ならいいけど。風邪だったら僕にまでうつさないでね?」 (こんなチャンス…滅多にない! 恐らく、今日を逃したら…もうチャンスはやってこない!!!) チェックは燃えていた。 (今日こそは…私の思いを万太郎に…!) 「で、今日は何して遊ぶー?」 楽しそうに万太郎はチェックに問いかける。 「そ、そうですね…」 (なるべく…二人きりだとムードの盛り上がる場所で遊ぶのがいいですね…) 熱心に思索する。 「あーーーーーーーーーーーーーっ、そうだあ!」 「わっ!び、びっくりした!」 いきなり万太郎が叫んだので大分驚いた。 「ねえねえ、いいこと思いついちゃったよ!」 「いい事…ですか?」 「へっへー、名づけて…『一万円勝負』だ!」 「い、いちまんえんしょうぶ?…なんですか?それ…」 「今思いついた面白いゲームの名前。」 「げ、ゲーム…ですか?」 +++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ +とまあ、こんな感じで万太郎がいきなり思いついた『一万円勝負』。 + +簡単に言えば…食事をおごるか、それともおごられるか。…そんなゲームだ。 + +進め方やルールは…大体こんな感じだ。↓ + + + + 進め方 + + ●まず、1人一万円用意する。 + + ↓ + + ●二人でジャンケンをする。 + + ↓ + + ●勝ったほうが『おごられる人』、負けた方が『おごる人』となる。 + + ↓ + + ●次に、おごる人がA、B、Cと書かれたうちのくじ箱から一つ選ぶ。 + + ↓ + + ●その箱からくじを引いて、おごる品物を選ぶ。 + + ↓ + + ●それを続けていって、最終的にお金が払えなくなったら負け。 + + + + ルール + + ☆おごる人は必ず「二人分」買うこと。(自分も食べる。) + + ☆おごる人は別に良いが、おごられた人は必ずおごってもらったものを残さず食べる。 + +++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ 「どう?面白そうでしょ?」 「面白そうと言うよりは…おいしそうですね。」 「ははは、チェックはホントに食べ物が好きだなあ。」 「ぜひ、やりましょう!」 本当に食べ物には目がないなあ、チェック。 と、言うわけで。 早速二人はジャンケンを始めた。 『ジャンケンポン!』 この死闘を制したのは…!? 万太郎の手の形…これは、グーだ。 対するチェックは…パー。 「ゲェェェッ!い、いきなり負けちゃった…」 「私の勝ちですね。」 勝ち誇るチェック。 …いつ見ても食べ物には目がないようだ。 「それじゃあ…Bの箱からくじを引くよ。」 そう言うと万太郎は「B」と書かれた箱を取り出してくる。 「中身は…どんなのがあるんですか?」 ふと、気になったチェックが聞いてみた。 「いろいろあるよ。安いのから高いのまで。…それじゃあくじを引くよ。」 万太郎がくじ箱の中に手を入れる。 「なーにっがでっるかっなー♪」 自分がおごる番だというのに万太郎は鼻歌交じりでくじを引こうとする。 「それじゃあ〜…これだっ!」 万太郎が引いたくじに書かれていたのは…!? とあるコンビニエンスストア。 「消費税込み、二つで252円になりまーす。」 「252円ね…はい。」 万太郎は万札を取り出して店員に支払う。 「9748円のおつりとなりまーす。ありがとうございましたー。」 そして。 「ちゃんと買ってきましたか?」 「買ってきたよー。ホラ。」 そう言って万太郎がチェックに手渡したもの。 …それは、ソフトクリームだった。 「いやあ、今回は大分やっすいのが出て助かったよ。」 「私も好物で助かりました。…嫌いなものでも食べないといけませんからね。」 二人とも安堵した。 そして、ソフトクリームをペロペロなめ始める。 「おいしいですよね…ソフトクリーム。」 「そうだねえ。…毎回こういうのばっかりだといいんだけど。」 その幸せを、共にかみ締める。 と。 「あっ!?かわいい子発見〜!」 万太郎は遠くの方をデレデレ眺めている。 「…」 チェックの中に、ある企みが生まれた。 (…こんなチャンス、本当に今日しかない!) そしてチェックは…なんと、万太郎のソフトクリームを…ちょっとだけなめた! 「あっ!」 が、いきなり振り向いた万太郎に現場を見られてしまった! 「チェック…お前!」 あわててチェックは目線をそらす。 「…人のものをとるなんてサイテーだぞ!」 そして、おそるおそる逃走を始めた。 「あっ!…待てぇーっ!」 こうして、二人の鬼ごっこ(?)はしばらく続いたと言う。 だが、チェックにとって今一番の喜びは… (や、やってしまいました!フフフ…間接キス(?)作戦大成功です!) 二人の戦いは、まだまだ続く… 二人の残金 万太郎 ⇒ 9748円 チェック ⇒10000円 続く |