商と周に仕えた武官・黄飛虎の官職。商時代は「鎮国武成王」だったが(1)、周に降ると武王により「開国武成王」と改められた(34)。
「武成王」とは本来、呂尚(『封神』では姜子牙)に与えられていた王号である。西暦760年、唐の粛宗が呂尚を「武成王」に封じたことに端を発し、武を司る神として、文宣王の孔子とともに「文武廟」に祭られた。孔子とセットなことを見ても分かるように、かなり高い扱いを受けていたのである。
宋元時代には広く信仰されていたが、明時代になると武神における関羽の地位が向上し、また朱元璋によって武成王の祭祀が廃止されたこともあって、すたれてしまった。
このような経歴を持つ武成王が、なぜ黄飛虎に当てはめられたのかは、よく分からない。
『封神』における黄飛虎の官職は言うまでもなく「武成王」だが、君主の紂王もやはり「王」なのだから、これでは君主と家臣が同格になってしまう。なぜ上のような設定になっているのかというと、『封神』の作者が紂王のことを「皇帝」だと思いこんでいるからである。
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