SCAR FACE SITE

前画面へ



◆ お見合い狂騒曲

ドイツ・ベルリンーーーブロッケン邸。
ある日の昼下がり、自室で読書していたジェイドの耳に師匠ブロッケンJrの呼ぶ声が聞こえた。
「ジェイド!お客様だ!ちょっと来なさい」
「ハイ!」
ジェイドはすぐさま本を置いて、自室を出て応接室へと向かった。
ちなみに、彼が読んでいた本は    「プラトニック・セックス」by飯島 愛 であった。(ドイツだろ)
客は誰だろう・・・と思いつつ、応接室のドアをノックすると
「入りなさい」
ブロッケンの声が応えた。
「失礼します」
そう声を掛けながらマホガニーの重厚な扉を押し、入室すると
「おお、ジェイド!元気でやっているか?」
貫禄のある低音でジェイドにそう語りかけたのは・・・
「ロビンマスク先生!!」
そう、伝説超人の(元)虹色の騎士ロビンマスクであった。
「お久し振りです、ロビンマスク先生!ようこそおいで下さいました」
思いがけない来客に驚きながらも、それがHFで世話になった尊敬する伝説超人ロビンマスクという事もあり、
ジェイドは歓迎ムード一色だ。
「うむ。君も元気そうで何よりだ」
そう満足げに頷いたロビンは、ロイヤルアルバートのカップに注がれた高級アールグレイを優雅に飲む。
あのマスクは飲み食いが出来るのだろうか・・・と、その様子を見ていたジェイドはふと思ってしまったが
口には出さなかった。(笑)
「ジェイド、お前も掛けなさい」
ブロッケンにそう言われて、ジェイドもブロッケンの隣に腰掛けた。
「お前はコレを飲みなさい」
そう言ってブロッケンは、半分以上がミルクのミルクティーのカップをジェイドの前に置いた。
ジェイドはいつもコレか、ホットミルクかココアしか飲ませてもらえなかった。
ブロッケン曰く、「子どもにカフェインは良くないからな」なんだそうで・・・。(笑)
大ぶりのカップを両手で持って可愛らしくミルクティーを啜るジェイドを満足げに眺めていた伝説超人2人は、
何かを確かめ合うようにお互い頷きあった。
そして、ブロッケンが口火を切った。
「ジェイド、お前もそろそろ年頃だな。ワシはお前には幸せになってもらいたい。
正義超人としての務めも勿論だが・・やはり一個人として幸せになる権利はあると思う。
・・・・だが、純心で世間を知らないお前は悪い奴にだまされる危険もある。そこでワシは、お前の親代わりとして
お前に、強く逞しく聡明な最高の婿(オイ)を用意した!」
「は・・・・?ム、ムコ・・・・???」
凄すぎる内容(笑)の話に、ジェイドはポカンとブロッケンの顔を見つめる。
そして、ブロッケンの親友ロビンがいたいけな(笑)ジェイドにトドメを刺す。
「私はブロッケンの親心を聞かされてな、ブロッケンの気持ちが痛いほどよく解った。そして・・・正にこれこそ
渡りに舟!!と思ったのだ。実は、私にも息子が一人いるのだが・・・いつまでもフラフラしとって仕方ない。
アイツに究極のダンディズム(笑)を自覚させるためにも、清純で汚れのない優しい嫁(オイ)が必要なのだ!
ブロッケンもお前の事を心配しているし、私も息子の将来が心配だ。正にこの話は
天が与えたもうた奇跡ではないか〜〜〜っっ!!!」
「それって・・・・つまり・・・??」
ジェイドは今にも死にそうな気がした。(笑)
そんな彼に伝説超人2人はデュエットで
「ジェイド!ケビンと結婚しなさい!!」
と・・・。
                                     
