赤の王様が見た夢1   

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◆ 赤の王様が見た夢1

王様は今君の夢を見てるんだよ。

 超人委員会委員長・ハラボテマッスルは、腕組みをしてため息をついた。「とにかく、非常事態じゃ。」
 委員長を前に緊張の面持ちなのは、ジェイド・クリオネマン・デッドシグナルのヘラクレスファクトリー第二期卒業生たちである。
 「中国地方が完全に連絡も行き来も不可能となり、防衛担当者ナムルとの音信も途絶えた。奴が今どうなっておるかも全くわからん。
 そして委員会から偵察に派遣した委員は行方不明となり、昨日・・・」
 と、委員長は写真を取り出し、彼らの目の前に置いた。
 映っているのは、腕―――人の右腕だった。その腕には、凝固した血の色の文字が刻みこまれている。
 『 To JADE』
 「この右腕が発見された。医者の見立てだと、生きたままもぎ取られた腕だそうじゃ。おそらくもう生きてはおるまいな・・・」 
 ジェイドは悪寒を覚えた。入れ替え戦で、自分の腕をもぎ取っていったスカーフェイスこと、悪行超人マルス。
 (奴の仕業なのか・・・・)思わず、今は繋げられた右腕に手を当てる。心配そうに彼を見るクリオネマンとデッドシグナル。
 中国地方全体の謎の孤立も、つい先日、魔界の力を流用した結界を作り、街を吹き飛ばそうと画策したマルスが仕出かしそうな
 ことではある。
 しかし、ジェイドはどこかに違和感を覚えていた。 (何かが、違う。)
 確かに、スカーフェイスは悪行超人だ。その気になればどんな残虐なこともできるだろう。だがこの件に関して感じるうそ寒い何かは
 ・・・ スカーの遣り口とは、どこか違う気がする。
 「こんなことを仕出かした輩が何者で、何を狙っているかは現在全く不明じゃが、おそらく悪行超人であると見て間違いなかろう。
 こやつはジェイドを名指ししておるから・・・危険ではあるが、君たち3人に偵察に行ってもらいたいんじゃ。まぁ君らは実力者揃い
 じゃから、滅多なことはないと思うがのぅ。」
 ハラボテ委員長が言ったその時。 「委員長!」委員の一人が、部屋に飛び込んできた。
 「何じゃ。」と振り向く委員長に、青褪めた顔の委員は告げる。
 「は、発見されました・・・ 右足と、首です・・・!」委員長の顔が険しくなった。3人を見て言う。
 「・・・君らは、どんな様子か聞いておくか? どうじゃ?」 「聞かせてください。」ジェイドが代表して答える。委員長は、委員を
 促した。
 「ハ、ハイ・・・ 右足には文字が、おそらく刃物で刻まれていまして、首の方は・・・左眼が抉り出され、舌が切り取られていました・・・・」 
 ジェイドは、一瞬眩暈を覚える。スカーが、あの時俺にしたこと。
 「・・・で、右足の文字は。」 「ハイ・・・ "FROM DARKNESS WITH NIGHTMARE"です・・・!」
 血塗れのメッセージの意味は。
 ジェイドへ。 暗黒より、悪夢を、貴方に。

 「しかし、何つぅのか・・・ 昔のSFみてぇだな。」と、デッドシグナル。
 「何つったっけか? ホラ、『首都消失』みたいな感じだ。」とジェイドとクリオネマンに語りかける。
 「呑気なことを言ってる場合か? デッド。しかしよく知っているな・・・」とクリオネマン。
 目の前には、本来なら中国地方の風景が広がっている筈だった。だが彼らの目に映るのは、一面の暗黒の雲。禍々しい気配で
 立ち込め、大地と空間を覆っている。
 「・・・やはり・・・ 悪行超人の仕業だろうな。これはおそらく、スカーが作ろうとした魔界の結界と同種のもの・・・」ジェイドは言った。 
 「前に話してくれたな。マルスと遭遇した時のことか・・・ 結局その時は、奴は失敗したんだろう。懲りずにまた始めた、というわけか。」
 クリオネマンはジェイドに言う。
 「そうかもしれないが・・・、俺はどうも違う気がする。上手く言えないが、どこかがスカーとは・・・ いや、マルスとは違う気がするんだ。」
 「とにかく、これがその結界とやらだとすると、ヘタしたら入れない可能性もあるワケだな? さてどうしたもんか。」
 デッドシグナルが言ったその時だった。
 「!!!」突如3人の視界は暗黒に閉ざされる。次の瞬間には、彼らは全く別の空間にいた。
 足元に、一面の白と黒の市松模様。目の前には、一人の優雅な佇まいの超人。

