REPORT 『gentleman's lib』発売記念ライブ
2000.2.11(FRI) 渋谷ON AIR WEST 19:00START
| 約2年振りに訪れたON AIR WEST。 キャパ500人程度の、そう広くはない会場は人で溢れていた。 事実上、まだメジャーデビューもしていないインディーズバンドだと言うのに、 即日完売、満員御礼。これが果たして彼らの武器となるか、足かせとなるか。 客層は意外と幅広かったように思う。いつもと違って何となく気合いの入らなかった 私達は、最後の最後、人もまばらになった頃に会場に入った。 普段は立ち入り禁止の2F席が開放されていた為、上から観る事にする。 正面の最前列はみるからにメンバーの身内(笑)収くんのパパ・ママの姿も見える。 そして、ex MOON CHILDのサポートをしていた河野さん、松っちゃんの姿も。 後からヒロちゃんもやって来たのを確認。どうやらステージに向かって右半分は 関係者がほとんどらしく、2Fは関係者と一般客がほぼ6:4という構成だった。 あえてそうした訳ではないが、今回はついに1度もアルバムを聴かずにライブに 臨んだ。つまりSCRIPTとしての楽曲は1つも聴いていない事になる。 そういう事は、私にとってそう珍しくはない。 例え1曲も分からなくても、それでも惹きつけられる何かが無ければダメだと思う。 そうでなければ本物じゃない、と思うからである。 SCRIPTの音が、果たして私の耳に響くのかどうかを知りたかった。 そしてライブはスタートした。 ずっと不思議な感覚がつきまとっていた。 確かに耳慣れた歌声なのに、見慣れたステージングなのに、 だけどそこにいるのは、私の良く知っている彼らとは違うようだった。 いつもはスッと入り込めるあの独特の空気。 同じ時間、同じ会場に集まった人達だけが共有出来る「ライブ」という名の特別な空間に 溶け込めずにいる自分がいた。どこか噛み合わない、言葉では言い表し難い「ずれ」は ずっと続いていた。いくら目を凝らしても、「良く出来たお芝居」を観ているような感覚は 拭い去れなかった。これは本当に現実の事? その感覚を破ったのはあの曲だった。 聴き慣れたギターのフレーズ。一瞬「あれ?どうして聴いた事があるんだろう?!」 そしてすぐに分かった。「ポータブルロック」だ。 どうして?と思うよりも先に、ぎゅっと胸が痛くなった。 一段と盛り上がりを見せる客席とは裏腹に、こぼれそうになる涙をこらえるので精一杯だった。 再びこの曲を聴ける事の喜びよりも、悲しさの方が大きかった。 そして「requiem for the man of nomad」。もう1曲ムンチャイ時代の曲が演奏された時、 私の中で何かが吹っ切れた。 「違う。そこはそうじゃないんだ。」 そのギターは、そのリズムは、と心の中でダメ出しし続けて、そして気が付いた。 ・・・間違っているのは私の方だ。だって彼らはもう「MOON CHILD」ではないのだから。 「SCRIPT」として歩き始めた彼らにとっては、すでに単なる過去の作品でしかない。 だけど私にとっては、今でも胸が痛む程大事な曲たちだ。 頭では分かったつもりでいても心は納得していなかった。1年前のあの日からずっと、 今日まで、本当は分かっていなかった。 私の大好きだった彼らはいなくなってしまったんだ。今目の前にいるのは、もうとうに 新しい道を歩き始めた別の人なんだ。 それからは、ちゃんと「SCRIPT」を「SCRIPT」として観る事が出来るようになった。 もしも初めて彼らの音に触れたのだとしたら、きっと好きになったと思う。 あの頃と同じ気持ちではいられないとしても この先彼らがどこへ向かうのか。 |