  ★森永 メロン

「ゲエエエエエ〜〜〜ッ!?」
思わずジェイドは普段のジェイドらしからぬ下品な叫び声をあげてしまっていた。
それも無理ないだろう・・・まさか、男との見合いを薦められるとは!!
「レ・・・レーラァ??冗談ですよね?」
可愛い瞳をパチクリさせながら、恐る恐るブロッケンに確認する。
しかし返ってきた答えは無情にも
「ワシは本気だ」(笑)
しかしジェイドは、まだ諦めきれなかった。
「ロビンマスク先生!?あなたは・・・まさか本気ではないですよね??」
「いや、本気だ」(笑)
瞬時に返事が返ってきた。
ジェイドの頭の中は、今正に混乱状態に陥っていた。
{どうなっているんだ??2人ともおかしくなってしまったのか・・・?
それとも・・・オレかケビンのどちらかが実は女だったのか・・・??}(オイ)
ジェイドが頭を抱え込みながら悩んでいる隙に、伝説超人2人は何やらボソボソと話し、そしてロビンは
すっくと立ち上がった。
「では、そういう事で。頼んだぞ、ブロッケン」
「ああ、それでは明日の夜にな。遅れるなよ?」
「お前こそ。楽しみにしているぞ」
そんな会話の後、ロビンは部屋から出て行った。
そして、ようやくブロッケンはジェイドの様子に気がついた。
「ジェイド、どうしたんだ?頭なんぞ抱えて・・・。もしや、さっきのミルクティーで酔ったんじゃ・・?」(オイ)
ブロッケンに肩を叩かれ、我に返るジェイド。
「レーラァ!!どういう事なんですか、一体!?」
「まあ、落ち着け。確かに急に話をしたのは悪かった。だが、お前の喜ぶ顔が見たくてな〜」
「喜ぶ!?なぜオレが喜ぶのですか!!オレは男ですよ!!」
興奮気味にブロッケンに詰め寄るジェイド。
「ワシだって何も今すぐに結婚しろなんて言わん。ちゃんと順序を踏まえて進めるつもりだ」
「・・・・・は??」
「明日の夜、某ホテルでお前たちの見合いの席を用意した」
「・・・・・・!?レ・・・レ〜ラァ〜〜〜!?」
                                      
   ★柊 コウ

「イ、イヤです!レーラァ!!なぜオレが見合いなんてしなければならないのですか!?
レーラァ・・・あなたは・・オレを捨てるおつもりですか〜〜〜ッ!?」
パッチリおめめに涙をいっぱいに浮かべて、ブロッケンに訴えるジェイド。
だが、そんな逆上気味のジェイドにブロッケンは落ち着いた様子で
「何を言ってるんだ、お前は?なぜワシが可愛いお前を捨てたりするんだ?お前の幸せを願うからこそ、
信頼できる古い友人の息子とお前が愛し合って(?)幸せになってくれれば・・・と思ってだな・・」
「幸せになんかなれませんっっ!!」
ブロッケンの話を途中でさえぎって、泣きながら抗議するジェイド。
「オレはあなたのお側にいられれば、それで幸せなんです!レーラァ以外の男なんて・・・怖い」(オイ(笑))
そう言って、潤んだ瞳でブロッケンをジッと見つめるジェイド。
こんな瞳で見つめられれば、大抵の者は気持ちが挫けて愛らしいジェイドの要求を呑んでしまうのだが、
さすが師匠歴(推定)8年のブロッケンは慣れていた。
「黙れッ!コレは師匠の命令だ!!」
「ゲエエエエエ〜〜〜ッ!?」(笑)

・・・・・と、いう訳で翌日の晩、ベルリンの某一流ホテルのレストランの個室にブロッケンとジェイド師弟、
そしてロビンとケビン父子が顔を合わせることになった。
タキシードに身を包んだダンディー・ロビン(笑)は食前酒のシェリーを啜りながら
「今夜はあいにく妻が同席できなくて申し訳ない。何でも、どうしても外せない婦人会(笑)の用事があるとかで」
「ああ、気にするな、ロビン。アリサさんも元気そうで何よりだ」
上機嫌な伝説超人2人に対して、今夜の主役のケビンとジェイドは・・・2人ともこれまで一言も喋っていない。
ジェイドはずっと伏し目がちで、テーブルの下で密かにブロッケンの袖を掴んでいた。(笑)
ケビンは足を組んで、横柄な態度で窓外の夜景を眺めている。
ジェイドとケビンは一応面識はあったが、ろくに話をした事もなかった。
つまり、この降って湧いた結婚話が持ち上がるまでお互い存在こそ知っていたが、特別な好意も嫌悪も感じていない、
まあ言ってみればどっちにとってもどうでもいい相手でしかなかった。(笑)
伝説超人2人は当の2人を忘れて、まだ世間話で盛り上がっているようなので、ここらでちょっと
ジェイドとケビンの心の中を覗いてみよう。(笑)

(ジェイド・心の声)
「フン・・・なぜオレがこんな話もした事ない奴と結婚なんかせねばならないんだ?いくらレーラァの仰せでも
冗談じゃない!・・・・・・でも、コイツ・・背の高いところは中々カッコイイ・・・な。大きい男って・・・・
包容力がありそうで、お父さんみたいで安心できる気がする・・・。(←やはりファザコン気味)
でも・・・・・そうだ!コイツ確か超人オリンピックの時、オレが何もしてないのにエルボを喰らわせやがったんだ!
・・・・ああ〜〜・・やはりダメだッ!!こんな乱暴な男と結婚なんか出来んっっ!!」