 「この結界はね。私が入れようと思った者なら入れるのですよ。」

 右の肩には、ユニコーン型のナイト騎士の頭。左の肩にはルーク城。間には、陶器の如く滑らかな白面。
 その超人は、3人の前に丁寧に頭を下げた。
 「初めまして、新世代超人二期生の皆さん。私は元dMp悪魔超人軍の所属、ナイトメアズのチェック・メイトと申します。」
 チェックメイトは、僅かに微笑を浮かべた。
 「・・・何だ? えらく礼儀正しい悪行超人もいたもんだな。」面食らったデッドシグナルが言い、3人は一瞬目を見交わす。その時。
 「・・・だ、騙されるな、君たち・・・」擦れた、喘ぐような声がした。「!」ジェイドたちは声のした方を見る。
 チェックメイトの足元に。まるで襤褸切れのように転がされているのは、一期生の一人、中国地方防衛担当者のナムルだった。
 「先輩・・・・!」
 ナムルの顔に着けられた仮面は、無残に罅割れている。「こいつは・・・こいつは恐ろしい超人だ・・・騙されるんじゃないッ・・・・」
 次の瞬間、チェックメイトは顔色一つ変えずに、ナムルの身体に足を振り下ろしていた。「ぎゃあっ!!」
 絶叫が響く。見ると、ナムルの腰には彼がいつも帯びている剣が突き刺さっている。チェックメイトは、そこを集中して
 踏みつけているのだった。「大人しくしていてくださいね?」絶叫を全く意に介さず、チェックメイトは穏やかに言う。
 「貴方は負け犬なんですから。」 「止めろっっ!!」堪りかねたジェイドが飛び出す。「ジェイド!」叫ぶクリオネ。 
 チェックメイトは、市松模様のマントの影に隠れていた、左手で掴んでいた何かを、ジェイド目掛けて投げつけた。
 かなりの重みのある何か。ジェイドはよろけて、顔の上についたものを拭い取る。 半分乾いた、血。
 投げつけられたものは、頭と右腕と右足のない、無残な骸だった。
 喉の奥で、ジェイドは出掛かった悲鳴を飲み込む。その様子を見て、チェックメイトは微笑んだ。
 「そいつは、メッセージに使わせてもらいましたよ。残りはお返ししておきましょう。」
 「グ・・・グギゲ・・・」デッドシグナルが擦れた声を出す。クリオネマンも絶句していた。
 「貴方が、ブロッケンJrの弟子のジェイドですね? 私は貴方だけをお呼びしたつもりだったのですが、付録が付いて来て
 しまいましたね。これではゆっくりとお話できませんから、場所を変えましょうか。」
 チェックメイトはジェイドに向って進む。「ジェイドッ!」駆け寄ろうとするクリオネとデッド。
 「動くな」チェックメイトは、2人に冷たく言葉を投げかけた。途端に2人の動きは、市松模様の上で止まる。「なっ、何ィ?」 
 「これはっ・・・ まさかオレ様の"進行停止"タイプの足止め術か!?」
 「ホホホホ・・・」チェックメイトは笑う。「まぁそんなようなものです。この結界の中にいる限り、あなた方はポーン兵士の如く
 1マスずつしか進めません。あなた方の戦いは、私も見ていましたよ。実に素晴らしい能力をお持ちだ。
 是非お手合わせしたいのですが、今の私の目的はジェイドと話すことですから。すむまで、ここにいてくださいね。」
 チェックメイトは、ジェイドの肩に手をかける。   
 二人の姿は揃って消えた。途端に、クリオネとデッドは動けるようになる。「くっ! バッファローマン先生が言っていたように、
 悪魔超人らしく別次元に逃げ込んだわけか!」 「どうする、クリオネ!?」
 「う・・・ううぅ・・・」ナムルがうめいた。二人は彼の元に駆け寄った。

