封神演義事典

《《 人物 ふ 》》

聞仲 ぶんちゅう

略歴

 商の太師。商王朝3代に仕えた老臣である。
 はじめ碧遊宮で截教の仙人・金霊聖母につき、道術を学んだ。50年後、成湯を補けよといわれて下山したが、その際に「絶という字は避けねばならぬ」という忠告をうけたことがある(42)。黒麒麟を乗騎とし、武器は金鞭。眉間に神眼を持つ。

 商の王・帝乙が亡くなると、その子の紂王を託された。紂王7年、北海の七十二諸侯が反乱を起こすと討伐に向かった(1)。戦いを終えて凱旋すると、妲己により朝廷が退廃していたため、紂王に十策を献じた(27)。東海で反乱がおこると、再度遠征に向かう。帰還すると、紂王から黄飛虎が謀反したことを知らされた。

 聞仲は休む間もなく追撃にしたが、清虚道徳真君の術に惑わされ(35)、黄飛虎の西岐入城を許してしまった。更に張桂芳、四聖、魔家四将らを送り込んだが、ことごとく失敗してしまう。このような状況を見て、ついに自ら西岐を伐つことにした(41)。

 黄花山で四天王を配下に加え、緒戦は優勢に戦いを進める(42)。だが、その夜の戦いで姜子牙に金鞭を折られ、味方も敗走した(41・42)。
 また金鰲島の十天君が十絶陣を布いたが(43)、これも崑崙十二大師に破られ、聞仲はしだいに苦境に追い込まれた。

 そんな聞仲のところに、道友の趙公明が助けに来た(46)。公明は定海珠や金蛟剪を使い、西岐の武将のみならず、闡教の仙人を次々に捕らえた。だが、陸圧の呪いによって公明は日に日に衰弱してゆき、ついには病死してしまった(49)。
 その後、公明の妹である三仙姑が敵討ちに来て活躍したが、結局、元始天尊と太上老君によって殺された(51)。

 西岐軍の総攻撃が始まると、聞仲は残存兵を率いて朝歌へ逃亡した。しかしその途中、絶竜嶺で雲中子の待ち伏せを受け、通天神火柱に焼かれて殺された。以前師に「絶の字は避けよ」といわれていたのは、このことだったのである。聞仲は亡霊となって紂王に最後の諫言をするが、紂王は夢だと思い、忘れてしまった(52)。

 姜子牙により、九天応元雷神普化天尊に封神された(99)。

注釈1

 聞仲は歴史上の人物ではなく、また先行作品の『伐紂平話』や『列国志伝』にも登場しない、『封神』オリジナルの人物である。

注釈2

 聞仲が封ぜられた「九天応元雷神普化天尊(普化天尊)」は、道教における雷の最高神である。『封神』の中でもやはり、普化天尊は雷部を統べる神となっている。
 その役割は人間の生殺、幸福や災厄を司ることであり、天尊の承認なしには政令を行えない。
 道教においては重要な神格であるが、どちらかというと抽象的な存在であって、民間ではあまり信仰されていないようである。

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