封神演義事典

《《 人物 き 》》

姜氏 きょうし

略歴

 姜桓楚の娘で、姜文煥の姉。紂王の正妻(元妃)となり、殷郊・殷洪を生む(1)。
 梅伯が刑死した日の夜、紂王と妲己が宴を楽しんでいるのを知り、寿仙宮に向かう。紂王が妲己の舞を見せると席を立ち、忠臣を追い出し酒色にふけっていることを諫言した。だが、かえって紂王は腹を立ててしまい、宴の後に妲己に皇后の地位を約束してしまった。
 更に姜氏は、後日妲己を呼びだして、紂王を籠絡していることを叱責した。妲己はこの一件を深く恨んで、費仲を使って姜氏の追い落としを謀る。費仲は食客の姜環に紂王を襲わせ、姜氏に頼まれたと偽証させることにした。結果、姜氏は紂王暗殺の首謀者に仕立てあげられ、捕らわれて西宮に護送される。
 姜氏は西宮での尋問によどみなく答え、紂王も疑いを解きはじめた。だがここで妲己が、片目をえぐれば罪を認めるだろうと言いだす。尋問役の黄氏が罪を認めるようすすめたが、死んでも無い罪は認めたくないと言って、ついに片目をえぐり取られた。次には両手を銅の斗で焼かれ、骨まで焦げて昏倒した(7)。
 それでも罪を認めないため、妲己は姜環を姜氏と対面させた。姜氏は姜環に怒りをぶつけるが、姜環はあくまでしらを切り続ける。知らせを聞いた殷郊と殷郊が現れると、仇をとってくれと言って息絶えた(8)。
 その後は殷洪が太極図に迷い込んだとき(61)や、紂王が摘星楼に逃げ込んだ際(97)に亡霊として登場している。
 姜子牙により、群星正神太陰星に封神された(99)。

注釈1

 『封神』の姜氏は、『史記』に登場する九侯の娘がモデルだと思われる。『史記』殷本紀によると、九侯は鄂侯、姫昌と並んで「三公」の一人だった。九侯の娘は紂王の宮室に入るが、淫を好まなかったので殺されたという。
 姜氏という人物はすでに『伐紂平話』や『列国志伝』に登場しているが、『封神』では上のような酷刑に処されたのに対し、『伐紂平話』や『列国志伝』では摘星楼から墜落死している。
 『封神』で上のような死に方をしたのは、黄飛虎の妹の黄氏である。

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