 その空間は、上下左右全てが市松模様で彩られていた。ジェイドの両手と両足は、その市松模様の一つに開いた穴の中に
 押し込められ、縛められいる。
 「これは、窓簾と言います。私の身体でも出来るのですが、戦いでもないのに、少々失礼かと思いまして。」
 チェックメイトは言った。「・・・貴様、何が目的だ・・・」ジェイドはチェックメイトを睨みつける。
 「言ったでしょう? 貴方と話がしたかったんですよ。」チェックメイトは、ジェイドの顎に手をかけた。
 「・・・私は、キン肉万太郎に敗れた後、サンシャイン・ヘッドに連れられて地中に潜伏しました。潜伏中、傷を癒しながらヘッドと
 共に、あなた方正義超人同士の戦いである入れ替え戦も見ていましたよ。マルスが紛れ込んでいたのには・・・少し驚きましたけどね。」
 チェックメイトは笑う。
 「それで私は、入れ替え戦で貴方に興味を持ったんです。貴方と私は、とてもよく似た環境にあります。」
 チェックメイトは、ジェイドの顔を手でなぞっていく。「・・・そして、全く正反対の心を持っています。貴方は私の持たないものを
 全て持っている。 ジュンシンで・・・」唇をなぞる指。 「セイジツで、ヤサシクて・・・ 私には、さっぱり実感の湧かない言葉ばかり
 なのですが・・・ さらに貴方は、アイスル、ということを知っています。貴方は、貴方の師・ブロッケンJrを、アイシ、ウヤマッテ、
 いるのですね?」
 再び、指はジェイドの顎を捕らえる。「どうして、そんな気持ちになれるのですか?」陶器のような白面が、ジェイドを覗き込む。
 「・・・悪行超人の貴様にはわかるまい・・・愛する心がどんなものだか・・・!」
 「ええ、わかりません。」チェックメイトは答える。「だから、貴方にお聞きしてるんです。ブロッケンJrと貴方は・・・師弟であると
 同時に親子のような関係でもある。いつも一緒に暮らしていれば、」無心に、ジェイドを見ながら問を繰り返すチェックメイト。
 「アイセルように、なるものなのですか?」 ジェイドの心にじわじわと染み渡っていく、冷たい"恐れ"。
 「では・・・では貴様は、自分の師をどう思っているんだ?」ジェイドは問い返した。
 チェックメイトは一瞬沈黙する。そして答えた。「何とも。」
 「・・・何?」 「私は、サンシャイン・ヘッドについて、特に何とも思っていません。」
 ジェイドは混乱した。「どういうことだ、それは・・・」
 「どういうこと・・・ そうですね。何とも思っていないから、そうとしか答えようはありません。普通なら、育ててもらったオンと
 いうものを感じるべきなのでしょうが・・・ 私は、そういう気持ちは持つな、と教えられました。」
 「・・・悪行超人としての教育のせいなのか・・・」
 「私もそう思っていましたが、どうも違うようです。おそらく私は、生まれつきそういう感情が持てないんですよ。アイスルとか・・・
 カンシャするとか・・・ウヤマウとか・・・ね。」にこりとチェックメイトは笑う。
 「サンシャイン・ヘッドは私を完璧な悪魔超人とするために、出会う者全てを憎め、殺せ、叩き潰せと教えました。そして、戦いに
 最も邪魔なものである"オソレ"の感情を取り除くために、毎日私を拷問しました。」 「・・・・」ジェイドは、自分の心が凍り付いて
 いくのを感じていた。
 「拷問には実に様々な型があるものなんですよ。ごく簡単な所では、指と爪の間に針を差し込むとか、舌に針を突き立てる、という
 のがあります。焼き鏝を押し付けられたり・・・ 鞭で全身の皮を裂かれた後に塩を擦り込まれたりもしました。ツウカクというものは、
 大半が皮下に集中しているそうです。だから、斧・剣・槍その他の武器で肉や骨を痛めつけられるより、イタイという点では
 勝るのかもしれませんね。」
 チェックメイトの指が、ジェイドの左眼の周囲に触れる。瞼を押し上げて彼の目を覗き込んだ。
 「綺麗ですね・・・・ 貴方はとても綺麗な目をしています。マルスが潰したくなったのもわかります。」 
 彼は指を離す。
 「ああ、あらゆる拷問と言ってもマルスが貴方にしたように、目を潰すとか手足をもぎ取るというのはなかったですよ。それは
 そうでしょうね。そんなことをしたら戦えなくなりますから。」
 ジェイドは、体の震えを止める事ができなくなっていた。
 「コワイ、のですか?」小首をかしげてジェイドを見るチェック。 「貴方は、オソレテいるのですか? 私を? それとも私の話を? 
 では、安心してもらえるような話をしましょう。 毎日拷問したと言っても、サンシャイン・ヘッドは私が拷問のおかげで発熱したり
 ・・・」ふっ、とチェックメイトはジェイドから離れる。
 「戦いで傷ついたりした時には、つきっきりで看病してくれました。あの方にとっては、私は大事な手駒ですからそうしたんでしょうが・・・ 
 でもね。 彼は私にそれ以外の情を持っていた。 悪魔になれと私を教育したのに、私が不調の時には私をシンパイしていたんです。
 万太郎との戦いの時、それがはっきりとわかりました。あの方は、私にアタタカイ情を持っていた。そして、私にもそれを期待して
 いた・・・。でも私は、何とも感じなかった。ヘッドが私を、実はイツクシンデいたと知っても何も思わなかった。」
 ジェイドは、冷たい汗を体中に感じていた。
 「生まれつきそうなんですよ、きっと。今では殆ど覚えてないのですが、私は自分を捨てた親についても別に何の感情も持って
 いません。だから何も思わず殺せるでしょう。サンシャイン・ヘッドについてもそうです。あの方が、私にとって邪魔になるようなら
 ・・・」
 チェックメイトはジェイドを見る。 「何も思わず、殺せます。」