(ケビン・心の声)
「チェッ・・・ったく、面倒臭えな〜。オレはこんな堅苦しい席が大嫌いなんだよ。
どうやってブチ壊してやろうか・・・。(オイ) しかし、ダディも何考えてんだかな〜・・・。
こんな乳臭いねんねちゃんをオレの嫁に・・なんて!!オレがロリコン(?)だと思われるじゃねえかっ。(笑)
まあ、ババアとかよりマシだがな。(オイ)よく見りゃ、ツラは結構可愛いし・・・。でも・・・なんか、すぐ
泣きそうだし・・・。そりゃ、一途っぽくもあるが・・オレは一生どの旗印にも属さずに放浪してえから妻なんざな〜〜」
                                    
 ★森永 メロン 

引き続き悩み続ける二人・・・・・。

(ジェイド・心の声)
「あ〜もう、オレ帰りたいよ・・。結婚なんてまだ早い!・・・・やっぱリ・・レーラァはオレが邪魔なんだろうか?
オレは・・・一体これからどうしたらいいんだァ〜〜〜ッ!?」(落ち着け)
そんな事を考えるうちに、ジェイドの顔は今まで以上に暗く沈んでいた。

(ケビン・心の声)
「ん・・?なんだ、コイツ・・・やけに暗い顔しやがって。そんなにオレと結婚するのがイヤだってのか!?」
そこまで考えたケビンは、思わずジェイドに話し掛けていた。
「オイ!!テメエ!オレと同席してんのがそんなにイヤなのか!?今にも泣き出しそうなツラしやがって!」
「・・・・・!!な・・泣き出しそうになんかなってない!!」
二人の声で、ようやく伝説超人達はケビンとジェイドの事を思い出した。(オイ)
ロビンは興奮気味の息子に
「どうした、ケビン?ムキになるなんてお前らしくないな。ジェイドの事がそんなに気に入ったのか?」(笑)
「あっ・・・あのな〜〜・・・そんなんじゃないっっ!!」
一方、ブロッケンとジェイドの方は・・・
「どうしたのだ、ジェイド?なぜそんな暗い表情なんだ?今日はお前の喜ぶ顔が見れると思ったのに・・・」
と、今度はブロッケンが暗い表情になってしまった。
それを見たジェイドは
「レ、レーラァ!!オレ、暗くなんてなってないです!!本当は嬉しかったんだけど、素直になれなくて・・・」
ブロッケンの機嫌を直したいが為に嘘までついて笑顔で答える健気なジェイド。
「そうか!!やはりワシは間違ってなかったようだな♪」(オイ)
パッと明るくなったブロッケンを見て、ジェイドは再び落ち込みそうになった。
「どうやらこの話は上手く進みそうだな♪後は若い2人に任せようじゃないか」
ロビンが口を挟んだ。
「!!!???」←若い2人(笑)
「レ、レーラァ!!オレを置いて行かないで下さいっっ!!オレ・・・怖いッ!!」
「なに!?怖いって・・・なんだよ、それ!?なんにもしやしねえよ!お前みたいなガキに!」
「ガキ!?うるさいっっ!この野蛮人!!」
コレでは見合いどころではないようだが・・・・。
「まあ落ち着け、お前達。若いってのはいいもんだな、ロビン?」
「私達にもそんな時代があったじゃないか!今でも十分熱いが・・・な」
などと、伝説超人2人が笑う横で若い2人は冷めていた。そして・・・
「じゃあ、後はお前達の好きにしなさい。邪魔者は消えよう(笑)」
と、言い残すと伝説超人2人はさっさと消えてしまった。
残された2人は・・・他にする事もないので(笑)、とりあえず目の前の豪華な料理を無言で食べ始めた。
・・・・・・・暫くしてから急にケビンが
「オ・・・オイ・・・」
「・・・・・なんだよ?」
夢中で動かしていた手を止めると、ジェイドはケビンの方へ顔を向けた。
よくよくケビンを見ると、なんだか身体が震えているようだ。
「ケビン?お前・・・震えてるけど、どうかしたのか?」
さすが優しいジェイド、ケビンを心配して声をかけると
「・・・・・・・・・ぶはっ!!(笑)」
突然吹き出すと、腹を抱えて爆笑し出した。
奇怪な(?)ケビンの様子に、ジェイドは訳も解らずキョトンとしている。
「お・・・お前!なんちゅ〜食べ方してんだ!?鼻や口にソースやらなにやらベッタリだぞ」
普段は上品なジェイドだが、今は余りに必死に食べた為に顔中凄い事になってしまっていたのだ!
その可愛らしさに先程まで怒り気味だったケビンも笑いを堪えきれなかったらしい。
「わ、笑うなよ〜〜(汗)」
なにげに和やかムードの2人であった。

★柊 コウ     
NEXT