 戦慄くジェイド。心の中で何かが崩れていく。その中で、ジェイドは必死に思い起こしていた。
 (レーラー師匠・・・・!)
 「貴方はどうですか?」再びチェックはジェイドを覗き込んだ。「貴方は自分の師を殺せますか?」
 激しい動作でジェイドは、チェックメイトから顔を逸らす。「・・・化け物! 貴様と一緒にするな!!」
 「フフフ・・・ 私は、5歳の時ヘッドに拾われてから、ずっとその手駒として生きてきました。貴方も、ブロッケンJrの野望達成の道具
 として育てられたでしょう?」
 「貴様の狂った尺度で俺たちを図るな・・・! レーラー師匠はそんな人じゃない・・・!」
 「愚かですね。結果的にはそうでしょう? 貴方を盲目にしているのは、師匠との絆なのですか? だったらそんなものはない方が
 いい。貴方にとっては邪魔なだけです。」
 「違う・・・!」チェックに言いながら、まるで自分に言い聞かせているような表情だった。
 「自分が雁字搦めにされ、スポイルされていることにも気付かないとは・・・ 哀れなものです。かつてそういう超人を見たことが
 あります。私やマルス同様dMpのメンバーで、奇しくもヘッドと同じ悪魔六騎士の一人だったスニゲーターの直系の孫でした。
 彼・・・MAXマンは私以上に,一族の仇を討つという目的のためだけに育てられ、そしてそのことに何の疑問も感じていませんでした。」
 言葉を切るチェックメイト。
 「だから彼は敗れました。・・・貴方も情に縛られたがために、マルスに蹂躙され・・・敗れたのですよ?」
 「違う・・・ 違う、違う、違う!」崩れかけているジェイドの心。
 「落ち着いてください。そんな有様ではまともに話もできないでしょう?」チェックメイトは、ジェイドの顎を掴み挙げた。 
 「ちがう・・・」両目から溢れでる涙。微笑むとチェックメイトは、ジェイドの唇を自分の唇で塞いだ。 瞳を見開くジェイド。 
 軽い、優雅な口付けなのに、
 それは冷たい剣のように、ジェイドの心を突き通した。
 「少し落ち着かれましたか?」とチェックメイト。 ジェイドは呆然と、答えることもない。
 ・・・スカーフェイス。 俺の精神を、そして肉体を、蹂躙し陵辱した男。
 俺が初めて出会った悪行超人。冷徹で頭の回転が早く、皮肉屋で残酷な男。
 だが奴には心があった。何かを感じる心、他人を思う心を、奴は確かに持っていた。
 この男にはそれがない。 この男の中には、闇しか存在しない・・・・!

 突如、轟音と共に、その閉ざされた空間に差し込んだ光。 「その辺にしときな。」歩み寄ってくる、一人の大柄な男。
 チェックメイトは振り向いた。 「ふ・・・ プリンお姫セス様を救いに、ナイト騎士が颯爽と登場、というわけですか?
 お久しぶりですね、マルス。」 冷たい表情でマルスはチェックメイトを見、ジェイドを一瞥した。
 「よぉ。随分といい格好だな、ジェイド。」チェックに再び視線を移す。「俺以外のヤツにされてるってのが気に食わねぇがな。」
 彼を見据えながら、「勘違いするなよ鈍感野郎。俺はそいつを助けに来たわけじゃねぇ。お姫様なんぞと呼ばれるようじゃ、超人と
 して失格だ。そんな情けねぇ奴に用はない。ただてめぇは、この俺を差し置いて好き放題やりすぎだ。忠告しに来てやったんだよ。」
 「わざわざ、魔界の流れを汲む結界を破って、ですか? 貴方も無傷ではすまなかったでしょうに。」チェックはクスリと笑った。
 ジェイドはマルスを見る。「・・・!」マルスの両手が、彼自身の血で赤く染まっていた。 「貴方も変わりましたね、マルス。私は
 直接貴方と手合わせする幸運には恵まれませんでしたが、話はよく聞きました。"獣(ビースト)" "正に軍神(マルス)"と
 dMp内でも恐れられ、かつ賞賛されていた貴方でしたのに。」 「ふざけんなよ、砂超人のお稚児さん。俺は何も変わっちゃいねぇ。」
 チェックメイトの顔に、冷たい笑いが浮かんだ。「・・・変わっていない・・・ 確かに、そうかもしれませんね。」次の瞬間チェックの
 姿が消える。「スワロー・テイル!」背後を狙うと読んだマルスがスワローテイルを放つ。「甘い!」チェックの姿は正面に現れる。
 いつの間にか、頭は騎士のそれに変化していた。「チッ!」 「ケンタウロスの黒い嘶き!」正にケンタウロスの半馬形に変化した
 下半身で、チェックはマルスを連続して蹴り上げる。そのまま、背後の壁に力一杯叩きつけた。
 「があぁっっ!!」背中の古傷に打撃を受け、マルスは声をあげる。「スカー!!」ジェイドの叫び。
 崩れ落ちるマルス。チェックメイトは笑った。「ホホホ・・・チェスピース・チェンジ、キング!」再び、元の顔と姿が現れる。 
 「その傷。訓練の時にケビンマスクを助けてついたものでしたね? その弱点をつけば、貴方を殺すなど雑作もありません。 
 惜しいことです。貴方は素晴らしい悪行超人なのに、どういうわけか情を捨てきれない時があるらしい。それでは私には勝てませんよ。」
 「くぅ・・・ なめんじゃねぇぞ、この野郎・・・」喘ぎながら、チェックを睨みつけるマルス。
 「情に囚われる。実に愚かなことです。だから、そこのジェイドはマルス、貴方に敗北し、貴方は私に敗北しなければならない。
 そんなものに囚われることのない私こそ・・・」チェックメイトは笑みを浮かべた。
 「史上最強の超人と呼ばれるに相応しいのです。そうでしょう?」 「チェックメイト!」
 背後からの叫び声に振り向いた瞬間、「喰らえ、ベルリンの赤い雨!」ジェイドの手刀から放たれた衝撃波がチェックの頬を翳めた。
 頬に傷が走り、血が飛び散る。
 「・・・! 貴様、よくも私の顔を・・・!」怒りの表情でジェイドを見たチェックは、窓簾からの脱出で傷を作り血を滴らせ、
 真摯な怒りの表情をしているジェイドを見てはたと動きを止める。
 「貴様の・・・貴様の相手は俺だ、チェックメイト!」 不思議そうな表情でジェイドを見るチェックメイト。
 「何故、そんな顔をしているのです? まさか貴方は・・・」ジェイドはチェックに突進する。
 「バカが! 考えなしに突っ込むなジェイド!」マルスはジェイドに叫んだ。
 チェックメイトは、ジェイドに強烈な蹴りを放って突き飛ばした。 「うあっっ!」
 「貴方は・・・ 私がマルスを傷つけたことを怒っているのですか?」激痛に蹲るジェイドは、顔をあげる。
 「理解できませんね・・・ マルスは貴方を傷つけた敵でしょう?」小首を傾げるチェックメイト。
 「貴方は、本当に興味深い超人ですね・・・ どういうことなのか、教えてもらえませんか?」

To be continued


鷹覇 臣様の新連載第3弾〜〜♪どうしましょ?Norikoがここまで幸せでいいのかしら(死)
次回にはチェック様が出ると予告があったんで、私はうかれまくっていたんですが、想像以上の
チェック様の活躍(?)とかっこよさに、もう・・・スカーの出番があまりなくても許す!(笑)
みたいな。(笑)そのスカー、どうする?ヒーローだよ?(笑)・・ジェイドなんかもうスカーの
ヒーローぶりにやられてる??(笑)ああ・・チェック様の出てくる小説が読めるなんて最高☆(Noriko)

まァたヘンな奴が出てきやがった。・・っていうか俺の(?)ジェイドに!何しやがんだあの
  人形野郎!・・どうでもいいが、デッドのやつ、いつでもどこでも大ボケかます奴だな(笑)(スカー)